法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

解禁日について

2007-04-30 21:34:08 | Weblog
三角合併,1日解禁,外資に新買収手法 - さきがけ on the Web

 「ようやく」「とうとう」,立場や対策の進捗度によって感じ方は様々だと思うが,明日が解禁日。
適切な情報開示がなされるよう,会社法施行規則第182条等が改正され,4月25日公布されている。当然のことながら,施行日は5月1日。

三角合併への賛否判断に追加情報…会社法施行規則改正案 YOMIURI ONLINE


会社法 制定附則

(合併等に際して株主等に対して交付する金銭等に関する経過措置)
4 この法律の施行の日から一年を経過する日までの間において合併契約が締結される合併,吸収分割契約が締結される吸収分割若しくは新設分割計画が作成される新設分割,株式交換契約が締結される株式交換又は株式移転計画が作成される株式移転の手続に関する第七百四十九条第一項第二号,第七百五十一条第一項,第七百五十三条第一項,第七百五十五条第一項,第七百五十八条第四号,第七百六十条,第七百六十三条,第七百六十五条第一項,第七百六十八条第一項第二号,第七百七十条第一項及び第七百七十三条第一項の規定の適用については,第七百四十九条第一項第二号中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(ロからホまでに掲げる事項を除く。)」と,第七百五十一条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第三号及び第四号に掲げる事項を除く。)」と,第七百五十三条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第八号及び第九号に掲げる事項を除く。)」と,第七百五十五条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第六号及び第七号に掲げる事項を除く。)」と,第七百五十八条第四号中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(ロからホまでに掲げる事項を除く。)」と,第七百六十条各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第五号に掲げる事項を除く。)」と,第七百六十三条各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第八号及び第九号に掲げる事項を除く。)」と,第七百六十五条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第六号及び第七号に掲げる事項を除く。)」と,第七百六十八条第一項第二号中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(ロからホまでに掲げる事項を除く。)」と,第七百七十条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第三号及び第四号に掲げる事項を除く。)」と,第七百七十三条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第七号及び第八号に掲げる事項を除く。)」とする。

会社法施行規則の関連条文

(吸収合併消滅株式会社の事前開示事項)
第百八十二条 法第七百八十二条第一項に規定する法務省令で定める事項は,同項に規程する消滅株式会社等が吸収合併消滅株式会社である場合には,次に掲げる事項とする。
一 合併対価の相当性に関する事項
二 合併対価について参考となるべき事項
三 吸収合併に係る新株予約権の定めの相当性に関する事項
四 計算書類等に関する事項
五 吸収合併が効力を生ずる日以後における吸収合併存続会社の債務(法第七百八十九条第一項の規定により吸収合併について異議を述べることができる債権者に対して負担する債務に限る。 )の履行の見込みに関する事項
六 吸収合併契約等備置開始日(法第七百八十二条第二項に規定する吸収合併契約等備置開始日をいう。以下この章において同じ。)後,前各号に掲げる事項に変更が生じたときは,変更後の当該事項
2 この条において「合併対価」とは,吸収合併存続会社が吸収合併に際して吸収合併消滅株式会社の株主に対してその株式に代えて交付する金銭等をいう。
3 第一項第一号に規定する「合併対価の相当性に関する事項」とは,次の各号に掲げる事項その他の法第七百四十九条第一項第二号及び第三号に掲げる事項又は法第七百五十一条第一項第二号から第四号までに掲げる事項についての定め(当該定めがない場合にあっては,当該定めがないこと)の相当性に関する事項とする。
一 合併対価の総数又は総額の相当性に関する事項
二 合併対価として当該種類の財産を選択した理由
三 吸収合併存続会社と吸収合併消滅株式会社とが共通支配下関係(会社計算規則第二条第三項第三十一号に規定する共通支配下関係をいう。第百八十四条において同じ。)にあるときは,当該吸収合併消滅株式会社の株主(当該吸収合併消滅株式会社と共通支配下関係にある株主を除く。)の利益を害さないように留意した事項(当該事項がない場合にあっては,その旨)
4 第一項第二号に規定する「合併対価について参考となるべき事項」とは,次の各号に掲げる場合の区分に応じ,当該各号に定める事項その他これらに準ずる事項(法第七百八十二条第一項に規定する書面又は電磁的記録に当該事項の全部又は一部の記載又は記録をしないことにつき吸収合併消滅株式会社の総株主の同意がある場合にあっては,当該同意があった事項を除く。)とする。
一 合併対価の全部又は一部が吸収合併存続会社の株式又は持分である場合 次に掲げる事項
イ 当該吸収合併存続会社の定款の定め
ロ 次に掲げる事項その他の合併対価の換価の方法に関する事項
(1)合併対価を取引する市場
(2)合併対価の取引の媒介を行う者
(3)合併対価の譲渡その他の処分に制限があるときは,当該制限の内容
(4)合併対価がその権利の移転又は行使に第三者の許可,認可,同意又は承諾(以下(4)及び第百八十四条において「許可等」という。) を要するものであるときは,当該許可等を行う者の氏名又は名称及び住所その他の当該許可等を得るための手続に関する事項
ハ 合併対価に市場価格があるときは,その価格に関する事項
二 合併対価の全部又は一部が法人等の株式,持分その他これらに準ずるもの(吸収合併存続会社の株式又は持分を除く。)である場合 次に掲げる事項(当該事項が日本語以外の言語で表示されている場合にあっては,当該事項(氏名又は名称に係る事項を除く。)に相当する事項を日本語で表示した事項)
イ 当該法人等の定款その他これに相当するものの定め
ロ 当該法人等が会社でないときは,次に掲げる権利に相当する権利その他の合併対価に係る権利(重要でないものを除く。)の内容
(1) 剰余金の配当を受ける権利
(2) 残余財産の分配を受ける権利
(3) 株主総会における議決権
(4) 合併その他の行為が行われる場合において,自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求する権利
(5) 定款その他の書類又は電磁的記録に記録された事項を表示したものの閲覧又は謄写を請求する権利
ハ 当該法人等が,その株主,社員その他これらに相当する者(以下この号及び第百八十四条において「株主等」という。)に対し,日本語以外の言語を使用して情報の提供をすることとされているときは,当該言語
ニ 吸収合併が効力を生ずる日に当該法人等の株主総会その他これに相当するものの開催があるものとした場合における当該法人等の株主等が有すると見込まれる議決権その他これに相当する権利の総数
ホ 当該法人等について登記(当該法人等が外国の法令に準拠して設立されたものであるときは,法第九百三十三条第一項の外国会社の登記又は非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百二十四条の外国法人の登記に限る。 )がされていないときは,次に掲げる事項
(1)当該法人等を代表する者の氏名又は名称及び住所
(2)当該法人等の役員((1)に掲げる者を除く。)の氏名又は名称
ヘ 当該法人等の最終事業年度(当該法人等が会社以外の法人等である場合にあっては,最終事業年度に相当するもの。以下この号において同じ。)に係る計算書類(最終事業年度がない場合にあっては,当該法人等の成立の日における貸借対照表)その他これに相当するものの内容(当該計算書類その他これに相当するものについて監査役,監査委員会,会計監査人その他これらに相当するものの監査を受けている場合にあっては,監査報告その他これに相当するものの内容の概要を含む。)
ト 次の(1)又は(2)に掲げる場合の区分に応じ,当該(1)又は(2)に定める事項
(1) 当該法人等が株式会社である場合 当該法人等の最終事業年度に係る事業報告の内容(当該事業報告について監査役又は監査委員会の監査を受けている場合にあっては,監査報告の内容を含む。)
(2) 当該法人等が株式会社以外の法人等である場合 当該法人等の最終事業年度に係る第百十八条各号及び第百十九条各号に掲げる事項に相当する事項の内容の概要(当該事項について監査役,監査委員会その他これらに相当するものの監査を受けている場合にあっては,監査報告その他これに相当するものの内容の概要を含む。)
チ 当該法人等が,その貸借対照表その他これに相当するものの内容につき,法令の規定に基づく公告(法第四百四十条第三項の措置に相当するものを含む。)をし,又は証券取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出している者でないときは,当該法人等の過去五年間にその末日が到来した各事業年度(最終事業年度を除く。)に係る貸借対照表その他これに相当するものの内容
リ 前号ロ及びハに掲げる事項
ヌ 合併対価が自己株式の取得,持分の払戻しその他これらに相当する手続により払戻しを受けることができるものであるときは,その方法に関する事項
三 合併対価の全部又は一部が吸収合併存続会社その他の法人等の社債,新株予約券,新株予約権付社債その他これらに準ずるものである場合 次に掲げる事項(当該事項が日本語以外の言語で表示されている場合にあっては,当該事項(氏名又は名称に係る事項を除く。)に相当する事項を日本語で表示した事項)
イ 第一号ロ及びハに掲げる事項
ロ 前号ホからチまでに掲げる事項
四 合併対価の全部又は一部が吸収合併存続会社その他の法人等の株式,持分,社債,新株予約権,新株予約権付社債その他これらに準ずるもの及び金銭以外の財産である場合 第一号ロ及びハに掲げる事項
5 第一項第三号に規定する「吸収合併に係る新株予約権の定めの相当性に関する事項」とは,次の各号に掲げる場合の区分に応じ,当該各号に定める定めの相当性に関する事項とする。
一 吸収合併存続会社が株式会社である場合 法第七百四十九条第一項第四号及び第五号に掲げる事項についての定め
二 吸収合併存続会社が持分会社である場合 法第七百五十一条第一項第五号及び第六号に掲げる事項についての定め
6 第一項第四号に規程する「計算書類等に関する事項」とは,次の各号に掲げる事項とする
一 吸収合併存続会社についての次に掲げる事項
イ 最終事業年度に係る計算書類等(最終事業年度がない場合にあっては,吸収合併存続会社の成立の日における貸借対照表)の内容
ロ 最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては,吸収合併存続会社の成立の日。ハにおいて同じ。)後の日を臨時決算日(二以上の臨時決算日がある場合にあっては,最も遅いもの)とする臨時計算書類等があるときは,当該臨時計算書類等の内容
ハ 最終事業年度の末日後に重要な財産の処分,重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは,その内容(吸収合併契約等備置開始日後吸収合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては,当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。)
二 吸収合併消滅株式会社(清算株式会社を除く。 以下この号において同じ。)についての次に掲げる事項
イ 吸収合併消滅株式会社において最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては,吸収合併消滅株式会社の成立の日)後に重要な財産の処分,重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは,その内容(吸収合併契約等備置開始日後吸収合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては,当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。)
ロ 吸収合併消滅株式会社において最終事業年度がないときは,吸収合併消滅株式会社の成立の日における貸借対照表

