法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

補助犬同伴の受け入れ義務化について

2007-11-29 21:09:55 | Weblog
補助犬連れでも就労しやすく,企業に受け入れ義務化 YOMIURI ONLINE

 全会一致の可決・成立だそうだ。
現行の身体障害者補助犬法第10条には「事業主(国等を除く。)は,その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。」とある。本改正により,一定の事業所には,来年の10月から,障害を抱える就労者の補助犬同伴受け入れが義務づけられるとのこと。

さて,山陽新聞には,視覚障害者の方がコンビニから補助犬同伴の入店を拒否された話しが載っている。
食品を扱う以上,飲食店や商店が衛生面を危惧し神経質になるのは分かる。しかし,例えば,同第22条には「身体障害者補助犬を使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬について,体を清潔に保つとともに,予防接種及び検診を受けさせることにより,公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければならない。」,同第12条第2項には「この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。」とあるなど,一般からの懸念・誤解を払拭するため,補助犬の衛生確保については相応の手当てがされている。入店拒否はこの辺りの理解不足からきているものと思われるが,何とも悲しい話しである。
因みに,身体障害者補助犬法第24条には「国民は,身体障害者補助犬を使用する身体障害者に対し,必要な協力をするよう努めなければならない。」とある。

厚労省 「身体障害者補助犬法」を知っていますか?


現行身体障害者補助犬法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,身体障害者補助犬を訓練する事業を行う者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者の義務等を定めるとともに,身体障害者が国等が管理する施設,公共交通機関等を利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することができるようにするための措置を講ずること等により,身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り,もって身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「身体障害者補助犬」とは,盲導犬,介助犬及び聴導犬をいう。
2  この法律において「盲導犬」とは,道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第十四条第一項 に規定する政令で定める盲導犬であって,第十六条第一項の認定を受けているものをいう。
3  この法律において「介助犬」とは,肢体不自由により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために,物の拾い上げ及び運搬,着脱衣の補助,体位の変更,起立及び歩行の際の支持,扉の開閉,スイッチの操作,緊急の場合における救助の要請その他の肢体不自由を補う補助を行う犬であって,第十六条第一項の認定を受けているものをいう。
4  この法律において「聴導犬」とは,聴覚障害により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために,ブザー音,電話の呼出音,その者を呼ぶ声,危険を意味する音等を聞き分け,その者に必要な情報を伝え,及び必要に応じ音源への誘導を行う犬であって,第十六条第一項の認定を受けているものをいう。

(国等が管理する施設における身体障害者補助犬の同伴等)
第七条  国等(国及び地方公共団体並びに独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。),特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって,総務省設置法 (平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号 の規定の適用を受けるものをいう。)その他の政令で定める公共法人をいう。以下同じ。)は,その管理する施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬(第十二条第一項に規定する表示をしたものに限る。以下この項及び次項並びに次条から第十条までにおいて同じ。)を同伴することを拒んではならない。ただし,身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し,又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は,この限りでない。
2  前項の規定は,国等の事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。
3  第一項の規定は,国等が管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。

(公共交通機関における身体障害者補助犬の同伴)
第八条  公共交通事業者等(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 (平成十八年法律第九十一号)第二条第四号 に規定する公共交通事業者等をいう。以下同じ。)は,その管理する旅客施設(同条第五号 に規定する旅客施設をいう。以下同じ。)及び旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両等(車両,自動車,船舶及び航空機をいう。)を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。ただし,身体障害者補助犬の同伴により当該旅客施設若しくは当該車両等に著しい損害が発生し,又はこれらを利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は,この限りでない。

(不特定かつ多数の者が利用する施設における身体障害者補助犬の同伴)
第九条  前二条に定めるもののほか,不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は,当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。ただし,身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し,又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は,この限りでない。

(事業所又は事務所における身体障害者補助犬の使用)
第十条  事業主(国等を除く。)は,その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。

(住宅における身体障害者補助犬の使用)
第十一条  住宅を管理する者(国等を除く。)は,その管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。

(身体障害者補助犬の表示等)
第十二条  この章に規定する施設等(住宅を除く。)の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,厚生労働省令で定めるところにより,その身体障害者補助犬に,その者のために訓練された身体障害者補助犬である旨を明らかにするための表示をしなければならない。
2  この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。

(身体障害者補助犬の行動の管理)
第十三条  この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し,又は使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬が他人に迷惑を及ぼすことがないようその行動を十分管理しなければならない。

(表示の制限)
第十四条  何人も,この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬以外の犬を同伴し,又は使用するときは,その犬に第十二条第一項の表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならない。ただし,身体障害者補助犬となるため訓練中である犬又は第十六条第一項の認定を受けるため試験中である犬であって,その旨が明示されているものについては,この限りでない。

(身体障害者補助犬の取扱い)
第二十一条  訓練事業者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者は,犬の保健衛生に関し獣医師の行う指導を受けるとともに,犬を苦しめることなく愛情をもって接すること等により,これを適正に取り扱わなければならない。

(身体障害者補助犬の衛生の確保)
第二十二条  身体障害者補助犬を使用する身体障害者は,その身体障害者補助犬について,体を清潔に保つとともに,予防接種及び検診を受けさせることにより,公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければならない。

(国民の理解を深めるための措置)
第二十三条  国及び地方公共団体は,教育活動,広報活動等を通じて,身体障害者の自立及び社会参加の促進のために身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民の理解を深めるよう努めなければならない。

(国民の協力)
第二十四条  国民は,身体障害者補助犬を使用する身体障害者に対し,必要な協力をするよう努めなければならない。

身体障害者補助犬法施行規則の関連条文

(身体障害者補助犬の表示)
第四条  法第十二条第一項 の規定による表示は,様式第一号により身体障害者補助犬の胴体に見やすいように行わなければならない。

(法第十二条第二項 に規定する厚生労働省令で定める書類)
第五条  法第十二条第二項 に規定する厚生労働省令で定める書類は,身体障害者補助犬の衛生の確保のための健康管理に関する次に掲げる事項を記載した書類(以下「身体障害者補助犬健康管理記録」という。)及び第九条第五項の規定により交付された身体障害者補助犬認定証その他身体障害者補助犬であることを証明する書類とする。
一  身体障害者補助犬の予防接種及び検診の実施に関する記録(予防接種及び検診を実施した診療機関等の名称及び獣医師の署名又は記名押印がなければならない。)
二  前号に掲げるもののほか,身体障害者補助犬の衛生の確保のための健康管理に関する記録

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ニホンカモシカの疾走について

2007-11-28 21:28:56 | Weblog
asahi.com 山王大通りカモシカ疾走

 管理人は,車の運転中,道路の真ん中に悠然と立っているカモシカを見かけたことがある。あれは,確か,旧協和町(現大仙市)でのこと。秋田市内で見かけたことは一度もない。
記事には,10日ほど前に同じ場所でカモシカを見たという秋田放送受付けの女性の談話がある。曰く,角が短く,目がぱっちりしているから,同じカモシカだと思う,とか。本当だろうか ^^; 。いやいや,観察眼の鋭い受付嬢のこと。本当に違いない。

さて,文化財に含まれるものとして,文化財保護法第2条第1項第4号には「貝づか,古墳,都城跡,城跡,旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの,庭園,橋梁,峡谷,海浜,山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地,繁殖地及び渡来地を含む。),植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)」とあり,さらに,同第109条第1項に「文部科学大臣は,記念物のうち重要なものを史跡,名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。」,同条第2項に「文部科学大臣は,前項の規定により指定された史跡名勝天然記念物のうち特に重要なものを特別史跡,特別名勝又は特別天然記念物(以下「特別史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。」とある。
ニホンカモシカは国から特別天然記念物に指定されている。ただの野生動物ではない。第196条第1項には「史跡名勝天然記念物の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をして,これを滅失し,き損し,又は衰亡するに至らしめた者は,五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。」とあるから,接触事故で死亡でもさせようものならちょっと面倒なことになる。

最後になったが,最初にカモシカを見つけたのは放送局前の垣根に雪囲いをつくっていた造園業従事の小野さんという方。同僚の進藤さんの後ろに,カモシカが立っているのを見つけたのだという。大森山動物園の談話として,件のカモシカは3~5歳の成獣でメスの可能性が高く,繁殖時期で相手を探して迷いこんだのかも,とある。記事からは,進藤さんが独身かどうかは明らかではない。

秋田市 特別天然記念物カモシカについて


文化財保護法の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,文化財を保存し,且つ,その活用を図り,もつて国民の文化的向上に資するとともに,世界文化の進歩に貢献することを目的とする。

(文化財の定義)
第二条  この法律で「文化財」とは,次に掲げるものをいう。
一  建造物,絵画,彫刻,工芸品,書跡,典籍,古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
二  演劇,音楽,工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
三  衣食住,生業,信仰,年中行事等に関する風俗慣習,民俗芸能,民俗技術及びこれらに用いられる衣服,器具,家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
四  貝づか,古墳,都城跡,城跡,旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの,庭園,橋梁,峡谷,海浜,山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地,繁殖地及び渡来地を含む。),植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
五  地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)六  周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)
2  この法律の規定(第二十七条から第二十九条まで,第三十七条,第五十五条第一項第四号,第百五十三条第一項第一号,第百六十五条,第百七十一条及び附則第三条の規定を除く。)中「重要文化財」には,国宝を含むものとする。
3  この法律の規定(第百九条,第百十条,第百十二条,第百二十二条,第百三十一条第一項第四号,第百五十三条第一項第七号及び第八号,第百六十五条並びに第百七十一条の規定を除く。)中「史跡名勝天然記念物」には,特別史跡名勝天然記念物を含むものとする。

(政府及び地方公共団体の任務)
第三条  政府及び地方公共団体は,文化財がわが国の歴史,文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり,且つ,将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し,その保存が適切に行われるように,周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。

(国民,所有者等の心構)
第四条  一般国民は,政府及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。
2  文化財の所有者その他の関係者は,文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し,これを公共のために大切に保存するとともに,できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
3  政府及び地方公共団体は,この法律の執行に当つて関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。

