法律の周辺

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親捜しを理由とする戸籍受付帳の閲覧請求について

2008-09-10 21:27:07 | Weblog
“親捜し”男性の「戸籍受付帳」閲覧,東京家裁は請求却下 YOMIURI ONLINE

 戸籍法第48条第2項には,戸籍に係る届書等の閲覧につき,「利害関係人は,特別の事由がある場合に限り,届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し,又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができる。」とある。
この請求に対する市町村長の処分に不服がある場合は,審査請求に対する法務局長の裁決を経た後,家裁に不服を申し立てることができる(戸籍法第121条,第124条,第125条参照)。
閲覧が認められるのは「届書その他市町村長の受理した書類」。これには出生証明書等の添付書類も含まれるが(昭和5.5.9民事404号回答,昭和50.1.10民2-151号回答),戸籍受付帳まで含ましめるのは文理上からも無理がある。「利害関係人」,「特別の事由」の解釈にまで踏み込む必要はなさそうだ。
件の男性のお気持ち,わからないではないが・・・。


戸籍法の関連条文

第一条  戸籍に関する事務は,市町村長がこれを管掌する。
2  前項の事務は,地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。

第四十八条  届出人は,届出の受理又は不受理の証明書を請求することができる。
2  利害関係人は,特別の事由がある場合に限り,届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し,又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができる。
3  第十条第三項及び第十条の三の規定は,前二項の場合に準用する。

第百二十一条  戸籍事件(第百二十四条に規定する請求に係るものを除く。)について,市町村長の処分を不当とする者は,家庭裁判所に不服の申立てをすることができる。

第百二十三条  戸籍事件(次条に規定する請求に係るものを除く。)に関する市町村長の処分については,行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

第百二十四条  第十条第一項又は第十条の二第一項から第五項までの請求(これらの規定を第十二条の二において準用する場合を含む。),第四十八条第二項の規定による請求及び第百二十条第一項の請求について市町村長がした処分に不服がある者は,市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。

第百二十五条  前条の処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求の裁決を経た後でなければ,提起することができない。

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