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支給の対象にならない可能性が高いと話す独立行政法人について

2007-04-29 19:04:49 | Weblog
いじめ自殺:遺族に給付金不払いの可能性 自宅は対象外 MSN毎日インタラクティブ

 災害共済給付の給付基準や「学校の管理下」で発生したといえるかは,独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令第5条とその委任を受けた文科省令が規定している。
疾病については,省令第22条第7号に,「外部衝撃,急激な運動若しくは相当の運動量を伴う運動又は心身に対する負担の累積に起因することが明らかであると認められる疾病のうち特にセンターが認めたもの」とある。

上記「心身に対する負担の累積」のうち,「心身に対する負担」については,独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付の基準に関する規程には次のような注書きがある。

 ここにいう「心身に対する負担」は,その心身への負担の加わり方について,身体的な運動のあることを必要要件としていないので,疾病発生の原因に激しい運動あるいは相当の運動量を伴う運動がなくても,学校の管理下における何等かの事象が当該者に負担として加わり,これが累積して疾病の発生をみたものと認められる場合は,給付の対象として差し支えないものである。

さらに,「心身に対する負担の累積に起因する疾病」の具体例のひとつである「精神的な負担が継続的に加わったことにより発症したと認められる心因反応などの疾患」については次の注書きが。

 ここにいう「精神的な負担が継続的に加わった」とは,精神的な苦痛をもたらすような行為が継続的に行われた場合をいう。
 例えば,いわゆる「いじめ」の類で,一定の者から特定の者に対し,集中的,継続的に苦痛を与える行為が行われた場合がこれに該当する。この場合,精神障害の発祥には個人の素質の影響も強いことから,一般の児童生徒等が心因反応などの疾患に至る程度のものについて給付の対象とする。
 なお,「いじめ」とは具体的には,「仲間はずれ」,「無視」,「悪口」,「ひやかし・からかい」,「持ち物隠し」,「殴る」,「蹴る」等をいう。


 さて,死亡については,省令第24条第2号に,「第二十二条に掲げる疾病に直接起因する死亡」とあるが,独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付の基準に関する規程には,疾病にあるような上記の「心身に対する負担の累積」云々の記述が見あたらない。
この規定に拠った場合は,いじめによる精神疾患には支給があり,いじめによる自殺には支給がないことになりそうである。しかし,この別なる扱いに合理性,あるだろうか?

なお,令第5条第4項には,「児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち,文部科学省令で定めるもの」とある。「結果」ではなく「原因」が「学校の管理下」で生じたかどうかが重要なのだ。「自宅は対象外」はおかしい。

独立行政法人日本スポーツ振興センター 災害共済給付

独立行政法人日本スポーツ振興センター 独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付の基準に関する規程


独立行政法人日本スポーツ振興センター法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,独立行政法人日本スポーツ振興センターの名称,目的,業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。

(名称)
第二条  この法律及び独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項 に規定する独立行政法人の名称は,独立行政法人日本スポーツ振興センターとする。

(センターの目的)
第三条  独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)は,スポーツの振興及び児童,生徒,学生又は幼児(以下「児童生徒等」という。)の健康の保持増進を図るため,その設置するスポーツ施設の適切かつ効率的な運営,スポーツの振興のために必要な援助,小学校,中学校,高等学校,中等教育学校,高等専門学校,特殊教育諸学校(盲学校,聾学校又は養護学校をいう。第十八条において同じ。)又は幼稚園(第十五条第一項第七号を除き,以下「学校」と総称する。)の管理下における児童生徒等の災害に関する必要な給付その他スポーツ及び児童生徒等の健康の保持増進に関する調査研究並びに資料の収集及び提供等を行い,もって国民の心身の健全な発達に寄与することを目的とする。

(業務の範囲)
第十五条  センターは,第三条の目的を達成するため,次の業務を行う。
一  その設置するスポーツ施設及び附属施設を運営し,並びにこれらの施設を利用してスポーツの振興のため必要な業務を行うこと。
二  スポーツ団体(スポーツの振興のための事業を行うことを主たる目的とする団体をいう。)が行う次に掲げる活動に対し資金の支給その他の援助を行うこと。
イ スポーツに関する競技水準の向上を図るため計画的かつ継続的に行う合宿その他の活動
ロ 国際的又は全国的な規模のスポーツの競技会,研究集会又は講習会の開催
三  優秀なスポーツの選手若しくは指導者が行う競技技術の向上を図るための活動又は優秀なスポーツの選手が受ける職業若しくは実際生活に必要な能力を育成するための教育に対し資金の支給その他の援助を行うこと。
四  国際的に卓越したスポーツの活動を行う計画を有する者が行うその活動に対し資金の支給その他の援助を行うこと。
五  投票法 に規定する業務を行うこと。
六  学校の管理下における児童生徒等の災害(負傷,疾病,障害又は死亡をいう。以下同じ。)につき,当該児童生徒等の保護者(学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第二十二条第一項 に規定する保護者をいい,同項 に規定する保護者のない場合における里親(児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号 の規定により委託を受けた里親をいう。)その他の政令で定める者を含む。以下同じ。)又は当該児童生徒等のうち生徒若しくは学生が成年に達している場合にあっては当該生徒若しくは学生その他政令で定める者に対し,災害共済給付(医療費,障害見舞金又は死亡見舞金の支給をいう。以下同じ。)を行うこと。
七  スポーツ及び学校安全(学校(学校教育法第一条 に規定する学校をいう。以下この号において同じ。)における安全教育及び安全管理をいう。)その他の学校における児童生徒等の健康の保持増進に関する調査研究並びに資料の収集及び提供を行うこと。
八  前号に掲げる業務に関連する講演会の開催,出版物の刊行その他普及の事業を行うこと。
九  前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2  センターは,前項に規定する業務のほか,当該業務の遂行に支障のない範囲内で,同項第一号に掲げる施設を一般の利用に供する業務を行うことができる。

