法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

「今回の選挙は,郵政民営化の是非を問う国民投票」発言について

2005-08-31 09:21:24 | Weblog
 29日の党首討論の中で,国民新党の綿貫代表が,自民党幹部の表題発言は問題である旨,発言されていた。

 日本国憲法は,代表民主制を基本とし(憲法前文),国会を唯一の立法機関としている(憲法第41条)。主権論などとも関わるのだろうが,国会を立法機関とするのは,次善の策というわけでもない。
仮に,国会が,「郵政民営化関連法案は,重要法案。私などは役不足で・・・。どうぞ国民様が,自らお決め下さい」といっても,現憲法下ではそうはいかない。その意味で,立法は国会で,は全くその通りである。

 しかし,言うまでもないが,今回の総選挙で自公が過半数をとっても,郵政民営化関連法案がそのまま成立し,国会審議が不要となるわけではない。自公で3分の2というのは考えにくいから,前回同様,参議院での攻防が焦点になる。その場合,総選挙の結果を,参議院がどう受け止めるかが問題になるわけだ。いずれにせよ,「国民投票」はあくまでも比喩で,野党はこの言葉尻を掴まえて言うに過ぎない。
野党は,自公両党の選挙戦略につき合うことなく,社会保障改革,外交,拉致問題などに関し,自らの公約を伝える方に力を入れるべきだ。

 なお,憲法改正に係る国民投票法は,未だ存しない。憲法改正はタブー,といった状況は抜け出たが,国民投票法については依然拒否反応が強い。開けてはならないパンドラの箱,といったところか。

参照条文

憲法前文 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

憲法第四十一条  国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

憲法第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

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マニフェストを比較するサイトについて

2005-08-30 20:13:52 | Weblog
 いよいよ,第44回衆議院議員総選挙が公示されました。

 各政党のマニフェスト・公約を簡易に比較検討できるサイトがないか,と思っていたのですが,ありました,ありました。
その名も,MANIFEST COMPARISON SITE「マニフェスト・ココ」。現在,入力中とのことです。

公約を比較・評価する,みんなのポータルサイト 「マニフェスト・ココ」
http://www.manifest.cc/

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インターネットによる選挙運動について

2005-08-30 18:43:33 | Weblog
 公職選挙法上は,

「政治上の目的をもって行われるいっさいの活動」-「選挙運動」=「政治活動」

とのことである。

 さて,秋田県選挙管理委員会HPの「選挙運動のルール」の「よくある質問(Q&A)」に次ぎのような問いがある。

Q10インターネットで選挙運動はできますか?

 ホームページや電子メール等による選挙運動はできません。
ただし,選挙運動にわたらない純粋な政治活動として,インターネットのホームページを利用することは自由にできます。
しかし,純粋な政治活動として使用するホームページであっても,選挙運動期間中に開設したり,又は書き換えをすることは,選挙運動の禁止を免れる行為に該当する場合には公職選挙法に違反します。

 上記の「公職選挙法に違反します」は,後掲の公職選挙法第142条の2第1項の「国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの又はこれらの要旨等を記載したものとして総務大臣に届け出たそれぞれ一種類のパンフレット又は書籍を,選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。」を念頭に言うのであろう。
ただ,仮に「総務大臣に届け出た一種類のパンフレット又は書籍」をHP上に掲載した場合であっても,同条第2項の「頒布」ないし「頒布の方法」の意義との関係で,違反の疑いがないとはいえないようにも思われる。
各都道府県の選挙管理委員会が示す簡単なQ&Aだけでは,インターネットによる政治活動の合法・違法の境目が今ひとつハッキリしない。これでは,選挙運動をする側も,取り締まる側も,及び腰にならざるを得ない。問題である。
世界最先端のIT国家の実現を目指すのであれば,各処での対応が必要になる。公職選挙法の改正もその1つのように思うのだが,どうだろうか。

