法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

内容の誤った決議通知書の郵送について

2006-07-06 16:05:10 | Weblog
否決→全面承認,“無風”前提の通知書を株主に郵送 YOMIURI ONLINE

 株主総会後の事後処理としては,株主総会議事録の作成並びに本支店への備え置きがある(会社法第318条第1項~第3項)。
しかし,株主に対する決議通知書の送付については,少なくとも会社法には,根拠規定はないように思われる。定款にその旨の規定があれば格別,慣行のようなかたちでおこなわれているのであろう。

記事には,「同社(管理人註・任天堂のこと)では「ホームページでも否決の情報は流しており,株主には周知している」として,対応に問題はなかったと説明している。」とある。
しかし,株主へのサービスとはいえ,剰余金配当の決定機関の変更は,株主にとって重大関心事。HPで流しているから問題ないとの強弁,ちょっといただけない。
「同社の株主は約2万2000人おり,決議通知書を印刷し直すと2週間はかかるという。」とあるが,仮に,再送するとなれば郵送費が嵩むこととなる。人件費もあろう。
担当取締役等の任務懈怠の問題が出てきてもおかしくはない(会社法第330条,民法第644条,会社法423条第1項)。


会社法の関連条文

(議事録)
第三百十八条 株主総会の議事については,法務省令で定めるところにより,議事録を作成しなければならない。
2 株式会社は,株主総会の日から十年間,前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
3 株式会社は,株主総会の日から五年間,第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし,当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって,支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは,この限りでない。
4 株主及び債権者は,株式会社の営業時間内は,いつでも,次に掲げる請求をすることができる。
一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは,当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
5 株式会社の親会社社員は,その権利を行使するため必要があるときは,裁判所の許可を得て,第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

(株主に対する剰余金の配当)
第四百五十三条 株式会社は,その株主(当該株式会社を除く。)に対し,剰余金の配当をすることができる。

(剰余金の配当に関する事項の決定)
第四百五十四条 株式会社は,前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは,その都度,株主総会の決議によって,次に掲げる事項を定めなければならない。
一 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額
二 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
三 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日
2 前項に規定する場合において,剰余金の配当について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは,株式会社は,当該種類の株式の内容に応じ,同項第二号に掲げる事項として,次に掲げる事項を定めることができる。
一 ある種類の株式の株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは,その旨及び当該株式の種類
二 前号に掲げる事項のほか,配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは,その旨及び当該異なる取扱いの内容
3 第一項第二号に掲げる事項についての定めは,株主(当該株式会社及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては,各種類の株式の数)に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。
4 配当財産が金銭以外の財産であるときは,株式会社は,株主総会の決議によって,次に掲げる事項を定めることができる。ただし,第一号の期間の末日は,第一項第三号の日以前の日でなければならない。
一 株主に対して金銭分配請求権(当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利をいう。以下この章において同じ。)を与えるときは,その旨及び金銭分配請求権を行使することができる期間
二 一定の数未満の数の株式を有する株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは,その旨及びその数
5 取締役会設置会社は,一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(配当財産が金銭であるものに限る。以下この項において「中間配当」という。)をすることができる旨を定款で定めることができる。この場合における中間配当についての第一項の規定の適用については,同項中「株主総会」とあるのは,「取締役会」とする。

(剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め)
第四百五十九条 会計監査人設置会社(取締役の任期の末日が選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の日後の日であるもの及び監査役設置会社であって監査役会設置会社でないものを除く。)は,次に掲げる事項を取締役会(第二号に掲げる事項については第四百三十六条第三項の取締役会に限る。)が定めることができる旨を定款で定めることができる。
一 第百六十条第一項の規定による決定をする場合以外の場合における第百五十六条第一項各号に掲げる事項
二 第四百四十九条第一項第二号に該当する場合における第四百四十八条第一項第一号及び第三号に掲げる事項
三 第四百五十二条後段の事項
四 第四百五十四条第一項各号及び同条第四項各号に掲げる事項。ただし,配当財産が金銭以外の財産であり,かつ,株主に対して金銭分配請求権を与えないこととする場合を除く。
2 前項の規定による定款の定めは,最終事業年度に係る計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合に限り,その効力を有する。
3 第一項の規定による定款の定めがある場合における第四百四十九条第一項第一号の規定の適用については,同号中「定時株主総会」とあるのは,「定時株主総会又は第四百三十六条第三項の取締役会」とする。