(災害共済給付及び免責の特約)
第十六条  災害共済給付は,学校の管理下における児童生徒等の災害につき,学校の設置者が,児童生徒等の保護者(児童生徒等のうち生徒又は学生が成年に達している場合にあっては当該生徒又は学生。次条第四項において同じ。)の同意を得て,当該児童生徒等についてセンターとの間に締結する災害共済給付契約により行うものとする。
2  前項の災害共済給付契約に係る災害共済給付の給付基準,給付金の支払の請求及びその支払並びに学校の管理下における児童生徒等の災害の範囲については,政令で定める。3  第一項の災害共済給付契約には,学校の管理下における児童生徒等の災害について学校の設置者の損害賠償責任が発生した場合において,センターが災害共済給付を行うことによりその価額の限度においてその責任を免れさせる旨の特約(以下「免責の特約」という。)を付することができる。
4  センターは,政令で定める正当な理由がある場合を除いては,第一項の規定により同項の災害共済給付契約を締結すること及び前項の規定により免責の特約を付することを拒んではならない。

独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令の関連条文

(学校の管理下における災害の範囲)
第五条  災害共済給付に係る災害は,次に掲げるものとする。
一  児童生徒等の負傷でその原因である事由が学校の管理下において生じたもの。ただし,療養に要する費用が五千円以上のものに限る。
二  学校給食に起因する中毒その他児童生徒等の疾病でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち,文部科学省令で定めるもの。ただし,療養に要する費用が五千円以上のものに限る。
三  第一号の負傷又は前号の疾病が治った場合において存する障害のうち,文部科学省令で定める程度のもの
四  児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち,文部科学省令で定めるもの
五  前号に掲げるもののほか,これに準ずるものとして文部科学省令で定めるもの
2  前項第一号,第二号及び第四号において「学校の管理下」とは,次に掲げる場合をいう。
一  児童生徒等が,法令の規定により学校が編成した教育課程に基づく授業を受けている場合
二  児童生徒等が学校の教育計画に基づいて行われる課外指導を受けている場合
三  前二号に掲げる場合のほか,児童生徒等が休憩時間中に学校にある場合その他校長の指示又は承認に基づいて学校にある場合
四  児童生徒等が通常の経路及び方法により通学する場合
五  前各号に掲げる場合のほか,これらの場合に準ずる場合として文部科学省令で定める場合

独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令の関連条文

(令第五条第一項第二号 の文部科学省令で定める疾病)
第二十二条  令第五条第一項第二号 の児童生徒等の疾病でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち文部科学省令で定めるものは,次に掲げるものとする。一  家庭科若しくは技術・家庭科の調理実習における試食又は修学旅行若しくは遠足における給食に起因する中毒及び理科等の実験又は実習におけるガス等による中毒
二  熱中症
三  溺水及びこれに起因する嚥下性肺炎
四  異物の嚥下又は迷入及びこれらに起因する疾病
五  漆等による皮膚炎
六  前各号に掲げる疾病に準ずるものと認められる疾病のうち特にセンターが認めたもの
七  外部衝撃,急激な運動若しくは相当の運動量を伴う運動又は心身に対する負担の累積に起因することが明らかであると認められる疾病のうち特にセンターが認めたもの
八  令第五条第一項第一号 本文に掲げる負傷に起因することが明らかであると認められる疾病のうち特にセンターが認めたもの

(障害の程度)
第二十三条  令第五条第一項第三号 の負傷又は疾病が治った場合において存する障害のうち文部科学省令で定める程度のものは,別表下欄に定める程度のものとする。

(令第五条第一項第四号 の文部科学省令で定める死亡)
第二十四条  令第五条第一項第四号 の児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち文部科学省令で定めるものは,次に掲げるものとする。一  学校給食に起因することが明らかであると認められる死亡
二  第二十二条に掲げる疾病に直接起因する死亡
三  前二号に掲げるもののほか,学校の管理下において発生した事故に起因する死亡

(令第五条第一項第五号 の文部科学省令で定める死亡)
第二十五条  令第五条第一項第五号 の文部科学省令で定める死亡は,次に掲げるものとする。
一  突然死であってその顕著な徴候が学校の管理下において発生したもの
二  前号に掲げる突然死に準ずるものとして,特にセンターが認めたもの

(令第五条第二項第五号 の文部科学省令で定める場合)
第二十六条  令第五条第二項第五号 の文部科学省令で定める場合は,次に掲げる場合とする。
一  学校の寄宿舎に居住する児童生徒等が,当該寄宿舎にあるとき。
二  児童生徒等が,学校以外の場所であって令第五条第二項第一号 の授業若しくは同項第二号 の課外指導が行われる場所(当該場所以外の場所において集合し,又は解散するときは,その場所を含む。)又は前号に規定する寄宿舎と住居との間を,合理的な経路及び方法により往復するとき。
三  令第三条第七項 に規定する高等学校の定時制の課程又は通信制の課程に在学する生徒が,学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第四十五条の二 (同法第五十一条の九第一項 において準用する場合を含む。)の規定により技能教育のための施設で当該施設の所在地の都道府県の教育委員会の指定するものにおいて当該高等学校における教科の一部の履修とみなされる教育を受けているとき。

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県による履行期限を待たない駆除措置について

2007-04-29 09:38:43 | Weblog
県,被害民有林を伐採へ 松くい虫対策,命令後に代執行 - さきがけ on the Web

 森林病害虫等防除法第4条第1項には,「農林水産大臣は,前条第一項第一号から第四号まで若しくは第六号,第二項又は第三項の規定による命令をした場合において,森林,樹木,指定種苗又は伐採木等の所有者又は管理者が指定された期間内に命ぜられた措置を行わないとき,行つても十分でないとき又は行う見込みがないときは,当該措置の全部又は一部を行うことができる。」とある。この規定は,都道府県知事の駆除命令等に係る同第5条第4項において準用されている。

奈良県ため池条例事件では,堤とうの利用制限は「災害を未然に防止するという社会生活上の已むを得ない必要から来ることであって」,使用を制限される者は「公共の福祉のため,当然これを受任しなければならない」とされたが,森林病害虫等防除法は第8条に損失補償規定を置いている。
憲法第29条の「正当な補償」「公共のために用いる」の意義,補償の要否等を考えるのに好個の事案。

記事によれば,駆除命令の履行期限は来年3月末の予定とのこと。県が6月中に駆除措置をおこなうとすれば,「伐採木等の所有者が命ぜられた措置を行う見込みがないとき」にあたるとしてであろうか。この場合は,民有林所有者の考えをよく聴取してからということになろう。


日本国憲法の関連条文

第二十九条  財産権は,これを侵してはならない。
2  財産権の内容は,公共の福祉に適合するやうに,法律でこれを定める。
3  私有財産は,正当な補償の下に,これを公共のために用ひることができる。

森林病害虫等防除法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,森林病害虫等を早期に,且つ,徹底的に駆除し,及びそのまん延を防止し,もつて森林の保全を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「森林病害虫等」とは,樹木又は林業種苗に損害を与える次に掲げるものをいう。
一  松の枯死の原因となる線虫類(以下「線虫類」という。)を運ぶ松くい虫(以下「松くい虫」という。)
二  樹木に付着してその生育を害するせん孔虫類であつて,急激にまん延して森林資源に重大な損害を与えるおそれがあるため,その駆除又はまん延の防止につき特別の措置を要するものとして政令で定めるもの(以下「特定せん孔虫」という。)
三  前二号に掲げるもののほか,松毛虫その他の昆虫類,菌類,ウイルス及び獣類であつて政令で定めるもの
2  この法律において「伐採木等」とは,伐採された樹木その他土地から分離した樹木の幹及び枝条(用材及び薪炭材であるものを含む。)並びにこれらの包装をいう。
3  この法律において「特定森林」とは,特定樹種(松くい虫に係る場合にあつては松,特定せん孔虫に係る場合にあつては特定せん孔虫の種類ごとに政令で定める樹種をいう。以下同じ。)からなる森林をいう。
4  この法律において「高度公益機能森林」とは,森林法 (昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項 若しくは第二項 又は第二十五条の二第一項 若しくは第二項 の規定により保安林として指定された特定森林及びその他の公益的機能が高い特定森林であつて特定樹種以外の樹種からなる森林によつては当該機能を確保することが困難なものとして政令で定める特定森林をいう。
5  この法律において「被害拡大防止森林」とは,松くい虫又は特定せん孔虫(以下「松くい虫等」という。)の被害対策を緊急に行わないとすれば,松くい虫が運ぶ線虫類又は特定せん孔虫(以下「特定原因病害虫」という。)により当該特定森林に発生している被害が高度公益機能森林に著しく拡大することとなると認められる特定森林(高度公益機能森林を除く。)をいう。
6  この法律において「特別伐倒駆除」とは,松くい虫等が付着している樹木の伐倒及び破砕(農林水産省令で定める基準に従い行うものに限る。以下同じ。)又は当該樹木の伐倒及び焼却(炭化を含む。)をいう。
7  この法律において「樹種転換」とは,特定森林を保護し,及びその有する機能を確保するために行う特定原因病害虫により被害が発生している特定森林の特定樹種以外の樹種又は特定原因病害虫により枯死するおそれのない特定樹種からなる森林への転換をいう。

