法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

北海道拓殖銀行の清算終了について

2006-01-31 19:17:45 | Weblog
拓銀,名実ともに消滅へ 株主総会で清算終了報告 Sankei Web

 残念ながら,清算終了(結了)→法人格の消滅(株主たる地位の消滅)→株券は,経済的には,「ただの紙切れ」,となろう。

なお,銀行変遷史データベースに「北海道拓殖」と入力すると,次のようなデータが出てくる。

平成10.6  株主総会において,北海道地区の営業を北洋銀行に,本州地区の営業を中央信託銀行(昭和37-平成12)にそれぞれ譲渡し,解散することを決議
平成10.11 営業譲渡・解散についての内閣総理大臣認可,営業譲渡実施
平成11.3  解散

早晩,ここに,「平成18.1 清算終了(結了)」が加わるのか・・・。


銀行法の関連条文

(廃業及び解散等の認可)
第三十七条  次に掲げる事項は,内閣総理大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。
一  銀行業の廃止に係る定款の変更についての株主総会の決議
二  銀行を全部又は一部の当事者とする合併(第三十条第一項に規定する合併及び金融機関の合併及び転換に関する法律第三条 (合併)の規定による合併に該当するものを除く。)
三  銀行の解散についての株主総会の決議
2  内閣総理大臣は,前項の認可の申請があつたときは,次に掲げる基準のいずれかに適合するかどうかを審査しなければならない。
一  当該銀行業の廃止,合併又は解散が当該銀行の業務及び財産の状況に照らしてやむを得ないものであること。
二  当該銀行業の廃止,合併又は解散が,当該銀行が業務を営んでいる地域における資金の円滑な需給及び利用者の利便に支障を及ぼすおそれのないものであること。
3  内閣総理大臣は,第二十六条第一項又は第二十七条の規定による業務の全部又は一部の停止の命令をした銀行から第一項の認可の申請があつた場合においては,当該銀行に対し,同項の認可をしてはならない。これらの命令をすること又は同条の規定により第四条第一項の免許を取り消すことが必要であると認める銀行から第一項の認可の申請があつた場合も,同様とする。

商法の関連条文

第百二十四条  清算人ノ職務左ノ如シ
一  現務ノ結了
二  債権ノ取立及債務ノ弁済
三  残余財産ノ分配
2 会社ヲ代表スベキ清算人ハ前項ノ職務ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
3 民法第八十一条 ノ規定ハ合名会社ニ之ヲ準用ス

第百三十四条  清算ガ結了シタルトキハ前条ノ承認アリタル後本店ノ所在地ニ於テハ二週間,支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ清算結了ノ登記ヲ為スコトヲ要ス

第四百二十七条  清算事務ガ終リタルトキハ清算人ハ遅滞ナク決算報告書ヲ作リ之ヲ株主総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
2 第二百八十一条第三項ノ規定ハ決算報告書ニ之ヲ準用ス
3 第一項ノ承認アリタルトキハ会社ハ清算人ニ対シテ其ノ責任ヲ解除シタルモノト看做ス但シ清算人ニ不正ノ行為アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

郵便局の「タウンプラス」について

2006-01-31 17:44:15 | Weblog
asahi.com 松下,石油温風機事故で6千万カ所にはがき

 記事では2月中旬の配達となっていたFF式石油暖房機に係る松下電器産業からの「配達地域指定冊子小包郵便(タウンプラス)」,我が家には,本日届いた。
昨年9月にスタートしたサービスのようだが,「全国すべての世帯と宿泊施設への配達」というのは想定外の利用の仕方か。結果的に,「配達地域指定冊子小包郵便」というよりは,「配達地域無指定冊子小包郵便」になった ^^; 。

今回は生命・健康に係わるもの。不謹慎な物言いは慎まなければならないが,松下電器のネームバリューとも相俟って,郵政公社にとっては,巧まずして効果的な宣伝となった。


郵便法の関連条文

(要件)
第三十条 信書以外の物(その物に添付する無封の添え状又は送り状を含む。)を内容とする郵便物で、その包装の表面の見やすい所に小包なる文字を掲げたものは、小包郵便物とする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

