法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

ネット登記手数料の引き下げについて

2006-07-01 18:56:27 | Weblog
ネット登記手数料,引き下げを検討…利用促進狙い YOMIURI ONLINE

 ネット登記手数料,来年度から引き下げのようだ。
しかし,実施により,約200億円近い赤字とか。回り回って,この赤字,いろいろな形に転化して,詰まるところ,負担するのは国民,ということになりそう。

なお,記事に「現在の登記業務のオンライン手続きには,〈1〉不動産,商業・法人登記情報の確認(1件710円)」とあるが,プロバイダである民事法務協会への手数料60円があるから,これを加算すると,利用には,770円/筆・個の料金がかかることになる。

インターネット登記情報提供サービス 2 費用・料金 Q1 有料サービスなのか?


登記手数料令の関連条文

第十三条  電気通信回線による登記情報の提供に関する法律 による次の各号に掲げる登記情報の提供についての手数料は,一件につき,当該各号に定める額とする。
一  不動産の所有権の登記名義人のみを内容とする登記情報 二百十円
二  動産譲渡登記事項概要ファイル又は債権譲渡登記事項概要ファイルに記録されている登記情報 四百円
三  前二号に掲げる登記情報以外の登記情報 七百十円

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固定資産税の減免申請不承認に対する異議申立について

2006-07-01 12:16:54 | Weblog
 朝鮮総連秋田県本部は,6月28日,固定資産税の減免申請を不承認とした秋田市の決定は不当として,異議申立をしたとのこと。

そもそも,本年度の全国各自治体の固定資産税の減免措置に係る厳正運用は,4月1日付けの総務省の事務次官通知に基づいておこなわれている

この件で思い出すのは,パチンコ球遊器の通達課税に係る最判昭和33年3月28日
それまで非課税物件であったパチンコ球遊器が,行政の内部命令である通達の解釈変更により課税物件となったのは租税法律主義に反するとして,課税処分の無効確認を求めた事件。憲法を囓ったことがある人なら,誰でも知っている判例だ。
これに関し,最高裁は,「本件課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであっても,通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上,本件課税処分は法の根拠に基づく処分と解するに妨げがな(い)」と判断した。

この最判に拠るなら,本件減免申請不承認決定が秋田市市税条例第58条第1項第2号の「公益のために直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く。)」の正しい解釈に基づくものであれば,朝鮮総連の異議申立に理由はなく棄却,ということになろう。

ただ,仮にそうであったとしても,減免申請をおこなって承認された他の団体等との関係で均衡を欠くような運用がおこなわれたとなれば,「差別的な別異取扱い」としての問題は残るであろう。
言うまでもないが,行政は,本来,法律・条例等の法令に基づき適正におこなわれるべきもの。不当な政治的偏向などあってはならない。


地方税法の関連条文

(行政不服審査法 との関係)
第十九条  地方団体の徴収金に関する次の各号に掲げる処分についての不服申立てについては,本款その他この法律に特別の定めがあるものを除くほか,行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)の定めるところによる。
一  更正若しくは決定(第五号に掲げるものを除く。)又は賦課決定
二  督促又は滞納処分
三  第五十八条第一項,第二項,第三項若しくは第五項又は第三百二十一条の十四第一項,第二項,第三項若しくは第五項の規定による分割の基準となる従業者数の修正又は決定
四  第五十九条第二項又は第三百二十一条の十五第二項若しくは第七項の規定による分割の基準となる従業者数についての決定又は裁決
五  第七十二条の四十九第一項の規定による課税標準額の総額の更正若しくは決定又は同条第三項の規定による分割基準の修正若しくは決定
六  第七十二条の五十四第一項の規定による課税標準とすべき所得の総額の決定又は同条第三項前段の規定による課税標準とすべき所得の決定
七  第七十二条の五十四第五項の規定による課税標準とすべき所得についての決定
八  第三百八十九条第一項,第四百十七条第二項又は第七百四十三条第一項若しくは第二項の規定による価格等の決定若しくは配分又はこれらの修正
九  前各号に掲げるもののほか,地方団体の徴収金の賦課徴収又は還付に関する処分で総務省令で定めるもの

(徴税吏員がした処分)
第十九条の二  不服申立てに関しては,第三条の二に規定する支庁,地方事務所,市の区の事務所又は税務に関する事務所に所属する徴税吏員がした処分はその者の所属する支庁等の長がした処分と,その他の徴税吏員がした処分はその者の所属する地方団体の長がした処分とみなす。

行政不服審査法の関連条文

(この法律の趣旨)
第一条  この法律は,行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し,国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて,簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに,行政の適正な運営を確保することを目的とする。
2  行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては,他の法律に特別の定めがある場合を除くほか,この法律の定めるところによる。

(定義)
第二条  この法律にいう「処分」には,各本条に特別の定めがある場合を除くほか,公権力の行使に当たる事実上の行為で,人の収容,物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの(以下「事実行為」という。)が含まれるものとする。
2  この法律において「不作為」とは,行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず,これをしないことをいう。

(不服申立ての種類)
第三条  この法律による不服申立ては,行政庁の処分又は不作為について行なうものにあつては審査請求又は異議申立てとし,審査請求の裁決を経た後さらに行なうものにあつては再審査請求とする。
2  審査請求は,処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)以外の行政庁に対してするものとし,異議申立ては,処分庁又は不作為庁に対してするものとする。

(処分についての異議申立て)
第六条  行政庁の処分についての異議申立ては,次の場合にすることができる。ただし,第一号又は第二号の場合において,当該処分について審査請求をすることができるときは,法律に特別の定めがある場合を除くほか,することができない。
一  処分庁に上級行政庁がないとき。
二  処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。
三  前二号に該当しない場合であつて,法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき。

(不服申立ての方式)
第九条  この法律に基づく不服申立ては,他の法律(条例に基づく処分については,条例を含む。)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き,書面を提出してしなければならない。
2  不服申立書は,異議申立ての場合を除き,正副二通を提出しなければならない。
3  前項の規定にかかわらず,行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 (平成十四年法律第百五十一号。第二十二条第三項において「情報通信技術利用法」という。)第三条第一項 の規定により同項 に規定する電子情報処理組織を使用して不服申立て(異議申立てを除く。次項において同じ。)がされた場合には,不服申立書の正副二通が提出されたものとみなす。
4  前項に規定する場合において,当該不服申立てに係る電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第二十二条第四項において同じ。)については,不服申立書の正本又は副本とみなして,第十七条第二項(第五十六条において準用する場合を含む。),第十八条第一項,第二項及び第四項,第二十二条第一項(第五十二条第二項において準用する場合を含む。)並びに第五十八条第三項及び第四項の規定を適用する。

(法人でない社団又は財団の不服申立て)
第十条  法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは,その名で不服申立てをすることができる。

(異議申立期間)
第四十五条  異議申立ては,処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。

(誤つた教示をした場合の救済)
第四十六条  異議申立てをすることができる処分につき,処分庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合(審査請求をすることもできる処分につき,処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合を含む。)において,その教示された行政庁に書面で審査請求がなされたときは,当該行政庁は,すみやかに,審査請求書を当該処分庁に送付し,かつ,その旨を審査請求人に通知しなければならない。
2  前項の規定により審査請求書が処分庁に送付されたときは,はじめから処分庁に異議申立てがされたものとみなす。

(決定)
第四十七条  異議申立てが法定の期間経過後にされたものであるとき,その他不適法であるときは,処分庁は,決定で,当該異議申立てを却下する。
2  異議申立てが理由がないときは,処分庁は,決定で,当該異議申立てを棄却する。
3  処分(事実行為を除く。)についての異議申立てが理由があるときは,処分庁は,決定で,当該処分の全部若しくは一部を取り消し,又はこれを変更する。ただし,異議申立人の不利益に当該処分を変更することができず,また,当該処分が法令に基づく審議会その他の合議制の行政機関の答申に基づいてされたものであるときは,さらに当該行政機関に諮問し,その答申に基づかなければ,当該処分の全部若しくは一部を取り消し,又はこれを変更することができない。
4  事実行為についての異議申立てが理由があるときは,処分庁は,当該事実行為の全部若しくは一部を撤廃し,又はこれを変更するとともに,決定で,その旨を宣言する。ただし,異議申立人の不利益に事実行為を変更することができない。
5  処分庁は,審査請求をすることもできる処分に係る異議申立てについて決定をする場合には,異議申立人が当該処分につきすでに審査請求をしている場合を除き,決定書に,当該処分につき審査請求をすることができる旨並びに審査庁及び審査請求期間を記載して,これを教示しなければならない。

(審査請求に関する規定の準用)
第四十八条  前節(第十四条第一項本文,第十五条第三項,第十七条,第十八条,第二十条,第二十二条,第二十三条,第三十三条,第三十四条第三項,第四十条第一項から第五項まで,第四十一条第二項及び第四十三条を除く。)の規定は,処分についての異議申立てに準用する。

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