(駆除命令)
第三条  農林水産大臣は,森林病害虫等が異常にまん延して森林資源に重大な損害を与えるおそれがあると認めるときは,早期に,かつ,徹底的に,これを駆除し,又はそのまん延を防止するため必要な限度において,区域及び期間を定め,次に掲げる命令をすることができる。
一  森林病害虫等が付着している樹木を所有し,又は管理する者に対し,当該樹木の伐倒及び薬剤による防除又は当該樹木の伐倒及びはく皮並びに森林病害虫等及びその付着している枝条及び樹皮の焼却を命ずること。
二  森林病害虫等が付着し,又は付着するおそれがある根株の存する伐採跡地を所有し,又は管理する者に対し,薬剤による防除又は当該根株のはく皮並びに森林病害虫等及びその付着している枝条及び樹皮の焼却を命ずること。
三  森林病害虫等が付着している樹木又は指定種苗(樹木の種子及び苗であつて農林水産大臣の指定するものをいい,その容器及び包装を含む。以下同じ。)を所有し,又は管理する者に対し,森林病害虫等並びにその付着している枝条又は指定種苗の焼却を命ずること。
四  森林病害虫等の被害を受け,又は受けるおそれがある樹木又は指定種苗を所有し,又は管理する者に対し,薬剤による防除を命ずること。
五  森林病害虫等が付着している指定種苗又は伐採木等の移動を制限し,又は禁止すること。
六  森林病害虫等が付着し,又は付着するおそれがある伐採木等を所有し,又は管理する者に対し,薬剤による防除又は当該伐採木等のはく皮若しくは森林病害虫等並びにその付着している枝条,樹皮及び包装の焼却を命ずること。
2  農林水産大臣は,松くい虫等が異常にまん延して森林資源たる特定森林に重大な損害を与えるおそれがあると認めるときは,前項の規定によるほか,早期に,かつ,徹底的に,これを駆除し,又はそのまん延を防止するため特に必要な限度において,区域及び期間を定め,高度公益機能森林又は被害拡大防止森林につき,当該特定森林を所有し,又は管理する者に対し,特別伐倒駆除を命ずることができる。
3  農林水産大臣は,高度公益機能森林又は被害拡大防止森林につき,第一項第一号の規定による命令(松くい虫等が付着している樹木の伐倒及び薬剤による防除に係るものに限る。)又は前項の規定による命令をするに際し,又は命令をした後において,特定原因病害虫により当該特定森林に発生している被害の状況からみて,これらの命令のみによつては早期に,かつ,徹底的に,松くい虫等を駆除し,又はそのまん延を防止する目的を達することができないと認めるときは,その必要の限度において,これらの命令の区域及び期間の範囲内で区域及び期間を定め,当該特定森林を所有し,又は管理する者に対し,松くい虫等が付着しているおそれがある樹木(枯死しているものに限る。)の伐倒及び薬剤による防除(以下「補完伐倒駆除」という。)を命ずることができる。
4  前三項の規定による命令で第八条の規定により損失の補償を伴うものは,これによつて必要となる補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額を超えない範囲内においてしなければならない。
5  第一項から第三項までの規定による命令をしようとするときは,その二十日前までに,農林水産省令で定める手続に従い,次の事項を公表しなければならない。ただし,森林病害虫等の駆除又はそのまん延の防止のための措置を緊急に行う必要があるときは,この限りでない。
一  区域及び期間
二  森林病害虫等の種類
三  行うべき措置の内容
四  命令をしようとする理由
五  その他必要な事項
6  前項第一号の区域内において森林,樹木,指定種苗又は伐採木等を所有し,又は管理する者は,同項の規定による公表があつた日から二週間以内に,理由を記載した書面をもつて農林水産大臣に不服を申し出ることができる。
7  農林水産大臣は,前項の規定による不服の申出を受けたときは,当該申出をした者に対し,あらかじめ期日及び場所を通知して,公開による意見の聴取を行つた後,当該申出に対する決定をしなければならない。この場合において,意見の聴取に際しては,当該申出をした者又はその代理人は,当該事案について証拠を提出し,意見を述べることができる。
8  農林水産大臣は,第五項ただし書の規定により公表をしないで第一項第一号から第四号まで若しくは第六号,第二項又は第三項の規定による命令をする場合には,その命令に係る措置の実施に必要な準備期間を考慮して,第一項,第二項又は第三項の期間を定めなければならない。
9  農林水産大臣は,第一項から第三項までの規定による命令をするには,その命令を受けるべき者に対し,次に掲げる事項を記載した命令書を交付しなければならない。
一  第一項第一号から第四号まで若しくは第六号,第二項又は第三項の規定による命令にあつては,次の事項
イ 第五項各号に掲げる事項
ロ その命令を受ける者が,次条第一項に規定する場合に該当することとなつたとした場合には,同項の規定による措置をとることがある旨
ハ 次条第一項の規定による措置をとることにより同条第二項に規定する場合に該当することとなつたとした場合には,同項の規定による費用の徴収をすることがある旨
二  第一項第五号に規定する命令にあつては,第五項各号に掲げる事項
10  農林水産大臣は,前項の規定による命令書の交付を受けるべき者の所在が知れないときその他当該命令書をその者に交付することができないときは,農林水産省令で定める手続に従い,当該命令書の内容を公告してその交付に代えることができる。
11  第一項から第三項までの規定による命令については,行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は,適用しない。

(駆除措置)
第四条  農林水産大臣は,前条第一項第一号から第四号まで若しくは第六号,第二項又は第三項の規定による命令をした場合において,森林,樹木,指定種苗又は伐採木等の所有者又は管理者が指定された期間内に命ぜられた措置を行わないとき,行つても十分でないとき又は行う見込みがないときは,当該措置の全部又は一部を行うことができる。
2  農林水産大臣は,前項の規定により同項の措置の全部又は一部を行なつた場合において,その費用の額が,同項の命令を受けた者が自らその措置の全部又は一部を行なつたとした場合にその者が受けることとなるべき第八条第一項の規定による補償の額をこえるときは,そのこえる部分の額に相当する額をその者から徴収することができる。
3  前項の規定による費用の徴収については,行政代執行法 (昭和二十三年法律第四十三号)第五条 及び第六条 の規定を準用する。

(都道府県知事の駆除命令等)
第五条  都道府県知事は,森林病害虫等を駆除し,又はそのまん延を防止するため必要があるときは,その必要の限度において,区域及び期間を定め,第三条第一項各号に掲げる命令をすることができる。
2  都道府県知事は,松くい虫等を駆除し,又はそのまん延を防止するため特に必要があると認めるときは,前項の規定によるほか,その必要の限度において,区域及び期間を定め,高度公益機能森林又は被害拡大防止森林につき,当該特定森林を所有し,又は管理する者に対し,特別伐倒駆除を命ずることができる。
3  都道府県知事は,高度公益機能森林又は被害拡大防止森林につき,第一項の規定による命令(松くい虫等が付着している樹木の伐倒及び薬剤による防除に係るものに限る。)又は前項の規定による命令をするに際し,又は命令をした後において,特定原因病害虫により当該特定森林に発生している被害の状況からみて,これらの命令のみによつては松くい虫等を駆除し,又はそのまん延を防止する目的を達することができないと認めるときは,その必要の限度において,これらの命令の区域及び期間の範囲内で区域及び期間を定め,当該特定森林を所有し,又は管理する者に対し,補完伐倒駆除を命ずることができる。
4  前三項の場合には,第三条第五項から第十一項まで及び前二条の規定を準用する。
5  農林水産大臣は,森林病害虫等がまん延して高度公益機能森林その他の森林資源として重要な森林に損害を与えるおそれがあると認めるときは,都道府県知事に対し,第一項から第三項までの規定による命令に関し必要な指示をすることができる。