確認会社の「解散事由の定め」の廃止に係る整備法について

2006-01-31 08:54:11 | Weblog
“1円企業”,3年で3万社超に NIKKEI NET

 その後,最低資本金をクリアしたのはどの程度なのだろうか。この辺りの情報も欲しいところ。
確認会社については最低資本金規制は設立の日から5年間は猶予されているところ,会社法は最低資本金制度を採用していない。これとの関係で,整備法第448条は,確認会社は,会社法第466条にかかわらず,取締役会の決議ないし取締役の過半数の決定で,定款の「解散事由の定め」を廃止することができる,としている。

この点,何故,整備法で,定款については解散事由の定めに係る記載又は記録はないものとみなす,登記については職権抹消の措置をとる,といった形にしなかったのか不思議に思っていた。これに関し,相澤哲氏(法務省大臣官房参事官)は,『旬刊金融法務事情』No1755の「<座談会>新会社法が与える金融実務への影響(上)」の中で,次のように説明されている。これは,出席者の,概略,自動的に定款から解散事由の定めが削除されるというわけではないのですね,という問いかけに応じたもの。以下,青字で引用。

相澤  はい。場合によっては,会社法の改正にかかわらず,何年内に現行の最低資本金額をクリアしなければ解散するという意を固めている確認株式会社・有限会社があるかも知れません。ですから,整備法の中にみなし規定は置かれていません。(後略)

確かに,相澤氏のいわれるような会社,ないとは言い切れない。


整備法の関連条文

(中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第448条 この法律の施行の際現に存する前条の規定による改正前の中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律第3条の19第1項各号又は同条第2項各号に掲げる事由により解散する旨の定款の定め(第456条の規定による改正前の中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律(平成17法律第   号)附則第10条の規定により定款の変更があったものとみなされたものを含む。)については,会社法第466条の規定にかかわらず,取締役会設置会社にあっては取締役会の決議,取締役会設置会社でない会社にあっては取締役の過半数の決定により,その定めを廃止する定款の変更をすることができる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名目的役員の責任について

2006-01-30 22:48:15 | Weblog
 現行商法では,株式会社は3人以上の取締役を必ず置き(商法第255条),なおかつ,取締役会を設置しなければならないとされている。
しかし,中小株式会社では,この人員を確保することが困難なため,名目的な取締役が少なくないといわれる。
この点,会社法では,株式会社と有限会社の一体化にあたり,取締役会を設置せず,取締役会の員数を1人とすることも認められており(会社法第327条),監査役も必置ではなくなった(同第328条)。人員確保の問題から開放された中小株式会社には,コスト面だけを考えれば,敢えて割高な機関設計をしようというインセンティブは働かないといえる。
しかし,取締役会の有無は,総会に対する株主提案権の内容(会社法第303条)と,また,業務監査権限を有する監査役の有無は,取締役会議事録の閲覧権ほか(会社法第371条第2項,同泰367条第1項・第3項,同泰367条第4項,同426条第1項,同357条,同360条)といったこととも関係する。その意味で,中小株式会社が,一気に身の丈にあった機関設計へと進むかについては,なお,不透明感が残る。

 ところで,判例は,名目的取締役の対第三者責任について,これまで比較的寛容な態度をとってきたといわれる。さて,機関設計の自由化に伴い,判例の態度に変化はあるだろうか。
この問題については,相澤哲氏(法務省大臣官房参事官)が,『旬刊金融法務事情』No1756の「<座談会>新会社法が与える金融実務への影響(下)」の中で,次のように発言されている。これは,出席者の,概略,会社法の下では名目的取締役だったという言い訳が通用する範囲は狭くなるのではないか?,という質問に答えたもの。以下,青字で引用。

相澤  実務において名目的な役員というものを減らしていくかどうか次第だと思いますが,少なくとも減らしていく方向での環境は整えられたと思います。それにもかかわらず名目的な役員が置かれているとなると,少なくとも相応の時期が来れば,名目的な役員にとって不利益な方向で働く可能性があるのではないかと思います。

 相澤氏の発言は一般論を述べたものだが,微視的には,a 名目的取締役の責任については,会社の設立が会社法施行の前か後かで扱いが異なる,b 就任期間は同じでも,10年の任期途中にある名目的取締役と,何期か再任を繰り返している名目的取締役とでは事情は異なる,といった見方も可能のように思われる。どうだろうか。


会社法の関連条文

(株主総会以外の機関の設置)
第三百二十六条 株式会社には,一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
2 株式会社は,定款の定めによって,取締役会,会計参与,監査役,監査役会,会計監査人又は委員会を置くことができる。