(パンフレット又は書籍の頒布)
公職選挙法第百四十二条の二  前条第一項及び第四項の規定にかかわらず,衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙においては,候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等は,当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の本部において直接発行するパンフレット又は書籍で国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの又はこれらの要旨等を記載したものとして総務大臣に届け出たそれぞれ一種類のパンフレット又は書籍を,選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。
2  前項のパンフレット又は書籍は,次に掲げる方法によらなければ,頒布することができない。
一  当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の選挙事務所内,政党演説会若しくは政党等演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
二  当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者(参議院名簿登載者を含む。次項において同じ。)である当該衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙における公職の候補者の選挙事務所内,個人演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
3  第一項のパンフレット又は書籍には,当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者である当該衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙における公職の候補者(当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の代表者を除く。)の氏名又はその氏名が類推されるような事項を記載することができない。
4  第一項のパンフレット及び書籍には,その表紙に,当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の名称,頒布責任者及び印刷者の氏名(法人にあつては名称)及び住所並びに同項のパンフレット又は書籍である旨を表示する記号を記載しなければならない。

秋田県選挙管理委員会のHP http://www.pref.akita.jp/senkyo/

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「刺客と呼ばないで」との自民党の申し入れについて

2005-08-29 17:06:32 | Weblog
 組織犯罪対策法が国会で審議されていたときだから,平成12年頃だったと思う。報道各社が「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」を「盗聴法」と略称して使用していたところ,誤解を生むとして,法務省が各社に対し「盗聴法」と呼ぶのは止めるよう申し入れをしたことがあった。以後,「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」は「通信傍受法」と呼ばれるようになったのではなかったか。

 「刺客」は,誰が言い始めたのだろうか。亀井さん辺りか・・・。思わず口を突いて出た言葉だと思うが,時代小説でも好きな人でなければ出てこない言葉だ。少なくとも,自分のボキャブラリーにはない。

 何にせよ,ワイドショーなどで使われるのはともかく,報道番組での使用はどうなのだろうか。選挙の公正,放送法との兼ね合い,といった点で問題はありそうだ。もっとも,あまり強く出ると,公党による圧力,などということも言われかねない。やはり,「申し入れ」あたりが妥当なところか。
ただ,素直に応じるというのも,「言論の自由」を標榜する報道機関としては,ちょっとばつが悪いところではある。まぁ,安易に乗ってしまったところに問題があるわけだが。

「刺客」と呼ばないで 自民、報道各社に申し入れ (朝日新聞) - goo ニュース

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アスベストを口実にした訪販リフォームについて

2005-08-29 16:11:39 | Weblog
 国民生活センターによると,訪販業者から「塗り壁にアスベストが含まれているからリフォームが必要」などといわれ,リフォーム契約を迫られた,といった相談が増えているという。新手の悪質商法のようだ。

 同センターは,アスベストを口実に業者が訪ねてきた場合の対策として,
・業者の説明をうのみにしないで、契約はしないこと
・不審を感じたら、消費生活センターに相談すること
といった呼びかけをしている。

 また,同センターは,古い住宅の解体時等に生ずるアスベストの飛散については,防止措置をとる必要がある場合もあるとして,関連機関への相談もあわせて呼びかけている。

国民生活センター 「ご用心! アスベストを口実にした新手の訪販リフォーム」
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/asbesto_reform.html

厚生労働省 「アスベスト(石綿)についてQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/07/tp0729-1.html

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条文対照 会社法

2005-08-29 15:04:10 | Weblog
 新日本法規からも,会社法の条文に係る書籍が発売されている。

新会社法研究会編『条文対照 会社法』 3,150円(税込) B5 580頁

以下は,新日本法規のHPからの引用。

★新【会社法】の全条文を収録したCD-ROM付!
◆旧「商法」「商法特例法」「有限会社法」の条文を上段に掲げ、下段に新「会社法」の条文を対照式で掲載してありますので、旧三法と新法の対応関係が一目でわかります。
◆巻末には、新法の条文から旧法の条数を検索できる【対照表】を掲載。
(以上,引用おわり)