(損失補償)
第八条  国又は都道府県は,第三条第一項から第三項まで若しくは第五条第一項から第三項までの規定による命令,第七条第一項の規定による指示又は同条第二項の規定により当該官吏若しくは森林害虫防除員の行う処分により損失を受けた者に対し,損失を補償しなければならない。
2  前項の規定による補償の額は,第三条第一項第一号から第四号まで若しくは第六号,第二項若しくは第三項の命令又は第七条第一項の指示に係る場合にあつては,樹木の伐倒,破砕又は炭化の措置を行うことにより通常生ずべき損失額に相当する金額及び薬剤による防除,幹若しくは根株のはく皮又は樹木,枝条,樹皮,包装,指定種苗若しくは森林病害虫等の焼却の措置を行うのに通常要すべき費用に相当する金額とし,第三条第一項第五号の命令又は第七条第二項の処分に係る場合にあつては,その命令又は処分により通常生ずべき損失額に相当する金額とする。
3  第一項の補償を受けようとする者は,農林水産大臣又は都道府県知事に,補償を受けようとする見積額を記載した申請書を提出しなければならない。
4  農林水産大臣又は都道府県知事は,前項の申請があつたときは,遅滞なく補償すべき金額を決定し,当該申請人に通知しなければならない。
5  前項の決定に不服がある者は,その決定を知つた日から六箇月以内に,訴えをもつて補償金額の増額を請求することができる。
6  前項の訴えにおいては,国又は都道府県を被告とする。

(国庫補助)
第九条  国は,都道府県に対し,政令で定めるところにより,この法律の規定により都道府県知事の行う森林病害虫等の駆除又はそのまん延の防止に関する措置に要する費用の一部を補助する。

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「強烈な反対」の表明について

2007-04-28 21:38:31 | Weblog
NHKオンライン 中国“最高裁判決は無効”

 日本・中国間の戦後処理は,中国が国内の正統政府に係る争いからサンフランシスコ講和会議に招請されなかったため,昭和27年4月28日の中華民国との日華平和条約及び昭和47年9月29日の中華人民共和国との日中共同声明に拠ることとなった。
後者の日中共同声明5項には,「中華人民共和国政府は,中日両国国民の友好のために,日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。」とある。確かに,放棄の対象となる請求主体が一義的に明らかとはいえない。
この点につき,第二小法廷は,「公表されている日中国交正常化交渉の公式記録や関係者の回顧録等に基づく考証を経て今日では公知の事実となっている交渉経緯等を踏まえて考えた場合」として,サンフランシスコ平和条約の枠組みと異なる取決めがされたものと解することはできないと判断。そのサンフランシスコ平和条約の第14条(b)には,「この条約に別段の定がある場合を除き,連合国は,連合国のすべての賠償請求権,戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。」とある。

第二小法廷,国家間の合意で国民の請求権を制限できるかについては,次のように判示している。

 被上告人らは,国家がその有する外交保護権を放棄するのであれば格別,国民の固有の権利である私権を国家間の合意によって制限することはできない旨主張するが,国家は,戦争の終結に伴う講和条約の締結に際し,対人主権に基づき,個人の請求権を含む請求権の処理を行い得るのであって,上記主張は採用し得ない。

 おっ,と思ったのは以下の部分。なるほど,この検討も欠くことはできない。

 上記のような日中共同声明5項の解釈を前提に,その法規範性及び法的効力について検討する。
 まず,日中共同声明は,我が国において条約としての取扱いはされておらず,国会の批准も経ていないものであることから,その国際法上の法規範性が問題となり得る。しかし,中華人民共和国が,これを創設的な国際法規範として認識していたことは明らかであり,少なくとも同国側の一方的な宣言としての法規範性を肯定し得るものである。さらに,国際法上条約としての性格を有することが明らかな日中平和友好条約において,日中共同声明に示された諸原則を厳格に遵守する旨が確認されたことにより,日中共同声明5項の内容が日本国においても条約としての法規範性を獲得したというべきであり,いずれにせよ,その国際法上の法規範性が認められることは明らかである。
 そして,前記のとおり,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおいては,請求権の放棄とは,請求権に基づいて裁判上訴求する権能を失わせることを意味するのであるから,その内容を具体化するための国内法上の措置は必要とせず,日中共同声明5項が定める請求権の放棄も,同様に国内法的な効力が認められるというべきである。


強制連行された方々のご苦労は想像に余りある。ただ,概略,「中国政府が日中共同声明で個人の権利を放棄したというのは勝手な解釈」は,共同声明の当事国の報道官の談話としてはいかがなものか・・・。

最後になったが,判決の末尾には次のようにある。太字は管理人による。

 なお,前記2(3)のように,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおいても,個別具体的な請求権について債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられないところ,本件被害者らの被った精神的・肉体的苦痛が極めて大きかった一方,上告人は前述したような勤務条件で中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受け,更に前記の補償金を取得しているなどの諸般の事情にかんがみると,上告人を含む関係者において,本件被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待されるところである。

判例検索システム 平成19年04月27日 損害賠償請求事件


日本国憲法の関連条文

第七十三条  内閣は,他の一般行政事務の外,左の事務を行ふ。
一  法律を誠実に執行し,国務を総理すること。
二  外交関係を処理すること。
三  条約を締結すること。但し,事前に,時宜によつては事後に,国会の承認を経ることを必要とする。
四  法律の定める基準に従ひ,官吏に関する事務を掌理すること。
五  予算を作成して国会に提出すること。
六  この憲法及び法律の規定を実施するために,政令を制定すること。但し,政令には,特にその法律の委任がある場合を除いては,罰則を設けることができない。
七  大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権を決定すること。

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自動継続特約の趣旨に反する消滅時効の起算点に係る主張について

2007-04-26 20:09:22 | Weblog
「満期ほったらかすと預金消滅」否定 最高裁,初判断 YOMIURI ONLINE

 第三小法廷は,いわゆる「自動継続特約」につき次のとおり判示。

 自動継続定期預金契約における自動継続特約は,預金者から満期日における払戻請求がされない限り,当事者の何らの行為を要せずに,満期日において払い戻すべき元金又は元利金について,前回と同一の預入期間の定期預金契約として継続させることを内容とするものである(最高裁平成11年(受)第320号同13年3月16日第二小法廷判決・裁判集民事201号441頁参照)。消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する(民法166条1項)が,自動継続定期預金契約は,自動継続特約の効力が維持されている間は,満期日が経過すると新たな満期日が弁済期となるということを繰り返すため,預金者は,解約の申入れをしても,満期日から満期日までの間は任意に預金払戻請求権を行使することができない。したがって,初回満期日が到来しても,預金払戻請求権の行使については法律上の障害があるというべきである。
 もっとも,自動継続特約によれば,自動継続定期預金契約を締結した預金者は,満期日(継続をしたときはその満期日)より前に継続停止の申出をすることによって,当該満期日より後の満期日に係る弁済期の定めを一方的に排除し,預金の払戻しを請求することができる。しかし,自動継続定期預金契約は,預金契約の当事者双方が,満期日が自動的に更新されることに意義を認めて締結するものであることは,その内容に照らして明らかであり,預金者が継続停止の申出をするか否かは,預金契約上,預金者の自由にゆだねられた行為というべきである。したがって,預金者が初回満期日前にこのような行為をして初回満期日に預金の払戻しを請求することを前提に,消滅時効に関し,初回満期日から預金払戻請求権を行使することができると解することは,預金者に対し契約上その自由にゆだねられた行為を事実上行うよう要求するに等しいものであり,自動継続定期預金契約の趣旨に反するというべきである。そうすると,初回満期日前の継続停止の申出が可能であるからといって,預金払戻請求権の消滅時効が初回満期日から進行すると解することはできない。


 至極もっともな判断。特約を信じてそのままにしていた預金者を「権利のうえに眠っている。」と難詰することはできない。自動継続定期預金は,雑ぱくな言い方をすれば,「眠っていても結構です。」という預金契約。自動継続の取扱いに期限を設けている金融機関もあるやに聞くが,これなど,消滅時効の起算点に係る自分たちの主張に理がないことを見越した商品設計といえそうだ。
それにしても,1年定期の約定利息が3.86%。中島みゆきじゃないけれど,そんな時代もあった。元本200万円で昭和62年2月24日から支払済みまでの約定の割合による利息及び遅延損害金というから・・・,まぁ,そういう計算になる。何とも羨ましい話し。

判例検索システム 平成19年04月24日 預金払戻請求事件


民法の関連条文

(消滅時効の進行等)
第百六十六条  消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する。
2  前項の規定は,始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために,その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし,権利者は,その時効を中断するため,いつでも占有者の承認を求めることができる。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は,十年間行使しないときは,消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は,二十年間行使しないときは,消滅する。

