法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

勤務中のお楽しみが過ぎた人について

2008-07-31 19:37:51 | Weblog
MSN産経ニュース 足立区の係長,勤務中にH画像お楽しみ

 全庁的に実施されたパソコンの操作履歴点検で発覚したとか。
情報漏洩防止等のためにコンピュータの稼動履歴をとる企業は少なくないと聞く。この点,足立区がどのような目的でパソコンの操作履歴を点検しているのか,記事からは明らかではない。

さて,地方公務員法第30条には「すべて職員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し,且つ,職務の遂行に当つては,全力を挙げてこれに専念しなければならない。」,同第35条には「職員は,法律又は条例に特別の定がある場合を除く外,その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い,当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」とある。
熱心な方のようだが,専念すべき対象を取り違えたようだ。処分は停職1カ月。他人事ながら,処分明けの出勤,きつそうだ。


地方公務員法の関連条文

(人事委員会及び公平委員会並びに職員に関する条例の制定)
第五条  地方公共団体は,法律に特別の定がある場合を除く外,この法律に定める根本基準に従い,条例で,人事委員会又は公平委員会の設置,職員に適用される基準の実施その他職員に関する事項について必要な規定を定めるものとする。但し,その条例は,この法律の精神に反するものであつてはならない。
2  第七条第一項又は第二項の規定により人事委員会を置く地方公共団体においては,前項の条例を制定し,又は改廃しようとするときは,当該地方公共団体の議会において,人事委員会の意見を聞かなければならない。

(服務の根本基準)
第三十条  すべて職員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し,且つ,職務の遂行に当つては,全力を挙げてこれに専念しなければならない。

(職務に専念する義務)
第三十五条  職員は,法律又は条例に特別の定がある場合を除く外,その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い,当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

足立区職員の職務に専念する義務の特例に関する条例

(趣旨)
第1条 この条例は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)第35条の規定に基づき,職員の職務に専念する義務の特例に関し必要な事項を定めるものとする。

(職務に専念する義務の免除)
第2条 職員は,次の各号のいずれかに該当する場合においては,あらかじめ任命権者(市町村立学校職員給与負担法(昭和23年法律第135号)第1条に規定する職員にあっては足立区教育委員会)又はその委任を受けた者の承認を得て,その職務に専念する義務を免除されることができる。
(1) 研修を受ける場合
(2) 職員の厚生に関する計画の実施に参加する場合
(3) 前2号に規定する場合を除くほか,特別区人事委員会が定める場合

職員の職務に専念する義務の免除に関する規則

(目的)
第一条 この規則は,各特別区における職員の職務に専念する義務の特例に関する条例(以下「条例」という。)第二条第三号の規定に基づき,職員の職務に専念する義務の免除に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(職務に専念する義務を免除される場合)
第二条 職員があらかじめ特別区の任命権者(市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条に規定する職員にあつては特別区の教育委員会)又はその委任を受けた者(以下「任命権者」という。)の承認を得て,職務に専念する義務を免除される場合は,次の各号に掲げる場合とする。
一 職員が職員団体(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条に規定する職員団体及び地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和二十七年法律第二百八十九号)第五条の労働組合をいう。以下同じ。)の運営のため特に必要な限度内であらかじめ職員団体が任命権者の許可を受けたときにおいて,その会合又はその他の業務に参加する場合
二 職員が国又は他の地方公共団体その他の公共団体若しくはその職務と関連を有する公益に関する団体の事業又は事務に従事する場合
三 職員が法令又は条例に基づいて設置された職員の厚生福利を目的とする団体の事業又は事務に従事する場合
四 職員が特別区又は特別区の機関以外のものの主催する講演会等において,特別区政又は学術等に関し,講演等を行う場合
五 職員がその職務上の教養に資する講演会等を聴講する場合
六 職員がその職務の遂行上必要な資格試験を受験する場合
七 その他特別の事由のある場合

第三条 任命権者が前条第七号の規定により職員の職務に専念する義務を免除しようとするときは,あらかじめ特別区人事委員会の意見を聴かなければならない。

(この規則で引用している条例)
第四条 この規則で引用している条例とは,別表に掲げるものとする。
(別表省略)

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格下の指揮者への変更で精神的損害を被った人について

2008-07-30 22:44:26 | Weblog
asahi.com 指揮者交代で朝日新聞社勝訴 東京地裁判決

 オペラに限らずクラシックの公演では,この種の交替,珍しいことではない。しかし,チケット代などが4万8290円。産経の記事にあるとおり,開演当日に指揮者が変更されたのだとすれば,ジェルメッティ目当てにチケットを購入した人にとっては相当にきつい話し。提訴に及ぶかはともかく,その怒り,わからないではない。
それなら,聴きたくもない代役による演奏を聴くより,チケット代を払い戻してもらえば良さそうなものだが,それをしなかったところをみると,チケット販売に係る契約に,指揮者等の変更があっても払い戻しには応じないという内容が含まれていたのかもしれない。

仮に,件の契約に「演奏家や演目に変更があっても,事前のチケット代の払い戻しには一切応じない」といった趣旨の条項があった場合,どうなるのだろう。やはり,条項どおり,払い戻しは一切認められないのだろうか。
この点,消費者契約法第10条には,「民法 ,商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。」とある。
上記のような条項,消費者契約法との関係では,消費者の解除権行使を制限するものとして問題が残るケース,あるような気がする。

ジェルメッティは,日本で予定されていた公演の前日までシドニーで振っていたという話しも聞く。旅程や事前の準備を考えれば,ダブルブッキングに近いと言えなくもない。また,開演当日の変更というのもよくわからないところ。東京地裁は指揮者変更は主催者にとってやむを得ない事情としたようだが,事前のマネージメントを含め,主催者に落ち度が全くなかったと言い切れるのかどうか・・・。
詳細はわからないが,上記のような場合にまで,歌劇場,招聘元等の主催者,チケット購入者の中で,ひとり,チケット購入者だけが割を食う(事前の払い戻しさえ認められない)というのでは,チケットが高額な分,購入者,釈然としないのではなかろうか。

内閣府 消費者の窓 消費者契約法


民法の関連条文

(基本原則)
第一条  私権は,公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は,信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は,これを許さない。

(履行遅滞等による解除権)
第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において,相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,相手方は,契約の解除をすることができる。

(履行不能による解除権)
第五百四十三条  履行の全部又は一部が不能となったときは,債権者は,契約の解除をすることができる。ただし,その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない。

(解除の効果)
第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは,各当事者は,その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし,第三者の権利を害することはできない。
2  前項本文の場合において,金銭を返還するときは,その受領の時から利息を付さなければならない。
3  解除権の行使は,損害賠償の請求を妨げない。

消費者契約法の関連条文

(目的) 
第一条  この法律は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,事業者の一定の行為により消費者が誤認し,又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに,事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか,消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義) 
第二条  この法律において「消費者」とは,個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2  この法律において「事業者」とは,法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3  この法律において「消費者契約」とは,消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
4  この法律において「適格消費者団体」とは,不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体(消費者基本法 (昭和四十三年法律第七十八号)第八条 の消費者団体をいう。以下同じ。)として第十三条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。

(事業者及び消費者の努力)
第三条  事業者は,消費者契約の条項を定めるに当たっては,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに,消費者契約の締結について勧誘をするに際しては,消費者の理解を深めるために,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。
2  消費者は,消費者契約を締結するに際しては,事業者から提供された情報を活用し,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。

(解釈規定)
第六条  第四条第一項から第三項までの規定は,これらの項に規定する消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九十六条 の規定の適用を妨げるものと解してはならない。

(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
第八条  次に掲げる消費者契約の条項は,無効とする。
一  事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
二  事業者の債務不履行(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
三  消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法 の規定による責任の全部を免除する条項
四  消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法 の規定による責任の一部を免除する条項
五  消費者契約が有償契約である場合において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には,当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に,当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項
2  前項第五号に掲げる条項については,次に掲げる場合に該当するときは,同項の規定は,適用しない。
一  当該消費者契約において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合
二  当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で,当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該他の事業者が,当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い,瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い,又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条  次の各号に掲げる消費者契約の条項は,当該各号に定める部分について,無効とする。
一  当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二  当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には,それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について,その日数に応じ,当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条  民法 ,商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。

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半年で初の400万人台を記録した外国人観光客について

2008-07-28 22:10:28 | Weblog
1―6月の訪日外国人,初の400万人台に 政府観光局 NIKKEI NET

 2008年1~6月に日本を訪れた外国人は約433万人とか。
この点,昨年6月に策定された「観光立国推進基本計画」には,「観光立国の実現のための基本的な目標」として,「訪日外国人旅行者数を平成22年までに1,000万人にすることを目標とし,将来的には,日本人の海外旅行者数と同程度にすることを目指す。」とある。記事には,初の400万人台とあるが,目標達成には未だ少し開きがあるようだ。
この数値,日本政府観光局(JNTO)(正式名「独立行政法人国際観光振興機構」)の発表によるものだが,上記基本計画の「国際観光の振興」には,この団体に関し,次のようにある。

(独立行政法人国際観光振興機構の活動の充実)
独立行政法人国際観光振興機構は,外国人観光客の来訪促進の中核を担う我が国の政府観光局である。このため,観光宣伝活動や国際会議誘致活動の拠点となる海外観光宣伝事務所の積極的な活用とその活動の充実を図る。