 巻末検索は「新法→旧法」,本体は「旧法→新法」。この構成は,既刊の他社の条文集と異なり,ユニーク。使い勝手はどうなのだろうか。使用期間は,限定的にならざるを得ないような気もするが。

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駐車違反取締りの一部民間委託について

2005-08-28 15:20:25 | Weblog
 平成16年6月9日公布の道路交通法改正では,違法駐車対策として,放置車両についての使用者責任の拡充のほか,放置駐車取締り関係事務の民間委託が可能となった。違法駐車の取締りに投入できる警察力には限界があることなどを理由とする。
この改正道路交通法は,平成18年6月8日までに施行される予定だが,民間委託に係る公安委員会の登録,駐車監視員資格者証の交付などの準備行為については,平成17年4月1日からおこなうことが可能とされている。

 秋田県警も,来年6月から,秋田市での駐車違反取締りの民間委託を予定しており,26日,駐車監視員の修了考査を実施した。考査は,正誤式で,50問中45問以上の正解で合格。考査に臨んだのは,先に2日間の駐車監視員資格者講習を受講した警備会社等勤務の83人。結果は,9割以上の79人が合格とのこと。
県公安委員会の登録は,「監視員が2人以上」などの条件を満たした事業者で,9月から。委託先は1社で,来年4月実施の入札で決定されるようだ。

 入札価格だけで決定となると,確認業務の公正さが担保されるか不安になるし,入札価格は決定材料の1つに過ぎないとなると,警察OB等を含めた利権の拡大ではないか,と勘ぐりたくもなる。この辺りは,難しいところ。
いずれにせよ,委託を受ける警備会社等は,公権力行使の一端を担うような形になる。
実績をあげたい→過度の取り締まり,も問題だが,さりとて,入札価格が低い→取締りの手抜き,というのも困りもの。くれぐれも,確認業務に適正さ・公正さを欠くことのないようお願いしたいものだ。

警視庁 「違法駐車対策関係新制度(所有権責任拡充・確認事務民間委託)」は以下を参照。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/project/gaiyo.htm

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新アクションプログラムに基づく「地域密着型金融推進計画」の提出・公表について

2005-08-27 18:59:45 | Weblog
 金融庁の新アクションプログラムに基づく,金融機関の「地域密着型金融推進計画」の提出・公表期限(8月末)が迫っている。
百十四銀行(本店 高松市)は,26日,2006年度末までの「地域密着型金融推進計画」を発表している。「担保・保証人に過度に依存しない融資の推進等」の項目を見ると,具体的取組策として,

1 スコアリング商品の拡充
2 コベナンツ付融資商品の販売検討
3 知的財産権担保融資,動産担保融資商品等の検討
4 プロジェクトファイナンスの態勢整備

が掲げられている。
17年度中は,上記1,3を実施とのこと。それなりにノウハウはあるのだろうが,弁理士,診断士などとの連携強化も必要になると思われる。
来週前半は,各金融機関の「地域密着型金融推進計画」公表のラッシュといったところか。地元の金融機関のHPを注意して見ておきたい。

金融庁 「新アクションプログラム(平成17~18年度)の経緯等」
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/ginkou/f-20050329-4/02.pdf

百十四銀行 「「地域密着型金融推進計画」(計画期間:平成17~18年度)の策定について」
http://www.114bank.co.jp/chiiki/pdf/200505_suishin.pdf

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「消費者団体訴訟制度」とアスベスト問題について

2005-08-27 09:27:50 | Weblog
 アメリカ議会は,アスベスト被害者救済のための賠償金に充てる資金として,今後10年間で約700億ドル,50年間では1200億~1500億ドルが必要になると試算した,との報道がされている。アスベスト訴訟,予想では,今後50年間で150万件にのぼるとのこと。法案策定の審議の中で明らかにされたデータのようだ。

日本経済新聞 「米,石綿被害者賠償金10年で700億ドル・新法案で見通し」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050827AT2N2600C27082005.html

 日本でも,アスベスト訴訟の「爆発的」拡大が懸念されている。
現在のところ,多くは見舞金といった段階で済んでいるようだが,アスベスト対策法が制定されれば,そうはいかないような気がする。

 アメリカには,クラス・アクションという訴訟方式がある。
これは,あるクラス(ex ある商品の被害者)に属すると主張する者が,同じクラスの他の者(メンバー)全員を代表して原告となり,クラス総員の損害賠償につき,一括して訴訟を提起するもの。
わが国の選定当事者制度(民訴法第30条)を和製クラス・アクションと評する向きもあるが,やはり,似て非なるものである。特に,この種の訴訟において利用するには,手続保障,賠償額の分配など,解決すべき問題は少なくないようだ。

 この点と関係するのだが,消費者被害の拡大を防ぐため,消費者団体が事業者を相手取って裁判を起こすことができる「消費者団体訴訟制度」に係る法案が,来年の通常国会に提出される見通しである。消費者団体訴訟は,消費者全体の利益のため,直接被害を受けていない消費者団体にも裁判を起こす権利を認めるもの。法改正の対象になるのは,消費者契約法等々。

 消費者の定義,事実行為が含まれるか,といった観点からすれば,「消費者団体訴訟制度」が直接アスベスト訴訟に結びつくとは思わない。しかし,今後,アスベスト被害の実態の如何,団体訴訟に関する議論の更なる深化等により,制度創設に至る可能性もないわけではない。ここは,注視したいところ。

国民生活審議会消費者政策部会 消費者団体訴訟制度検討委員会 「消費者団体訴訟制度の在り方について」は,以下のとおり。
http://www.consumer.go.jp/info/shingikai/dantaisoken15/houkoku.pdf

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中小企業庁の作成に係る会社法のレジュメについて

2005-08-26 17:47:19 | Weblog
 中小企業庁は,6月29日(会社法成立の日)付けで,「中小企業の観点からの会社法制の現代化のあり方について」と題する中小企業向けの会社法レジュメを公表している。PDFファイルで表紙を含め全17頁。

気付いた点を2点ほど。

1 P6の「「新会社法」のポイント③~会計参与制度の導入~」の「見直しの方向性」に次のような記述がある。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

当該制度(註:会計参与のこと)は任意の制度であるが,取締役会を設置した会社では,会計参与を設置することで監査役に代えることが可能。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 機関設計として「取締役会+会計参与」が可能なのは,「取締役会を設置した非公開会社である中小会社(大会社以外の会社)」である(会社法第327条第2項,同第328条第1項参照)。2月9日の要綱段階でも,第2部,第3,1,(2)で,上記のとおり説明がされていたところ。特に前提は付されていないから,ここは誤り。中小企業庁が作成した中小企業向けのレジュメ・・・,といっても,対象企業はキチンと明示すべきである(なお,P8の図参照)。

2 P16の「中小企業における「新会社法」の活用例」の「☆ムダを省いて会社のスリム化を~機関設計の柔軟化~」の中に,次のような記述がある。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

取締役会を設置しないことで迅速な意思決定が可能となり,議事録の作成・保存も不要となる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

取締役会を設置しない→取締役会が開催されない→取締役会議事録を作成する必要はない,はそのとおりであろう。
しかし,それを議事録と呼ぶかはさておき,業務に係る意思決定は何等かの形で残しておくのがベターである。少なくとも,「議事録の作成・保存も不要」= 会社のスリム化,はどうなのだろうか。ちょっと誤解を招きかねない表現のように思われる。特に,昨今のコンプライアンスの重要性に照らしても,違和感がないではない。

 このレジュメ,間に挟まれた参考資料などを見る限り,法案が固まる前から作成されていたふしもある。しかし,中小企業向けに,会社法を要領よく説明するとした場合,若干の手直しは必要だが,レジュメとしての利用価値はそれなりにあるように思われる。

中小企業庁の「中小企業の視点からの会社法制の現代化の在り方について」
http://www.chusho.meti.go.jp/shingikai/download/050629kaishahou.pdf

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