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普通ではない市場(しじょう)について

2007-04-23 21:22:15 | Weblog
東証,優先株や議決権制限株の市場創設・年内にも NIKKEI NET

 訳あり,傷有りの反物市があるが,あれとちょっと似ているような,似ていないような・・・。やっぱり,違いますね ^^; 。


会社法の関連条文

(株式の内容についての特別の定め)
第百七条 株式会社は,その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
二 当該株式について,株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
三 当該株式について,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
2 株式会社は,全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは,当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。
一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 次に掲げる事項
イ 当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨
ロ 一定の場合においては株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなすときは,その旨及び当該一定の場合
二 当該株式について,株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
イ 株主が当該株式会社に対して当該株主の有する株式を取得することを請求することができる旨
ロ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは,当該社債の種類(第六百八十一条第一号に規定する種類をいう。以下この編において同じ。)及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ハ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは,当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは,当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式,社債及び新株予約権をいう。以下同じ。)以外の財産を交付するときは,当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
ヘ 株主が当該株式会社に対して当該株式を取得することを請求することができる期間
三 当該株式について,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項
イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨及びその事由
ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは,その旨
ハ イの事由が生じた日にイの株式の一部を取得することとするときは,その旨及び取得する株式の一部の決定の方法
ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは,当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは,当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ヘ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは,当該新株予約権付社債についてのニに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのホに規定する事項
ト イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは,当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

(異なる種類の株式)
第百八条 株式会社は,次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし,委員会設置会社及び公開会社は,第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一 剰余金の配当
二 残余財産の分配
三 株主総会において議決権を行使することができる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
五 当該種類の株式について,株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
六 当該種類の株式について,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
七 当該種類の株式について,当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。
八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会,清算人会設置会社(第四百七十八条第六項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち,当該決議のほか,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること。
2 株式会社は,次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には,当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
一 剰余金の配当 当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法,剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容
二 残余財産の分配 当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法,当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容
三 株主総会において議決権を行使することができる事項 次に掲げる事項
イ 株主総会において議決権を行使することができる事項
ロ 当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは,その条件
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項
五 当該種類の株式について,株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第二号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは,当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
六 当該種類の株式について,当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第三号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは,当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
七 当該種類の株式について,当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること 次に掲げる事項
イ 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の価額の決定の方法
ロ 当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは,その条件
八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会,清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち,当該決議のほか,当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの 次に掲げる事項
イ 当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項
ロ 当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは,その条件
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること 次に掲げる事項
イ 当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
ロ イの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは,当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数
ハ イ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは,その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか,法務省令で定める事項
3 前項の規定にかかわらず,同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については,当該種類の株式を初めて発行する時までに,株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会,清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては,その内容の要綱を定款で定めなければならない。

(株主の平等)
第百九条 株式会社は,株主を,その有する株式の内容及び数に応じて,平等に取り扱わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,公開会社でない株式会社は,第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について,株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
3 前項の規定による定款の定めがある場合には,同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして,この編及び第五編の規定を適用する。

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未承認国の当事者能力について

2007-04-22 18:04:17 | Weblog
「光華寮」で台湾,京都地裁に訴訟参加を申し立て YOMIURI ONLINE

 受継 → 取り下げ,という経過を辿って終結,と思いきやそうはいかなかった。仮に参加が認められた場合,原告が訴えを取り下げるには被告のほか参加人の同意をも要するというのが判例の立場である(最判S60.3.15)。

 ところで,独立当事者参加が認められるには,申立人に当事者能力が備わっている必要がある。未承認国である台湾(中華民国)にこれが認められるかについては,本訴訟の大阪高判S57.4.14でも争点のひとつになった。以前,「塩漬け状態だった訴訟について」というエントリの中でその判示部分を掲げたことがあったが,再掲したい。

 (前略)本来,政府や国家の承認は,多分に政治的な行為であって,承認を与える国の政府(行政府)が承認を与えられる政府や国家との関係(国際関係)をどのように処理すべきかという見地からこれを決定するのが常であるのに対し,国内裁判所は,国内における法律上の紛争,とりわけ私的な法律上の紛争をどのように合理的に解決すべきかという見地から判断を下すのが建て前であり,このことは国内裁判所が私的な渉外関係上の紛争を判断の対象とする場合にも同様である。したがって国内裁判所が私的な法律上の紛争(私的な渉外関係上の紛争を含む。以下同じ。)の解決を図るに当って,行政府の決定に基礎を置く承認の有無をそのまま判断の基礎とすることは,必ずしも適切ではなく,承認以外の事実を考慮して,未承認ないし承認を失った事実上の政府にも当事者能力を認めて,私的な法律上の紛争の合理的な解決を図ることが必要とされる場合のあることを否定しえないのであるから,政府の承認と外国法廷における当事者能力とを直結する考え方に従うことはできない。

この点につき,中野俊一郎教授は,小林編『判例講義民事訴訟法』(悠々社)の中で,「(前略)X(管理人註:台湾のこと)が実効的支配を確立しており,独力で訴訟追行を行う実体を備えていることに鑑みれば,代表者の定めのある権利能力なき社団に準ずるものとして,29条によって当事者能力を肯定することは許されよう。ただし,対外関係の悪化を避けるため,司法は自己抑制により,この点の判断を行政府に委ねるべきである,との提言もみられる。」と述べておられる。
この点,京都地裁がどのような判断をされるのか注目したい。

判例検索システム 平成19年03月27日 土地建物明渡請求事件

判例検索システム 昭和57年04月14日 土地家屋明渡請求事件


民事訴訟法の関連条文

(原則)
第二十八条  当事者能力,訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は,この法律に特別の定めがある場合を除き,民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても,同様とする。

(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条  法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは,その名において訴え,又は訴えられることができる。

(独立当事者参加)
第四十七条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は,その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として,当事者としてその訴訟に参加することができる。
2  前項の規定による参加の申出は,書面でしなければならない。
3  前項の書面は,当事者双方に送達しなければならない。
4  第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について,第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

(訴えの取下げ)
第二百六十一条  訴えは,判決が確定するまで,その全部又は一部を取り下げることができる。
2  訴えの取下げは,相手方が本案について準備書面を提出し,弁論準備手続において申述をし,又は口頭弁論をした後にあっては,相手方の同意を得なければ,その効力を生じない。ただし,本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては,この限りでない。
3  訴えの取下げは,書面でしなければならない。ただし,口頭弁論,弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては,口頭ですることを妨げない。
4  第二項本文の場合において,訴えの取下げが書面でされたときはその書面を,訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)はその期日の調書の謄本を相手方に送達しなければならない。
5  訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは,訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において,相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から,相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の謄本の送達があった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも,同様とする。

(訴えの取下げの効果)
第二百六十二条  訴訟は,訴えの取下げがあった部分については,初めから係属していなかったものとみなす。
2  本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は,同一の訴えを提起することができない。

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期日前投票をした者の不満について

2007-04-21 22:04:49 | Weblog
asahi.com 「伊藤票」無効,期日前投票者から不満の声 長崎市長選

 候補者に入れた投票であっても,開票時点でその者が候補者でなければ,結局のところ「公職の候補者でない者の氏名を記載した投票」ということになるか・・・(公選法第68条第1項第2号)。
再投票させてほしいという気持ち,わからないではないが,亡くなった伊藤氏に投票したことを証明する術がない。自己申告は問題があろうし,さりとて,期日前投票をおこなった者全員に再投票を認めるというわけにもいくまい。
大学生の「法の整備が必要」は威勢は良いが,これはいかんともし難いのでは。「自分の意見が反映されないのは納得いかない」は,語弊があるかもしれないが,個人的にはちょっと見苦しいという感じを受ける。40歳主婦の「投票を待てば良かった」が大人の意見というもの。人生経験が長いと,我知らず,事の本質や穏当な結論に届いてしまうようだ。さすがである ^^; 。


日本国憲法の関連条文

第十五条  公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有の権利である。
2  すべて公務員は,全体の奉仕者であつて,一部の奉仕者ではない。
3  公務員の選挙については,成年者による普通選挙を保障する。
4  すべて選挙における投票の秘密は,これを侵してはならない。選挙人は,その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

公職選挙法の関連条文

(開票日)
第六十五条  開票は,すべての投票箱の送致を受けた日又はその翌日に行う。

(開票)
第六十六条  開票管理者は,開票立会人立会の上,投票箱を開き,先ず第五十条第三項及び第五項の規定による投票を調査し,開票立会人の意見を聴き,その投票を受理するかどうかを決定しなければならない。
2  開票管理者は,開票立会人とともに,当該選挙における各投票所及び期日前投票所の投票を開票区ごとに混同して,投票を点検しなければならない。
3  投票の点検が終わつたときは,開票管理者は,直ちにその結果を選挙長(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については,選挙分会長)に報告しなければならない。