(取締役会等の設置義務等)
第三百二十七条 次に掲げる株式会社は,取締役会を置かなければならない。
一 公開会社
二 監査役会設置会社
三 委員会設置会社
2 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)は,監査役を置かなければならない。ただし,公開会社でない会計参与設置会社については,この限りでない。
3 会計監査人設置会社(委員会設置会社を除く。)は,監査役を置かなければならない。
4 委員会設置会社は,監査役を置いてはならない。
5 委員会設置会社は,会計監査人を置かなければならない。

(大会社における監査役会等の設置義務)
第三百二十八条 大会社(公開会社でないもの及び委員会設置会社を除く。)は,監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
2 公開会社でない大会社は,会計監査人を置かなければならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大会社である取締役会設置会社における内部統制システムの決定期限について

2006-01-30 19:54:41 | Weblog
 大会社である取締役会設置会社においては,会社の業務の適性を確保するための体制(内部統制システム)の構築の基本方針の決定が義務付けられており(会社法第362条第5項),この決定を取締役に委任することは認められていない(会社法第362条第4項第6号)。

 この類型の会社において,上記の決定をいつまでおこなわなければならないか気になるところだが,先般公表された「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う経過措置を定める政令」に経過措置が置かれている(第14条)。
これによると,会社法第362条第5項は,施行日以後最初に開催される取締役会の終結までは適用しない,となっている。つまり,遅くとも,施行日以後最初に開催される取締役会においては決定しなければならないことになる。注意したい。


会社法の関連条文

(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は,すべての取締役で組織する。
2 取締役会は,次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は,取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は,次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置,変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5 大会社である取締役会設置会社においては,取締役会は,前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。

「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う経過措置を定める政令」の関連条文

(取締役会の権限等に関する規定の適用除外)
第十四条 新株式会社については,会社法第三百六十二条第五項の規定は,施行日以後最初に開催される取締役会の終結の時までは,適用しない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

横手市の地域自治区について

2006-01-29 17:53:43 | Weblog
住民の声を行政に,横手市で地域協議会がスタート - さきがけonTheWeb

 大仙市に地域自治区が設置されたのは報道で知っていたが,横手市にも設置されているとのこと。旧横手市の地域自治区の根拠法は地方自治法,その他の旧7町村に置かれる地域自治区の根拠法は合併特例法。

 横手平鹿8市町村合併協議会HPにある合併特例法の条文番号がおかしいと思ったら,これは旧法(正式名「市町村の合併の特例に関する法律」,昭和40年3月29日法律第6号)のそれであった。新法(正式名「市町村の合併の特例等に関する法律」,平成16年 5月26日法律第59号)は,平成17年4月1日~平成22年3月31日までの限時法である(附則第2条第1項本文参照)。

美の国あきたネットHP 秋田県の市町村合併


地方自治法の関連条文

(地域自治区の設置)
第二百二条の四  市町村は,市町村長の権限に属する事務を分掌させ,及び地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため,条例で,その区域を分けて定める区域ごとに地域自治区を設けることができる。
2  地域自治区に事務所を置くものとし,事務所の位置,名称及び所管区域は,条例で定める。
3  地域自治区の事務所の長は,事務吏員をもつて充てる。
4  第四条第二項の規定は第二項の地域自治区の事務所の位置及び所管区域について,第百七十五条第二項の規定は前項の事務所の長について準用する。

「市町村の合併の特例に関する法律」の関連条文

(地域自治区の設置手続等の特例)
第五条の五  市町村の合併に際しては,地方自治法第二百二条の四第一項 の規定にかかわらず,合併関係市町村の協議で定める期間に限り,合併市町村の区域の一部の区域に,一又は二以上の合併関係市町村の区域であつた区域をその区域とする同項 に規定する地域自治区(以下「合併関係市町村の区域による地域自治区」という。)を設けることができる。
2  市町村の合併に際し,合併市町村の区域の全部又は一部の区域に,合併関係市町村の区域による地域自治区を設ける場合においては,地方自治法第二百二条の四 から第二百二条の八 までの規定により条例で定めるものとされている事項については,合併関係市町村の協議により定めるものとする。
3  前二項の協議については,合併関係市町村の議会の議決を経るものとし,その協議が成立したときは,合併関係市町村は,直ちにその内容を告示しなければならない。
4  合併市町村は,第一項及び第二項の協議により定められた事項を変更しようとするときは,条例でこれを定めなければならない。