本年10月1日には国交省の外局として観光庁が置かれる。観光庁の任務に関しては,改正国土交通省設置法第43条に「観光庁は,観光立国の実現に向けて,魅力ある観光地の形成,国際観光の振興その他の観光に関する事務を行うことを任務とする。」とある。
観光立国実現を効率よく進めるには,観光庁と日本政府観光局(JNTO)との役割分担を明確にする必要がある。このあたり,「観光立国推進基本計画」にもなにがしか盛り込むことになるのでは。

最後になったが,このところ,国・地域別で来邦者が一番多い韓国との関係が芳しくない。7~12月の数値,どうなるかは不透明だ。

国交省 観光立国推進基本計画について

日本政府観光局(JNTO)

西日本新聞 外国人連泊,横手市トップ 国交省旅行統計調査

釜山市,本県への中高生派遣を中止 竹島記述問題で反発 - さきがけ on the Web


観光立国推進基本法の関連条文

 観光基本法(昭和三十八年法律第百七号)の全部を改正する。観光は,国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって,その持続的な発展は,恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し,健康で文化的な生活を享受しようとする我らの理想とするところである。また,観光は,地域経済の活性化,雇用の機会の増大等国民経済のあらゆる領域にわたりその発展に寄与するとともに,健康の増進,潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて国民生活の安定向上に貢献するものであることに加え,国際相互理解を増進するものである。我らは,このような使命を有する観光が,今後,我が国において世界に例を見ない水準の少子高齢社会の到来と本格的な国際交流の進展が見込まれる中で,地域における創意工夫を生かした主体的な取組を尊重しつつ,地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の実現を促進し,我が国固有の文化,歴史等に関する理解を深めるものとしてその意義を一層高めるとともに,豊かな国民生活の実現と国際社会における名誉ある地位の確立に極めて重要な役割を担っていくものと確信する。しかるに,現状をみるに,観光がその使命を果たすことができる観光立国の実現に向けた環境の整備は,いまだ不十分な状態である。また,国民のゆとりと安らぎを求める志向の高まり等を背景とした観光旅行者の需要の高度化,少人数による観光旅行の増加等観光旅行の形態の多様化,観光分野における国際競争の一層の激化等の近年の観光をめぐる諸情勢の著しい変化への的確な対応は,十分に行われていない。これに加え,我が国を来訪する外国人観光旅客数等の状況も,国際社会において我が国の占める地位にふさわしいものとはなっていない。これらに適切に対処し,地域において国際競争力の高い魅力ある観光地を形成するとともに,観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成,国際観光の振興を図ること等により,観光立国を実現することは,二十一世紀の我が国経済社会の発展のために不可欠な重要課題である。ここに,観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,この法律を制定する。

(目的)
第一条  この法律は,二十一世紀の我が国経済社会の発展のために観光立国を実現することが極めて重要であることにかんがみ,観光立国の実現に関する施策に関し,基本理念を定め,並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに,観光立国の実現に関する施策の基本となる事項を定めることにより,観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって国民経済の発展,国民生活の安定向上及び国際相互理解の増進に寄与することを目的とする。

(施策の基本理念)
第二条  観光立国の実現に関する施策は,地域における創意工夫を生かした主体的な取組を尊重しつつ,地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展を通じて国内外からの観光旅行を促進することが,将来にわたる豊かな国民生活の実現のため特に重要であるという認識の下に講ぜられなければならない。
2  観光立国の実現に関する施策は,観光が健康的でゆとりのある生活を実現する上で果たす役割の重要性にかんがみ,国民の観光旅行の促進が図られるよう講ぜられなければならない。
3  観光立国の実現に関する施策は,観光が国際相互理解の増進とこれを通じた国際平和のために果たす役割の重要性にかんがみ,国際的視点に立って講ぜられなければならない。
4  観光立国の実現に関する施策を講ずるに当たっては,観光産業が,多様な事業の分野における特色ある事業活動から構成され,多様な就業の機会を提供すること等により我が国及び地域の経済社会において重要な役割を担っていることにかんがみ,国,地方公共団体,住民,事業者等による相互の連携が確保されるよう配慮されなければならない。

(国の責務)
第三条  国は,前条の施策の基本理念(次条第一項において「基本理念」という。)にのっとり,観光立国の実現に関する施策を総合的に策定し,及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第四条  地方公共団体は,基本理念にのっとり,観光立国の実現に関し,国との適切な役割分担を踏まえて,自主的かつ主体的に,その地方公共団体の区域の特性を生かした施策を策定し,及び実施する責務を有する。
2  地方公共団体は,前項の施策を実施するに当たっては,その効果的な実施を図るため地方公共団体相互の広域的な連携協力に努めなければならない。

(住民の役割)
第五条  住民は,観光立国の意義に対する理解を深め,魅力ある観光地の形成に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

(観光事業者の努力)
第六条  観光に関する事業(第十六条において「観光事業」という。)を営む者(以下「観光事業者」という。)は,その事業活動を行うに際しては,住民の福祉に配慮するとともに,観光立国の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。

(法制上の措置等)
第七条  政府は,観光立国の実現に関する施策を実施するため必要な法制上,財政上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。

(年次報告等)
第八条  政府は,毎年,国会に,観光の状況及び政府が観光立国の実現に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2  政府は,毎年,交通政策審議会の意見を聴いて,前項の報告に係る観光の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し,これを国会に提出しなければならない。

(観光立国推進基本計画の策定等)
第十条  政府は,観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,観光立国の実現に関する基本的な計画(以下「観光立国推進基本計画」という。)を定めなければならない。
2  観光立国推進基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。
一  観光立国の実現に関する施策についての基本的な方針
二  観光立国の実現に関する目標
三  観光立国の実現に関し,政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
四  前三号に掲げるもののほか,観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3  国土交通大臣は,交通政策審議会の意見を聴いて,観光立国推進基本計画の案を作成し,閣議の決定を求めなければならない。
4  国土交通大臣は,前項の規定による閣議の決定があったときは,遅滞なく,観光立国推進基本計画を国会に報告するとともに,公表しなければならない。
5  前二項の規定は,観光立国推進基本計画の変更について準用する。

(観光立国推進基本計画と国の他の計画との関係)
第十一条  観光立国推進基本計画以外の国の計画は,観光立国の実現に関しては,観光立国推進基本計画を基本とするものとする。

(国際競争力の高い魅力ある観光地の形成)
第十二条  国は,国際競争力の高い魅力ある観光地の形成を図るため,地方公共団体と観光事業者その他の関係者との連携による観光地の特性を生かした良質なサービスの提供の確保並びに宿泊施設,食事施設,案内施設その他の旅行に関連する施設(以下「旅行関連施設」という。)及び公共施設の整備等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成)
第十三条  国は,観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成を図るため,史跡,名勝,天然記念物等の文化財,歴史的風土,優れた自然の風景地,良好な景観,温泉その他文化,産業等に関する観光資源の保護,育成及び開発に必要な施策を講ずるものとする。

(観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備)
第十四条  国は,観光旅行者の国際競争力の高い魅力ある観光地への来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備を図るため,国際交通機関及びこれに関連する施設並びに国際競争力の高い魅力ある観光地及びその観光地間を連絡する経路における空港,港湾,鉄道,道路,駐車場,旅客船その他の観光の基盤となる交通施設の整備等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光産業の国際競争力の強化)
第十五条  国は,観光産業の国際競争力の強化を図るため,観光事業者相互の有機的な連携の推進,観光旅行者の需要の高度化及び観光旅行の形態の多様化に対応したサービスの提供の確保等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光の振興に寄与する人材の育成)
第十六条  国は,観光の振興に寄与する人材の育成を図るため,観光地及び観光産業の国際競争力の強化に資する高等教育の充実,観光事業に従事する者の知識及び能力の向上,地域の固有の文化,歴史等に関する知識の普及の促進等に必要な施策を講ずるものとする。

(外国人観光旅客の来訪の促進)
第十七条  国は,外国人観光旅客の来訪の促進を図るため,我が国の伝統,文化等を生かした海外における観光宣伝活動の重点的かつ効果的な実施,国内における交通,宿泊その他の観光旅行に要する費用に関する情報の提供,国際会議その他の国際的な規模で開催される行事の誘致の促進,外国人観光旅客の出入国に関する措置の改善,通訳案内のサービスの向上その他の外国人観光旅客の受入れの体制の確保等に必要な施策を講ずるものとする。

(国際相互交流の促進)
第十八条  国は,観光分野における国際相互交流の促進を図るため,外国政府との協力の推進,我が国と外国との間における地域間の交流の促進,青少年による国際交流の促進等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光に関する統計の整備)
第二十五条  国は,観光立国の実現に関する施策の策定及び実施に資するため,観光旅行に係る消費の状況に関する統計,観光旅行者の宿泊の状況に関する統計その他の観光に関する統計の整備に必要な施策を講ずるものとする。

改正国土交通省設置法(未施行)の関連条文

第四十一条 国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて,国土交通省に,次の外局を置く。
観光庁
気象庁
2 前項に定めるもののほか,国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて国土交通省に置かれる外局は,次のとおりとする。
運輸安全委員会
海上保安庁