(株主の権利の制限)
第四百六十条 前条第一項の規定による定款の定めがある場合には,株式会社は,同項各号に掲げる事項を株主総会の決議によっては定めない旨を定款で定めることができる。
2 前項の規定による定款の定めは,最終事業年度に係る計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合に限り,その効力を有する。

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藁の上からの養子に関する最高裁の判断について

2006-07-06 09:36:48 | Weblog
親子関係どう判断/7日に最高裁判決2件 - さきがけonTheWeb

 実子でない子につき虚偽の出生届をした,いわゆる「藁の上からの養子」に関する裁判。
最高裁は,利害関係にある者による親子関係不存在確認請求を権利濫用とすることについては狭く解していると言われる(最判H9.3.11参照)。
しかし,血縁主義の過度の重視は,事案の妥当な解決という線を踏み外すことになるとの評価もある。

東京高判に,戸籍上の母親が「藁の上からの養子」に対し,親子関係不存在確認請求をおこなったものがあった(東京高判H14.1.16)。記事の「血縁がないとして親子と認めなかった東京,広島両高裁判決」の東京高裁判決が,前記東京高判かは不明。
件の東京高判は,「被控訴人(管理人註:戸籍上の母親)の本訴請求は,権利の濫用として許されないものというべきである。」と判断していた。

判例検索システムHP 昭和43(オ)179 母子関係存在確認請求


民法の関連条文

(養親となる者の年齢)
第七百九十二条  成年に達した者は,養子をすることができる。

(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
第七百九十三条  尊属又は年長者は,これを養子とすることができない。

(後見人が被後見人を養子とする縁組)
第七百九十四条  後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには,家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後,まだその管理の計算が終わらない間も,同様とする。

(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第七百九十五条  配偶者のある者が未成年者を養子とするには,配偶者とともにしなければならない。ただし,配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は,この限りでない。

(配偶者のある者の縁組)
第七百九十六条  配偶者のある者が縁組をするには,その配偶者の同意を得なければならない。ただし,配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は,この限りでない。

(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第七百九十七条  養子となる者が十五歳未満であるときは,その法定代理人が,これに代わって,縁組の承諾をすることができる。
2  法定代理人が前項の承諾をするには,養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは,その同意を得なければならない。

(未成年者を養子とする縁組)
第七百九十八条  未成年者を養子とするには,家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし,自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は,この限りでない。

(婚姻の規定の準用)
第七百九十九条  第七百三十八条及び第七百三十九条の規定は,縁組について準用する。

(縁組の届出の受理)
第八百条  縁組の届出は,その縁組が第七百九十二条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ,受理することができない。

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ミサイル発射にともなう経済制裁について

2006-07-06 08:10:01 | Weblog
送金・貿易停止も選択肢・北朝鮮ミサイル発射 NIKKEI NET

 安保理決議同様,中国とロシアの動きを睨みながら,ということになりそう。本経済制裁に係る閣議決定,やはり国会承認事項である(「外国為替及び外国貿易法」第10条第2項)。


外国為替及び外国貿易法

(目的)
第一条  この法律は,外国為替,外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし,対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより,対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し,もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(適用範囲)
第五条  この法律は,本邦内に主たる事務所を有する法人の代表者,代理人,使用人その他の従業者が,外国においてその法人の財産又は業務についてした行為にも適用する。本邦内に住所を有する人又はその代理人,使用人その他の従業者が,外国においてその人の財産又は業務についてした行為についても,同様とする。

第十条  我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは,閣議において,対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項,第二十一条第一項,第二十三条第四項,第二十四条第一項,第二十五条第四項,第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。
2  政府は,前項の閣議決定に基づき同項の対応措置を講じた場合には,当該対応措置を講じた日から二十日以内に国会に付議して,当該対応措置を講じたことについて国会の承認を求めなければならない。ただし,国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には,その後最初に召集される国会において,速やかに,その承認を求めなければならない。
3  政府は,前項の場合において不承認の議決があつたときは,速やかに,当該対応措置を終了させなければならない。

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