(地域自治区の区長)
第五条の六  市町村の合併に際して設ける合併関係市町村の区域による地域自治区(以下「合併に係る地域自治区」という。)において,当該合併に係る地域自治区の区域における事務を効果的に処理するため特に必要があると認めるときは,合併関係市町村の協議により,期間を定めて合併に係る地域自治区の事務所の長に代えて区長を置くことができる。
2  区長は,地域の行政運営に関し優れた識見を有する者のうちから,合併市町村の長が選任する。
3  区長の任期は,二年以内において合併関係市町村の協議で定める期間とする。
4  第一項及び前項の協議については,合併関係市町村の議会の議決を経るものとし,その協議が成立したときは,合併関係市町村は,直ちにその内容を告示しなければならない。
5  合併市町村は,第一項及び第三項の協議により定められた事項を変更しようとするときは,条例でこれを定めなければならない。
6  次の各号のいずれかに該当する者は,区長となることができない。
一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
二  禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
7  合併市町村の長は,区長が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合その他区長がその職に必要な適格性を欠くと認める場合には,これを罷免することができる。
8  合併市町村の長は,区長に職務上の義務違反その他区長たるに適しない非行があると認める場合には,これに対し懲戒処分として戒告,減給,停職又は免職の処分をすることができる。
9  区長は,前二項の規定による場合を除くほか,その意に反して罷免され,又は懲戒処分を受けることがない。
10  区長は,第六項各号のいずれかに該当するに至つたときは,その職を失う。
11  合併に係る地域自治区の事務所の職員のうち区長があらかじめ指定する者は,区長に事故があるとき又は区長が欠けたときは,その職務を代理する。
12  区長は,合併市町村の円滑な運営と均衡ある発展に資するよう,合併市町村の長その他の機関及び合併に係る地域自治区の区域内の公共的団体等との緊密な連携を図りつつ,担任する事務を処理するものとする。
13  地方自治法第百六十五条第二項 及び第百七十五条第二項 並びに地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十四条 の規定は,区長について準用する。この場合において,地方自治法第百六十五条第二項 中「副知事又は助役」とあるのは「区長(市町村の合併の特例に関する法律第五条の六第一項に規定する区長をいう。以下同じ。)」と,「普通地方公共団体の長に」とあるのは「合併市町村(同法第二条第二項に規定する合併市町村をいう。以下同じ。)の長に」と,「普通地方公共団体の長の」とあるのは「合併市町村の長の」と,同法第百七十五条第二項中「前項に規定する機関の長」とあるのは「区長」と,「普通地方公共団体」とあるのは「合併市町村」と読み替えるものとする。
14  第一項に規定する区長の職は,地方公務員法第三条 の特別職とする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信託業法の見直しについて

2006-01-29 11:56:07 | Weblog
金融庁HP 信託法改正に伴う信託業法の見直しについて

 「今回の改正においては,信託法改正に伴って追加される新しい信託類型等について,信託業法上,十分活用可能となるよう配慮しつつ適切に位置づけるために必要な措置を早急に講ずることを基本とする。」とある。

信託宣言に係る行為規制については,改正信託法上,事後的に詐害行為取消権が認められ,受託者の義務に関するルールも整備されているので,通常の信託と同様の対応で十分であるといった意見もあった模様。しかし,委託者の牽制がないといった理由から,信託宣言の内容についての説明義務,信託設定に係る第三者チェック等を設けるといった措置を講ずべき,との声が優勢のようである。

なお,『判例タイムズ No.1192』の鼎談は,「信託法を語る」。今回のゲストは,道垣内弘人教授。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハートのないビルについて

2006-01-29 10:41:18 | Weblog
東横インの法令違反,全国自治体に調査要請…国交省 YOMIURI ONLINE

asahi.com 東横イン社長,駐車場「とっちゃえ」 報告受け承諾

 秋田は問題ない模様

適合する建物をいったん建築→完了検査直後に設備の撤去・改造工事→開業,というから悪質である。ハートビル法(正式名「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」)違反も明らかなのでは(第3条第1項)。
「とっちゃえ」の軽さもさることながら,朝日の記事にある社長談話の最後の部分には驚いてしまう。失礼ながら,あなたに法を説かれても・・・。