(指定)
第百九条  文部科学大臣は,記念物のうち重要なものを史跡,名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
2  文部科学大臣は,前項の規定により指定された史跡名勝天然記念物のうち特に重要なものを特別史跡,特別名勝又は特別天然記念物(以下「特別史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
3  前二項の規定による指定は,その旨を官報で告示するとともに,当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基づく占有者に通知してする。
4  前項の規定により通知すべき相手方が著しく多数で個別に通知し難い事情がある場合には,文部科学大臣は,同項の規定による通知に代えて,その通知すべき事項を当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所在地の市(特別区を含む。以下同じ。)町村の事務所又はこれに準ずる施設の掲示場に掲示することができる。この場合においては,その掲示を始めた日から二週間を経過した時に前項の規定による通知が相手方に到達したものとみなす。
5  第一項又は第二項の規定による指定は,第三項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。ただし,当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者又は権原に基づく占有者に対しては,第三項の規定による通知が到達した時又は前項の規定によりその通知が到達したものとみなされる時からその効力を生ずる。
6  文部科学大臣は,第一項の規定により名勝又は天然記念物の指定をしようとする場合において,その指定に係る記念物が自然環境の保護の見地から価値の高いものであるときは,環境大臣と協議しなければならない。

第百九十六条  史跡名勝天然記念物の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をして,これを滅失し,き損し,又は衰亡するに至らしめた者は,五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2  前項に規定する者が当該史跡名勝天然記念物の所有者であるときは,二年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

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NPO法人の認証取り消しについて

2007-11-25 19:20:42 | Weblog
NPO法人,休眠2年で認証取り消し・犯罪への悪用防止 NIKKEI NET

 特定非営利活動促進法第42条には,「所轄庁は,特定非営利活動法人が第十二条第一項第二号,第三号又は第四号に規定する要件を欠くに至ったと認めるときその他法令,法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し,又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは,当該特定非営利活動法人に対し,期限を定めて,その改善のために必要な措置を採るべきことを命ずることができる。」とある。本条の「特定非営利活動法人が第十二条第一項第三号に規定する要件を欠くに至った」は,NPO法人が暴力団員等の手に堕ちたことを意味する。
この42条,認証後の暴力団関係者の排除等を目的とするものだが,情報収集をはじめとして,暴力団員等の支配下にあるという認定そのものに難しい面がある。事業報告書の不提出という形式的な理由に基づく認証取り消しは,この不具合いを補うものとして機能している。
報じられている事業報告書不提出期間の短縮はこれを更に十全のものにしようというもの。事業報告書の提出を怠っている法人には暴力団と関わりがないものもあろうが,根拠法が課している義務を怠っている以上,認証を取り消されても文句はいえない。それが不満であれば,初期の目的どおり活動をおこない,きちんと事業報告書を提出すればよいだけのこと。
なお,暴力団関係者の排除については,第20条,第43条の2も要参照。

内閣府 NPOホームページ


特定非営利活動促進法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により,ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し,もって公益の増進に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「特定非営利活動」とは,別表に掲げる活動に該当する活動であって,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。
2  この法律において「特定非営利活動法人」とは,特定非営利活動を行うことを主たる目的とし,次の各号のいずれにも該当する団体であって,この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一  次のいずれにも該当する団体であって,営利を目的としないものであること。
イ  社員の資格の得喪に関して,不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が,役員総数の三分の一以下であること。
二  その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ  宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ  政治上の主義を推進し,支持し,又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ  特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し,支持し,又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。

(原則)
第三条  特定非営利活動法人は,特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として,その事業を行ってはならない。
2  特定非営利活動法人は,これを特定の政党のために利用してはならない。

(名称の使用制限)
第四条  特定非営利活動法人以外の者は,その名称中に,「特定非営利活動法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。

(その他の事業)
第五条  特定非営利活動法人は,その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,当該特定非営利活動に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。この場合において,収益を生じたときは,これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。
2  その他の事業に関する会計は,当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し,特別の会計として経理しなければならない。

(認証の基準等)
第十二条  所轄庁は,第十条第一項の認証の申請が次の各号に適合すると認めるときは,その設立を認証しなければならない。
一  設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること。
二  当該申請に係る特定非営利活動法人が第二条第二項に規定する団体に該当するものであること。
三  当該申請に係る特定非営利活動法人が次に掲げる団体に該当しないものであること。
イ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)第二条第二号 に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)
ロ 暴力団又はその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。以下この号において同じ。)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団の構成員等」という。)の統制の下にある団体
四  当該申請に係る特定非営利活動法人が十人以上の社員を有するものであること。
2  前項の規定による認証又は不認証の決定は,正当な理由がない限り,第十条第二項の期間を経過した日から二月以内に行わなければならない。
3  所轄庁は,第一項の規定により不認証の決定をしたときは,速やかに,理由を付した書面をもって当該申請をした者にその旨を通知しなければならない。

(役員の欠格事由)
第二十条  次の各号のいずれかに該当する者は,特定非営利活動法人の役員になることができない。
一  成年被後見人又は被保佐人
二  破産者で復権を得ないもの
三  禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
四  この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 の規定(同法第三十一条第七項 の規定を除く。)に違反したことにより,又は刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百四条 ,第二百六条,第二百八条,第二百八条の三,第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより,罰金の刑に処せられ,その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
五  暴力団の構成員等
六  第四十三条の規定により設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で,設立の認証を取り消された日から二年を経過しない者

(事業報告書等の備置き等及び閲覧)
第二十八条  特定非営利活動法人は,毎事業年度初めの三月以内に,内閣府令で定めるところにより,前事業年度の事業報告書,財産目録,貸借対照表及び収支計算書(次項,次条及び第四十三条第一項において「事業報告書等」という。)並びに役員名簿(前事業年度において役員であったことがある者全員の氏名及び住所又は居所並びにこれらの者についての前事業年度における報酬の有無を記載した名簿をいう。)並びに社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては,その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面(次項,次条及び第四十三条第一項において「役員名簿等」という。)を作成し,これらを,翌々事業年度の末日までの間,主たる事務所に備え置かなければならない。
2  特定非営利活動法人は,その社員その他の利害関係人から事業報告書等(設立後当該書類が作成されるまでの間は第十四条において準用する民法第五十一条第一項 の設立の時の財産目録,合併後当該書類が作成されるまでの間は第三十五条第一項の財産目録。次条第二項において同じ。),役員名簿等又は定款若しくはその認証若しくは登記に関する書類の写し(次条及び第四十三条第一項において「定款等」という。)の閲覧の請求があった場合には,正当な理由がある場合を除いて,これを閲覧させなければならない。

(事業報告書等の提出及び公開)
第二十九条  特定非営利活動法人は,内閣府令で定めるところにより,毎事業年度一回,事業報告書等,役員名簿等及び定款等(その記載事項に変更があった定款並びに当該変更に係る認証及び登記に関する書類の写しに限る。)を所轄庁に提出しなければならない。
2  所轄庁は,特定非営利活動法人から提出を受けた事業報告書等若しくは役員名簿等(過去三年間に提出を受けたものに限る。)又は定款等について閲覧の請求があった場合には,内閣府令で定めるところにより,これを閲覧させなければならない。

(報告及び検査)
第四十一条  所轄庁は,特定非営利活動法人が法令,法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは,当該特定非営利活動法人に対し,その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ,又はその職員に,当該特定非営利活動法人の事務所その他の施設に立ち入り,その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿,書類その他の物件を検査させることができる。
2  所轄庁は,前項の規定による検査をさせる場合においては,当該検査をする職員に,同項の相当の理由を記載した書面を,当該特定非営利活動法人の役員その他の当該検査の対象となっている事務所その他の施設の管理について権限を有する者(以下この項において「特定非営利活動法人の役員等」という。)に提示させなければならない。この場合において,当該特定非営利活動法人の役員等が当該書面の交付を要求したときは,これを交付させなければならない。
3  第一項の規定による検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人にこれを提示しなければならない。
4  第一項の規定による検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(改善命令)
第四十二条  所轄庁は,特定非営利活動法人が第十二条第一項第二号,第三号又は第四号に規定する要件を欠くに至ったと認めるときその他法令,法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し,又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは,当該特定非営利活動法人に対し,期限を定めて,その改善のために必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

(設立の認証の取消し)
第四十三条  所轄庁は,特定非営利活動法人が,前条の命令に違反した場合であって他の方法により監督の目的を達することができないとき又は三年以上にわたって第二十九条第一項の規定による事業報告書等,役員名簿等又は定款等の提出を行わないときは,当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
2  所轄庁は,特定非営利活動法人が法令に違反した場合において,前条の命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり,かつ,他の方法により監督の目的を達することができないときは,同条の命令を経ないでも,当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。
3  前二項の規定による設立の認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は,当該特定非営利活動法人から請求があったときは,公開により行うよう努めなければならない。
4  所轄庁は,前項の規定による請求があった場合において,聴聞の期日における審理を公開により行わないときは,当該特定非営利活動法人に対し,当該公開により行わない理由を記載した書面を交付しなければならない。

(意見聴取)
第四十三条の二  所轄庁は,特定非営利活動法人について第十二条第一項第三号に規定する要件を欠いている疑い又はその役員について第二十条第五号に該当する疑いがあると認めるときは,その理由を付して,所轄庁が内閣総理大臣である場合にあっては警察庁長官,都道府県知事である場合にあっては警視総監又は道府県警察本部長(次条において「警察庁長官又は警察本部長」という。)の意見を聴くことができる。

(所轄庁への意見)
第四十三条の三  警察庁長官又は警察本部長は,特定非営利活動法人について第十二条第一項第三号に規定する要件を欠いていると疑うに足りる相当な理由又はその役員について第二十条第五号に該当すると疑うに足りる相当な理由があるため,所轄庁が当該特定非営利活動法人に対して適当な措置を採ることが必要であると認めるときは,所轄庁に対し,その旨の意見を述べることができる。

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情報公開における聖域について

2007-11-24 19:39:41 | Weblog
衆院,文書を原則公開へ 国会の「聖域」批判で改善策 - さきがけ on the Web

 記事には,情報公開法は国会を対象外としている,とある。
「へぇー,そうなんだ」と思い,条文を覗いてみようとしたが,法律名だけ読んで止めにした。情報公開法の正式名は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」である。
なお,「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」という法律もあるが,こちらは上記法律と区別して「独立行政法人情報公開法」と略称されることが多いようだ。
両法ともに行政部門の肥大化を背景として制定されたものであろう。国民に近い分,立法府は問題ないかと思いきや,そうでもなさそうだ。


「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,国民主権の理念にのっとり,行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により,行政機関の保有する情報の一層の公開を図り,もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「行政機関」とは,次に掲げる機関をいう。
一  法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
二  内閣府,宮内庁並びに内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 及び第二項 に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては,当該政令で定める機関を除く。)
三  国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては,当該政令で定める機関を除く。)
四  内閣府設置法第三十九条 及び第五十五条 並びに宮内庁法 (昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項 の機関並びに内閣府設置法第四十条 及び第五十六条 (宮内庁法第十八条第一項 において準用する場合を含む。)の特別の機関で,政令で定めるもの
五  国家行政組織法第八条の二 の施設等機関及び同法第八条の三 の特別の機関で,政令で定めるもの
六  会計検査院
2  この法律において「行政文書」とは,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって,当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているものをいう。ただし,次に掲げるものを除く。
一  官報,白書,新聞,雑誌,書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二  政令で定める公文書館その他の機関において,政令で定めるところにより,歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの

(開示請求権)
第三条  何人も,この法律の定めるところにより,行政機関の長(前条第一項第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては,その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)に対し,当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。

(開示請求の手続)
第四条  前条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は,次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を行政機関の長に提出してしなければならない。
一  開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
二  行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項
2  行政機関の長は,開示請求書に形式上の不備があると認めるときは,開示請求をした者(以下「開示請求者」という。)に対し,相当の期間を定めて,その補正を求めることができる。この場合において,行政機関の長は,開示請求者に対し,補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。

(行政文書の開示義務)
第五条  行政機関の長は,開示請求があったときは,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならない。
一  個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。
イ 法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項 に規定する国家公務員(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第二項 に規定する特定独立行政法人及び日本郵政公社の役員及び職員を除く。),独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律 (平成十三年法律第百四十号。以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第二条第一項 に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員,地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条 に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
二  法人その他の団体(国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,次に掲げるもの。ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 行政機関の要請を受けて,公にしないとの条件で任意に提供されたものであって,法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質,当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
三  公にすることにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
四  公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
五  国の機関,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議,検討又は協議に関する情報であって,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
六  国の機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 監査,検査,取締り,試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれ
ロ 契約,交渉又は争訟に係る事務に関し,国,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ハ 調査研究に係る事務に関し,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
ニ 人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ホ 国若しくは地方公共団体が経営する企業,独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し,その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

(部分開示)
第六条  行政機関の長は,開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,開示請求者に対し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは,この限りでない。
2  開示請求に係る行政文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において,当該情報のうち,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは,当該部分を除いた部分は,同号の情報に含まれないものとみなして,前項の規定を適用する。

(公益上の理由による裁量的開示)
第七条  行政機関の長は,開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても,公益上特に必要があると認めるときは,開示請求者に対し,当該行政文書を開示することができる。

(行政文書の存否に関する情報)
第八条  開示請求に対し,当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開示情報を開示することとなるときは,行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができる。

(開示請求に対する措置)
第九条  行政機関の長は,開示請求に係る行政文書の全部又は一部を開示するときは,その旨の決定をし,開示請求者に対し,その旨及び開示の実施に関し政令で定める事項を書面により通知しなければならない。
2  行政機関の長は,開示請求に係る行政文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る行政文書を保有していないときを含む。)は,開示をしない旨の決定をし,開示請求者に対し,その旨を書面により通知しなければならない。

(開示決定等の期限)
第十条  前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は,開示請求があった日から三十日以内にしなければならない。ただし,第四条第二項の規定により補正を求めた場合にあっては,当該補正に要した日数は,当該期間に算入しない。
2  前項の規定にかかわらず,行政機関の長は,事務処理上の困難その他正当な理由があるときは,同項に規定する期間を三十日以内に限り延長することができる。この場合において,行政機関の長は,開示請求者に対し,遅滞なく,延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

(開示決定等の期限の特例)
第十一条  開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため,開示請求があった日から六十日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には,前条の規定にかかわらず,行政機関の長は,開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし,残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において,行政機関の長は,同条第一項に規定する期間内に,開示請求者に対し,次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一  本条を適用する旨及びその理由
二  残りの行政文書について開示決定等をする期限

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夫婦円満の秘訣について

2007-11-22 20:36:26 | Weblog
毎日jp 理想の夫婦:理想は高く「友和・百恵」 現実は「会話1日30分」

 今日は「いい夫婦の日」。
記事の「夫婦の会話」で思い出したのだが,以前,NHK教育「きょうの料理」の中で,タレントで料理も玄人はだしのグッチ裕三氏が,山本美希アナから「夫婦円満の秘訣は?」と問われて,「お互い目を見ないで話すこと」と答えていた。これには,スタジオで観覧していた大勢のご夫婦も爆笑。あれには笑った。人生いろいろ,夫婦円満の秘訣もいろいろのようだ。
さて,家事審判法第17条には,「家庭裁判所は,人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し,第九条第一項甲類に規定する審判事件については,この限りでない。」とある。「一般に家庭に関する事件」には,夫婦の円満調整も含まれる。申立費用は1,200円(民訴費法第3条別表第1項15の2)。うまくいっていない方はご利用も一案かと。

NHKオンライン きょうの料理

最高裁 家事事件 夫婦関係調整(円満)


家事審判法の関連条文

第一条  この法律は,個人の尊厳と両性の本質的平等を基本として,家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図ることを目的とする。

第二条  家庭裁判所において,この法律に定める事項を取り扱う裁判官は,これを家事審判官とする。

第三条  審判は,特別の定がある場合を除いては,家事審判官が,参与員を立ち合わせ,又はその意見を聴いて,これを行う。但し,家庭裁判所は,相当と認めるときは,家事審判官だけで審判を行うことができる。
2  調停は,家事審判官及び家事調停委員をもつて組織する調停委員会がこれを行う。前項ただし書の規定は,調停にこれを準用する。
3  家庭裁判所は,当事者の申立があるときは,前項後段の規定にかかわらず,調停委員会で調停を行わなければならない。

第九条  家庭裁判所は,次に掲げる事項について審判を行う。
甲類
一 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第七条 及び第十条 の規定による後見開始の審判及びその取消し
二 民法第十一条 ,第十三条第二項及び第三項,第十四条並びに第八百七十六条の四第一項及び第三項の規定による保佐開始の審判,その取消しその他の保佐に関する処分
二の二 民法第十五条第一項 ,第十七条第一項及び第三項,第十八条,第八百七十六条の九第一項並びに同条第二項において準用する同法第八百七十六条の四第三項 の規定による補助開始の審判,その取消しその他の補助に関する処分
二の三 民法第十九条 の規定による後見開始,保佐開始又は補助開始の審判の取消し
三 民法第二十五条 から第二十九条 までの規定による不在者の財産の管理に関する処分
四 民法第三十条 及び第三十二条第一項 の規定による失踪の宣告及びその取消し
五 民法第七百七十五条 の規定による特別代理人の選任
六 民法第七百九十一条第一項 又は第三項 の規定による子の氏の変更についての許可
七 民法第七百九十四条 又は第七百九十八条 の規定による養子をするについての許可
七の二 民法第八百十一条第五項 の規定による未成年後見人となるべき者の選任
八 民法第八百十一条第六項 の規定による離縁をするについての許可
八の二 民法第八百十七条の二 及び第八百十七条の十 の規定による縁組及び離縁に関する処分
九 民法第八百二十二条 又は第八百五十七条 (同法第八百六十七条第二項 において準用する場合を含む。)の規定による懲戒に関する許可その他の処分
十 民法第八百二十六条 (同法第八百六十条 において準用する場合を含む。)の規定による特別代理人の選任
十一 民法第八百三十条第二項 から第四項 まで(同法第八百六十九条 において準用する場合を含む。)の規定による財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分
十二 民法第八百三十四条 から第八百三十六条 までの規定による親権又は管理権の喪失の宣告及びその取消し
十三 民法第八百三十七条 の規定による親権又は管理権を辞し,又は回復するについての許可
十四 民法第八百四十条 ,第八百四十三条第一項から第三項まで(同法第八百七十六条の二第二項 及び第八百七十六条の七第二項 において同法第八百四十三条第二項 及び第三項 の規定を準用する場合を含む。),第八百四十九条,第八百四十九条の二,第八百七十六条の二第一項,第八百七十六条の三第一項,第八百七十六条の七第一項又は第八百七十六条の八第一項の規定による後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人又は補助監督人の選任
十五 民法第八百四十四条 (同法第八百五十二条 ,第八百七十六条の二第二項,第八百七十六条の三第二項,第八百七十六条の七第二項及び第八百七十六条の八第二項において準用する場合を含む。)の規定による後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人又は補助監督人の辞任についての許可
十六 民法第八百四十六条 (同法第八百五十二条 ,第八百七十六条の二第二項,第八百七十六条の三第二項,第八百七十六条の七第二項及び第八百七十六条の八第二項において準用する場合を含む。)の規定による後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人又は補助監督人の解任
十七 民法第八百五十三条第一項 ただし書(同法第八百五十六条 及び第八百六十七条第二項 において準用する場合を含む。)の規定による財産の目録の作成の期間の伸長
十八 民法第八百五十九条の二第一項 及び第二項 (これらの規定を同法第八百五十二条 ,第八百七十六条の三第二項,第八百七十六条の五第二項,第八百七十六条の八第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による数人の成年後見人,成年後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人又は補助監督人の権限の行使についての定め及びその取消し
十九 民法第八百五十九条の三 (同法第八百五十二条 ,第八百七十六条の三第二項,第八百七十六条の五第二項,第八百七十六条の八第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による成年被後見人,被保佐人又は被補助人の居住用不動産の処分についての許可
二十 民法第八百六十二条 (同法第八百五十二条 ,第八百六十七条第二項,第八百七十六条の三第二項,第八百七十六条の五第二項,第八百七十六条の八第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人又は補助監督人に対する報酬の付与
二十一 民法第八百六十三条 (同法第八百六十七条第二項 ,第八百七十六条の五第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による後見,保佐又は補助の事務の報告,財産の目録の提出,当該事務又は財産の状況の調査,財産の管理その他の当該事務に関する処分
二十二 民法第八百七十条 ただし書(同法第八百七十六条の五第三項 及び第八百七十六条の十第二項 において準用する場合を含む。)の規定による管理の計算の期間の伸長
二十二の二 民法第八百七十六条の二第三項 又は第八百七十六条の七第三項 の規定による臨時保佐人又は臨時補助人の選任
二十三 民法第八百九十五条 の規定による遺産の管理に関する処分
二十四 民法第九百十五条第一項 ただし書の規定による相続の承認又は放棄の期間の伸長
二十五 民法第九百十八条第二項 及び第三項 (これらの規定を同法第九百二十六条第二項 ,第九百三十六条第三項及び第九百四十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による相続財産の保存又は管理に関する処分
二十五の二 民法第九百十九条第四項 の規定による相続の限定承認又は放棄の取消しの申述の受理
二十六 民法第九百二十四条 の規定による相続の限定承認の申述の受理
二十七 民法第九百三十条第二項 (同法第九百四十七条第三項 ,第九百五十条第二項及び第九百五十七条第二項において準用する場合を含む。),第九百三十二条ただし書(同法第九百四十七条第三項 及び第九百五十条第二項 において準用する場合を含む。)又は第千二十九条第二項の規定による鑑定人の選任
二十八 民法第九百三十六条第一項 の規定による相続財産の管理人の選任
二十九 民法第九百三十八条 の規定による相続の放棄の申述の受理
三十 民法第九百四十一条第一項 又は第九百五十条第一項 の規定による相続財産の分離に関する処分
三十一 民法第九百四十三条 (同法第九百五十条第二項 において準用する場合を含む。)の規定による相続財産の管理に関する処分
三十二 民法第九百五十二条 及び第九百五十三条 又は第九百五十八条 の規定による相続財産の管理人の選任その他相続財産の管理に関する処分
三十二の二 民法第九百五十八条の三第一項 の規定による相続財産の処分
三十三 民法第九百七十六条第四項 又は第九百七十九条第三項 の規定による遺言の確認
三十四 民法第千四条第一項 の規定による遺言書の検認
三十五 民法第千十条 の規定による遺言執行者の選任
三十六 民法第千十八条第一項 の規定による遺言執行者に対する報酬の付与
三十七 民法第千十九条 の規定による遺言執行者の解任及び遺言執行者の辞任についての許可
三十八 民法第千二十七条 の規定による遺言の取消し
三十九 民法第千四十三条第一項 の規定による遺留分の放棄についての許可
乙類
一 民法第七百五十二条 の規定による夫婦の同居その他の夫婦間の協力扶助に関する処分
二 民法第七百五十八条第二項 及び第三項 の規定による財産の管理者の変更及び共有財産の分割に関する処分
三 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担に関する処分
四 民法第七百六十六条第一項 又は第二項 (これらの規定を同法第七百四十九条 ,第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他子の監護に関する処分
五 民法第七百六十八条第二項 (同法第七百四十九条 及び第七百七十一条 において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する処分
六 民法第七百六十九条第二項 (同法第七百四十九条 ,第七百五十一条第二項,第七百七十一条,第八百八条第二項及び第八百十七条において準用する場合を含む。)又は第八百九十七条第二項 の規定による同条第一項 の権利の承継者の指定
六の二 民法第八百十一条第四項 の規定による親権者となるべき者の指定
七 民法第八百十九条第五項 又は第六項 (これらの規定を同法第七百四十九条 において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更
八 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養に関する処分
九 民法第八百九十二条 から第八百九十四条 までの規定による推定相続人の廃除及びその取消し
九の二 民法第九百四条の二第二項 の規定による寄与分を定める処分
十 民法第九百七条第二項 及び第三項 の規定による遺産の分割に関する処分
2  家庭裁判所は,この法律に定めるものの外,他の法律において特に家庭裁判所の権限に属させた事項についても,審判を行う権限を有する。

第十七条  家庭裁判所は,人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し,第九条第一項甲類に規定する審判事件については,この限りでない。

第十八条  前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は,まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。
2  前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には,裁判所は,その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し,裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは,この限りでない。

第十九条  第十七条の規定により調停を行うことができる事件に係る訴訟が係属している場合には,裁判所は,何時でも,職権でその事件を家庭裁判所の調停に付することができる。
2  前項の規定により事件を調停に付した場合において,調停が成立し又は第二十三条若しくは第二十四条第一項の規定による審判が確定したときは,訴の取下があつたものとみなす。

第二十条  第十二条の規定は,調停手続にこれを準用する。

第二十一条  調停において当事者間に合意が成立し,これを調書に記載したときは,調停が成立したものとし,その記載は,確定判決と同一の効力を有する。但し,第九条第一項乙類に掲げる事項については,確定した審判と同一の効力を有する。
2  前項の規定は,第二十三条に掲げる事件については,これを適用しない。

第二十一条の二  遺産の分割に関する事件の調停において,遠隔の地に居住する等の理由により出頭することが困難であると認められる当事者が,あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し,他の当事者が期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは,当事者間に合意が成立したものとみなす。

第二十二条  調停委員会の組織は,家事審判官一人及び家事調停委員二人以上とする。
2  調停委員会を組織する家事調停委員は,家庭裁判所が各事件について指定する。

第二十二条の二  家事調停委員は,調停委員会で行う調停に関与するほか,家庭裁判所の命を受けて,他の調停事件について,専門的な知識経験に基づく意見を述べ,又は嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行う。
2  家事調停委員は,非常勤とし,その任免に関し必要な事項は,最高裁判所が定める。

第二十二条の三  家事調停委員には,別に法律で定めるところにより手当を支給し,並びに最高裁判所の定めるところにより旅費,日当及び宿泊料を支給する。

第二十三条  婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において,当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合には,家庭裁判所は,必要な事実を調査した上,当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き,正当と認めるときは,婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し,当該合意に相当する審判をすることができる。
2  前項の規定は,協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消し,認知,認知の無効若しくは取消し,民法第七百七十三条 の規定により父を定めること,嫡出否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停について準用する。

第二十四条  家庭裁判所は,調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは,当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き,当事者双方のため衡平に考慮し,一切の事情を見て,職権で,当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で,事件の解決のため離婚,離縁その他必要な審判をすることができる。この審判においては,金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができる。
2  前項の規定は,第九条第一項乙類に規定する審判事件の調停については,これを適用しない。

第二十五条  第二十三条又は前条第一項の規定による審判に対しては,最高裁判所の定めるところにより,家庭裁判所に対し異議の申立をすることができる。その期間は,これを二週間とする。
2  前項の期間内に異議の申立があつたときは,同項の審判は,その効力を失う。
3  第一項の期間内に異議の申立がないときは,同項の審判は,確定判決と同一の効力を有する。

第二十五条の二  家庭裁判所は,調停又は第二十四条第一項の規定による審判で定められた義務の履行について,第十五条の五から第十五条の七までの規定の例により,これらの規定に掲げる措置をすることができる。

第二十六条  第九条第一項乙類に規定する審判事件について調停が成立しない場合には,調停の申立の時に,審判の申立があつたものとみなす。
2  第十七条の規定により調停を行うことができる事件について調停が成立せず,且つ,その事件について第二十三条若しくは第二十四条第一項の規定による審判をせず,又は第二十五条第二項の規定により審判が効力を失つた場合において,当事者がその旨の通知を受けた日から二週間以内に訴を提起したときは,調停の申立の時に,その訴の提起があつたものとみなす。

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研究熱心な裁判所長に対する注意処分について

2007-11-21 20:18:01 | Weblog
asahi.com 地裁所長に厳重注意 破産事件に同席し質問 宇都宮

 司法行政の監督に係る裁判所法第80条の第2号には「各高等裁判所は,その高等裁判所の職員並びに管轄区域内の下級裁判所及びその職員を監督する。」とある。
裁判所法の第四編「裁判所の職員及び司法修習生」の第一章は「裁判官」。ことわりが無い限り,「裁判所の職員」には裁判官も含まれ,裁判官も司法行政上の監督の対象となる。

記事には,裁判所長が監督責任でなく自らの行為で注意を受けるのは極めて異例,とあるが,類例としては,ご存じのとおり,長沼事件に関連する平賀書簡事件があった。あの事件では,平賀札幌地裁所長を,札幌地裁裁判官会議が厳重注意処分に,最高裁が注意処分に付した。
さて,今般の東京高裁による厳重注意処分は,栃木県弁護士会の裁判官分限法に基づく懲戒処分の申し入れを契機としたもののよう。本件に関する宇都宮地裁裁判官会議による処分等の有無,記事からは明らかではない。

宇都宮地方裁判所 宇都宮地方裁判所・宇都宮家庭裁判所について 宇都宮地方裁判所長


裁判所法の関連条文

(この法律の趣旨)
第一条 日本国憲法に定める最高裁判所及び下級裁判所については,この法律の定めるところによる。

(下級裁判所)
第二条 下級裁判所は,高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所及び簡易裁判所とする。
2 下級裁判所の設立,廃止及び管轄区域は,別に法律でこれを定める。

(裁判所の権限)
第三条 裁判所は,日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し,その他法律において特に定める権限を有する。
2 前項の規定は,行政機関が前審として審判することを妨げない。
3 この法律の規定は,刑事について,別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

(上級審の裁判の拘束力)
第四条 上級審の裁判所の裁判における判断は,その事件について下級審の裁判所を拘束する。

(裁判官)
第五条 最高裁判所の裁判官は,その長たる裁判官を最高裁判所長官とし,その他の裁判官を最高裁判所判事とする。
2 下級裁判所の裁判官は,高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官とし,その他の裁判官を判事,判事補及び簡易裁判所判事とする。
3 最高裁判所判事の員数は,十四人とし,下級裁判所の裁判官の員数は,別に法律でこれを定める。

(司法行政事務)
第十二条 最高裁判所が司法行政事務を行うのは,裁判官会議の議によるものとし,最高裁判所長官が,これを総括する。
2 裁判官会議は,全員の裁判官でこれを組織し,最高裁判所長官が,その議長となる。

(司法行政事務)
第二十条 各高等裁判所が司法行政事務を行うのは,裁判官会議の議によるものとし,各高等裁判所長官が,これを総括する。
2 各高等裁判所の裁判官会議は,その全員の裁判官でこれを組織し,各高等裁判所長官が,その議長となる。

(司法行政事務)
第二十九条 最高裁判所は,各地方裁判所の判事のうち一人に各地方裁判所長を命ずる。
2 各地方裁判所が司法行政事務を行うのは,裁判官会議の議によるものとし,各地方裁判所長が,これを総括する。
3 各地方裁判所の裁判官会議は,その全員の判事でこれを組織し,各地方裁判所長が,その議長となる。

(身分の保障)
第四十八条  裁判官は,公の弾劾又は国民の審査に関する法律による場合及び別に法律で定めるところにより心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合を除いては,その意思に反して,免官,転官,転所,職務の停止又は報酬の減額をされることはない。

(懲戒)
第四十九条  裁判官は,職務上の義務に違反し,若しくは職務を怠り,又は品位を辱める行状があつたときは,別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。

(司法行政の監督)
第八十条 司法行政の監督権は,左の各号の定めるところによりこれを行う。
一 最高裁判所は,最高裁判所の職員並びに下級裁判所及びその職員を監督する。
二 各高等裁判所は,その高等裁判所の職員並びに管轄区域内の下級裁判所及びその職員を監督する。
三 各地方裁判所は,その地方裁判所の職員並びに管轄区域内の簡易裁判所及びその職員を監督する。
四 各家庭裁判所は,その家庭裁判所の職員を監督する。
五 第三十七条に規定する簡易裁判所の裁判官は,その簡易裁判所の裁判官以外の職員を監督する。

(監督権と裁判権との関係)
第八十一条 前条の監督権は,裁判官の裁判権に影響を及ぼし,又はこれを制限することはない。

(事務の取扱方法に対する不服)
第八十二条 裁判所の事務の取扱方法に対して申し立てられた不服は,第八十条の監督権によりこれを処分する。

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賞味期限が食品資源の有効活用を阻害しているとの見方について

2007-11-20 22:44:56 | Weblog
asahi.com 「賞味期限短すぎる?」 政府内で議論始まる

 加工食品品質表示基準第2条には,賞味期限が「定められた方法により保存した場合において,期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし,当該期限を超えた場合であっても,これらの品質が保持されていることがあるものとする。」,消費期限が「定められた方法により保存した場合において,腐敗,変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。」と定義づけられている。
農水省のHPには,賞味期限の定義にあるただし書きに関し,次のようなQ&Aがある。

Q6 今回の改正で,賞味期限の定義に「ただし,当該期限を超えた場合であっても,これらの品質が保持されていることがあるものとする。」との文言が追加されましたが,これはどのような意味ですか。

 賞味期限を過ぎた食品等であっても,必ずしもすぐに食べられなくなるわけではありません。しかし,賞味期限が過ぎた食品等は,期限表示された期日以降は食べられないものと考えてすぐに捨ててしまう消費者が多く,食品資源の有効な活用などの観点から,消費者に対する食品等の表示制度についての十分な情報提供・普及啓発の一層の充実の必要性が指摘されています。
 今回の改正では,賞味期限の定義に「ただし,当該期限を超えた場合であっても,これらの品質が保持されていることがあるものとする。」との文言が追加されましたが,これは,上記指摘の趣旨を十分に踏まえ,「包装食品の表示に関する国際食品規格」(Codex 規格)の定義の中にある表現を法令の文言上に反映させたものであり,これまでと用語の意味が変わったわけではありません。


「消費者に対する食品等の表示制度についての十分な情報提供・普及啓発の一層の充実の必要性」は平成15年のJAS法等の改正時においても課題と認識されていたようだ。

農水省 加工食品の表示に関する共通Q&A


「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」の関連条文

(法律の目的)
第一条  この法律は,適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し,これを普及させることによつて,農林物資の品質の改善,生産の合理化,取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図るとともに,農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによつて一般消費者の選択に資し,もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(製造業者等が守るべき表示の基準)
第十九条の十三  農林水産大臣は,飲食料品の品質に関する表示の適正化を図り一般消費者の選択に資するため,農林物資のうち飲食料品(生産の方法又は流通の方法に特色があり,これにより価値が高まると認められるものを除く。)の品質に関する表示について,農林水産省令で定める区分ごとに,次に掲げる事項のうち必要な事項につき,その製造業者等が守るべき基準を定めなければならない。
一  名称,原料又は材料,保存の方法,原産地その他表示すべき事項
二  表示の方法その他前号に掲げる事項の表示に際して製造業者等が遵守すべき事項
2  農林水産大臣は,飲食料品の品質に関する表示の適正化を図るため特に必要があると認めるときは,前項の基準において定めるもののほか,同項に規定する飲食料品の品質に関する表示について,その種類ごとに,同項各号に掲げる事項につき,その製造業者等が守るべき基準を定めることができる。
3  農林水産大臣は,飲食料品以外の農林物資(生産の方法又は流通の方法に特色があり,これにより価値が高まると認められるものを除く。)で,一般消費者がその購入に際してその品質を識別することが特に必要であると認められるもののうち,一般消費者の経済的利益を保護するためその品質に関する表示の適正化を図る必要があるものとして政令で指定するものについては,その指定のあつた後速やかに,その品質に関する表示について,その製造業者等が守るべき基準を定めなければならない。
4  農林水産大臣は,前三項の規定により品質に関する表示の基準を定めたときは,遅滞なく,これを告示しなければならない。
5  農林水産大臣は,第一項から第三項までの規定により品質に関する表示の基準を定めようとするときは,あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
6  第七条第二項並びに第十三条第一項,第四項及び第五項の規定は第一項から第三項までの場合について,同条第二項から第五項までの規定は第一項から第三項までの規定により定められた品質に関する表示の基準について準用する。この場合において,第十三条第四項中「その改正について審議会の審議に付さなければ」とあるのは,「その改正をしなければ」と読み替えるものとする。

(表示に関する指示等)
第十九条の十四  農林水産大臣は,前条第一項若しくは第二項の規定により定められた同条第一項第一号に掲げる事項(以下「表示事項」という。)を表示せず,又は同項若しくは同条第二項の規定により定められた同条第一項第二号に掲げる事項(以下「遵守事項」という。)を遵守しない製造業者等があるときは,当該製造業者等に対して,表示事項を表示し,又は遵守事項を遵守すべき旨の指示をすることができる。
2  農林水産大臣は,前条第三項の規定により定められた品質に関する表示の基準を守らない製造業者等があるときは,当該製造業者等に対し,その基準を守るべき旨の指示をすることができる。
3  農林水産大臣は,前二項の指示を受けた者が,正当な理由がなくてその指示に係る措置をとらなかつたときは,その者に対し,その指示に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

加工食品品質表示基準の関連条文

(適用の範囲)
第1条 この基準は,加工食品(容器に入れ,又は包装されたものに限る。)に適用する。

第2条 この基準において,次の表の左欄に掲げる用語の定義は,それぞれ同表の右欄に掲げるとおりとする。
加工食品 製造又は加工された飲食料品として別表1に掲げるものをいう。
賞味期限 定められた方法により保存した場合において,期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし,当該期限を超えた場合であっても,これらの品質が保持されていることがあるものとする。
消費期限 定められた方法により保存した場合において,腐敗,変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。

第3条 加工食品の品質に関し,製造業者,加工包装業者又は輸入業者(販売業者が製造業者,加工包装業者又は輸入業者との合意等により製造業者,加工包装業者又は輸入業者に代わってその品質に関する表示を行うこととなっている場合にあっては,当該販売業者。以下「製造業者等」という。)が加工食品の容器又は包装に表示すべき事項は,次のとおりとする。ただし,飲食料品を製造し,若しくは加工し,一般消費者に直接販売する場合又は飲食料品を設備を設けて飲食させる場合はこの限りでない。
(1) 名称
(2) 原材料名
(3) 内容量
(4) 賞味期限
(5) 保存方法
(6) 製造業者等の氏名又は名称及び住所
2 固形物に充てん液を加え缶又は瓶に密封したもの(固形量の管理が困難なものを除く。)にあっては,製造業者等がその缶又は瓶に表示すべき事項は,前項第3号に掲げる事項に代えて,固形量及び内容総量とする。ただし,内容総量については,固形量と内容総量がおおむね同一の場合又は充てん液を加える主たる目的が内容物を保護するためのものである場合は,この限りでない。
3 固形物に充てん液を加え缶及び瓶以外の容器又は包装に密封したものにあっては,製造業者等がその缶及び瓶以外の容器又は包装に表示すべき事項は,第1項第3号に掲げる事項に代えて,固形量とすることができる。
4 品質が急速に変化しやすく製造後速やかに消費すべきものにあっては,製造業者等がその容器又は包装に表示すべき事項は,第1項第4号に掲げる事項に代えて,消費期限とする。
5 輸入品以外の別表2に掲げる加工食品(以下「対象加工食品」という。)にあっては,製造業者等がその容器又は包装に表示すべき事項は,第1項各号に掲げるもののほか,原料原産地名とする。
6 輸入品にあっては,製造業者等がその容器又は包装に表示すべき事項は,第1項各号に掲げるもののほか,原産国名とする。
7 第1項の規定にかかわらず,次の表の左欄に掲げる区分に該当するものにあっては,同表の右欄に掲げる表示事項を省略することができる。

(表示禁止事項)
第6条 次に掲げる事項は,これを表示してはならない。
(1) 第3条の規定により表示すべき事項の内容と矛盾する用語
(2) 産地名を示す表示であって,産地名の意味を誤認させるような表示
(3) その他内容物を誤認させるような文字,絵,写真その他の表示
(4) 屋根型紙パック容器の上端の一部を一箇所切り欠いた表示(別表5の左欄に掲げる加工食品について,同表の右欄に掲げる方法により表示する場合を除く。)

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十数年来のセクハラ行為について

2007-11-19 19:12:26 | Weblog
毎日jp 強制わいせつ事件:都築学園の前総長,セクハラ十数年来

 改正男女雇用機会均等法は本年4月1日から施行されている。
改正法の第11条第1項には「事業主は,職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け,又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう,当該労働者からの相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とあり,同第16条を媒介とした第17条には「都道府県労働局長は,前条に規定する紛争に関し,当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には,当該紛争の当事者に対し,必要な助言,指導又は勧告をすることができる」とある。

報道によれば,福岡県警には数年前から前総長のわいせつ行為に係る相談が寄せられていたとのこと。正式な被害届が出されなかったため立件には至らなかったようだが,改正前であっても,労働局の雇用均等室といった相応の機関が紹介されていれば,なにがしかの手は打たれていたのではなかろうか。この辺り,適切な対応がなされていたのかどうか。
記事には,異動を命じられた被害女性らは上司に訴えたものの,受け入れられなかったとある。該女性らの無力感,いかばかりであったろう。

厚労省 職場でのセクシュアルハラスメントでお悩みの方へ


「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,法の下の平等を保障する日本国憲法 の理念にのつとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに,女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。

(基本的理念)
第二条  この法律においては,労働者が性別により差別されることなく,また,女性労働者にあつては母性を尊重されつつ,充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。
2  事業主並びに国及び地方公共団体は,前項に規定する基本的理念に従つて,労働者の職業生活の充実が図られるように努めなければならない。

(啓発活動)
第三条  国及び地方公共団体は,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等について国民の関心と理解を深めるとともに,特に,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を妨げている諸要因の解消を図るため,必要な啓発活動を行うものとする。

(男女雇用機会均等対策基本方針)
第四条  厚生労働大臣は,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する施策の基本となるべき方針(以下「男女雇用機会均等対策基本方針」という。)を定めるものとする。
2  男女雇用機会均等対策基本方針に定める事項は,次のとおりとする。
一  男性労働者及び女性労働者のそれぞれの職業生活の動向に関する事項
二  雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等について講じようとする施策の基本となるべき事項
3  男女雇用機会均等対策基本方針は,男性労働者及び女性労働者のそれぞれの労働条件,意識及び就業の実態等を考慮して定められなければならない。
4  厚生労働大臣は,男女雇用機会均等対策基本方針を定めるに当たつては,あらかじめ,労働政策審議会の意見を聴くほか,都道府県知事の意見を求めるものとする。
5  厚生労働大臣は,男女雇用機会均等対策基本方針を定めたときは,遅滞なく,その概要を公表するものとする。
6  前二項の規定は,男女雇用機会均等対策基本方針の変更について準用する。

(性別を理由とする差別の禁止)
第五条  事業主は,労働者の募集及び採用について,その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

(配置,昇進及び教育訓練)
第六条  事業主は,次に掲げる事項について,労働者の性別を理由として,差別的取扱いをしてはならない。
一  労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。),昇進,降格及び教育訓練
二  住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
三  労働者の職種及び雇用形態の変更
四  退職の勧奨,定年及び解雇並びに労働契約の更新

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第十一条  事業主は,職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け,又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう,当該労働者からの相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2  厚生労働大臣は,前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して,その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3  第四条第四項及び第五項の規定は,指針の策定及び変更について準用する。この場合において,同条第四項中「聴くほか,都道府県知事の意見を求める」とあるのは,「聴く」と読み替えるものとする。

(苦情の自主的解決)
第十五条  事業主は,第六条,第七条,第九条,第十二条及び第十三条第一項に定める事項(労働者の募集及び採用に係るものを除く。)に関し,労働者から苦情の申出を受けたときは,苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とする当該事業場の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。

(紛争の解決の促進に関する特例)
第十六条  第五条から第七条まで,第九条,第十一条第一項,第十二条及び第十三条第一項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争については,個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 (平成十三年法律第百十二号)第四条 ,第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず,次条から第二十七条までに定めるところによる。

(紛争の解決の援助)
第十七条  都道府県労働局長は,前条に規定する紛争に関し,当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には,当該紛争の当事者に対し,必要な助言,指導又は勧告をすることができる。
2  事業主は,労働者が前項の援助を求めたことを理由として,当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(調停の委任)
第十八条  都道府県労働局長は,第十六条に規定する紛争(労働者の募集及び採用についての紛争を除く。)について,当該紛争の当事者(以下「関係当事者」という。)の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは,個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項 の紛争調整委員会(以下「委員会」という。)に調停を行わせるものとする。
2  前条第二項の規定は,労働者が前項の申請をした場合について準用する。

(調停)
第十九条  前条第一項の規定に基づく調停(以下この節において「調停」という。)は,三人の調停委員が行う。
2  調停委員は,委員会の委員のうちから,会長があらかじめ指名する。

第二十条  委員会は,調停のため必要があると認めるときは,関係当事者の出頭を求め,その意見を聴くことができる。
2  委員会は,第十一条第一項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争に係る調停のために必要があると認め,かつ,関係当事者の双方の同意があるときは,関係当事者のほか,当該事件に係る職場において性的な言動を行つたとされる者の出頭を求め,その意見を聴くことができる。

第二十一条  委員会は,関係当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは,当該委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。

第二十二条  委員会は,調停案を作成し,関係当事者に対しその受諾を勧告することができる。

第二十三条  委員会は,調停に係る紛争について調停による解決の見込みがないと認めるときは,調停を打ち切ることができる。
2  委員会は,前項の規定により調停を打ち切つたときは,その旨を関係当事者に通知しなければならない。

(時効の中断)
第二十四条  前条第一項の規定により調停が打ち切られた場合において,当該調停の申請をした者が同条第二項の通知を受けた日から三十日以内に調停の目的となつた請求について訴えを提起したときは,時効の中断に関しては,調停の申請の時に,訴えの提起があつたものとみなす。

(訴訟手続の中止)
第二十五条  第十八条第一項に規定する紛争のうち民事上の紛争であるものについて関係当事者間に訴訟が係属する場合において,次の各号のいずれかに掲げる事由があり,かつ,関係当事者の共同の申立てがあるときは,受訴裁判所は,四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。
一  当該紛争について,関係当事者間において調停が実施されていること。
二  前号に規定する場合のほか,関係当事者間に調停によつて当該紛争の解決を図る旨の合意があること。
2  受訴裁判所は,いつでも前項の決定を取り消すことができる。
3  第一項の申立てを却下する決定及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては,不服を申し立てることができない。

(資料提供の要求等)
第二十六条  委員会は,当該委員会に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは,関係行政庁に対し,資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

(厚生労働省令への委任)
第二十七条  この節に定めるもののほか,調停の手続に関し必要な事項は,厚生労働省令で定める。

(公表)
第三十条  厚生労働大臣は,第五条から第七条まで,第九条第一項から第三項まで,第十一条第一項,第十二条及び第十三条第一項の規定に違反している事業主に対し,前条第一項の規定による勧告をした場合において,その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは,その旨を公表することができる。

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執行役員に対する退職慰労金の不支給について

2007-11-18 21:14:38 | Weblog
MSN産経ニュース 執行役員に退職金認めず 最高裁 処遇で初判断

 件の会社,平成16年度と同17年度は上告した男性を含めた執行役員のほか,取締役に対しても退職慰労金の支給が見送られたとのこと。
判示の,執行役員退職慰労金規則に関する「これ(管理人註:退職慰労金のこと)を必ず支給する旨の規定又は一定の要件の下に支給する旨の規定は置かれていなかった。」という部分は,正義・公平の観念といったものからすれば,やや杓子定規な感じも受けるが,判示には原審の認定した事実として次のようにある。

 上告人も,従業員を退職して執行役員に就任するに当たり,従業員としての退職金を受領したが,その退職金額と上告人が執行役員在任中に得た報酬総額との合計額は,上告人に対し旧規則所定の金額の退職慰労金が支給されなかったとしても,上告人が執行役員に就任することなく従業員の最高職位である部長職を4年間務めたと仮定した場合の給与総額とその場合に受け取ることとなる従業員としての退職金額との合計額を約3000万円上回るものであった。

任用契約の内容及び悪化していたという件の企業の業績のほか,上記事情をも考え合わせれば,この退職慰労金の不支給,やむを得ない面もあるのではなかろうか。
ただ,件の会社では,代表取締役の決裁で執行役員退職慰労金規則の作成及び改定がおこなわれていたとのこと。この点は,取締役の報酬等の作成・改定の扱い(会社法第361条第2項)と比べるとちょっとアンバランス。

判例検索システム 平成19年11月16日 退職金請求事件

会社法の関連条文

(取締役の報酬等)
第三百六十一条  取締役の報酬,賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は,定款に当該事項を定めていないときは,株主総会の決議によって定める。
一  報酬等のうち額が確定しているものについては,その額
二  報酬等のうち額が確定していないものについては,その具体的な算定方法
三  報酬等のうち金銭でないものについては,その具体的な内容
2  前項第二号又は第三号に掲げる事項を定め,又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は,当該株主総会において,当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。

会社法施行規則の関連条文

(公開会社の特則)
第百十九条  株式会社が当該事業年度の末日において公開会社である場合には,前条各号に掲げる事項のほか,次に掲げる事項を事業報告の内容としなければならない。
一  株式会社の現況に関する事項
二  株式会社の会社役員(直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していたものであって,当該事業年度の末日までに退任したものを含む。以下この款において同じ。)に関する事項
三  株式会社の株式に関する事項
四  株式会社の新株予約権等に関する事項

(株式会社の会社役員に関する事項)
第百二十一条  第百十九条第二号に規定する「株式会社の会社役員に関する事項」とは,次に掲げる事項とする。ただし,当該事業年度の末日において委員会設置会社でない株式会社にあっては,第五号に掲げる事項を省略することができる。
一  会社役員の氏名(会計参与にあっては,氏名又は名称)
二  会社役員の地位及び担当
三  会社役員が他の法人等の代表者その他これに類する者であるときは,その重要な事実
四  当該事業年度に係る取締役,会計参与,監査役又は執行役ごとの報酬等の総額(会社役員の全部又は一部につき当該会社役員ごとの報酬等の額を掲げることとする場合にあっては,当該会社役員ごとの報酬等の額及びその他の会社役員の報酬等の総額)
五  当該事業年度に係る各会社役員の報酬等の額又はその算定方法に係る決定に関する方針を定めているときは,当該方針の決定の方法及びその方針の内容の概要
六  当該事業年度中に辞任した会社役員又は解任された会社役員(株主総会又は種類株主総会の決議によって解任されたものを除く。)があるときは,次に掲げる事項
イ 当該会社役員の氏名(会計参与にあっては,氏名又は名称)
ロ 法第三百四十五条第一項 (同条第四項 において準用する場合を含む。)の意見があったときは,その意見の内容
ハ 法第三百四十五条第二項 (同条第四項 において準用する場合を含む。)の理由があるときは,その理由
七  当該事業年度に係る当該株式会社の会社役員(会計参与を除く。)の重要な兼職の状況(第三号に掲げる事項を除く。)
八  監査役又は監査委員が財務及び会計に関する相当程度の知見を有しているものであるときは,その事実
九  前各号に掲げるもののほか,株式会社の会社役員(当該事業年度の末日後に就任したものを含む。)に関する重要な事項

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倫理向上にむけたメール作戦について

2007-11-17 20:15:23 | Weblog
倫理向上へメール作戦 省庁トップが全職員に - さきがけ on the Web

 国家公務員倫理週間の標語は,「見つめてみよう あなたの常識 あなたの倫理」とか。

国家公務員倫理審査会の権限に係る国家公務員倫理法第11条には「任命権者に対し,職員の職務に係る倫理の保持を図るため監督上必要な措置を講ずるよう求めること。」(第9号)とある。各省庁のトップは倫理監督官を兼務しているようだが,国家公務員倫理法上,審査会の要請の相手方は,倫理監督官ではなく任命権者ということになる。
さて,国家公務員倫理法第3条第3項には「職員は,法律により与えられた権限の行使に当たっては,当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。」とある。様々誘惑はあるとは思うが,公務に関わる方には常日頃から毅然とした態度で職務にあたることを望みたい。

人事院 「国家公務員倫理週間」について 倫理規定理解度チェック


国家公務員倫理法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,国家公務員が国民全体の奉仕者であってその職務は国民から負託された公務であることにかんがみ,国家公務員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより,職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り,もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

(職員が遵守すべき職務に係る倫理原則)
第三条  職員は,国民全体の奉仕者であり,国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し,職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず,常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
2  職員は,常に公私の別を明らかにし,いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
3  職員は,法律により与えられた権限の行使に当たっては,当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。

(国会報告)
第四条  内閣は,毎年,国会に,職員の職務に係る倫理の保持に関する状況及び職員の職務に係る倫理の保持に関して講じた施策に関する報告書を提出しなければならない。

第五条  内閣は,第三条に掲げる倫理原則を踏まえ,職員の職務に係る倫理の保持を図るために必要な事項に関する政令(以下「国家公務員倫理規程 」という。)を定めるものとする。この場合において,国家公務員倫理規程 には,職員の職務に利害関係を有する者からの贈与等の禁止及び制限等職員の職務に利害関係を有する者との接触その他国民の疑惑や不信を招くような行為の防止に関し職員の遵守すべき事項が含まれていなければならない。
2  内閣は,国家公務員倫理規程 の制定又は改廃に際しては,国家公務員倫理審査会の意見を聴かなければならない。
3  各省各庁の長(内閣総理大臣,各省大臣,会計検査院長,人事院総裁,内閣法制局長官及び警察庁長官並びに宮内庁長官及び各外局の長をいう。以下同じ。)は,国家公務員倫理審査会の同意を得て,当該各省各庁に属する職員の職務に係る倫理に関する訓令を定めることができる。
4  特定独立行政法人の長は,国家公務員倫理審査会の同意を得て,当該特定独立行政法人の職員の職務に係る倫理に関する規則を定めることができる。
5  特定独立行政法人の長は,前項の規則を定めたときは,これを主務大臣(独立行政法人通則法第六十八条 に規定する主務大臣をいう。)に届け出なければならない。これを変更したときも,同様とする。
6  日本郵政公社の総裁は,国家公務員倫理審査会の同意を得て,日本郵政公社の職員の職務に係る倫理に関する規則を定めることができる。
7  日本郵政公社の総裁は,前項の規則を定めたときは,これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも,同様とする。
8  内閣は,国家公務員倫理規程 ,第三項の訓令並びに第四項及び第六項の規則の制定又は改廃があったときは,これを国会に報告しなければならない。

(設置)
第十条  人事院に,国家公務員倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

(所掌事務及び権限)
第十一条  審査会の所掌事務及び権限は,第五条第三項及び第四項,第九条第二項ただし書,第三十九条第二項並びに第四十二条第三項に定めるもののほか,次のとおりとする。
一  国家公務員倫理規程 の制定又は改廃に関して,案をそなえて,内閣に意見を申し出ること。
二  この法律又はこの法律に基づく命令(第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。以下同じ。)に違反した場合に係る懲戒処分の基準の作成及び変更に関すること。
三  職員の職務に係る倫理の保持に関する事項に係る調査研究及び企画を行うこと。
四  職員の職務に係る倫理の保持のための研修に関する総合的企画及び調整を行うこと。五  国家公務員倫理規程 の遵守のための体制整備に関し,各省各庁の長等に指導及び助言を行うこと。
六  贈与等報告書,株取引等報告書及び所得等報告書等の審査を行うこと。
七  この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為に関し,任命権者(国家公務員法第五十五条第一項 に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにその委任を受けた者をいう。以下同じ。)に対し,調査を求め,その経過につき報告を求め及び意見を述べ,その行う懲戒処分につき承認をし,並びにその懲戒処分の概要の公表について意見を述べること。
八  国家公務員法第十七条の二 の規定により委任を受けた権限により調査を行うこと。九  任命権者に対し,職員の職務に係る倫理の保持を図るため監督上必要な措置を講ずるよう求めること。
十  国家公務員法第八十四条の二 の規定により委任を受けた権限により職員を懲戒手続に付し,及び懲戒処分の概要の公表をすること。
十一  前各号に掲げるもののほか,法律又は法律に基づく命令に基づき審査会に属させられた事務及び権限

第三十九条  職員の職務に係る倫理の保持を図るため,法律の規定に基づき内閣に置かれる各機関,内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる各機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関並びに会計検査院並びに各特定独立行政法人(以下「行政機関等」という。)に,それぞれ倫理監督官一人を置く。
2  倫理監督官は,その属する行政機関等の職員に対しその職務に係る倫理の保持に関し必要な指導及び助言を行うとともに,審査会の指示に従い,当該行政機関等の職員の職務に係る倫理の保持のための体制の整備を行う。

国家公務員倫理規程の関連条文

(倫理行動規準)
第一条  職員(国家公務員倫理法 (以下「法」という。)第二条第一項 に規定する職員をいう。以下同じ。)は,国家公務員としての誇りを持ち,かつ,その使命を自覚し,第一号から第三号までに掲げる法第三条 の倫理原則とともに第四号 及び第五号 に掲げる事項をその職務に係る倫理の保持を図るために遵守すべき規準として,行動しなければならない。
一  職員は,国民全体の奉仕者であり,国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し,職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず,常に公正な職務の執行に当たらなければならないこと。
二  職員は,常に公私の別を明らかにし,いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならないこと。
三  職員は,法律により与えられた権限の行使に当たっては,当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならないこと。
四  職員は,職務の遂行に当たっては,公共の利益の増進を目指し,全力を挙げてこれに取り組まなければならないこと。
五  職員は,勤務時間外においても,自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならないこと。

(利害関係者)
第二条  この政令において,「利害関係者」とは,職員が職務として携わる次の各号に掲げる事務の区分に応じ,当該各号に定める者をいう。ただし,職員の職務との利害関係が潜在的なものにとどまる者又は職員の裁量の余地が少ない職務に関する者として各省各庁の長(法第五条第三項 に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)が訓令(同項 に規定する訓令をいう。以下同じ。)で又は独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第二項 に規定する特定独立行政法人(以下「特定独立行政法人」という。)の長が規則(法第五条第四項 に規定する規則をいう。以下同じ。)で定める者及び外国政府若しくは国際機関又はこれらに準ずるものに勤務する者(当該外国政府若しくは国際機関又はこれらに準ずるものの利益のためにする行為を行う場合における当該勤務する者に限る。)を除く。
一  許認可等(行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二条第三号 に規定する許認可等をいう。)をする事務 当該許認可等を受けて事業を行っている事業者等(法第二条第五項 に規定する事業者等及び同条第六項 の規定により事業者等とみなされる者をいう。以下同じ。),当該許認可等の申請をしている事業者等又は個人(同条第六項 の規定により事業者等とみなされる者を除く。以下「特定個人」という。)及び当該許認可等の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人
二  補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 (昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項 に規定する補助金等をいう。以下同じ。)を交付する事務 当該補助金等(当該補助金等を直接にその財源の全部又は一部とする同条第四項第一号 に掲げる間接補助金等を含む。)の交付を受けて当該交付の対象となる事務又は事業を行っている事業者等又は特定個人,当該補助金等の交付の申請をしている事業者等又は特定個人及び当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人
三  立入検査,監査又は監察(法令の規定に基づき行われるものに限る。以下この号において「検査等」という。)をする事務 当該検査等を受ける事業者等又は特定個人
四  不利益処分(行政手続法第二条第四号 に規定する不利益処分をいう。)をする事務 当該不利益処分をしようとする場合における当該不利益処分の名あて人となるべき事業者等又は特定個人
五  行政指導(行政手続法第二条第六号 に規定する行政指導をいう。)をする事務 当該行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている事業者等又は特定個人
六  内閣府又は各省が所掌する事務のうち事業の発達,改善及び調整に関する事務(前各号に掲げる事務を除く。) 当該事業を行っている事業者等
七  国の支出の原因となる契約に関する事務若しくは会計法 (昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条 に規定する契約に関する事務又はこれらの契約に相当する特定独立行政法人の業務に係る契約に関する事務 これらの契約を締結している事業者等,これらの契約の申込みをしている事業者等及びこれらの契約の申込みをしようとしていることが明らかである事業者等
八  財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)第十八条第一項 の規定による必要な調整に関する事務 当該調整を受ける国の機関
九  一般職の職員の給与に関する法律 (昭和二十五年法律第九十五号)第八条第一項 の規定による職務の級の定数の設定又は改定に関する事務 当該設定又は改定を受ける国の機関
十  総務省設置法 (平成十一年法律第九十一号)第四条第十一号 の規定による定員の設置,増減及び廃止に関する審査に関する事務 当該審査を受ける国の機関
2  職員に異動があった場合において,当該異動前の官職に係る当該職員の利害関係者であった者が,異動後引き続き当該官職に係る他の職員の利害関係者であるときは,当該利害関係者であった者は,当該異動の日から起算して三年間(当該期間内に,当該利害関係者であった者が当該官職に係る他の職員の利害関係者でなくなったときは,その日までの間)は,当該異動があった職員の利害関係者であるものとみなす。
3  他の職員の利害関係者が,職員をしてその官職に基づく影響力を当該他の職員に行使させることにより自己の利益を図るためその職員と接触していることが明らかな場合においては,当該他の職員の利害関係者は,その職員の利害関係者でもあるものとみなす。

(禁止行為)
第三条  職員は,次に掲げる行為を行ってはならない。
一  利害関係者から金銭,物品又は不動産の贈与(せん別,祝儀,香典又は供花その他これらに類するものとしてされるものを含む。)を受けること。
二  利害関係者から金銭の貸付け(業として行われる金銭の貸付けにあっては,無利子のもの又は利子の利率が著しく低いものに限る。)を受けること。
三  利害関係者から又は利害関係者の負担により,無償で物品又は不動産の貸付けを受けること。
四  利害関係者から又は利害関係者の負担により,無償で役務の提供を受けること。
五  利害関係者から未公開株式(金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項 に規定する金融商品取引所に上場されておらず,かつ,同法第六十七条の十一第一項 の店頭売買有価証券登録原簿に登録されていない株式をいう。)を譲り受けること。
六  利害関係者から供応接待を受けること。
七  利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること。
八  利害関係者と共に旅行(公務のための旅行を除く。)をすること。
九  利害関係者をして,第三者に対し前各号に掲げる行為をさせること。
2  前項の規定にかかわらず,職員は,次に掲げる行為を行うことができる。
一  利害関係者から宣伝用物品又は記念品であって広く一般に配布するためのものの贈与を受けること。
二  多数の者が出席する立食パーティー(飲食物が提供される会合であって立食形式で行われるものをいう。以下同じ。)において,利害関係者から記念品の贈与を受けること。三  職務として利害関係者を訪問した際に,当該利害関係者から提供される物品を使用すること。
四  職務として利害関係者を訪問した際に,当該利害関係者から提供される自動車(当該利害関係者がその業務等において日常的に利用しているものに限る。)を利用すること(当該利害関係者の事務所等の周囲の交通事情その他の事情から当該自動車の利用が相当と認められる場合に限る。)。
五  職務として出席した会議その他の会合において,利害関係者から茶菓の提供を受けること。
六  多数の者が出席する立食パーティーにおいて,利害関係者から飲食物の提供を受けること。
七  職務として出席した会議において,利害関係者から簡素な飲食物の提供を受けること。
3  第一項の規定の適用については,職員(同項第九号に掲げる行為にあっては,同号の第三者。以下この項において同じ。)が,利害関係者から,物品若しくは不動産を購入した場合,物品若しくは不動産の貸付けを受けた場合又は役務の提供を受けた場合において,それらの対価がそれらの行為が行われた時における時価よりも著しく低いときは,当該職員は,当該利害関係者から,当該対価と当該時価との差額に相当する額の金銭の贈与を受けたものとみなす。

(禁止行為の例外)
第四条  職員は,私的な関係(職員としての身分にかかわらない関係をいう。以下同じ。)がある者であって,利害関係者に該当するものとの間においては,職務上の利害関係の状況,私的な関係の経緯及び現在の状況並びにその行おうとする行為の態様等にかんがみ,公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないと認められる場合に限り,前条第一項の規定にかかわらず,同項各号(第九号を除く。)に掲げる行為を行うことができる。
2  職員は,前項の公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないかどうかを判断することができない場合においては,倫理監督官(法第三十九条第一項 の倫理監督官をいう。以下同じ。)に相談し,その指示に従うものとする。
3  第一項の「職員としての身分」には,職員が,任命権者の要請に応じ特別職国家公務員等(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項 に規定する特別職国家公務員等をいう。以下同じ。)となるため退職し,引き続き特別職国家公務員等として在職した後,引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職国家公務員等として在職した後,引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職し,引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)におけるとしての身分を含むものとする。

(利害関係者以外の者等との間における禁止行為)
第五条  職員は,利害関係者に該当しない事業者等であっても,その者から供応接待を繰り返し受ける等社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。
2  職員は,自己が行った物品若しくは不動産の購入若しくは借受け又は役務の受領の対価を,その者が利害関係者であるかどうかにかかわらず,それらの行為が行われた場に居合わせなかった事業者等にその者の負担として支払わせてはならない。

(利害関係者と共に飲食をする場合の届出)
第八条  職員は,自己の飲食に要する費用について利害関係者の負担によらないで利害関係者と共に飲食をする場合において,自己の飲食に要する費用が一万円を超えるときは,次に掲げる場合を除き,あらかじめ,倫理監督官が定める事項を倫理監督官に届け出なければならない。ただし,やむを得ない事情によりあらかじめ届け出ることができなかったときは,事後において速やかに当該事項を届け出なければならない。
一  多数の者が出席する立食パーティーにおいて,利害関係者と共に飲食をするとき。
二  私的な関係がある利害関係者と共に飲食をする場合であって,自己の飲食に要する費用について自己又は自己と私的な関係がある者であって利害関係者に該当しないものが負担するとき。

(倫理監督官への相談)
第十条  職員は,自らが行う行為の相手方が利害関係者に該当するかどうかを判断することができない場合又は利害関係者との間で行う行為が第三条第一項各号に掲げる行為に該当するかどうかを判断することができない場合には,倫理監督官に相談するものとする。

(各省各庁の長等の責務)
第十四条  各省各庁の長等は,法又はこの政令に定める事項の実施に関し,次に掲げる責務を有する。
一  法第五条第三項 又は第四項の規定に基づき,必要に応じて,訓令又は規則を制定すること。
二  贈与等報告書,法第七条第一項 に規定する株取引等報告書及び法第八条第三項 に規定する所得等報告書等(以下「報告書等」という。)の受理,審査及び保存,報告書等の写しの国家公務員倫理審査会への送付並びに贈与等報告書の閲覧のための体制の整備その他の当該各省各庁又は特定独立行政法人に属する職員の職務に係る倫理の保持のための体制の整備を行うこと。
三  当該各省各庁又は特定独立行政法人に属する職員が法又は法に基づく命令に違反する行為を行った場合には,厳正に対処すること。
四  当該各省各庁又は特定独立行政法人に属する職員が法又は法に基づく命令に違反する行為について倫理監督官その他の適切な機関に通知をしたことを理由として,不利益な取扱いを受けないよう配慮すること。
五  研修その他の施策により,当該各省各庁又は特定独立行政法人に属する職員の倫理感のかん養及び保持に努めること。

(倫理監督官の責務等)
第十五条  倫理監督官は,法又はこの政令に定める事項の実施に関し,次に掲げる責務を有する。
一  その属する行政機関等の職員からの第四条第二項又は第十条の相談に応じ,必要な指導及び助言を行うこと。
二  その属する行政機関等の職員が特定の者と国民の疑惑や不信を招くような関係を持つことがないかどうかの確認に努め,その結果に基づき,職員の職務に係る倫理の保持に関し,必要な指導及び助言を行うこと。
三  その属する各省各庁の長等を助け,その属する行政機関等の職員の職務に係る倫理の保持のための体制の整備を行うこと。
四  法又は法に基づく命令に違反する行為があった場合にその旨をその属する行政機関等に係る内閣法 (昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣(倫理監督官が,法律で国務大臣をもってその長に充てることと定められている委員会に属する場合にあっては委員長とし,会計検査院又は人事院に属する場合にあってはそれぞれ会計検査院長又は人事院総裁とし,特定独立行政法人に属する場合にあっては当該特定独立行政法人の主務大臣(独立行政法人通則法第六十八条 に規定する主務大臣をいう。)とする。)に報告すること。
2  倫理監督官は,その属する行政機関等の職員に,法又はこの政令に定めるその職務の一部を行わせることができる。

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