(開票の場合の投票の効力の決定)
第六十七条  投票の効力は,開票立会人の意見を聴き,開票管理者が決定しなければならない。その決定に当つては,第六十八条の規定に反しない限りにおいて,その投票した選挙人の意思が明白であれば,その投票を有効とするようにしなければならない。

(無効投票)
第六十八条  衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙の投票については,次の各号のいずれかに該当するものは,無効とする。
一  所定の用紙を用いないもの
二  公職の候補者でない者又は第八十六条の八第一項,第八十七条第一項若しくは第二項,第八十七条の二,第八十八条,第二百五十一条の二若しくは第二百五十一条の三の規定により公職の候補者となることができない者の氏名を記載したもの
三  第八十六条第一項若しくは第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体で同条第一項各号のいずれにも該当していなかつたものの当該届出に係る候補者,同条第九項後段の規定による届出に係る候補者又は第八十七条第三項の規定に違反してされた届出に係る候補者の氏名を記載したもの
四  一投票中に二人以上の公職の候補者の氏名を記載したもの
五  被選挙権のない公職の候補者の氏名を記載したもの
六  公職の候補者の氏名のほか,他事を記載したもの。ただし,職業,身分,住所又は敬称の類を記入したものは,この限りでない。
七  公職の候補者の氏名を自書しないもの
八  公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの
2  衆議院(比例代表選出)議員の選挙の投票については,次の各号のいずれかに該当するものは,無効とする。
一  所定の用紙を用いないもの
二  衆議院名簿届出政党等以外の政党その他の政治団体(第八十六条の二第十項の規定による届出をした政党その他の政治団体を含む。)の名称又は略称を記載したもの
三  第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体で同項各号のいずれにも該当していなかつたもの又は第八十七条第五項の規定に違反して第八十六条の二第一項の衆議院名簿を重ねて届け出ている政党その他の政治団体の名称又は略称を記載したもの
四  第八十六条の二第一項の衆議院名簿登載者の全員につき,同条第七項各号に規定する事由が生じており又は同項後段の規定による届出がされている場合の当該衆議院名簿に係る政党その他の政治団体の名称又は略称を記載したもの
五  一投票中に二以上の衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称又は略称を記載したもの
六  衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称及び略称のほか,他事を記載したもの。ただし,本部の所在地,代表者の氏名又は敬称の類を記入したものは,この限りでない。
七  衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称又は略称を自書しないもの
八  衆議院名簿届出政党等のいずれを記載したかを確認し難いもの
3  参議院(比例代表選出)議員の選挙の投票については,次の各号のいずれかに該当するものは,無効とする。
一  所定の用紙を用いないもの
二  公職の候補者たる参議院名簿登載者でない者,第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第七項後段の規定による届出に係る参議院名簿登載者若しくは第八十六条の八第一項,第八十七条第一項若しくは同条第六項において準用する同条第四項,第八十八条,第二百五十一条の二若しくは第二百五十一条の三の規定により公職の候補者となることができない参議院名簿登載者の氏名を記載したもの又は参議院名簿届出政党等以外の政党その他の政治団体の名称若しくは略称を記載したもの。ただし,代表者の氏名の類を記入したもので第八号ただし書に該当する場合は,この限りでない。
三  第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体で同項各号のいずれにも該当していなかつたもの若しくは同条第二項において準用する第八十六条の二第十項の規定による届出をしたもの又は第八十七条第六項において準用する同条第五項の規定に違反して第八十六条の三第一項の参議院名簿を重ねて届け出ている政党その他の政治団体の同項の規定による届出に係る参議院名簿登載者の氏名又はその届出に係る名称若しくは略称を記載したもの
四  参議院名簿登載者の全員につき,第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第七項各号に規定する事由が生じており又は第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第七項後段の規定による届出がされている場合の当該参議院名簿に係る政党その他の政治団体の名称又は略称を記載したもの
五  一投票中に二人以上の参議院名簿登載者の氏名又は二以上の参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称若しくは略称を記載したもの
六  一投票中に一人の参議院名簿登載者の氏名及び当該参議院名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等以外の参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称又は略称を記載したもの
七  被選挙権のない参議院名簿登載者の氏名を記載したもの
八  公職の候補者たる参議院名簿登載者の氏名又は参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称及び略称のほか,他事を記載したもの。ただし,公職の候補者たる参議院名簿登載者の氏名の記載のある投票については当該参議院名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等の同項の規定による届出に係る名称若しくは略称又は職業,身分,住所若しくは敬称の類を,参議院名簿登載者の氏名の記載のない投票で参議院名簿届出政党等の同項の規定による届出に係る名称又は略称を記載したものについては本部の所在地,代表者の氏名又は敬称の類を記入したものは,この限りでない。
九  公職の候補者たる参議院名簿登載者の氏名又は参議院名簿届出政党等の第八十六条の三第一項の規定による届出に係る名称若しくは略称を自書しないもの
十  公職の候補者たる参議院名簿登載者の何人又は参議院名簿届出政党等のいずれを記載したかを確認し難いもの

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激甚災害の指定について

2007-04-20 21:43:37 | Weblog
能登半島地震を激甚災害に指定 YOMIURI ONLINE

 激甚災害法第2条第1項には,「国民経済に著しい影響を及ぼし,かつ,当該災害による地方財政の負担を緩和し,又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害が発生した場合には,当該災害を激甚災害として政令で指定するものとする。」とあり,また,同条第3項には,「前二項の政令の制定又は改正の立案については,内閣総理大臣は,あらかじめ中央防災会議の意見をきかなければならない。」とある。HPからは明らかではないが,中央防災会議,開かれたものと思われる。
この政令(案)は内閣府のHPにアップされている。安倍総理も視察した輪島塗の産地,輪島市は,適用すべき措置として,激甚災害法第3条から第6条,第12条,第13条及び第24条が指定された。

内閣府 防災情報のページ

内閣府 防災情報のページ  「平成19年能登半島地震による石川県鳳珠郡能登町等の区域に係る災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令案」について

政府インターネット 能登半島被災の現場から -ライブ・トーク官邸第22回-


「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,災害対策基本法 (昭和三十六年法律第二百二十三号)に規定する著しく激甚である災害が発生した場合における国の地方公共団体に対する特別の財政援助又は被災者に対する特別の助成措置について規定するものとする。

(激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定)
第二条  国民経済に著しい影響を及ぼし,かつ,当該災害による地方財政の負担を緩和し,又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害が発生した場合には,当該災害を激甚災害として政令で指定するものとする。
2  前項の指定を行なう場合には,次章以下に定める措置のうち,当該激甚災害に対して適用すべき措置を当該政令で指定しなければならない。
3  前二項の政令の制定又は改正の立案については,内閣総理大臣は,あらかじめ中央防災会議の意見をきかなければならない。

災害対策基本法の関連条文

(激甚災害の応急措置及び災害復旧に関する経費の負担区分等)
第九十七条  政府は,著しく激甚である災害(以下「激甚災害」という。)が発生したときは,別に法律で定めるところにより,応急措置及び災害復旧が迅速かつ適切に行なわれるよう措置するとともに,激甚災害を受けた地方公共団体等の経費の負担の適正を図るため,又は被災者の災害復興の意欲を振作するため,必要な施策を講ずるものとする。

第九十八条  前条に規定する法律は,できる限り激甚災害の発生のつどこれを制定することを避け,また,災害に伴う国の負担に係る制度の合理化を図り,激甚災害に対する前条の施策が円滑に講ぜられるようなものでなければならない。

第九十九条  第九十七条に規定する法律は,次の各号に掲げる事項について規定するものとする。
一  激甚災害のための施策として,特別の財政援助及び助成措置を必要とする場合の基準
二  激甚災害の復旧事業その他当該災害に関連して行なわれる事業が適切に実施されるための地方公共団体に対する国の特別の財政援助
三  激甚災害の発生に伴う被災者に対する特別の助成

(国の補助を伴わない災害復旧事業に対する措置)
第百三条  国及び地方公共団体は,激甚災害の復旧事業費のうち,国の補助を伴わないものについての当該地方公共団体等の負担が著しく過重であると認めるときは,別に法律で定めるところにより,当該復旧事業費の財源に充てるため特別の措置を講ずることができる。

災害対策基本法施行令の関連条文

(中央防災会議の委員及び専門委員)
第三条  中央防災会議の委員(以下この条及び次条において「委員」という。)の定数は,二十五人以内とする。
2  学識経験のある者のうちから任命される委員の任期は,二年とする。ただし,補欠の委員の任期は,その前任者の残任期間とする。
3  前項の委員は,再任されることができる。
4  中央防災会議の専門委員(以下この条及び次条において「専門委員」という。)は,その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは,解任されるものとする。
5  委員及び専門委員は,非常勤とする。

(中央防災会議の専門調査会)
第四条  中央防災会議は,その議決により,専門調査会を置くことができる。
2  専門調査会に属すべき者は,専門委員のうちから,会長が指名する。ただし,会長は,必要があると認める場合は,専門調査会に属すべき者として委員を指名することができる。
3  専門調査会は,その設置に係る調査が終了したときは,廃止されるものとする。

(中央防災会議の庶務)
第五条  中央防災会議の庶務は,内閣府本府に置かれる政策統括官が処理する。

(中央防災会議の議事の手続等)
第六条  前三条に定めるもののほか,中央防災会議の議事の手続その他中央防災会議の運営に関し必要な事項は,会長が中央防災会議に諮つて定める。

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ケータイによる議決権行使について

2007-04-19 21:18:10 | Weblog
ネット総会拡大中,パソコン・携帯で議決権行使・400社導入 NIKKEI NET

 会社は,規模にかかわらず,株主総会決議につき電磁的方法による議決権行使を採用できる(会社法第298条第1項第4号参照)。行使期限は,株主総会の日時の直前の営業時間の終了時が原則だが,特定の時を定めることもできる(会社法施行規則第70条)。
短歌が詠めるのは知ってたが ^^; ,今やケータイで議決権行使の時代。「通話はケータイの機能のひとつ」といった感じになりつつある。


会社法の関連条文

(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条  取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては,当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は,株主総会を招集する場合には,次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株主総会の日時及び場所
二  株主総会の目的である事項があるときは,当該事項
三  株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは,その旨
四  株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは,その旨
五  前各号に掲げるもののほか,法務省令で定める事項
2  取締役は,株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条から第三百二条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には,前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。ただし,当該株式会社が証券取引法第二条第十六項 に規定する証券取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は,この限りでない。3  取締役会設置会社における前項の規定の適用については,同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは,「前項第二号に掲げる事項」とする。
4  取締役会設置会社においては,前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き,第一項各号に掲げる事項の決定は,取締役会の決議によらなければならない。

第三百二条  取締役は,第二百九十八条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合には,第二百九十九条第一項の通知に際して,法務省令で定めるところにより,株主に対し,株主総会参考書類を交付しなければならない。
2  取締役は,第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは,前項の規定による株主総会参考書類の交付に代えて,当該株主総会参考書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし,株主の請求があったときは,株主総会参考書類を当該株主に交付しなければならない。
3  取締役は,第一項に規定する場合には,第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対する同項の電磁的方法による通知に際して,法務省令で定めるところにより,株主に対し,議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
4  取締役は,第一項に規定する場合において,第二百九十九条第三項の承諾をしていない株主から株主総会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは,法務省令で定めるところにより,直ちに,当該株主に対し,当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。

(電磁的方法による議決権の行使)
第三百十二条  電磁的方法による議決権の行使は,政令で定めるところにより,株式会社の承諾を得て,法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を,電磁的方法により当該株式会社に提供して行う。
2  株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には,株式会社は,正当な理由がなければ,前項の承諾をすることを拒んではならない。
3  第一項の規定により電磁的方法によって行使した議決権の数は,出席した株主の議決権の数に算入する。
4  株式会社は,株主総会の日から三箇月間,第一項の規定により提供された事項を記録した電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
5  株主は,株式会社の営業時間内は,いつでも,前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

会社法施行規則の関連条文

(招集の決定事項)
第六十三条  法第二百九十八条第一項第五号 に規定する法務省令で定める事項は,次に掲げる事項とする。
一  法第二百九十八条第一項第一号 に規定する株主総会が定時株主総会である場合において,同号 の日が次に掲げる要件のいずれかに該当するときは,その日時を決定した理由(ロに該当する場合にあっては,その日時を決定したことにつき特に理由がある場合における当該理由に限る。)
イ 当該日が前事業年度に係る定時株主総会の日に応当する日と著しく離れた日であること。
ロ 株式会社が公開会社である場合において,当該日と同一の日において定時株主総会を開催する他の株式会社(公開会社に限る。)が著しく多いこと。
二  法第二百九十八条第一項第一号 に規定する株主総会の場所が過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるとき(次に掲げる場合を除く。)は,その場所を決定した理由
イ 当該場所が定款で定められたものである場合
ロ 当該場所で開催することについて株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合
三  法第二百九十八条第一項第三号 又は第四号 に掲げる事項を定めたときは,次に掲げる事項(定款にロからニまで及びヘに掲げる事項についての定めがある場合又はこれらの事項の決定を取締役に委任する旨を決定した場合における当該事項を除く。)
イ 次款の規定により株主総会参考書類に記載すべき事項(第八十六条第三号及び第四号,第八十七条第三号及び第四号,第八十八条第三号及び第四号,第八十九条第三号,第九十条第三号,第九十一条第三号並びに第九十二条第三号に掲げる事項を除く。)
ロ 特定の時(株主総会の日時以前の時であって,法第二百九十九条第一項 の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって書面による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは,その特定の時
ハ 特定の時(株主総会の日時以前の時であって,法第二百九十九条第一項 の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって電磁的方法による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは,その特定の時
ニ 第六十六条第一項第二号の取扱いを定めるときは,その取扱いの内容
ホ 第九十四条第一項の措置をとることにより株主に対して提供する株主総会参考書類に記載しないものとする事項
ヘ 一の株主が同一の議案につき次に掲げる場合の区分に応じ,次に定める規定により重複して議決権を行使した場合において,当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるとき(次号に規定する場合を除く。)は,その事項
(1) 法第二百九十八条第一項第三号 に掲げる事項を定めた場合 法第三百十一条第一項
(2) 法第二百九十八条第一項第四号 に掲げる事項を定めた場合 法第三百十二条第一項
四  法第二百九十八条第一項第三号 及び第四号 に掲げる事項を定めたときは,次に掲げる事項(定款にイ又はロに掲げる事項についての定めがある場合における当該事項を除く。)
イ 法第二百九十九条第三項 の承諾をした株主の請求があった時に当該株主に対して法第三百一条第一項 の規定による議決権行使書面(法第三百一条第一項 に規定する議決権行使書面をいう。以下この節において同じ。)の交付(当該交付に代えて行う同条第二項 の規定による電磁的方法による提供を含む。)をすることとするときは,その旨
ロ 一の株主が同一の議案につき法第三百十一条第一項 又は第三百十二条第一項 の規定により重複して議決権を行使した場合において,当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるときは,その事項
五  法第三百十条第一項 の規定による代理人による議決権の行使について,代理権(代理人の資格を含む。)を証明する方法,代理人の数その他代理人による議決権の行使に関する事項を定めるとき(定款に当該事項についての定めがある場合を除く。)は,その事項
六  法第三百十三条第二項 の規定による通知の方法を定めるとき(定款に当該通知の方法についての定めがある場合を除く。)は,その方法
七  第三号に規定する場合以外の場合において,次に掲げる事項が株主総会の目的である事項であるときは,当該事項に係る議案の概要(議案が確定していない場合にあっては,その旨)
イ 役員等の選任
ロ 役員等の報酬等
ハ 法第百九十九条第三項 又は第二百条第二項 に規定する場合における募集株式を引き受ける者の募集
ニ 法第二百三十八条第三項 各号又は第二百三十九条第二項 各号に掲げる場合における募集新株予約権を引き受ける者の募集
ホ 事業譲渡等
ヘ 定款の変更
ト 合併
チ 吸収分割
リ 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
ヌ 新設分割
ル 株式交換
ヲ 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
ワ 株式移転

(電磁的方法による議決権行使の期限)
第七十条  法第三百十二条第一項 に規定する法務省令で定める時は,株主総会の日時の直前の営業時間の終了時(第六十三条第三号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては,同号ハの特定の時)とする。

(電磁的方法)
第二百二十二条  法第二条第三十四号 に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは,次に掲げる方法とする。
一  電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し,受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し,当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
二  磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
2  前項各号に掲げる方法は,受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。

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