国交省HP ハートのあるビルをつくろう


ハートビル法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築の促進のための措置を講ずることにより建築物の質の向上を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  高齢者,身体障害者等 高齢者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの,身体障害者その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者をいう。
二  特定建築物 学校,病院,劇場,観覧場,集会場,展示場,百貨店,ホテル,事務所,共同住宅,老人ホームその他の多数の者が利用する政令で定める建築物又はその部分をいい,これらに附属する特定施設を含むものとする。
三  特別特定建築物 不特定かつ多数の者が利用し,又は主として高齢者,身体障害者等が利用する特定建築物で,高齢者,身体障害者等が円滑に利用できるようにすることが特に必要なものとして政令で定めるものをいう。
四  特定施設 出入口,廊下,階段,昇降機,便所,敷地内の通路その他の政令で定める施設をいう。
五  建築 建築物を新築し,増築し,又は改築することをいう。
六  所管行政庁 建築主事を置く市町村又は特別区の区域については当該市町村又は特別区の長をいい,その他の市町村又は特別区の区域については都道府県知事をいう。ただし,建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第九十七条の二第一項 又は第九十七条の三第一項 の規定により建築主事を置く市町村又は特別区の区域内の政令で定める建築物については,都道府県知事とする。

(特別特定建築物の建築等における基準適合義務等)
第三条  特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとする者は,当該特別特定建築物を,高齢者,身体障害者等が円滑に利用できるようにするために必要な政令で定める特定施設の構造及び配置に関する基準(以下「利用円滑化基準」という。)に適合させなければならない。当該建築をした特別特定建築物の維持保全をする者についても,同様とする。
2  地方公共団体は,その地方の自然的社会的条件の特殊性により,前項の規定のみによっては,高齢者,身体障害者等が特定建築物を円滑に利用できるようにする目的を十分に達し難いと認める場合においては,特別特定建築物に条例で定める特定建築物を追加し,同項の建築の規模を条例で同項の政令で定める規模未満で別に定め,又は利用円滑化基準に条例で必要な事項を付加することができる。
3  前二項の規定は,建築基準法第六条第一項 に規定する建築基準関係規定とみなす。

(特別特定建築物に対する基準適合命令等)
第四条  所管行政庁は,前条第一項又は第二項の規定に違反している事実があると認めるときは,特別特定建築物(同項の条例で定める特定建築物を含む。以下この条において同じ。)の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)又は維持保全をする者に対して,相当の猶予期限を付けて,同条第一項又は第二項の規定に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
2  国,都道府県又は建築主事を置く市町村の特別特定建築物については,前項の規定は,適用しない。この場合において,所管行政庁は,国,都道府県又は建築主事を置く市町村の特別特定建築物が前条第一項又は第二項の規定に違反している事実があると認めるときは,直ちに,その旨を当該特別特定建築物を管理する機関の長に通知し,前項に規定する措置をとるべきことを要請しなければならない。
3  所管行政庁は,前二項の規定の施行に必要な限度において,政令で定めるところにより,特別特定建築物の建築若しくは維持保全をする者に対し,特別特定建築物の利用円滑化基準(前条第二項の条例で付加した事項を含む。次条において同じ。)への適合に関する事項に関し報告させ,又はその職員に,特別特定建築物若しくはその工事現場に立ち入り,特別特定建築物,建築設備,書類その他の物件を検査させることができる。
4  前項の規定により立入検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人に提示しなければならない。
5  第三項の規定による立入検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(特定建築物の建築等における努力義務等)
第五条  特定建築物の建築(用途の変更をして特定建築物にすることを含む。以下同じ。)をしようとする者(第三条第一項前段又は第二項の規定が適用される者を除く。)は,当該特定建築物を利用円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2  特定建築物の特定施設の修繕又は模様替をしようとする者(第三条第一項後段又は第二項の規定が適用される者を除く。)は,当該特定施設を利用円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3  所管行政庁は,特定建築物について前二項に規定する措置の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは,前二項に規定する者に対し,利用円滑化基準を勘案して,特定建築物又はその特定施設の設計及び施工に係る事項について必要な指導及び助言をすることができる。

第十九条  第四条第一項の規定による命令に違反した者は,百万円以下の罰金に処する。

第二十条  次の各号のいずれかに該当する者は,三十万円以下の罰金に処する。
一  第四条第三項の規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告をし,又は同項の規定による検査を拒み,妨げ,若しくは忌避した者
二  第九条第二項の規定に違反した者