(長官)
第四十二条 観光庁の長は,観光庁長官とする。

(任務)
第四十三条 観光庁は,観光立国の実現に向けて,魅力ある観光地の形成,国際観光の振興その他の観光に関する事務を行うことを任務とする。

(所掌事務)
第四十四条 観光庁は,前条の任務を達成するため,第四条第二十一号から第二十三号まで,第百二十五号及び第百二十八号に掲げる事務をつかさどる。

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外国人に対する生活保護費の支給について

2008-07-27 19:11:50 | Weblog
外国人の生活保護世帯急増,登録外でも37自治体が対象に YOMIURI ONLINE

 「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和二九年五月八日社発第382号各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)には,外国人に対する生活保護やその実施責任に関し,次のようなQ&Aがある。

問六 法の準用による保護は,国民に対する法の適用による保護と如何なる相違があるか。
(答) 外国人に対する保護は,これを法律上の権利として保障したものではなく,単に一方的な行政措置によつて行つているものである。従つて生活に困窮する外国人は,法を準用した措置により利益を受けるのであるが,権利としてこれらの保護の措置を請求することはできない。日本国民の場合には,法による保護を法律上の権利として保障しているのであるから,保護を受ける権利が侵害された場合にはこれを排除する途(不服申立の制度)が開かれているのであるが,外国人の場合には不服の申立をすることはできないわけである。
 なお,保護の内容等については,別段取扱上の差等をつけるべきではない。

問八 生活に困窮する外国人が入院した場合において,法による取扱に準じて認定した居住地と外国人登録による居住地とが異なるときは,いかにすべきか。
(答) 外国人に対する保護の実施責任は,外国人登録法により登録した居住地により定められるから,設問の場合は,外国人登録による居住地によるべきものである。なお,一般に,次の「参考」からも明らかなように,法にいう居住地と外国人登録法にいう居住地とは,殆どの場合一致するものと解されるので,設問のような場合には一応外国人登録関係機関と連絡し,当該外国人登録が適正であるかどうかを確認したうえ,保護の実施責任を定めるのが適当である。
(参考は省略)


外国人に対する生活保護費の支給については,平成2年10月の生活保護指導職員ブロック会議において厚労省の口頭による指示があり,保護対象となるかどうかは入管法の在留資格の有無や種類によるよう取り扱いがあらためられているようだ。具体的には,入管法別表第2の外国人は保護対象となり,一時的滞在の外国人は保護対象外ということのよう。

厚労省 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について

厚労省 生活保護制度の概要


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

第十四条  すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。
2  華族その他の貴族の制度は,これを認めない。
3  栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。

第二十五条  すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2  国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

生活保護法の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き,国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等)
第二条  すべて国民は,この法律の定める要件を満たす限り,この法律による保護(以下「保護」という。)を,無差別平等に受けることができる。

(申請保護の原則)
第七条  保護は,要保護者,その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し,要保護者が急迫した状況にあるときは,保護の申請がなくても,必要な保護を行うことができる。

(基準及び程度の原則)
第八条  保護は,厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし,そのうち,その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
2  前項の基準は,要保護者の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて,且つ,これをこえないものでなければならない。

(必要即応の原則)
第九条  保護は,要保護者の年齢別,性別,健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して,有効且つ適切に行うものとする。

(世帯単位の原則)
第十条  保護は,世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し,これによりがたいときは,個人を単位として定めることができる。

(実施機関)
第十九条  都道府県知事,市長及び社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は,次に掲げる者に対して,この法律の定めるところにより,保護を決定し,かつ,実施しなければならない。
一  その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二  居住地がないか,又は明らかでない要保護者であつて,その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
2  居住地が明らかである要保護者であつても,その者が急迫した状況にあるときは,その急迫した事由が止むまでは,その者に対する保護は,前項の規定にかかわらず,その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。
3  第三十条第一項ただし書の規定により被保護者を救護施設,更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ,若しくはこれらの施設に入所を委託し,若しくは私人の家庭に養護を委託した場合又は第三十四条の二第二項の規定により被保護者に対する介護扶助(施設介護に限る。)を介護老人福祉施設(介護保険法第八条第二十四項 に規定する介護老人福祉施設をいう。以下同じ。)に委託して行う場合においては,当該入所又は委託の継続中,その者に対して保護を行うべき者は,その者に係る入所又は委託前の居住地又は現在地によつて定めるものとする。
4  前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は,保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を,その管理に属する行政庁に限り,委任することができる。
5  保護の実施機関は,保護の決定及び実施に関する事務の一部を,政令の定めるところにより,他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。
6  福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は,その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して,応急的処置として,必要な保護を行うものとする。
7  町村長は,保護の実施機関又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため,左に掲げる事項を行うものとする。
一  要保護者を発見し,又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において,すみやかに,保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
二  第二十四条第六項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取つた場合において,これを保護の実施機関に送付すること。
三  保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において,被保護者等に対して,保護金品を交付すること。
四  保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において,要保護者に関する調査を行うこと。

生活保護法施行規則の関連条文

(申請)
第二条  法第二十四条第一項又は第五項に規定するところの保護の開始又は保護の変更の申請は,左に掲げる事項を記載した書面を提出して行わなければならない。
一  申請者の氏名及び住所又は居所
二  要保護者の氏名,性別,生年月日,住所又は居所,職業及び申請者との関係
三  保護の開始又は変更を必要とする事由
2  法第十五条の二第一項に規定するところの介護扶助(同項第一号に規定する居宅介護又は同条第五項に規定する介護予防に限る。)の申請は,前項の書面に法第十五条の二第三項に規定する居宅介護支援計画又は同条第六項に規定する介護予防支援計画の写しを添付して行わなければならない。ただし,介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第九条 各号のいずれにも該当しない者であつて保護を要するものが介護扶助の申請を行う場合は,この限りでない。
3  法第十八条第二項に規定するところの葬祭扶助の申請は,第一項の規定にかかわらず,次に掲げる事項を記載した書面を提出して行わなければならない。
一  申請者の氏名及び住所又は居所
二  死者の氏名,生年月日,死亡の年月日,死亡時の住所又は居所及び葬祭を行う者との関係
三  葬祭を行うために必要とする金額
四  法第十八条第二項第二号の場合においては,遺留の金品の状況
4  保護の実施機関は,第一項又は第三項に規定する書面のほか,要保護者の資産の状況を記載した書面その他の保護の決定に必要な書面の提出を求めることができる。

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3人乗り自転車の解禁について

2008-07-24 21:44:09 | Weblog
3人乗り自転車,09年にも解禁へ 警察庁有識者会議 NIKKEI NET

 有識者会議のメンバーに,伊藤礼先生,入っていただきたいなぁ (^^) 。

 道路交通法第57条第2項に「公安委員会は,道路における危険を防止し,その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは,軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。」とあり,これを受け,秋田県道路交通法施行細則第9条には「乗車人員の制限」として次のようにある。

(1) 乗車人員の制限
ア 二輪又は三輪の自転車には,運転者以外の者を乗車させないこと。ただし,次のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
(ア) 16歳以上の運転者が,幼児(6歳未満の者をいう。以下同じ。)1人を幼児用座席に乗車させている場合
(イ) 16歳以上の運転者が,4歳未満の者をひも等で確実に結び,背負つている場合
(ウ) 道路法(昭和27年法律第180号)第48条の14第2項に規定する自転車専用道路において,その乗車装置に応じた人員を乗車させている場合
(エ) 他人の需要に応じ,有償で,自転車を使用して旅客を運送する事業の業務に関し,当該業務に従事する者が,1人又は2人の者をその乗車装置に応じて乗車させている場合
イ 二輪又は三輪の自転車以外の軽車両には,その乗車装置に応じた人員を超える人員を乗車させないこと。


秋田県で認められているのは,幼児1人の同乗又は運転者の幼児1人の背負い。東京都では,このほか,幼児1人を同乗させ,更に,幼児1人を背負うことも認められている。乗車人員の制限に係る公安規則に違反した場合,2万円以下の罰金又は科料に処せられる(道路交通法第121条第1項第7号)。

「幼児2人同乗用自転車検討委員会」の中間まとめには,3人乗り自転車に求められる要件として6つほどあげられている。
記事の試作品自転車の写真を見ると,並列して前輪が2つついている。これだと,制動もだいぶ違うのかもしれないが,でも,どうかなぁ。運転講習の実施が必要な自転車というのもなぁ。

警察庁 自転車同乗幼児の事故実態


道路交通法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,道路における危険を防止し,その他交通の安全と円滑を図り,及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  道路 道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項 に規定する道路,道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項 に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
二  歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。
三  車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくはさくその他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。
三の二  本線車道 高速自動車国道(高速自動車国道法 (昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項 に規定する道路をいう。以下同じ。)又は自動車専用道路(道路法第四十八条の四 に規定する自動車専用道路をいう。以下同じ。)の本線車線により構成する車道をいう。
三の三  自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。
三の四  路側帯 歩行者の通行の用に供し,又は車道の効用を保つため,歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で,道路標示によつて区画されたものをいう。
四  横断歩道 道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)により歩行者の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。
四の二  自転車横断帯 道路標識等により自転車の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。
五  交差点 十字路,丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては,車道)の交わる部分をいう。
六  安全地帯 路面電車に乗降する者若しくは横断している歩行者の安全を図るため道路に設けられた島状の施設又は道路標識及び道路標示により安全地帯であることが示されている道路の部分をいう。
七  車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。
八  車両 自動車,原動機付自転車,軽車両及びトロリーバスをいう。
九  自動車 原動機を用い,かつ,レール又は架線によらないで運転する車であつて,原動機付自転車,自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
十  原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い,かつ,レール又は架線によらないで運転する車であつて,自転車,身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。
十一  軽車両 自転車,荷車その他人若しくは動物の力により,又は他の車両に牽引され,かつ,レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて,身体障害者用の車いす,歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
十一の二  自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い,かつ,人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて,身体障害者用の車いす,歩行補助車等及び小児用の車以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて,内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
十一の三  身体障害者用の車いす 身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車いす(原動機を用いるものにあつては,内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)をいう。
十二  トロリーバス 架線から供給される電力により,かつ,レールによらないで運転する車をいう。
十三  路面電車 レールにより運転する車をいう。
十四  信号機 電気により操作され,かつ,道路の交通に関し,灯火により交通整理等のための信号を表示する装置をいう。
十五  道路標識 道路の交通に関し,規制又は指示を表示する標示板をいう。
十六  道路標示 道路の交通に関し,規制又は指示を表示する標示で,路面に描かれた道路鋲,ペイント,石等による線,記号又は文字をいう。
十七  運転 道路において,車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いることをいう。
十八  駐車 車両等が客待ち,荷待ち,貨物の積卸し,故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。),又は車両等が停止し,かつ,当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。
十九  停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。
二十  徐行 車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。
二十一  追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において,その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し,かつ,当該車両等の前方に出ることをいう。
二十二  進行妨害 車両等が,進行を継続し,又は始めた場合においては危険を防止するため他の車両等がその速度又は方向を急に変更しなければならないこととなるおそれがあるときに,その進行を継続し,又は始めることをいう。
二十三  交通公害 道路の交通に起因して生ずる大気の汚染,騒音及び振動のうち内閣府令・環境省令で定めるものによつて,人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
2  道路法第四十五条第一項 の規定により設置された区画線は,この法律の規定の適用については,内閣府令・国土交通省令で定めるところにより,道路標示とみなす。
3  この法律の規定の適用については,次に掲げる者は,歩行者とする。
一  身体障害者用の車いす,歩行補助車等又は小児用の車を通行させている者
二  次条の大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車,二輪の原動機付自転車又は二輪若しくは三輪の自転車(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く。)を押して歩いている者

(乗車又は積載の制限等)
第五十七条  車両(軽車両を除く。以下この項及び第五十八条の二から第五十八条の五までにおいて同じ。)の運転者は,当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量,大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ,又は積載をして車両を運転してはならない。ただし,第五十五条第一項ただし書の規定により,又は前条第二項の規定による許可を受けて貨物自動車の荷台に乗車させる場合にあつては,当該制限を超える乗車をさせて運転することができる。
2  公安委員会は,道路における危険を防止し,その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは,軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。
3  貨物が分割できないものであるため第一項の政令で定める積載重量等の制限又は前項の規定に基づき公安委員会が定める積載重量等を超えることとなる場合において,出発地警察署長が当該車両の構造又は道路若しくは交通の状況により支障がないと認めて積載重量等を限つて許可をしたときは,車両の運転者は,第一項又は前項の規定にかかわらず,当該許可に係る積載重量等の範囲内で当該制限を超える積載をして車両を運転することができる。

第百二十一条  次の各号のいずれかに該当する者は,二万円以下の罰金又は科料に処する。
一  第四条(公安委員会の交通規制)第一項後段に規定する警察官の現場における指示若しくは第六条(警察官等の交通規制)第四項の規定による警察官の禁止若しくは制限に従わず,又は第七条(信号機の信号等に従う義務)若しくは第八条(通行の禁止等)第一項の規定に違反した歩行者
一の二  第八条(通行の禁止等)第五項の規定により警察署長が付した条件に違反した者
二  第十一条(行列等の通行)第一項の規定に違反した者(行列にあつては,その指揮者)
三  第十一条(行列等の通行)第二項後段の規定に違反し,又は同条第三項の規定による警察官の命令に従わなかつた行列の指揮者
四  第十五条(通行方法の指示)又は第六十三条の八(自転車の通行方法の指示)の規定による警察官等の指示に従わなかつた者
五  第十七条の二(軽車両の路側帯通行)第二項,第十九条(軽車両の並進の禁止),第二十一条(軌道敷内の通行)第一項,第二項後段若しくは第三項,第二十五条(道路外に出る場合の方法)第一項若しくは第二項,第三十四条(左折又は右折)第一項から第五項まで,第六十三条の三(自転車道の通行区分),第六十三条の四(普通自転車の歩道通行)第二項又は第七十五条の七(本線車道の出入の方法)の規定の違反となるような行為をした者
六  第五十四条(警音器の使用等)第二項又は第五十五条(乗車又は積載の方法)第三項の規定に違反した者
七  第五十七条(乗車又は積載の制限等)第二項又は第六十条(自動車以外の車両の牽引制限)の規定に基づく公安委員会の定めに違反した者
八  第五十八条(制限外許可証の交付等)第三項の規定により警察署長が付した条件に違反した者
九  第五十一条の二(違法駐車に対する措置)第十項,第五十一条の四(放置違反金)第二項,第六十三条(車両の検査等)第七項,第七十五条(自動車の使用者の義務等)第十一項(第七十五条の二(自動車の使用者の義務等)第三項において準用する場合を含む。),第七十八条(許可の手続)第四項,第九十四条(免許証の記載事項の変更届出等)第一項,第百三条の二(免許の効力の仮停止)第三項(第百七条の五(自動車等の運転禁止等)第九項において準用する場合を含む。),第百七条(免許証の返納等)第一項若しくは第三項,第百七条の五(自動車等の運転禁止等)第四項若しくは第六項又は第百七条の十(国外運転免許証の返納等)第一項若しくは第二項の規定に違反した者(第百十七条の五第二号に該当する者を除く。)
九の二  第六十三条の二(運行記録計による記録等)又は第七十四条の三(安全運転管理者等)第五項の規定に違反した者
九の三  第七十一条の五(初心運転者標識等の表示義務)第一項若しくは第二項又は第七十一条の六(初心運転者標識等の表示義務)第一項の規定に違反した者
十  第九十五条(免許証の携帯及び提示義務)第一項又は第百七条の三(国際運転免許証等の携帯及び提示義務)前段の規定に違反した者
2  過失により前項第九号の三又は第十号の罪を犯した者は,二万円以下の罰金又は科料に処する。

秋田県道路交通法施行細則の関連条文

(軽車両の乗車又は積載の制限)
第9条 法第57条第2項の規定による軽車両の乗車人員又は積載物の重量,大きさ若しくは積載の方法の制限は,次に掲げるものとする。
(1) 乗車人員の制限
ア 二輪又は三輪の自転車には,運転者以外の者を乗車させないこと。ただし,次のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
(ア) 16歳以上の運転者が,幼児(6歳未満の者をいう。以下同じ。)1人を幼児用座席に乗車させている場合
(イ) 16歳以上の運転者が,4歳未満の者をひも等で確実に結び,背負つている場合
(ウ) 道路法(昭和27年法律第180号)第48条の14第2項に規定する自転車専用道路において,その乗車装置に応じた人員を乗車させている場合
(エ) 他人の需要に応じ,有償で,自転車を使用して旅客を運送する事業の業務に関し,当該業務に従事する者が,1人又は2人の者をその乗車装置に応じて乗車させている場合
イ 二輪又は三輪の自転車以外の軽車両には,その乗車装置に応じた人員を超える人員を乗車させないこと。
(2) 積載物の重量の制限
積載装置を備える自転車にあつては30キログラムを,貨物運搬用自転車にあつては65キログラムを,リヤカーをけん引する場合におけるそのけん引されるリヤカーについては120キログラムをそれぞれ超えないこと。
(3) 積載物の長さ,幅又は高さの制限
ア 長さは,自転車にあつてはその積載装置の長さに0.3メートル,自転車以外の軽車両にあつてはその積載装置の長さに0.6メートルを加えたもの
イ 幅は,積載装置の幅に0.3メートルを加えたもの
ウ 高さは,2メートル(自転車にあつては1.5メートル,自転車以外の軽車両にあつては3.5メートル)から積載する場所の高さを減じたもの
(4) 積載物の積載方法の制限
ア 積載装置から前後に,自転車にあつては0.3メートル,自転車以外の軽車両にあつては0.6メートルをそれぞれ超えないこと。
イ 積載装置から左右に,自転車にあつては0.15メートル,自転車以外の軽車両にあつては0.3メートルをそれぞれ超えないこと。

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相続税の課税方式の見直しについて

2008-07-23 18:56:02 | Weblog
asahi.com 受取額もとに相続税算定 政府税調,50年ぶり改正へ

 平成20年度の税制改正大綱の備考欄には,事業承継税制に係る記載があり,その中に次ぎのようにあった。

この新しい事業承継税制の制度化にあわせて,相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する。
その際,格差の固定化の防止,老後扶養の社会化への対処等相続税を巡る今日的課題を踏まえ,相続税の総合的見直しを検討する。


現行の相続税法には,第16条に「相続税の総額は,同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格に相当する金額の合計額からその遺産に係る基礎控除額を控除した金額を当該被相続人の前条第二項に規定する相続人の数に応じた相続人が民法第九百条 (法定相続分)及び第九百一条(代襲相続人の相続分)の規定による相続分に応じて取得したものとした場合におけるその各取得金額(当該相続人が,一人である場合又はない場合には,当該控除した金額)につきそれぞれその金額を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額とする。」,第17条に「相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税額は,その被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の総額に,それぞれこれらの事由により財産を取得した者に係る相続税の課税価格が当該財産を取得したすべての者に係る課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額とする。」とある。
この法定相続分課税方式を遺産取得課税方式に改める方向での検討。基礎控除の方式,その額,税率等が固まらなければ何とも言えないが,大きな改正であることは間違いない。因みに,遺産取得課税方式は昭和25年から同32年にかけて採用されていた方式。

財務省 平成20年度税制改正の大綱(平成19年12月19日)

国税庁 タックスアンサー 相続税


相続税法の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,相続税及び贈与税について,納税義務者,課税財産の範囲,税額の計算の方法,申告,納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。

(相続税の課税)
第十一条  相続税は,この節及び第三節に定めるところにより,相続又は遺贈により財産を取得した者の被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の総額(以下この節及び第三節において「相続税の総額」という。)を計算し,当該相続税の総額を基礎としてそれぞれこれらの事由により財産を取得した者に係る相続税額として計算した金額により,課する。

(相続税の課税価格)
第十一条の二  相続又は遺贈により財産を取得した者が第一条の三第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては,その者については,当該相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額をもつて,相続税の課税価格とする。
2  相続又は遺贈により財産を取得した者が第一条の三第三号の規定に該当する者である場合においては,その者については,当該相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものの価額の合計額をもつて,相続税の課税価格とする。

(遺産に係る基礎控除)
第十五条  相続税の総額を計算する場合においては,同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には,同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から,五千万円と千万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて得た金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
2  前項の相続人の数は,同項に規定する被相続人の民法第五編第二章 (相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は,次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし,相続の放棄があつた場合には,その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
一  当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく,養子の数が一人である場合 一人
二  当該被相続人に実子がなく,養子の数が二人以上である場合 二人
3  前項の規定の適用については,次に掲げる者は実子とみなす。
一  民法第八百十七条の二第一項 (特別養子縁組の成立)に規定する特別養子縁組による養子となつた者,当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となつた者その他これらに準ずる者として政令で定める者
二  実子若しくは養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し,又は相続権を失つたため民法第五編第二章 の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には,その放棄がなかつたものとした場合における相続人)となつたその者の直系卑属

(相続税の総額)
第十六条  相続税の総額は,同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格に相当する金額の合計額からその遺産に係る基礎控除額を控除した金額を当該被相続人の前条第二項に規定する相続人の数に応じた相続人が民法第九百条 (法定相続分)及び第九百一条(代襲相続人の相続分)の規定による相続分に応じて取得したものとした場合におけるその各取得金額(当該相続人が,一人である場合又はない場合には,当該控除した金額)につきそれぞれその金額を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額とする。

千万円以下の金額 百分の十
千万円を超え三千万円以下の金額 百分の十五
三千万円を超え五千万円以下の金額 百分の二十
五千万円を超え一億円以下の金額 百分の三十
一億円を超え三億円以下の金額 百分の四十
三億円を超える金額 百分の五十

(各相続人等の相続税額)
第十七条  相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税額は,その被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の総額に,それぞれこれらの事由により財産を取得した者に係る相続税の課税価格が当該財産を取得したすべての者に係る課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額とする。

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景観等を考える全国ネットの設立について

2008-07-22 19:52:23 | Weblog
asahi.com マンション景観紛争を支援 全国ネット設立

 良好な景観に近接する地域内に居住する者が享受する利益を「景観利益」と認めたものの,その私法上の権利性を否定したものに国立マンション訴訟がある。
以下は,住民がマンション建設事業者に20mを超える部分の撤去と撤去に至るまでの損害倍賞を求めた民事訴訟に係る最判H18.3.30の判示。

3 都市の景観は,良好な風景として,人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活環境を構成する場合には,客観的価値を有するものというべきである。被上告人Y1が本件建物の建築に着手した平成12年1月5日の時点において,国立市の景観条例と同様に,都市の良好な景観を形成し,保全することを目的とする条例を制定していた地方公共団体は少なくない状況にあり,東京都も,東京都景観条例(平成9年東京都条例第89号。同年12月24日施行)を既に制定し,景観作り(良好な景観を保全し,修復し又は創造すること。2条1号)に関する必要な事項として,都の責務,都民の責務,事業者の責務,知事が行うべき行為などを定めていた。また,平成16年6月18日に公布された景観法(平成16年法律第110号。同年12月17日施行)は,「良好な景観は,美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠なものであることにかんがみ,国民共通の資産として,現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう,その整備及び保全が図られなければならない。」と規定(2条1項)した上,国,地方公共団体,事業者及び住民の有する責務(3条から6条まで),景観行政団体がとり得る行政上の施策(8条以下)並びに市町村が定めることができる景観地区に関する都市計画(61条),その内容としての建築物の形態意匠の制限(62条),市町村長の違反建築物に対する措置(64条),地区計画等の区域内における建築物等の形態意匠の条例による制限(76条)等を規定しているが,これも,良好な景観が有する価値を保護することを目的とするものである。そうすると,良好な景観に近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者は,良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり,これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益(以下「景観利益」という。)は,法律上保護に値するものと解するのが相当である。
 もっとも,この景観利益の内容は,景観の性質,態様等によって異なり得るものであるし,社会の変化に伴って変化する可能性のあるものでもあるところ,現時点においては,私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず,景観利益を超えて「景観権」という権利性を有するものを認めることはできない。


次に,景観利益の違法な侵害といいうるための要件については,次のように判示。

4 ところで,民法上の不法行為は,私法上の権利が侵害された場合だけではなく,法律上保護される利益が侵害された場合にも成立し得るものである(民法709条)が,本件におけるように建物の建築が第三者に対する関係において景観利益の違法な侵害となるかどうかは,被侵害利益である景観利益の性質と内容,当該景観の所在地の地域環境,侵害行為の態様,程度,侵害の経過等を総合的に考察して判断すべきである。そして,景観利益は,これが侵害された場合に被侵害者の生活妨害や健康被害を生じさせるという性質のものではないこと,景観利益の保護は,一方において当該地域における土地・建物の財産権に制限を加えることとなり,その範囲・内容等をめぐって周辺の住民相互間や財産権者との間で意見の対立が生ずることも予想されるのであるから,景観利益の保護とこれに伴う財産権等の規制は,第一次的には,民主的手続により定められた行政法規や当該地域の条例等によってなされることが予定されているものということができることなどからすれば,ある行為が景観利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには,少なくとも,その侵害行為が刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであったり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するものであるなど,侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められると解するのが相当である。

この事案では,マンション建設計画のあることが判明したのは平成11年7月頃。マンションの建築確認がおりたのは平成12年1月5日。建築物の高さを20m以下に制限する改正条令が公布・施行されたのは同年2月1日。その時点では,マンションの根切り工事が始まっていたため,改正条令の規制は及ばない。結果,第一小法廷は,「本件建物の建築は,行為の態様その他の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くものとは認め難く,上告人らの景観利益を違法に侵害する行為に当たるということはできない。」と判断している。

なお,昨年話題になった漫画家の楳図かずお氏宅(武蔵野市)の建築工事差し止めに係る仮処分申し立てでは,東京地裁,概略,特別な景観がある場所ではなく,保護に値する景観利益があるとは認められないなどと判断。申し立てを却下している。

追記 「景観」と似て非なるものに「眺望」がある。これについては,伊藤茂昭ほか「眺望を巡る法的紛争に係る裁判上の争点の検討」(判例タイムズNo.1186)が有益な資料。

判例検索システム 平成18年03月30日 建築物撤去等請求事件


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

民法の関連条文

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条  他人の身体,自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず,前条の規定により損害賠償の責任を負う者は,財産以外の損害に対しても,その賠償をしなければならない。

景観法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,我が国の都市,農山漁村等における良好な景観の形成を促進するため,景観計画の策定その他の施策を総合的に講ずることにより,美しく風格のある国土の形成,潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り,もって国民生活の向上並びに国民経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)
第二条  良好な景観は,美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠なものであることにかんがみ,国民共通の資産として,現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう,その整備及び保全が図られなければならない。
2  良好な景観は,地域の自然,歴史,文化等と人々の生活,経済活動等との調和により形成されるものであることにかんがみ,適正な制限の下にこれらが調和した土地利用がなされること等を通じて,その整備及び保全が図られなければならない。
3  良好な景観は,地域の固有の特性と密接に関連するものであることにかんがみ,地域住民の意向を踏まえ,それぞれの地域の個性及び特色の伸長に資するよう,その多様な形成が図られなければならない。
4  良好な景観は,観光その他の地域間の交流の促進に大きな役割を担うものであることにかんがみ,地域の活性化に資するよう,地方公共団体,事業者及び住民により,その形成に向けて一体的な取組がなされなければならない。
5  良好な景観の形成は,現にある良好な景観を保全することのみならず,新たに良好な景観を創出することを含むものであることを旨として,行われなければならない。

(国の責務)
第三条  国は,前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,良好な景観の形成に関する施策を総合的に策定し,及び実施する責務を有する。
2  国は,良好な景観の形成に関する啓発及び知識の普及等を通じて,基本理念に対する国民の理解を深めるよう努めなければならない。

(地方公共団体の責務)
第四条  地方公共団体は,基本理念にのっとり,良好な景観の形成の促進に関し,国との適切な役割分担を踏まえて,その区域の自然的社会的諸条件に応じた施策を策定し,及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)
第五条  事業者は,基本理念にのっとり,土地の利用等の事業活動に関し,良好な景観の形成に自ら努めるとともに,国又は地方公共団体が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。

(住民の責務)
第六条  住民は,基本理念にのっとり,良好な景観の形成に関する理解を深め,良好な景観の形成に積極的な役割を果たすよう努めるとともに,国又は地方公共団体が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。

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金銭をめぐる探偵トラブルについて

2008-07-20 20:18:33 | Weblog
毎日jp 探偵トラブル:苦情6年連続1000件超

 記事には,概略,探偵業を巡るトラブルの背景には,料金設定の基準がないという事情があり,法の規制強化だけでは防止は難しい,とある。
日本調査業協会が料金設定の基準を設ければ問題は解決しそうだが,そうもいかない。独禁法が事業者団体に禁止する「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」(第8条第1項第1号)や「構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。」(同第4号)に該当する可能性が高いからだ。
公取委のHPには,興信所等の団体から出された,概略,「料金に係る苦情が多いため,拘束力のない料金設定の目安として標準料金表を作成したいが,独禁法上問題ないか」との相談事例が掲載されている。以下は,そこで示されている「独占禁止法上の考え方」と「回答の要旨」。

3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者団体が,標準価格,目標価格等価格設定の基準となるものを決定することにより,市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反する。また,市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても,原則として独占禁止法第8条第1項第4号の規定に違反する。
[団体ガイドライン1-(1)-3(標準価格等の決定)]
(2) 調査料金は,本来,個々の会員が自主的に決めるべきものであり,団体が標準料金表を作成して価格設定の基準となるものを示すことは,価格制限行為として,独占禁止法上問題となる。特に,団体が価格などの重要な競争手段を制限することは,顧客の保護又は業界の信用確保といった理由のいかんを問わず独占禁止法上問題となる。

4 回答の要旨
 団体が,標準料金表を作成して価格設定の基準となるものを示すことは,独占禁止法上問題となる。


「顧客の保護又は業界の信用確保といった理由のいかんを問わず」と解説するあたり,公取委の断固たる姿勢・調子が窺える。

さて,探偵業法を覗くと,第8条柱書には「探偵業者は,依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは,あらかじめ,当該依頼者に対し,次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。」とあり,その第7号に「探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期」,第8号に「契約の解除に関する事項」とある。書面不交付など,本条に違反した者は,30万円以下の罰金に処せられる(探偵業法第19条第3号,第20条)。
公安委員会は,業法違反の業者に対しては,必要な措置をとるべきことの指示や営業停止を命ずることもできる(探偵業法第14条,第15条参照)。契約内容の確認などの自己防衛は肝に銘ずるとしても,公安サイドには,立入検査(探偵業法第13条)も含め,適切な対応をお願いしたいもの。

なお,高額な違約金や口止め料等に係る契約条項は,消費者法第9条・10条により無効となる場合もある。

公取委 興信所の調査に関する標準料金表の作成 [団体ガイドライン1-(1)-3]


「探偵業の業務の適正化に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,探偵業について必要な規制を定めることにより,その業務の運営の適正を図り,もって個人の権利利益の保護に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「探偵業務」とは,他人の依頼を受けて,特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み,尾行,張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い,その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
2  この法律において「探偵業」とは,探偵業務を行う営業をいう。ただし,専ら,放送機関,新聞社,通信社その他の報道機関(報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい,これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。以下同じ。)を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて,その報道の用に供する目的で行われるものを除く。
3  この法律において「探偵業者」とは,第四条第一項の規定による届出をして探偵業を営む者をいう。

(探偵業の届出)
第四条  探偵業を営もうとする者は,内閣府令で定めるところにより,営業所ごとに,当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に,次に掲げる事項を記載した届出書を提出しなければならない。この場合において,当該届出書には,内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
一  商号,名称又は氏名及び住所
二  営業所の名称及び所在地並びに当該営業所が主たる営業所である場合にあっては,その旨
三  第一号に掲げる商号,名称若しくは氏名又は前号に掲げる名称のほか,当該営業所において広告又は宣伝をする場合に使用する名称があるときは,当該名称
四  法人にあっては,その役員の氏名及び住所
2  前項の規定による届出をした者は,当該探偵業を廃止したとき,又は同項各号に掲げる事項に変更があったときは,内閣府令で定めるところにより,公安委員会に,その旨を記載した届出書を提出しなければならない。この場合において,当該届出書には,内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
3  公安委員会は,第一項又は前項の規定による届出(同項の規定による届出にあっては,廃止に係るものを除く。)があったときは,内閣府令で定めるところにより,当該届出をした者に対し,届出があったことを証する書面を交付しなければならない。

(重要事項の説明等)
第八条  探偵業者は,依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは,あらかじめ,当該依頼者に対し,次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
一  探偵業者の商号,名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名
二  第四条第三項の書面に記載されている事項
三  探偵業務を行うに当たっては,個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十七号)その他の法令を遵守するものであること。
四  第十条に規定する事項
五  提供することができる探偵業務の内容
六  探偵業務の委託に関する事項
七  探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期
八  契約の解除に関する事項
九  探偵業務に関して作成し,又は取得した資料の処分に関する事項
2  探偵業者は,依頼者と探偵業務を行う契約を締結したときは,遅滞なく,次に掲げる事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該依頼者に交付しなければならない。
一  探偵業者の商号,名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名
二  探偵業務を行う契約の締結を担当した者の氏名及び契約年月日
三  探偵業務に係る調査の内容,期間及び方法
四  探偵業務に係る調査の結果の報告の方法及び期限
五  探偵業務の委託に関する定めがあるときは,その内容
六  探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額並びにその支払の時期及び方法
七  契約の解除に関する定めがあるときは,その内容
八  探偵業務に関して作成し,又は取得した資料の処分に関する定めがあるときは,その内容

(報告及び立入検査)
第十三条  公安委員会は,この法律の施行に必要な限度において,探偵業者に対し,その業務の状況に関し報告若しくは資料の提出を求め,又は警察職員に探偵業者の営業所に立ち入り,業務の状況若しくは帳簿,書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる。
2  前項の規定により警察職員が立入検査をするときは,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
3  第一項の規定による立入検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(指示)
第十四条  公安委員会は,探偵業者等がこの法律又は探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において,探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときは,当該探偵業者に対し,必要な措置をとるべきことを指示することができる。

(営業の停止等)
第十五条  公安委員会は,探偵業者等がこの法律若しくは探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき,又は前条の規定による指示に違反したときは,当該探偵業者に対し,当該営業所における探偵業について,六月以内の期間を定めて,その全部又は一部の停止を命ずることができる。
2  公安委員会は,第三条各号のいずれかに該当する者が探偵業を営んでいるときは,その者に対し,営業の廃止を命ずることができる。

第十九条  次の各号のいずれかに該当する者は,三十万円以下の罰金に処する。
一  第四条第一項の届出書又は添付書類に虚偽の記載をして提出した者
二  第四条第二項の規定に違反して届出書若しくは添付書類を提出せず,又は同項の届出書若しくは添付書類に虚偽の記載をして提出した者
三  第八条第一項若しくは第二項の規定に違反して書面を交付せず,又はこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者
四  第十二条第一項に規定する名簿を備え付けず,又はこれに必要な事項を記載せず,若しくは虚偽の記載をした者
五  第十三条第一項の規定に違反して報告をせず,若しくは資料の提出をせず,若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし,若しくは虚偽の資料を提出した者又は同項の規定による立入検査を拒み,妨げ,若しくは忌避した者

第二十条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,前三条の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,各本条の罰金刑を科する。

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の関連条文

第一条  この法律は,私的独占,不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し,事業支配力の過度の集中を防止して,結合,協定等の方法による生産,販売,価格,技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより,公正且つ自由な競争を促進し,事業者の創意を発揮させ,事業活動を盛んにし,雇傭及び国民実所得の水準を高め,以て,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。

第二条  この法律において「事業者」とは,商業,工業,金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員,従業員,代理人その他の者は,次項又は第三章の規定の適用については,これを事業者とみなす。
2  この法律において「事業者団体」とは,事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい,次に掲げる形態のものを含む。ただし,二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて,資本又は構成事業者の出資を有し,営利を目的として商業,工業,金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし,かつ,現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。
一  二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である社団法人その他の社団
二  二以上の事業者が理事又は管理人の任免,業務の執行又はその存立を支配している財団法人その他の財団
三  二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体
3  この法律において「役員」とは,理事,取締役,執行役,業務を執行する社員,監事若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者,支配人又は本店若しくは支店の事業の主任者をいう。
4  この法律において「競争」とは,二以上の事業者がその通常の事業活動の範囲内において,かつ,当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく次に掲げる行為をし,又はすることができる状態をいう。
一  同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること
二  同一の供給者から同種又は類似の商品又は役務の供給を受けること
5  この法律において「私的独占」とは,事業者が,単独に,又は他の事業者と結合し,若しくは通謀し,その他いかなる方法をもつてするかを問わず,他の事業者の事業活動を排除し,又は支配することにより,公共の利益に反して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
6  この法律において「不当な取引制限」とは,事業者が,契約,協定その他何らの名義をもつてするかを問わず,他の事業者と共同して対価を決定し,維持し,若しくは引き上げ,又は数量,技術,製品,設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し,又は遂行することにより,公共の利益に反して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
7  この法律において「独占的状態」とは,同種の商品(当該同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品を含む。)(以下この項において「一定の商品」という。)並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)の価額(当該商品に直接課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)又は国内において供給された同種の役務の価額(当該役務の提供を受ける者に当該役務に関して課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)の政令で定める最近の一年間における合計額が千億円を超える場合における当該一定の商品又は役務に係る一定の事業分野において,次に掲げる市場構造及び市場における弊害があることをいう。
一  当該一年間において,一の事業者の事業分野占拠率(当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)又は国内において供給された当該役務の数量(数量によることが適当でない場合にあつては,これらの価額とする。以下この号において同じ。)のうち当該事業者が供給した当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品又は役務の数量の占める割合をいう。以下この号において同じ。)が二分の一を超え,又は二の事業者のそれぞれの事業分野占拠率の合計が四分の三を超えていること。
二  他の事業者が当該事業分野に属する事業を新たに営むことを著しく困難にする事情があること。
三  当該事業者の供給する当該一定の商品又は役務につき,相当の期間,需給の変動及びその供給に要する費用の変動に照らして,価格の上昇が著しく,又はその低下がきん少であり,かつ,当該事業者がその期間次のいずれかに該当していること。
イ 当該事業者の属する政令で定める業種における標準的な政令で定める種類の利益率を著しく超える率の利益を得ていること。
ロ 当該事業者の属する事業分野における事業者の標準的な販売費及び一般管理費に比し著しく過大と認められる販売費及び一般管理費を支出していること。
8  経済事情が変化して国内における生産業者の出荷の状況及び卸売物価に著しい変動が生じたときは,これらの事情を考慮して,前項の金額につき政令で別段の定めをするものとする。
9  この法律において「不公正な取引方法」とは,次の各号のいずれかに該当する行為であつて,公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち,公正取引委員会が指定するものをいう。
一  不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。
二  不当な対価をもつて取引すること。
三  不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し,又は強制すること。
四  相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引すること。
五  自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。
六  自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し,又は当該事業者が会社である場合において,その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように,不当に誘引し,そそのかし,若しくは強制すること。
10  この法律において「子会社」とは,会社がその総株主(総社員を含む。以下同じ。)の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き,会社法 (平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項 の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。第四章において同じ。)の過半数を有する他の国内の会社をいう。

第八条  事業者団体は,次の各号の一に該当する行為をしてはならない。
一  一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。
二  第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。
三  一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。
四  構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。
五  事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。
2  事業者団体は,公正取引委員会規則の定めるところにより,その成立の日から三十日以内に,その旨を公正取引委員会に届け出なければならない。ただし,次に掲げる事業者団体は,届け出ることを要しない。
一  特別の法律の規定に基づき設立された事業者団体のうち,次のいずれかに該当するものとして政令で定めるもの
イ 当該法律で定められた目的,事業又は業務等に照らして,前項各号の一に該当する行為を行うおそれがない事業者団体
ロ 小規模の事業者若しくは消費者の相互扶助を目的として設立された事業者団体又はその健全な発達を目的として設立された事業者団体
二  小規模の事業者の相互扶助を目的として設立された事業者団体であつて,前項各号の一に該当する行為を行うおそれが少ないものとして政令で定めるもの(前号に掲げるものを除く。)
三  手形法 (昭和七年法律第二十号)及び小切手法 (昭和八年法律第五十七号)の規定により指定されている手形交換所
3  事業者団体(前項各号に掲げるものを除く。次項において同じ。)は,前項の規定による届出に係る事項に変更を生じたときは,公正取引委員会規則の定めるところにより,その変更の日の属する事業年度終了の日から二箇月以内に,その旨を公正取引委員会に届け出なければならない。
4  事業者団体が解散したときは,公正取引委員会規則の定めるところにより,その解散の日から三十日以内に,その旨を公正取引委員会に届け出なければならない。

第八条の二  前条第一項の規定に違反する行為があるときは,公正取引委員会は,第八章第二節に規定する手続に従い,事業者団体に対し,当該行為の差止め,当該団体の解散その他当該行為の排除に必要な措置を命ずることができる。
2  第七条第二項の規定は,前条第一項の規定に違反する行為に準用する。
3  公正取引委員会は,事業者団体に対し,第一項又は前項において準用する第七条第二項に規定する措置を命ずる場合において,特に必要があると認めるときは,第八章第二節に規定する手続に従い,当該団体の役員若しくは管理人又はその構成事業者(事業者の利益のためにする行為を行う役員,従業員,代理人その他の者が構成事業者である場合には,当該事業者を含む。第二十六条第一項及び第五十九条第二項において同じ。)に対しても,第一項又は前項において準用する第七条第二項に規定する措置を確保するために必要な措置を命ずることができる。

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外国政府を提訴できるケースを明確にするための法案提出について

2008-07-19 22:00:51 | Weblog
日本で提訴可能事例を明確化 外国政府相手の裁判 - さきがけ on the Web

 法案提出を後押ししているもののひとつに最判H18.7.21があると思われる。
この訴訟,日本の企業がパキスタン国を相手に準消費貸借契約に係る貸金元本等の支払いを求めたもの。第二小法廷は,昭和3年の古い大審院判例を引いて訴えを却下した原審を破棄。次のように判示し,絶対免除主義ではなく,制限免除主義を採ることを明らかにした。

3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 外国国家に対する民事裁判権免除に関しては,かつては,外国国家は,法廷地国内に所在する不動産に関する訴訟など特別の理由がある場合や,自ら進んで法廷地国の民事裁判権に服する場合を除き,原則として,法廷地国の民事裁判権に服することを免除されるという考え方(いわゆる絶対免除主義)が広く受け入れられ,この考え方を内容とする国際慣習法が存在していたものと解される。しかしながら,国家の活動範囲の拡大等に伴い,国家の行為を主権的行為とそれ以外の私法的ないし業務管理的な行為とに区分し,外国国家の私法的ないし業務管理的な行為についてまで法廷地国の民事裁判権を免除するのは相当でないという考え方(いわゆる制限免除主義)が徐々に広がり,現在では多くの国において,この考え方に基づいて,外国国家に対する民事裁判権免除の範囲が制限されるようになってきている。これに加えて,平成16年12月2日に国際連合第59回総会において採択された「国家及び国家財産の裁判権免除に関する国際連合条約」も,制限免除主義を採用している。このような事情を考慮すると,今日においては,外国国家は主権的行為について法廷地国の民事裁判権に服することを免除される旨の国際慣習法の存在については,これを引き続き肯認することができるものの(最高裁平成11年(オ)第887号,同年(受)第741号同14年4月12日第二小法廷判決・民集56巻4号729頁参照),外国国家は私法的ないし業務管理的な行為についても法廷地国の民事裁判権から免除される旨の国際慣習法はもはや存在しないものというべきである。 そこで,外国国家の私法的ないし業務管理的な行為に対する我が国の民事裁判権の行使について考えるに,外国国家に対する民事裁判権の免除は,国家がそれぞれ独立した主権を有し,互いに平等であることから,相互に主権を尊重するために認められたものであるところ,外国国家の私法的ないし業務管理的な行為については,我が国が民事裁判権を行使したとしても,通常,当該外国国家の主権を侵害するおそれはないものと解されるから,外国国家に対する民事裁判権の免除を認めるべき合理的な理由はないといわなければならない。外国国家の主権を侵害するおそれのない場合にまで外国国家に対する民事裁判権免除を認めることは,外国国家の私法的ないし業務管理的な行為の相手方となった私人に対して,合理的な理由のないまま,司法的救済を一方的に否定するという不公平な結果を招くこととなる。したがって,外国国家は,その私法的ないし業務管理的な行為については,我が国による民事裁判権の行使が当該外国国家の主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り,我が国の民事裁判権から免除されないと解するのが相当である。


記事には,概略,外国政府を相手取った訴訟は主権侵害に当たらない場合に限り認める方針,とあるが,主権的行為か,私法的ないし業務管理的な行為かを区別する基準をいかにするかも論点としてある。この点については,上記最判,行為目的基準説ではなく,行為性質基準説を採用している。
提訴可能事例を明確化ということだが,上記最判は事案の解決に必要な限りで判断を示したもの。提訴可能な「私法的ないし業務管理的な行為」,どのようなものがあげられるか注目される。

なお,記事には,政府は国会に対し国連裁判権免除条約の批准の承認を求める方針とあるが,署名については昨年1月に了している。

判例検索システム 平成18年07月21日 貸金請求事件

外務省 国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約

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障害者が裁判員役を務める模擬裁判について

2008-07-18 21:00:11 | Weblog
障害者にも理解しやすく,17日から模擬裁判 東京地裁 NIKKEI NET

 裁判員法第14条第3号に,裁判員の欠格事由として,「心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある者」がある。
これに関しては,裁判員制度のHPに,次のQ&Aがある。

○ 心身に障害があっても裁判員になれるのですか。

障害があるというだけで裁判員候補者から除外されることはありませんが,裁判員の職務の遂行に著しい支障のある場合は,裁判員になることができません。


この点,図面や録音テープ等の見聞きが事実認定に不可欠な場合は,欠格事由に該当するため,視聴覚障害者を選任しないケースもある,との最高裁の対応・方針には,障害者団体から少なからぬ批判が出ているようだ。
記事には,概略,証拠図面の内容を説明して,視聴覚障害者が審理内容を十分に理解できるよう工夫する,とある。結構なこと。何事も,やってみないことには始まらない。

なお,検察官や被告人は,裁判員候補者から,それぞれ,原則4人を限度として理由を示さずに不選任の決定の請求をすることができる(裁判員法第36条第1項,同規則第34条)。この制度,公正公平な裁判実現を目的として,訴訟当事者が偏向的な思想の持ち主等の排除を求めるためのもの,などと説明される場合もある。障害者の裁判員制度参加との関係では,この不選任請求の制度にも注意が必要かもしれない。

裁判員制度Q&A


「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」

(趣旨)
第一条  この法律は,国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ,裁判員の参加する刑事裁判に関し,裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

(対象事件及び合議体の構成)
第二条  地方裁判所は,次に掲げる事件については,次条の決定があった場合を除き,この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は,裁判所法第二十六条の規定にかかわらず,裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一  死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二  裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
2  前項の合議体の裁判官の員数は三人,裁判員の員数は六人とし,裁判官のうち一人を裁判長とする。ただし,次項の決定があったときは,裁判官の員数は一人,裁判員の員数は四人とし,裁判官を裁判長とする。
3  第一項の規定により同項の合議体で取り扱うべき事件(以下「対象事件」という。)のうち,公判前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ,事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては,裁判所は,裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。
4  裁判所は,前項の決定をするには,公判前整理手続において,検察官,被告人及び弁護人に異議のないことを確認しなければならない。
5  第三項の決定は,第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日までにしなければならない。
6  地方裁判所は,第三項の決定があったときは,裁判所法第二十六条第二項の規定にかかわらず,当該決定の時から第三項に規定する合議体が構成されるまでの間,一人の裁判官で事件を取り扱う。
7  裁判所は,被告人の主張,審理の状況その他の事情を考慮して,事件を第三項に規定する合議体で取り扱うことが適当でないと認めたときは,決定で,同項の決定を取り消すことができる。

(裁判官及び裁判員の権限)
第六条  第二条第一項の合議体で事件を取り扱う場合において,刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決,同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決若しくは同法第三百三十六条の規定による無罪の判決又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定に係る裁判所の判断(次項第一号及び第二号に掲げるものを除く。)のうち次に掲げるもの(以下「裁判員の関与する判断」という。)は,第二条第一項の合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議による。
一  事実の認定
二  法令の適用
三  刑の量定
2  前項に規定する場合において,次に掲げる裁判所の判断は,構成裁判官の合議による。
一  法令の解釈に係る判断
二  訴訟手続に関する判断(少年法第五十五条の決定を除く。)
三  その他裁判員の関与する判断以外の判断
3  裁判員の関与する判断をするための審理は構成裁判官及び裁判員で行い,それ以外の審理は構成裁判官のみで行う。

(裁判員の職権行使の独立)
第八条  裁判員は,独立してその職権を行う。

(裁判員の選任資格)
第十三条  裁判員は,衆議院議員の選挙権を有する者の中から,この節の定めるところにより,選任するものとする。

(欠格事由)
第十四条  国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条の規定に該当する場合のほか,次の各号のいずれかに該当する者は,裁判員となることができない。
一  学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に定める義務教育を終了しない者。ただし,義務教育を終了した者と同等以上の学識を有する者は,この限りでない。
二  禁錮以上の刑に処せられた者
三  心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある者

(就職禁止事由)
第十五条  次の各号のいずれかに該当する者は,裁判員の職務に就くことができない。
一  国会議員
二  国務大臣
三  次のいずれかに該当する国の行政機関の職員
イ 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)別表第十一指定職俸給表の適用を受ける職員(ニに掲げる者を除く。)
ロ 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員であって,同表七号俸の俸給月額以上の俸給を受けるもの
ハ 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)別表第一及び別表第二の適用を受ける職員
ニ 防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号。以下「防衛省職員給与法」という。)第四条第一項の規定により一般職の職員の給与に関する法律別表第十一指定職俸給表の適用を受ける職員及び防衛省職員給与法第四条第二項の規定により一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律第七条第一項の俸給表に定める額の俸給(同表七号俸の俸給月額以上のものに限る。)を受ける職員
四  裁判官及び裁判官であった者
五  検察官及び検察官であった者
六  弁護士(外国法事務弁護士を含む。以下この項において同じ。)及び弁護士であった者
七  弁理士
八  司法書士
九  公証人
十  司法警察職員としての職務を行う者
十一  裁判所の職員(非常勤の者を除く。)
十二  法務省の職員(非常勤の者を除く。)
十三  国家公安委員会委員及び都道府県公安委員会委員並びに警察職員(非常勤の者を除く。)
十四  判事,判事補,検事又は弁護士となる資格を有する者
十五  学校教育法に定める大学の学部,専攻科又は大学院の法律学の教授又は准教授
十六  司法修習生
十七  都道府県知事及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長
十八  自衛官
2  次のいずれかに該当する者も,前項と同様とする。
一  禁錮以上の刑に当たる罪につき起訴され,その被告事件の終結に至らない者
二  逮捕又は勾留されている者

(辞退事由)
第十六条  次の各号のいずれかに該当する者は,裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる。
一  年齢七十年以上の者
二  地方公共団体の議会の議員(会期中の者に限る。)
三  学校教育法第一条,第百二十四条又は第百三十四条の学校の学生又は生徒(常時通学を要する課程に在学する者に限る。)
四  過去五年以内に裁判員又は補充裁判員の職にあった者
五  過去三年以内に選任予定裁判員であった者
六  過去一年以内に裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者(第三十四条第七項(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。),第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。第二十六条第三項において同じ。)の規定による不選任の決定があった者を除く。)
七  過去五年以内に検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員又は補充員の職にあった者
八  次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があり,裁判員の職務を行うこと又は裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者
イ 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。
ロ 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があること。
ハ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。
ニ 父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。

(事件に関連する不適格事由)
第十七条  次の各号のいずれかに該当する者は,当該事件について裁判員となることができない。
一  被告人又は被害者
二  被告人又は被害者の親族又は親族であった者
三  被告人又は被害者の法定代理人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人又は補助監督人
四  被告人又は被害者の同居人又は被用者
五  事件について告発又は請求をした者
六  事件について証人又は鑑定人になった者
七  事件について被告人の代理人,弁護人又は補佐人になった者
八  事件について検察官又は司法警察職員として職務を行った者
九  事件について検察審査員又は審査補助員として職務を行い,又は補充員として検察審査会議を傍聴した者
十  事件について刑事訴訟法第二百六十六条第二号の決定,略式命令,同法第三百九十八条から第四百条まで,第四百十二条若しくは第四百十三条の規定により差し戻し,若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となった取調べに関与した者。ただし,受託裁判官として関与した場合は,この限りでない。

(その他の不適格事由)
第十八条  前条のほか,裁判所がこの法律の定めるところにより不公平な裁判をするおそれがあると認めた者は,当該事件について裁判員となることができない。

(準用)
第十九条  第十三条から前条までの規定(裁判員の選任資格,欠格事由,就職禁止事由,辞退事由,事件に関連する不適格事由及びその他の不適格事由)は,補充裁判員に準用する。

(理由を示さない不選任の請求)
第三十六条  検察官及び被告人は,裁判員候補者について,それぞれ,四人(第二条第三項の決定があった場合は,三人)を限度として理由を示さずに不選任の決定の請求(以下「理由を示さない不選任の請求」という。)をすることができる。
2  前項の規定にかかわらず,補充裁判員を置くときは,検察官及び被告人が理由を示さない不選任の請求をすることができる員数は,それぞれ,同項の員数にその選任すべき補充裁判員の員数が一人又は二人のときは一人,三人又は四人のときは二人,五人又は六人のときは三人を加えた員数とする。
3  理由を示さない不選任の請求があったときは,裁判所は,当該理由を示さない不選任の請求に係る裁判員候補者について不選任の決定をする。
4  刑事訴訟法第二十一条第二項の規定は,理由を示さない不選任の請求について準用する。

「裁判員の参加する刑事裁判に関する規則」の関連条文

(理由を示さない不選任の請求の順序・法第三十六条)
第三十四 条裁判所は,検察官及び被告人が理由を示さない不選任の請求(法第三十六条
第一項に規定する理由を示さない不選任の請求をいう。以下同じ。)をするに当たって
は,検察官及び被告人に対し,交互にそれぞれ一人の裁判員候補者について理由を示さ
ない不選任の請求をする機会を与えるものとする。
2 検察官及び被告人が理由を示さない不選任の請求をした場合には,相手方に対し,理
由を示さない不選任の請求をした裁判員候補者を知る機会を与えなければならない。
3 裁判所は,まず検察官に対し,理由を示さない不選任の請求をする機会を与えるもの
とする。
4 裁判所は,被告人が数人ある場合において,被告人に対し理由を示さない不選任の請
求をする機会を与えるときは,あらかじめ定めた順序に従うものとする。
5 検察官及び被告人は,理由を示さない不選任の請求をする機会が与えられた場合にお
いて,理由を示さない不選任の請求をしなかったときは,以後理由を示さない不選任の
請求をすることができない。

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