第二十一条  第十条の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をした者は,二十万円以下の罰金に処する。

第二十二条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,前三条の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても各本条の刑を科する。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

電話接見導入の見通しについて

2006-01-28 10:54:11 | Weblog
容疑者・被告と弁護人,電話で「接見」OKに

 「捜査への支障」を強調する立場からすれば,電話による接見交通といえど,容易に認めることはできないということになりそう。しかし,裁判員制度の導入を考えれば,もはや,前記の立場,大方の同意を得ることは難しいように思われる。

面会のために弁護人が何度も被告を訪ねるのには限界がある→電話接見は必要,であるなら,出来うる限り多くの警察署等がそのための設備を設けることが望ましい。つまり,弁護人が最寄りの警察署等に出向き,実際に行くとなれば片道数時間かかる留置場等に電話して,未決拘禁者と接見できる,としてはじめて,制度の妙味が活かされるといえる。事務所から直接,といきたいところだが,本人確認の点でこれは問題が残る。

今後は,「秘密交通の担保」といったことも俎上に載るだろう。よもや,看守の付き添いあり,はあるまい ^^; 。


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

第三十四条  何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない。又,何人も,正当な理由がなければ,拘禁されず,要求があれば,その理由は,直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

刑事訴訟法の関連条文

第三十九条  身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は,弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては,第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し,又は書類若しくは物の授受をすることができる。
2  前項の接見又は授受については,法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で,被告人又は被疑者の逃亡,罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。
3  検察官,検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は,捜査のため必要があるときは,公訴の提起前に限り,第一項の接見又は授受に関し,その日時,場所及び時間を指定することができる。但し,その指定は,被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

第八十条  勾留されている被告人は,第三十九条第一項に規定する者以外の者と,法令の範囲内で,接見し,又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により監獄に留置されている被告人も,同様である。

第八十一条  裁判所は,逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,検察官の請求により又は職権で,勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ,又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し,その授受を禁じ,若しくはこれを差し押えることができる。但し,糧食の授受を禁じ,又はこれを差し押えることはできない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

代表取締役の序列について

2006-01-28 09:59:47 | Weblog
日本郵政:3取締役の代表権に序列 MSN毎日インタラクティブ

日本郵政株式会社 役員紹介

 株式会社の機関といえば,通常,株主総会,取締役会,代表取締役,監査役(会)を指す。
委員会等設置会社の場合は,株主総会は変わらないが,取締役や取締役会につき特例が定められており(商法特例法第21条の6・同第21条の7),また,代表取締役や監査役(会)ではなく,指名委員会,監査委員会及び報酬委員会並びに執行役及び代表執行役を置かなければならないとなっている(同第21条の5,同第21条の15参照)

社長,副社長,会長等は,商法上の会社の機関とは異なる(商法第262条参照)。記事は,「常勤取締役3人全員が代表権を持ち,代表権に序列を決めている」としているが,内容を読む限り,正確には,「代表権に相違はないが,業務の統括者たる社長への就任順位については序列がある」ということであろう。仮に,代表権そのものに序列があったとしても,内部的な制限にとどまる。ちょっと,考えにくいけれど。

なお,会社法下の共同代表取締役については,以前このブログでも書いたことがあったので省略。


商法の関連条文

第七十八条  会社ヲ代表スベキ社員ハ会社ノ営業ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
2 民法第四十四条第一項 及第五十四条 ノ規定ハ合名会社ニ之ヲ準用ス

第二百六十一条  会社ハ取締役会ノ決議ヲ以テ会社ヲ代表スベキ取締役ヲ定ムルコトヲ要ス
2 前項ノ場合ニ於テハ数人ノ代表取締役ガ共同シテ会社ヲ代表スベキコトヲ定ムルコトヲ得
3 第三十九条第二項,第七十八条及第二百五十八条ノ規定ハ代表取締役ニ之ヲ準用ス

第二百六十二条  社長,副社長,専務取締役,常務取締役其ノ他会社ヲ代表スル権限ヲ有スルモノト認ムベキ名称ヲ附シタル取締役ノ為シタル行為ニ付テハ会社ハ其ノ者ガ代表権ヲ有セザル場合ト雖モ善意ノ第三者ニ対シテ其ノ責ニ任ズ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする