法律の周辺

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余った補助金の行方について

2008-01-31 20:20:29 | Weblog
余った補助金返還せず?能代商議所 東北通産局が調査 - さきがけ on the Web

 記事中にもあるとおり,補助金支出の適正化に係る法律として補助金適正化法がある。
同法第3条は関係者の責務に係る規定。その第2項には「補助事業者等及び間接補助事業者等は,補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し,法令の定及び補助金等の交付の目的又は間接補助金等の交付若しくは融通の目的に従つて誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならない。」とある。
補助金の交付申請以降の流れは,概略,交付申請 → 交付の決定 → 補助事業等の遂行 → 状況報告・実績報告 → 補助金の額の確定。余剰が生じた場合は返還することになる(補助金適正化法第18条第2項)。「補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるもの」であることからすれば至極当然の話し。
内部留保が仮に事実とすれば,能代商工会議所,国に対する状況報告ないし実績報告などを偽っていたということであろか・・・。
因みに,今般の東北経済産業局の調査,内部留保を告発する投書を契機としているようだが,補助金適正化法は公益通報者保護法の公益通報の対象法律ではない。


「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,補助金等の交付の申請,決定等に関する事項その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定することにより,補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「補助金等」とは,国が国以外の者に対して交付する次に掲げるものをいう。
一  補助金
二  負担金(国際条約に基く分担金を除く。)
三  利子補給金
四  その他相当の反対給付を受けない給付金であつて政令で定めるもの
2  この法律において「補助事業等」とは,補助金等の交付の対象となる事務又は事業をいう。
3  この法律において「補助事業者等」とは,補助事業等を行う者をいう。
4  この法律において「間接補助金等」とは,次に掲げるものをいう。
一  国以外の者が相当の反対給付を受けないで交付する給付金で,補助金等を直接又は間接にその財源の全部又は一部とし,かつ,当該補助金等の交付の目的に従つて交付するもの
二  利子補給金又は利子の軽減を目的とする前号の給付金の交付を受ける者が,その交付の目的に従い,利子を軽減して融通する資金
5  この法律において「間接補助事業等」とは,前項第一号の給付金の交付又は同項第二号の資金の融通の対象となる事務又は事業をいう。
6  この法律において「間接補助事業者等」とは,間接補助事業等を行う者をいう。
7  この法律において「各省各庁」とは,財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)第二十一条 に規定する各省各庁をいい,「各省各庁の長」とは,同法第二十条第二項 に規定する各省各庁の長をいう。

(関係者の責務)
第三条  各省各庁の長は,その所掌の補助金等に係る予算の執行に当つては,補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し,補助金等が法令及び予算で定めるところに従つて公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。
2  補助事業者等及び間接補助事業者等は,補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し,法令の定及び補助金等の交付の目的又は間接補助金等の交付若しくは融通の目的に従つて誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならない。

(補助事業等及び間接補助事業等の遂行)
第十一条  補助事業者等は,法令の定並びに補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件その他法令に基く各省各庁の長の処分に従い,善良な管理者の注意をもつて補助事業等を行わなければならず,いやしくも補助金等の他の用途への使用(利子補給金にあつては,その交付の目的となつている融資又は利子の軽減をしないことにより,補助金等の交付の目的に反してその交付を受けたことになることをいう。以下同じ。)をしてはならない。
2  間接補助事業者等は,法令の定及び間接補助金等の交付又は融通の目的に従い,善良な管理者の注意をもつて間接補助事業等を行わなければならず,いやしくも間接補助金等の他の用途への使用(利子の軽減を目的とする第二条第四項第一号の給付金にあつては,その交付の目的となつている融資又は利子の軽減をしないことにより間接補助金等の交付の目的に反してその交付を受けたことになることをいい,同項第二号の資金にあつては,その融通の目的に従つて使用しないことにより不当に利子の軽減を受けたことになることをいう。以下同じ。)をしてはならない。

(状況報告)
第十二条  補助事業者等は,各省各庁の長の定めるところにより,補助事業等の遂行の状況に関し,各省各庁の長に報告しなければならない。

(補助事業等の遂行等の命令)
第十三条  各省各庁の長は,補助事業者等が提出する報告等により,その者の補助事業等が補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件に従つて遂行されていないと認めるときは,その者に対し,これらに従つて当該補助事業等を遂行すべきことを命ずることができる。
2  各省各庁の長は,補助事業者等が前項の命令に違反したときは,その者に対し,当該補助事業等の遂行の一時停止を命ずることができる。

(実績報告)
第十四条  補助事業者等は,各省各庁の長の定めるところにより,補助事業等が完了したとき(補助事業等の廃止の承認を受けたときを含む。)は,補助事業等の成果を記載した補助事業等実績報告書に各省各庁の長の定める書類を添えて各省各庁の長に報告しなければならない。補助金等の交付の決定に係る国の会計年度が終了した場合も,また同様とする。

(補助金等の額の確定等)
第十五条  各省各庁の長は,補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては,報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等により,その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうかを調査し,適合すると認めたときは,交付すべき補助金等の額を確定し,当該補助事業者等に通知しなければならない。

(是正のための措置)
第十六条  各省各庁の長は,補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合において,その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合しないと認めるときは,当該補助事業等につき,これに適合させるための措置をとるべきことを当該補助事業者等に対して命ずることができる。
2  第十四条の規定は,前項の規定による命令に従つて行う補助事業等について準用する。

(決定の取消)
第十七条  各省各庁の長は,補助事業者等が,補助金等の他の用途への使用をし,その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは,補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。
2  各省各庁の長は,間接補助事業者等が,間接補助金等の他の用途への使用をし,その他間接補助事業等に関して法令に違反したときは,補助事業者等に対し,当該間接補助金等に係る補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。
3  前二項の規定は,補助事業等について交付すべき補助金等の額の確定があつた後においても適用があるものとする。
4  第八条の規定は,第一項又は第二項の規定による取消をした場合について準用する。

(補助金等の返還)
第十八条  各省各庁の長は,補助金等の交付の決定を取り消した場合において,補助事業等の当該取消に係る部分に関し,すでに補助金等が交付されているときは,期限を定めて,その返還を命じなければならない。
2  各省各庁の長は,補助事業者等に交付すべき補助金等の額を確定した場合において,すでにその額をこえる補助金等が交付されているときは,期限を定めて,その返還を命じなければならない。
3  各省各庁の長は,第一項の返還の命令に係る補助金等の交付の決定の取消が前条第二項の規定によるものである場合において,やむを得ない事情があると認めるときは,政令で定めるところにより,返還の期限を延長し,又は返還の命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。

(加算金及び延滞金)
第十九条  補助事業者等は,第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し,補助金等の返還を命ぜられたときは,政令で定めるところにより,その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ,当該補助金等の額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については,既納額を控除した額)につき年十・九五パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない。
2  補助事業者等は,補助金等の返還を命ぜられ,これを納期日までに納付しなかつたときは,政令で定めるところにより,納期日の翌日から納付の日までの日数に応じ,その未納付額につき年十・九五パーセントの割合で計算した延滞金を国に納付しなければならない。
3  各省各庁の長は,前二項の場合において,やむを得ない事情があると認めるときは,政令で定めるところにより,加算金又は延滞金の全部又は一部を免除することができる。

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たばこ購入用ICカードの申込開始について

2008-01-30 19:50:57 | Weblog
MSN産経ニュース たばこ購入用ICカード「タスポ」,1日に申し込み開始

 未成年者喫煙禁止法第1条には「満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス」とあり,また,同第4条には「煙草又ハ器具ヲ販売スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ喫煙ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス」とある。
記事には,申し込みは2月1日に全国で始まる,とあるが,パイロットエリアである宮崎・鹿児島両県は昨年12月から始まっているようだ。

ところで,taspo(タスポ)カードはICカード。カードに顔写真は必要ないようにも思えるが,taspoのHPには次のようにある。

カード中央の『氏名』・『会員番号』・『顔写真』は、利用者を明確化することで本人への帰属性を高め、譲渡・貸与を防ぎ成人識別の厳格性を高める役割を担っています。

「未成年者の喫煙防止のため」を言うなら,自販機を全面廃止すればよさそうなものだが,そうはならなかった。大人の事情があるのだろう。何にしても,大変な時代になったもの。
なお,現在,成人年齢の引き下げが検討されている。当然,未成年者喫煙禁止法も対象になる。

taspo 未成年者には買わせない。


未成年者喫煙禁止法

第一条  満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス

第二条  前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス

第三条  未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙ヲ制止セサルトキハ科料ニ処ス
2 親権ヲ行フ者ニ代リテ未成年者ヲ監督スル者亦前項ニ依リテ処断ス

第四条  煙草又ハ器具ヲ販売スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ喫煙ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス

第五条  満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス

第六条  法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同条ノ刑ヲ科ス

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首都機能移転の現実味について

2008-01-29 08:56:57 | Weblog
毎日jp 首都機能誘致:愛知,岐阜が活動打ち切りへ…現実味薄れ

 国会等の移転ホームページには「早わかり!国会等の移転(Q&A)」が掲載されている。
その中の 「なぜ移転するのですか?」には,国会等の移転には,主として,「国政全般の改革の促進」「東京一極集中の是正」「災害対応力の強化」という3つの意義・効果が認められるから,とある。この辺りは「国会等の移転に関する法律」の前文からも読み取ることができる。
愛知,岐阜両県の活動打ち切りは国会等(首都機能)の移転に現実味が薄れてきていることを理由としているようだ。しかし,候補地県の思惑はさておき,国会等の移転に係る上記3つの意義・効果に期待されるところは以前にも増して大きくなっているのではなかろうか。
「国会等の移転に関する法律」の施行は平成4年12月とか。この法律の施行後,我が国は阪神・淡路大震災という未曾有の震災を経験している(同法前文第3段落参照)。
件の法の前文にも「このような状況にかんがみ,一極集中を排除し,多極分散型国土の形成に資するとともに,地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するため,世界都市としての東京都の整備に配慮しつつ,国会等の東京圏外への移転の具体化について積極的に検討を進めることは,我が国が新しい社会を建設するため,極めて緊要なことである。」とある。
最後になったが,記事からは,もう1つの候補地である栃木,福島両県の活動状況がどのようになっているかは明らかではない。

国交省 国会等の移転ホームページ


「国会等の移転に関する法律」の関連条文

 我が国は,国民のたゆみない努力により今次の大戦による荒廃の中から立ち上がり,かつてない経済的繁栄を築き上げてきた。そして今日,精神的充足を求める気運の増大,多様な地域文化をはぐくむことや全世界との連携を強化することについての認識の高まりに見られるように,時代は大きく変わろうとしている。
 しかるに,我が国の現状は,政治,経済,文化等の中枢機能が東京圏に過度に集中したことにより,人口の過密,地価の高騰,生活環境の悪化,大規模災害時における危険の増大等の問題が深刻化する一方で,地方における過疎,経済的停滞,文化の画一化等の問題が生じるに至っている。これらの諸問題は,単に国土の適正な利用を図るという観点からのみでなく,時代の変化に対応した新しい社会を築く上で,大きな桎梏となっている。
 とりわけ,阪神・淡路大震災による未曾有の被害の発生により,大規模災害時において災害対策の中枢機能を確保することの重要性について改めて認識したところである。
 このような状況にかんがみ,一極集中を排除し,多極分散型国土の形成に資するとともに,地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するため,世界都市としての東京都の整備に配慮しつつ,国会等の東京圏外への移転の具体化について積極的に検討を進めることは,我が国が新しい社会を建設するため,極めて緊要なことである。
 もとより,国会等の移転のみで問題が解決するものではなく,これと併せ,地方分権その他の行財政の改革等を推進することにより,自主的で創造的な地域社会の実現を図っていくことが肝要であり,また国会等の移転をそのような改革の契機として活用していくことが重要であると確信する。
 ここに,国会等の移転を目指して,その具体化の推進のために積極的な検討を行うべきことを明らかにし,そのための国の責務,基本指針,移転先候補地の選定体制等について定めるため,この法律を制定する。

(国の責務)
第一条  国は,国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの(以下「国会等」という。)の東京圏以外の地域への移転(以下「国会等の移転」という。)の具体化に向けて積極的な検討を行う責務を有する。

(定義)
第二条  この法律において「多極分散型国土」とは,多極分散型国土形成促進法 (昭和六十三年法律第八十三号)第一条 に規定する多極分散型国土をいう。
2  この法律において「東京圏」とは,多極分散型国土形成促進法第二十二条第一項 に規定する東京圏をいう。

第三条  国は,国会等の移転について検討を行うに当たっては,広く国民の意見を聴き,その合意形成を図るとともに,この章に定めるところにより,広範かつ多角的にこれを行うものとする。

第四条  地方分権の総合的かつ計画的な推進,行政の各般にわたる民間活動に係る規制の改善の推進,行政の制度及び運営の改善の推進等行財政の抜本的な改革と的確に関連付けるものとする。

第五条  国会等の移転と多極分散型国土の形成の促進に関する施策との一体性を確保するものとする。

第六条  経済及び文化における国際的中枢機能並びに良好な居住環境等を備える都市としての東京都の整備との調和を図るとともに,国会等の移転先(以下「移転先」という。)の新都市と東京都との機能面での連携を確保するものとする。

第七条  移転先について,災害に対する安全性,地形の良好性,水の供給の安定性,交通の利便性,土地取得の容易性等の条件を配慮するものとする。

第八条  移転先の新都市が,交通通信体系の整備等により,世界及び我が国の各地域との交流が容易であり,かつ,自然環境と調和し,良好な居住環境等を備えた都市となるようにするものとする。

第九条  国会等の移転の計画は,社会経済情勢の変化に弾力的に対応することができる段階的なものとするものとする。

第十条  移転先の新都市の整備に際し,適切な土地対策を講じるものとする。

第十一条  地震等の大規模災害に対処する上での緊急性,東京都の災害対策の充実等に配慮するものとする。

多極分散型国土形成促進法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,人口及び行政,経済,文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り,地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備を推進し,並びに住宅等の供給と地域間の交流を促進することにより,人口及びこれらの機能が特定の地域に過度に集中することなくその全域にわたり適正に配置され,それぞれの地域が有機的に連携しつつその特性を生かして発展している国土(以下「多極分散型国土」という。)の形成を促進し,もつて住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(施策における配慮)
第二条  国及び地方公共団体は,この法律に規定する多極分散型国土の形成の促進に関する施策の策定及び実施に当たつては,地域における創意工夫を尊重し,並びに適正かつ合理的な土地利用の確保,環境の保全,国土の保全及び災害の防止に配慮するとともに,民間事業者,地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。

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DV証明書を提出させたうえでの住民票の職権記載について

2008-01-27 21:21:20 | Weblog
毎日jp 無戸籍児:夫のDV証明で住民票 東京・北区

 記事には,概略,住民基本台帳法は戸籍の届けを受理した時は住民票の作成を義務付けているほか,事実確認のうえでの職権作成も可能としている,とある。
なるほど,住民基本台帳第8条には「住民票の記載,消除又は記載の修正(第十八条を除き,以下「記載等」という。)は,第三十条の二第一項及び第二項,第三十条の三第三項並びに第三十条の四の規定によるほか,政令で定めるところにより,この法律の規定による届出に基づき,又は職権で行うものとする。」とある。
「政令で定めるところにより」とあるから,次に住民基本台帳法施行令を覗くと,第12条第1項に「市町村長は,法の規定による届出に基づき住民票の記載等をすべき場合において,当該届出がないことを知つたときは,当該記載等をすべき事実を確認して,職権で,第七条から第十条までの規定による住民票の記載等をしなければならない。」とある。
しかし,同項の「法の規定による届出」の「法」が住民基本台帳法を指しているのは明らか(住民基本台帳法施行令第1条参照)。これに戸籍法まで含ましめ,「当該届出がない」を「出生届がない」と読むことについてはちょっと疑問が残る。
職権による住民票の記載は出生届を受理した後で云々,という旧自治省の平元・12・22自治振第98号兵庫県総務部長あて回答も上記のような解釈によるものではなかろうか(住民基本台帳法施行令第12条第2項第1号参照)。もちろん,子どもの福祉を考えた場合,この種の事案での職権記載の必要性を否定するつもりは全くないのだが。


「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の関連条文

(被害者の保護のための関係機関の連携協力)
第九条  配偶者暴力相談支援センター,都道府県警察,福祉事務所等都道府県又は市町村の関係機関その他の関係機関は,被害者の保護を行うに当たっては,その適切な保護が行われるよう,相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。

戸籍法の関連条文

第十三条  戸籍には,本籍の外,戸籍内の各人について,左の事項を記載しなければならない。
一  氏名
二  出生の年月日
三  戸籍に入つた原因及び年月日
四  実父母の氏名及び実父母との続柄
五  養子であるときは,養親の氏名及び養親との続柄
六  夫婦については,夫又は妻である旨
七  他の戸籍から入つた者については,その戸籍の表示
八  その他法務省令で定める事項

第四十九条  出生の届出は,十四日以内(国外で出生があつたときは,三箇月以内)にこれをしなければならない。
2  届書には,次の事項を記載しなければならない。
一  子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別
二  出生の年月日時分及び場所
三  父母の氏名及び本籍,父又は母が外国人であるときは,その氏名及び国籍
四  その他法務省令で定める事項
3  医師,助産師又はその他の者が出産に立ち会つた場合には,医師,助産師,その他の者の順序に従つてそのうちの一人が法務省令・厚生労働省令の定めるところによつて作成する出生証明書を届書に添付しなければならない。ただし,やむを得ない事由があるときは,この限りでない。

第五十二条  嫡出子出生の届出は,父又は母がこれをし,子の出生前に父母が離婚をした場合には,母がこれをしなければならない。
2  嫡出でない子の出生の届出は,母がこれをしなければならない。
3  前二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には,左の者は,その順序に従つて,届出をしなければならない。
第一 同居者
第二 出産に立ち会つた医師,助産師又はその他の者
4  第一項又は第二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には,その者以外の法定代理人も,届出をすることができる。

住民基本台帳法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,市町村(特別区を含む。以下同じ。)において,住民の居住関係の公証,選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り,あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため,住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め,もつて住民の利便を増進するとともに,国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。

(国及び都道府県の責務)
第二条  国及び都道府県は,市町村の住民の住所又は世帯若しくは世帯主の変更及びこれらに伴う住民の権利又は義務の異動その他の住民としての地位の変更に関する市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)その他の市町村の執行機関に対する届出その他の行為(次条第三項及び第二十一条において「住民としての地位の変更に関する届出」と総称する。)がすべて一の行為により行われ,かつ,住民に関する事務の処理がすべて住民基本台帳に基づいて行われるように,法制上その他必要な措置を講じなければならない。

(市町村長等の責務)
第三条  市町村長は,常に,住民基本台帳を整備し,住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに,住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2  市町村長その他の市町村の執行機関は,住民基本台帳に基づいて住民に関する事務を管理し,又は執行するとともに,住民からの届出その他の行為に関する事務の処理の合理化に努めなければならない。
3  住民は,常に,住民としての地位の変更に関する届出を正確に行なうように努めなければならず,虚偽の届出その他住民基本台帳の正確性を阻害するような行為をしてはならない。
4  何人も,第十一条第一項に規定する住民基本台帳の一部の写しの閲覧又は住民票の写し,住民票に記載をした事項に関する証明書,戸籍の附票の写しその他のこの法律の規定により交付される書類の交付により知り得た事項を使用するに当たつて,個人の基本的人権を尊重するよう努めなければならない。

(住民票の記載事項)
第七条  住民票には,次に掲げる事項について記載(前条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては,記録。以下同じ。)をする。
一  氏名
二  出生の年月日
三  男女の別
四  世帯主についてはその旨,世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
五  戸籍の表示。ただし,本籍のない者及び本籍の明らかでない者については,その旨
六  住民となつた年月日
七  住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については,その住所を定めた年月日
八  新たに市町村の区域内に住所を定めた者については,その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については,その年月日)及び従前の住所
九  選挙人名簿に登録された者については,その旨
十  国民健康保険の被保険者(国民健康保険法 (昭和三十三年法律第百九十二号)第五条 及び第六条 の規定による国民健康保険の被保険者をいう。第二十八条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの十の二  介護保険の被保険者(介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第九条 の規定による介護保険の被保険者(同条第二号 に規定する第二号 被保険者を除く。)をいう。第二十八条の二及び第三十一条第三項において同じ。)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一  国民年金の被保険者(国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)第七条 その他政令で定める法令の規定による国民年金の被保険者(同条第一項第二号 に規定する第二号 被保険者及び同項第三号 に規定する第三号 被保険者を除く。)をいう。第二十九条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一の二  児童手当の支給を受けている者(児童手当法 (昭和四十六年法律第七十三号)第七条 の規定により認定を受けた受給資格者をいう。第二十九条の二及び第三十一条第三項において同じ。)については,その受給資格に関する事項で政令で定めるもの
十二  米穀の配給を受ける者(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 (平成六年法律第百十三号)第四十条第一項 の規定に基づく政令の規定により米穀の配給が実施される場合におけるその配給に基づき米穀の配給を受ける者で政令で定めるものをいう。第三十条及び第三十一条第三項において同じ。)については,その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの
十三  住民票コード(番号,記号その他の符号であつて総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)
十四  前各号に掲げる事項のほか,政令で定める事項

(住民票の記載等)
第八条  住民票の記載,消除又は記載の修正(第十八条を除き,以下「記載等」という。)は,第三十条の二第一項及び第二項,第三十条の三第三項並びに第三十条の四の規定によるほか,政令で定めるところにより,この法律の規定による届出に基づき,又は職権で行うものとする。

(調査)
第三十四条  市町村長は,定期に,第七条に規定する事項について調査をするものとする。
2  市町村長は,前項に定める場合のほか,必要があると認めるときは,いつでも第七条に規定する事項について調査をすることができる。
3  市町村長は,前二項の調査に当たり,必要があると認めるときは,当該吏員をして,関係人に対し,質問をさせ,又は文書の提示を求めさせることができる。
4  当該吏員は,前項の規定により質問をし,又は文書の提示を求める場合には,その身分を示す証明書を携帯し,関係人の請求があつたときは,これを提示しなければならない。

住民基本台帳法施行令の関連条文

(住民票の記載)
第七条  市町村長は,新たに市町村の区域内に住所を定めた者その他新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者があるときは,次項に定める場合を除き,その者の住民票を作成しなければならない。
2  市町村長は,一の世帯につき世帯を単位とする住民票を作成した後に新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者でその世帯に属することとなつたもの(既に当該世帯に属していた者で新たに法の適用を受けることとなつたものを含む。)があるときは,その住民票にその者に関する記載(法第六条第三項 の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては,記録。以下同じ。)をしなければならない。

(住民票の消除)
第八条  市町村長は,その市町村の住民基本台帳に記録されている者が転出をし,又は死亡したときその他その者についてその市町村の住民基本台帳の記録から除くべき事由が生じたときは,その者の住民票(その者が属していた世帯について世帯を単位とする住民票が作成されていた場合にあつては,その住民票の全部又は一部)を消除しなければならない。

(住民票の記載の修正)
第九条  市町村長は,住民票に記載されている事項(住民票コードを除く。)に変更があつたときは,その住民票の記載の修正をしなければならない。

(転居又は世帯変更による住民票の記載及び消除)
第十条  市町村長は,転居をし,又はその市町村の区域内においてその属する世帯を変更した者がある場合において,前条の規定によるほか必要があるときは,その者の住民票を作成し,又はその属することとなつた世帯の住民票にその者に関する記載をするとともに,その者の住民票(その者が属していた世帯について世帯を単位とする住民票が作成されていた場合にあつては,その住民票の全部又は一部)の消除をしなければならない。

(届出に基づく住民票の記載等)
第十一条  市町村長は,法の規定による届出があつたときは,当該届出の内容が事実であるかどうかを審査して,第七条から前条までの規定による住民票の記載,消除又は記載の修正(以下「記載等」という。)を行なわなければならない。

(職権による住民票の記載等)
第十二条  市町村長は,法の規定による届出に基づき住民票の記載等をすべき場合において,当該届出がないことを知つたときは,当該記載等をすべき事実を確認して,職権で,第七条から第十条までの規定による住民票の記載等をしなければならない。
2  市町村長は,次に掲げる場合において,第七条から第十条までの規定により住民票の記載等をすべき事由に該当するときは,職権で,これらの規定による住民票の記載等をしなければならない。
一  戸籍に関する届書,申請書その他の書類を受理し,若しくは職権で戸籍の記載若しくは記録をしたとき,又は法第九条第二項 の規定による通知を受けたとき。
二  法第十条 の規定による通知を受けたとき。
三  国民健康保険法第九条第一項 又は第九項 の規定による届出を受理したとき(同条第十項 の規定により届出があつたものとみなされるときを除く。)その他国民健康保険の被保険者の資格の取得若しくは喪失に関する事実又は退職被保険者等となり,若しくは退職被保険者等でなくなつた事実を確認したとき。
三の二  介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第十二条第一項 本文の規定による届出を受理したとき(同条第五項 の規定により届出があつたものとみなされるときを除く。)その他介護保険の被保険者となり,又は介護保険の被保険者でなくなつた事実を確認したとき。
四  国民年金法第十二条第一項 若しくは第二項 又は同法第百五条第四項 の規定による届出を受理したとき(同法第十二条第三項 の規定により届出があつたものとみなされるときを除く。),国民年金の被保険者の資格に関する処分があつたときその他国民年金の被保険者となり,若しくは国民年金の被保険者でなくなつた事実又は国民年金の被保険者の種別の変更に関する事実を確認したとき。
五  児童手当法第七条 の規定による認定をしたとき,又は児童手当を支給すべき事由の消滅に関する事実を確認したとき。
六  次に掲げる不服申立てについての裁決若しくは決定その他の決定又は訴訟の判決の内容が住民基本台帳の記録と異なるとき。
イ 法第三十一条の四 の規定による審査請求についての裁決若しくは異議申立てについての決定又は同条 の処分についての訴訟の確定判決
ロ 法第三十三条第二項 の規定による住民の住所の認定に関する決定又は同条第四項 の規定による訴訟の確定判決
ハ 公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第二十四条第二項 の規定による異議の申出についての決定又は同法第二十五条 の規定による訴訟の確定判決
ニ 地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第十九条 に規定する不服申立てについての決定又は同条 の処分についての訴訟の確定判決
ホ 国民健康保険法第九十一条第一項 の規定による審査請求についての裁決又は同項 の処分についての訴訟の確定判決
ヘ 介護保険法第百八十三条第一項 の規定による審査請求についての裁決又は同項 の処分についての訴訟の確定判決
ト 国民年金法第百一条第一項 の規定による審査請求についての決定若しくは再審査請求についての裁決又は同項 の処分についての訴訟の確定判決
七  行政区画,郡,区,市町村内の町若しくは字若しくはこれらの名称の変更,地番の変更又は住居表示に関する法律 (昭和三十七年法律第百十九号)第三条第一項 及び第二項 若しくは同法第四条 の規定による住居表示の実施若しくは変更に伴い住所の表示の変更があつたとき。
3  市町村長は,住民基本台帳に脱漏若しくは誤載があり,又は住民票に誤記(住民票コードに係る誤記を除く。)若しくは記載漏れ(住民票コードに係る記載漏れを除く。)があることを知つたときは,当該事実を確認して,職権で,住民票の記載等をしなければならない。
4  市町村長は,第一項の規定により住民票の記載等をしたときは,その旨を当該記載等に係る者に通知しなければならない。この場合において,通知を受けるべき者の住所及び居所が明らかでないときその他通知をすることが困難であると認めるときは,その通知に代えて,その旨を公示することができる。

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異例な規模の株式取得について

2008-01-26 21:24:36 | Weblog
トヨタ株など「51%取得」虚偽報告か,川崎市の企業・金融庁調査 NIKKEI NET

 資本金千円で設立された会社とか。会社法下では 資本金の額も単なる計数に過ぎないとされているが,資本金がいくらであろうと,20兆円は容易に調達できる数額ではない。
金融庁は件の会社に問い合わせるなどしているようだ。金融商品取引法を覗くと,第27条の30第1項に「内閣総理大臣は,公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは,大量保有報告書の提出者若しくは当該提出者の共同保有者その他の関係者若しくは参考人に対し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ,又は当該職員をしてその者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」とある。
さて,虚偽報告書を提出した場合は,五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれの併科(金融商品取引法第197条の2第6号)。
金融商品取引法第27条の30の3第4項には「第一項又は第二項の規定により行われた電子開示手続又は任意電子開示手続については,これらの手続を文書をもつて行うものとして規定した金融商品取引法令の規定に規定する文書をもつて行われたものとみなして,金融商品取引法令の規定を適用する。」とある。ただのいたずらという話しもあるが,そうだとしたら,代償,高くつくことになる。

金融庁  平成20年1月25日 ご注意下さい。(大量保有報告書の提出に関する調査について)

金融庁 EDINET(有価証券報告書等の開示書類を閲覧するホームページ)


金融商品取引法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,企業内容等の開示の制度を整備するとともに,金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め,金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により,有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし,有価証券の流通を円滑にするほか,資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り,もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする。

(大量保有報告書の提出)
第二十七条の二十三 株券,新株予約権付社債券その他の政令で定める有価証券(以下この項において「株券関連有価証券」という。)で金融商品取引所に上場されているもの(流通状況がこれに準ずるものとして政令で定める株券関連有価証券を含む。)の発行者である法人が発行者(内閣府令で定める有価証券については,内閣府令で定める者。第二十七条の三十第二項を除き,以下この章及び第二十七条の三十の十一第四項において同じ。)である対象有価証券(当該対象有価証券に係るオプション(当該オプションの行使により当該行使をした者が当該オプションに係る対象有価証券の売買において買主としての地位を取得するものに限る。)を表示する第二条第一項第十九号に掲げる有価証券その他の当該対象有価証券に係る権利を表示するものとして政令で定めるものを含む。以下この章及び第二十七条の三十の十一第四項において「株券等」という。)の保有者で当該株券等に係るその株券等保有割合が百分の五を超えるもの(以下この章において「大量保有者」という。)は,内閣府令で定めるところにより,株券等保有割合に関する事項,取得資金に関する事項,保有の目的その他の内閣府令で定める事項を記載した報告書(以下「大量保有報告書」という。)を大量保有者となつた日から五日(日曜日その他政令で定める休日の日数は,算入しない。第二十七条の二十五第一項及び第二十七条の二十六において同じ。)以内に,内閣総理大臣に提出しなければならない。ただし,第四項に規定する保有株券等の総数に増加がない場合その他の内閣府令で定める場合については,この限りでない。
2 前項の「対象有価証券」とは,株券,新株予約権付社債券その他の有価証券のうち政令で定めるものをいう。
3 第一項の保有者には,自己又は他人(仮設人を含む。)の名義をもつて株券等を所有する者(売買その他の契約に基づき株券等の引渡請求権を有する者その他これに準ずる者として政令で定める者を含む。)のほか,次に掲げる者を含むものとする。ただし,第一号に掲げる者については,同号に規定する権限を有することを知つた日において,当該権限を有することを知つた株券等(株券等に係る権利を表示する第二条第一項第二十号に掲げる有価証券その他の内閣府令で定める有価証券を含む。以下この項及び次条において同じ。)に限り,保有者となつたものとみなす。
一 金銭の信託契約その他の契約又は法律の規定に基づき,株券等の発行者の株主としての議決権その他の権利を行使することができる権限又は当該議決権の行使について指図を行うことができる権限を有する者(次号に該当する者を除く。)であつて,当該発行者の事業活動を支配する目的を有する者
二 投資一任契約その他の契約又は法律の規定に基づき,株券等に投資をするのに必要な権限を有する者
4 第一項の「株券等保有割合」とは,株券等の保有者(同項に規定する保有者をいう。以下この章において同じ。)の保有(前項各号に規定する権限を有する場合を含む。以下この章において同じ。)に係る当該株券等(その保有の態様その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)の数(株券については株式の数を,その他のものについては内閣府令で定めるところにより株式に換算した数をいう。以下この章において同じ。)の合計から当該株券等の発行者が発行する株券等のうち,第百六十一条の二第一項に規定する信用取引その他内閣府令で定める取引の方法により譲渡したことにより,引渡義務(共同保有者に対して負うものを除く。)を有するものの数を控除した数(以下この章において「保有株券等の数」という。)に当該発行者が発行する株券等に係る共同保有者の保有株券等(保有者及び共同保有者の間で引渡請求権その他の政令で定める権利が存在するものを除く。)の数を加算した数(以下この章において「保有株券等の総数」という。)を,当該発行者の発行済株式の総数に当該保有者及び共同保有者の保有する当該株券等(株券その他の内閣府令で定める有価証券を除く。)の数を加算した数で除して得た割合をいう。
5 前項の「共同保有者」とは,株券等の保有者が,当該株券等の発行者が発行する株券等の他の保有者と共同して当該株券等を取得し,若しくは譲渡し,又は当該発行者の株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している場合における当該他の保有者をいう。
6 株券等の保有者と当該株券等の発行者が発行する株券等の他の保有者が,株式の所有関係,親族関係その他の政令で定める特別の関係にある場合においては,当該他の保有者を当該保有者に係る第四項の共同保有者とみなす。ただし,当該保有者又は他の保有者のいずれかの保有株券等の数が内閣府令で定める数以下である場合においては,この限りでない。

(大量保有報告書等の写しの金融商品取引所等への提出)
第二十七条の二十七 株券等の保有者は,大量保有報告書若しくは変更報告書又はこれらの訂正報告書を提出したときは,遅滞なく,これらの書類の写しを当該株券等の発行者及び次の各号に掲げる株券等の区分に応じ当該各号に定める者に送付しなければならない。一 金融商品取引所に上場されている株券等の発行者が発行する株券等 当該金融商品取引所
二 流通状況が前号に掲げる株券等に準ずるものとして政令で定める株券等の発行者が発行する株券等 政令で定める認可金融商品取引業協会

(大量保有報告書等の公衆縦覧)
第二十七条の二十八 内閣総理大臣は,内閣府令で定めるところにより,大量保有報告書及び変更報告書並びにこれらの訂正報告書を,これらの書類を受理した日から五年間,公衆の縦覧に供しなければならない。
2 金融商品取引所及び政令で定める認可金融商品取引業協会は,前条の規定により送付された前項に規定する書類の写しを,内閣府令で定めるところにより,その事務所に備え置き,これらの書類の写しの送付を受けた日から五年間,公衆の縦覧に供しなければならない。
3 大量保有報告書若しくは変更報告書又はこれらの訂正報告書に記載された取得資金に関する事項について,当該資金が銀行,協同組織金融機関その他政令で定める金融機関(以下この項において「銀行等」という。)からの借入れによる場合(内閣府令で定める場合を除く。)には,内閣総理大臣は,第一項の規定にかかわらず,当該銀行等の名称を公衆の縦覧に供しないものとし,これらの書類を提出した者は,当該銀行等の名称を削除してこれらの書類の写しを送付するものとする。

(大量保有報告書等の訂正報告書の提出命令)
第二十七条の二十九  第九条第一項及び第十条第一項の規定は,大量保有報告書及び変更報告書について準用する。この場合において,同項中「提出を命じ,必要があると認めるときは,第四条第一項又は第二項の規定による届出の効力の停止」とあるのは,「提出」と読み替えるものとする。
2  前二条の規定は,前項において準用する第九条第一項又は第十条第一項の規定により大量保有報告書又は変更報告書につき訂正報告書が提出された場合について準用する。

(大量保有報告書の提出者等に対する報告の徴取及び検査)
第二十七条の三十 内閣総理大臣は,公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは,大量保有報告書の提出者若しくは当該提出者の共同保有者その他の関係者若しくは参考人に対し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ,又は当該職員をしてその者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は,公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは,大量保有報告書に係る株券等の発行者である会社又は参考人に対し,参考となるべき報告又は資料の提出を命ずることができる。

(電子開示手続の開示用電子情報処理組織の使用)
第二十七条の三十の三  電子開示手続を行う者は,政令で定めるところにより,開示用電子情報処理組織を使用して行わなければならない。
2  任意電子開示手続を行う者は,政令で定めるところにより,開示用電子情報処理組織を使用して行うことができる。
3  前二項の規定により行われた電子開示手続又は任意電子開示手続は,前条の電子計算機に備えられたファイル(以下この章において単に「ファイル」という。)への記録がされた時に内閣府に到達したものとみなす。
4  第一項又は第二項の規定により行われた電子開示手続又は任意電子開示手続については,これらの手続を文書をもつて行うものとして規定した金融商品取引法令の規定に規定する文書をもつて行われたものとみなして,金融商品取引法令の規定を適用する。
5  電子開示手続及び任意電子開示手続については,行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 (平成十四年法律第百五十一号)第三条 の規定は,適用しない。

(開示用電子情報処理組織を使用して手続が行われた場合の公衆縦覧)
第二十七条の三十の七  内閣総理大臣は,電子開示手続又は任意電子開示手続が開示用電子情報処理組織を使用して行われた場合(磁気ディスクの提出によりこれらの手続が行われた場合を含む。)には,政令で定めるところにより,第二十五条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。),第二十七条の十四第一項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)又は第二十七条の二十八第一項(第二十七条の二十九第二項において準用する場合を含む。)に規定する書類についてファイルに記録されている事項(第二十五条第四項(第二十七条において準用する場合を含む。)又は第二十七条の二十八第三項(第二十七条の二十九第二項において準用する場合を含む。)の規定により公衆の縦覧に供しないものとされている部分を除く。)又は当該事項を記載した書類を公衆の縦覧に供するものとする。
2  前項の規定による書類の公衆の縦覧については,行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第五条 の規定は,適用しない。
3  第一項の規定により同項に規定するファイルに記録されている事項又は当該事項を記載した書類を公衆の縦覧に供した場合には,第二十五条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。),第二十七条の十四第一項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)又は第二十七条の二十八第一項(第二十七条の二十九第二項において準用する場合を含む。)に規定する書類について,これらの規定により公衆の縦覧に供されたものとみなして,金融商品取引法令の規定を適用する。

第百九十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は,五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
一 第四条第一項の規定による届出を必要とする有価証券の募集若しくは売出し又は同条第二項の規定による届出を必要とする適格機関投資家取得有価証券一般勧誘について,これらの届出が受理されていないのに当該募集,売出し若しくは適格機関投資家取得有価証券一般勧誘又はこれらの取扱いをした者
二 第六条(第十二条,第二十三条の十二第一項,第二十四条第七項,第二十四条の二第三項,第二十四条の四の四第五項,第二十四条の四の五第二項,第二十四条の四の七第五項,第二十四条の五第六項及び第二十四条の六第三項において準用し,並びにこれらの規定(第二十四条の六第三項を除く。)を第二十七条において準用する場合を含む。),第二十四条の七第四項(同条第六項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。),第二十七条の三第四項(第二十七条の八第六項(第二十七条の十三第三項において準用する場合を含む。),第二十七条の十一第四項,第二十七条の十三第三項並びに第二十七条の二十二の二第二項及び第三項において準用する場合を含む。)又は第二十七条の二十二の二第四項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定による書類の写しの提出又は送付に当たり,重要な事項につき虚偽があり,かつ,写しの基となつた書類と異なる内容の記載をした書類をその写しとして提出し,又は送付した者
三 第十五条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。),第二十三条の八第一項(第二十七条において準用する場合を含む。),第二十七条の三第三項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。),第二十七条の八第七項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)又は第二十七条の八第九項(第二十七条の二十二の二第二項及び第二十七条の二十二の三第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
四 第二十七条の三第一項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)又は第二十七条の十第四項の規定による公告を行わない者
五 第二十四条第一項若しくは第三項(これらの規定を同条第五項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第二十四条第六項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による有価証券報告書若しくはその添付書類,第二十四条の二第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)において準用する第十条第一項の規定による訂正報告書,第二十四条の四の四第一項(同条第三項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第四項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による内部統制報告書若しくはその添付書類,第二十四条の四の五第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)において準用する第十条第一項の規定による訂正報告書,第二十七条の三第二項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による公開買付届出書,第二十七条の十一第三項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による公開買付撤回届出書,第二十七条の十三第二項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による公開買付報告書,第二十七条の二十三第一項若しくは第二十七条の二十六第一項の規定による大量保有報告書又は第二十七条の二十五第一項若しくは第二十七条の二十六第二項の規定による変更報告書を提出しない者
六 第二十四条第六項若しくは第二十四条の二第一項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。),第二十四条の四の四第一項(同条第三項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第四項(第二十七条において準用する場合を含む。),第二十四条の四の五第一項(第二十七条において準用する場合を含む。),第二十四条の四の七第一項若しくは第二項(同条第三項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。),第二十四条の四の七第四項(第二十七条において準用する場合を含む。),第二十四条の五第一項(同条第三項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第二十四条の五第四項若しくは第五項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による添付書類,内部統制報告書若しくはその添付書類,四半期報告書,半期報告書,臨時報告書若しくはこれらの訂正報告書,第二十四条の六第一項若しくは第二項の規定による自己株券買付状況報告書若しくはその訂正報告書,第二十四条の七第一項若しくは第二項(これらの規定を同条第六項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第二十四条の七第三項(同条第六項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)において準用する第七条,第九条第一項若しくは第十条第一項の規定による親会社等状況報告書若しくはその訂正報告書,第二十七条の十第一項の規定による意見表明報告書,同条第八項において準用する第二十七条の八第一項から第四項までの規定による訂正報告書,第二十七条の十第十一項の規定による対質問回答報告書,同条第十二項において準用する第二十七条の八第一項から第四項までの規定による訂正報告書,第二十七条の二十三第一項若しくは第二十七条の二十六第一項の規定による大量保有報告書,第二十七条の二十五第一項若しくは第二十七条の二十六第二項の規定による変更報告書又は第二十七条の二十五第四項(第二十七条の二十六第六項において準用する場合を含む。)若しくは第二十七条の二十九第一項において準用する第九条第一項若しくは第十条第一項の規定による訂正報告書であつて,重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者
七 第二十五条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類(第二十五条第一項第五号及び第九号に掲げる書類を除く。)の写しの公衆縦覧に当たり,重要な事項につき虚偽があり,かつ,写しの基となつた書類と異なる内容の記載をした書類をその写しとして公衆の縦覧に供した者
八 第二十七条の九第一項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による公開買付説明書又は第二十七条の九第三項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の規定により訂正した公開買付説明書であつて,重要な事項につき虚偽の記載のあるものを交付した者
九 第二十七条の六第一項の規定に違反して公開買付けの買付条件等の変更を行う旨の公告を行つた者又は第二十七条の十一第一項ただし書(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に該当しないにもかかわらず,第二十七条の十一第一項本文(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)に規定する公開買付けの撤回等を行う旨の公告を行つた者
十 第二十七条の二十二の三第二項の規定による通知を行わず,又は虚偽の通知を行つた者
十一 第百一条の九の規定により発行する株式を引き受ける者の募集(私募を含む。以下この号において同じ。)をするに当たり,重要な事項について虚偽の記載のある目論見書,当該募集の広告その他の当該募集に関する文書を行使した会員金融商品取引所の役員(仮理事及び仮監事を含む。次号において同じ。)又は事業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人
十二 第百一条の九の規定により発行する株式の払込みを仮装するため預合いを行つた会員金融商品取引所の役員若しくは事業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人又は当該預合いに応じた者
十三 第百六十六条第一項若しくは第三項又は第百六十七条第一項若しくは第三項の規定に違反した者

金融商品取引法施行令の関連条文

(開示用電子情報処理組織を使用して行う電子開示手続又は任意電子開示手続の方法等)第十四条の十  法第二十七条の三十の三第一項 又は第二項 の規定により開示用電子情報処理組織を使用して電子開示手続(法第二十七条の三十の二 に規定する電子開示手続をいう。以下この条及び次条において同じ。)又は任意電子開示手続(法第二十七条の三十の二 に規定する任意電子開示手続をいう。以下この条及び次条において同じ。)を行う者は,内閣府令で定めるところにより,電子開示手続又は任意電子開示手続を文書をもつて行う場合に記載すべきこととされている事項を金融庁長官が定める技術的基準に適合する入出力装置により入力して行わなければならない。
2  前項の電子開示手続又は任意電子開示手続を行う者は,内閣府令で定めるところにより,あらかじめ金融庁長官に届け出なければならない。ただし,この項の規定により既に電子開示手続又は任意電子開示手続のうちいずれかの手続について届け出たときは,この限りでない。

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喫煙しないのに周りから煙たがられた人について

2008-01-25 21:14:23 | Weblog
北海道新聞 「分煙要求で不当解雇」 非喫煙男性,滝川の会社提訴 増進法施行後で全国初

 解雇された男性の,「たばこを我慢できないのはおまえが悪い」と煙たがられ・・・,には失礼ながら笑ってしまった ^^; 。いや,管理人も吸わないので,気持ちはよく分かります。

さて,健康増進法第25条には「学校,体育館,病院,劇場,観覧場,集会場,展示場,百貨店,事務所,官公庁施設,飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は,これらを利用する者について,受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において,他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」とある。確かに努力規定といってしまえばそれまでだが,世の中の流れというものがある。
因みに,厚労省策定の「職場における喫煙対策のためのガイドライン」には,喫煙対策につき経営首脳者の果たすべき役割として次のようにある。

 経営首脳者の基本方針と姿勢は,職場における喫煙対策の成否に大きな影響を与える。このため,経営首脳者は,喫煙対策に強い関心をもって,適切な喫煙対策が労働者の健康の確保と快適な職場環境の形成を進めるために重要であることを,機会のあるごとに全員に周知するとともに,対策の円滑な推進のために率先して行動すること。
 また,経営首脳者は,衛生委員会等の場を通じて,労働者の喫煙対策についての意見を十分に把握すること。


厚労省 新たな職場における喫煙対策のためのガイドラインの策定について


労働基準法の関連条文

(解雇)
第十八条の二  解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。

健康増進法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い,国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ,国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに,国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ,もって国民保健の向上を図ることを目的とする。

(国民の責務)
第二条  国民は,健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め,生涯にわたって,自らの健康状態を自覚するとともに,健康の増進に努めなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第三条  国及び地方公共団体は,教育活動及び広報活動を通じた健康の増進に関する正しい知識の普及,健康の増進に関する情報の収集,整理,分析及び提供並びに研究の推進並びに健康の増進に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに,健康増進事業実施者その他の関係者に対し,必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。

(健康増進事業実施者の責務)
第四条  健康増進事業実施者は,健康教育,健康相談その他国民の健康の増進のために必要な事業(以下「健康増進事業」という。)を積極的に推進するよう努めなければならない。

(関係者の協力)
第五条  国,都道府県,市町村(特別区を含む。以下同じ。),健康増進事業実施者,医療機関その他の関係者は,国民の健康の増進の総合的な推進を図るため,相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

(基本方針)
第七条  厚生労働大臣は,国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2  基本方針は,次に掲げる事項について定めるものとする。
一  国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向
二  国民の健康の増進の目標に関する事項
三  次条第一項の都道府県健康増進計画及び同条第二項の市町村健康増進計画の策定に関する基本的な事項
四  第十条第一項の国民健康・栄養調査その他の健康の増進に関する調査及び研究に関する基本的な事項
五  健康増進事業実施者間における連携及び協力に関する基本的な事項
六  食生活,運動,休養,飲酒,喫煙,歯の健康の保持その他の生活習慣に関する正しい知識の普及に関する事項
七  その他国民の健康の増進の推進に関する重要事項
3  厚生労働大臣は,基本方針を定め,又はこれを変更しようとするときは,あらかじめ,関係行政機関の長に協議するものとする。
4  厚生労働大臣は,基本方針を定め,又はこれを変更したときは,遅滞なく,これを公表するものとする。

(都道府県健康増進計画等)
第八条  都道府県は,基本方針を勘案して,当該都道府県の住民の健康の増進の推進に関する施策についての基本的な計画(以下「都道府県健康増進計画」という。)を定めるものとする。
2  市町村は,基本方針及び都道府県健康増進計画を勘案して,当該市町村の住民の健康の増進の推進に関する施策についての計画(以下「市町村健康増進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。
3  都道府県及び市町村は,都道府県健康増進計画又は市町村健康増進計画を定め,又は変更したときは,遅滞なく,これを公表するものとする。

(健康診査の実施等に関する指針)
第九条  厚生労働大臣は,生涯にわたる国民の健康の増進に向けた自主的な努力を促進するため,健康診査の実施及びその結果の通知,健康手帳(自らの健康管理のために必要な事項を記載する手帳をいう。)の交付その他の措置に関し,健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針(以下「健康診査等指針」という。)を定めるものとする。
2  厚生労働大臣は,健康診査等指針を定め,又はこれを変更しようとするときは,あらかじめ,総務大臣,財務大臣及び文部科学大臣に協議するものとする。
3  厚生労働大臣は,健康診査等指針を定め,又はこれを変更したときは,遅滞なく,これを公表するものとする。

第二十五条  学校,体育館,病院,劇場,観覧場,集会場,展示場,百貨店,事務所,官公庁施設,飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は,これらを利用する者について,受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において,他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

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高齢者虐待防止法違反による逮捕について

2008-01-21 20:51:32 | Weblog
「高齢者虐待防止法」違反で初逮捕,調査に抵抗の43歳女 YOMIURI ONLINE

 件の女性,家に入るなら令状を見せろと抵抗したとのこと。
しかし,高齢者虐待の有無の立入調査は犯罪捜査を目的としておこなわれるものではない。高齢者虐待防止法第11条にも,立入調査する側に向けられた行為規範ではあるが,第3項に「第一項の規定による立入り及び調査又は質問を行う権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」とある。立入が高齢者虐待防止法に基づくもので,虐待の有無の調査・質問を目的とする限り,令状は必要ない。
ただ,同条第2項には「前項の規定による立入り及び調査又は質問を行う場合においては,当該職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。」とある。西東京市の職員,身分証明書を携帯していたことだろう。
なお,高齢者虐待防止法に基づく立入調査では,立入調査が拒否された場合でも鍵やドアを壊して立ち入ることはできない(刑訴法第111条参照)。
女性が取り押さえられたのは,家には誰も入れないとして玄関の鍵を閉めようとしたところとか。まさに,「(虐待が疑われる父親の安全を確認するには)今を措いて他にない」というタイミングだったようだ。

厚労省 高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律の施行を踏まえた高齢者虐待事案への適切な対応について


「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり,高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ,高齢者虐待の防止等に関する国等の責務,高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置,養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより,高齢者虐待の防止,養護者に対する支援等に関する施策を促進し,もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「高齢者」とは,六十五歳以上の者をいう。
2  この法律において「養護者」とは,高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等(第五項第一号の施設の業務に従事する者及び同項第二号の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。
3  この法律において「高齢者虐待」とは,養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。
4  この法律において「養護者による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一  養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置,養護者以外の同居人によるイ,ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
二  養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
5  この法律において「養介護施設従事者等による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一  老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三 に規定する老人福祉施設若しくは同法第二十九条第一項 に規定する有料老人ホーム又は介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第八条第二十項 に規定する地域密着型介護老人福祉施設,同条第二十四項 に規定する介護老人福祉施設,同条第二十五項 に規定する介護老人保健施設,同条第二十六項 に規定する介護療養型医療施設若しくは同法第百十五条の三十九第一項 に規定する地域包括支援センター(以下「養介護施設」という。)の業務に従事する者が,当該養介護施設に入所し,その他当該養介護施設を利用する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
二  老人福祉法第五条の二第一項 に規定する老人居宅生活支援事業又は介護保険法第八条第一項 に規定する居宅サービス事業,同条第十四項 に規定する地域密着型サービス事業,同条第二十一項 に規定する居宅介護支援事業,同法第八条の二第一項 に規定する介護予防サービス事業,同条第十四項 に規定する地域密着型介護予防サービス事業若しくは同条第十八項 に規定する介護予防支援事業(以下「養介護事業」という。)において業務に従事する者が,当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける高齢者について行う前号イからホまでに掲げる行為

(国及び地方公共団体の責務等)
第三条  国及び地方公共団体は,高齢者虐待の防止,高齢者虐待を受けた高齢者の迅速かつ適切な保護及び適切な養護者に対する支援を行うため,関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化,民間団体の支援その他必要な体制の整備に努めなければならない。
2  国及び地方公共団体は,高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに養護者に対する支援が専門的知識に基づき適切に行われるよう,これらの職務に携わる専門的な人材の確保及び資質の向上を図るため,関係機関の職員の研修等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3  国及び地方公共団体は,高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護に資するため,高齢者虐待に係る通報義務,人権侵犯事件に係る救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

(国民の責務)
第四条  国民は,高齢者虐待の防止,養護者に対する支援等の重要性に関する理解を深めるとともに,国又は地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止,養護者に対する支援等のための施策に協力するよう努めなければならない。

(高齢者虐待の早期発見等)
第五条  養介護施設,病院,保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等,医師,保健師,弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は,高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し,高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。
2  前項に規定する者は,国及び地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止のための啓発活動及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護のための施策に協力するよう努めなければならない。

(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条  養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は,速やかに,これを市町村に通報しなければならない。
2  前項に定める場合のほか,養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,速やかに,これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3  刑法 (明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は,前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

第八条  市町村が前条第一項若しくは第二項の規定による通報又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては,当該通報又は届出を受けた市町村の職員は,その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

(通報等を受けた場合の措置)
第九条  市町村は,第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは,速やかに,当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに,第十六条の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「高齢者虐待対応協力者」という。)とその対応について協議を行うものとする。
2  市町村又は市町村長は,第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は前項に規定する届出があった場合には,当該通報又は届出に係る高齢者に対する養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護が図られるよう,養護者による高齢者虐待により生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一時的に保護するため迅速に老人福祉法第二十条の三 に規定する老人短期入所施設等に入所させる等,適切に,同法第十条の四第一項 若しくは第十一条第一項 の規定による措置を講じ,又は,適切に,同法第三十二条 の規定により審判の請求をするものとする。

(立入調査)
第十一条  市町村長は,養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは,介護保険法第百十五条の三十九第二項 の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして,当該高齢者の住所又は居所に立ち入り,必要な調査又は質問をさせることができる。
2  前項の規定による立入り及び調査又は質問を行う場合においては,当該職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。
3  第一項の規定による立入り及び調査又は質問を行う権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(警察署長に対する援助要請等)
第十二条  市町村長は,前条第一項の規定による立入り及び調査又は質問をさせようとする場合において,これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは,当該高齢者の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。
2  市町村長は,高齢者の生命又は身体の安全の確保に万全を期する観点から,必要に応じ適切に,前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。
3  警察署長は,第一項の規定による援助の求めを受けた場合において,高齢者の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは,速やかに,所属の警察官に,同項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法 (昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。

第三十条  正当な理由がなく,第十一条第一項の規定による立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又は同項の規定による質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をし,若しくは高齢者に答弁をさせず,若しくは虚偽の答弁をさせた者は,三十万円以下の罰金に処する。

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脳に萎縮がある成年後見人について

2008-01-19 19:06:53 | Weblog
毎日jp 成年後見制度:脳萎縮78歳が成年後見人 松山の親族,管理の1億2000万奪う

 脳萎縮は独立した疾患ではなく多くの原因によって生じるとのこと。しかし,一般的な原因の中にアルツハイマー病があるようだ。

成年後見人の女性は現在78歳。ということは,成年後見人に選任された00年の時点で既に70歳。
民法第843条第4項には「成年後見人を選任するには,成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況,成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは,その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無),成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。」とある。成年後見人の選任にあたっては,前記法文の「その他一切の事情」として,成年後見人としての資質・能力,年齢,健康及び経済状態等が適否の判断材料となる(「東京家裁後見センターにおける成年後見制度運用の状況と課題」P96参照)。
件の女性,選任時点では問題なかったが,その後,成年後見人の任務に適しない状況になったということだろう。

さて,民法第849条の2には「家庭裁判所は,必要があると認めるときは,成年被後見人,その親族若しくは成年後見人の請求により又は職権で,成年後見監督人を選任することができる。」とあり,さらに,同第846条には「後見人に不正な行為,著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは,家庭裁判所は,後見監督人,被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で,これを解任することができる。」とある。
他に適任者がいなかったとしても,管理すべき財産の大きさや選任された成年後見人の年齢を考えれば,次善の措置として,成年後見監督人,選任して置くべきだったのではなかろうか。もっとも,他に成年後見人が見つからなければ,成年後見監督人の選任も難しいというのが現実か・・・。


民法の関連条文

(成年後見人の選任)
第八百四十三条  家庭裁判所は,後見開始の審判をするときは,職権で,成年後見人を選任する。
2  成年後見人が欠けたときは,家庭裁判所は,成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で,成年後見人を選任する。
3  成年後見人が選任されている場合においても,家庭裁判所は,必要があると認めるときは,前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により,又は職権で,更に成年後見人を選任することができる。
4  成年後見人を選任するには,成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況,成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは,その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無),成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

(後見人の解任)
第八百四十六条  後見人に不正な行為,著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは,家庭裁判所は,後見監督人,被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で,これを解任することができる。

(成年後見監督人の選任)
第八百四十九条の二  家庭裁判所は,必要があると認めるときは,成年被後見人,その親族若しくは成年後見人の請求により又は職権で,成年後見監督人を選任することができる。

(後見監督人の欠格事由)
第八百五十条  後見人の配偶者,直系血族及び兄弟姉妹は,後見監督人となることができない。

(後見監督人の職務)
第八百五十一条  後見監督人の職務は,次のとおりとする。
一  後見人の事務を監督すること。
二  後見人が欠けた場合に,遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
三  急迫の事情がある場合に,必要な処分をすること。
四  後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。

(委任及び後見人の規定の準用)
第八百五十二条  第六百四十四条 ,第六百五十四条 ,第六百五十五条 ,第八百四十三条第四項,第八百四十四条,第八百四十六条,第八百四十七条,第八百五十九条の二,第八百五十九条の三,第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は,後見監督人について準用する。

(後見の事務の監督)
第八百六十三条  後見監督人又は家庭裁判所は,いつでも,後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め,又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
2  家庭裁判所は,後見監督人,被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で,被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。

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素晴らしい京大の姿勢について

2008-01-18 20:36:29 | Weblog
asahi.com ローソン京大店がレジ袋を原則廃止 全国のコンビで異例

 今は大学構内にコンビニがあるんだね。

さて,容器包装リサイクル法第4条には,事業者及び消費者の責務として「事業者及び消費者は,繰り返して使用することが可能な容器包装の使用,容器包装の過剰な使用の抑制等の容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出を抑制するよう努めるとともに,分別基準適合物の再商品化をして得られた物又はこれを使用した物の使用等により容器包装廃棄物の分別収集,分別基準適合物の再商品化等を促進するよう努めなければならない。」とある。京大,素晴らしい。しかし,尾池総長の,日本全体の1万分の1の二酸化炭素を京大で出している,は本当かな。本当なら,随分出してるな ^^; 。

なお,以前,このブログでも書いたことがあるが,秋田市はノーレジ袋運動推進のためオリジナルバッグ(通称「もってねバッグ」)を製作。ワークショップ参加者や市民団体などにサンプルとして配付している。「もってね」には,「勿体ない」の秋田弁「もってね (-_-;) 」と「持ってね (^_-) 」の両方の意味が込められている。残念ながら,管理人は未だ見たことがない。

秋田市 あきた“もってねバッグ”プロジェクトワークショップを開催しました。


「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化を促進するための措置を講ずること等により,一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて,廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り,もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「容器包装」とは,商品の容器及び包装(商品の容器及び包装自体が有償である場合を含む。)であって,当該商品が費消され,又は当該商品と分離された場合に不要になるものをいう。
2  この法律において「特定容器」とは,容器包装のうち,商品の容器(商品の容器自体が有償である場合を含む。)であるものとして主務省令で定めるものをいう。
3  この法律において「特定包装」とは,容器包装のうち,特定容器以外のものをいう。
4  この法律において「容器包装廃棄物」とは,容器包装が一般廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第二項 に規定する一般廃棄物をいう。以下同じ。)となったものをいう。
5  この法律において「分別収集」とは,廃棄物を分別して収集し,及びその収集した廃棄物について,必要に応じ,分別,圧縮その他環境省令で定める行為を行うことをいう。
6  この法律において「分別基準適合物」とは,市町村が第八条に規定する市町村分別収集計画に基づき容器包装廃棄物について分別収集をして得られた物のうち,環境省令で定める基準に適合するものであって,主務省令で定める設置の基準に適合する施設として主務大臣が市町村の意見を聴いて指定する施設において保管されているもの(有償又は無償で譲渡できることが明らかで再商品化をする必要がない物として主務省令で定める物を除く。)をいう。
7  この法律において「特定分別基準適合物」とは,主務省令で定める容器包装の区分(以下「容器包装区分」という。)ごとに主務省令で定める分別基準適合物をいう。
8  この法律において分別基準適合物について「再商品化」とは,次に掲げる行為をいう。
一  自ら分別基準適合物を製品(燃料として利用される製品にあっては,政令で定めるものに限る。)の原材料として利用すること。
二  自ら燃料以外の用途で分別基準適合物を製品としてそのまま使用すること。
三  分別基準適合物について,第一号に規定する製品の原材料として利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にすること。
四  分別基準適合物について,第一号に規定する製品としてそのまま使用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にすること。
9  この法律において容器包装について「用いる」とは,次に掲げる行為をいう。
一  その販売する商品を容器包装に入れ,又は容器包装で包む行為(他の者(外国為替及び外国貿易法 (昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条 に規定する非居住者を除く。以下この項及び次項において同じ。)の委託(主務省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)を受けて行うものを除く。)
二  その販売する商品で容器包装に入れられ,又は容器包装で包まれたものを輸入する行為(他の者の委託を受けて行うものを除く。)
三  前二号に掲げる行為を他の者に対し委託をする行為
10  この法律において特定容器について「製造等」とは,次に掲げる行為をいう。
一  特定容器を製造する行為(他の者の委託(主務省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)を受けて行うものを除く。)
二  特定容器を輸入する行為(他の者の委託を受けて行うものを除く。)
三  前二号に掲げる行為を他の者に対し委託をする行為
11  この法律において「特定容器利用事業者」とは,その事業(収益事業であって主務省令で定めるものに限る。以下同じ。)において,その販売する商品について,特定容器を用いる事業者であって,次に掲げる者以外の者をいう。
一  国
二  地方公共団体
三  特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人又は特別の法律により設立され,かつ,その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち,政令で定めるもの
四  中小企業基本法 (昭和三十八年法律第百五十四号)第二条第五項 に規定する小規模企業者その他の政令で定める者であって,その事業年度(その期間が一年を超える場合は,当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間)における政令で定める売上高が政令で定める金額以下である者
12  この法律において「特定容器製造等事業者」とは,特定容器の製造等の事業を行う者であって,前項各号に掲げる者以外の者をいう。
13  この法律において「特定包装利用事業者」とは,その事業において,その販売する商品について,特定包装を用いる事業者であって,第十一項各号に掲げる者以外の者をいう。

(基本方針)
第三条  主務大臣は,容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化等を総合的かつ計画的に推進するため,容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2  基本方針においては,次に掲げる事項を定めるものとする。
一  容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等の基本的方向
二  容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するための方策に関する事項
三  容器包装廃棄物の分別収集に積極的に取り組むべき地域に関する事項及び容器包装廃棄物の分別収集の促進のための方策に関する事項
四  分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡しその他の適正な処理に関する事項
五  分別基準適合物の再商品化等の促進のための方策に関する事項
六  円滑かつ効率的な容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化のために必要とされる調整に関する事項
七  環境の保全に資するものとしての容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化等の促進の意義に関する知識の普及に係る事項
八  その他容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する重要事項
3  主務大臣は,基本方針を定め,又はこれを変更したときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。

(事業者及び消費者の責務)
第四条  事業者及び消費者は,繰り返して使用することが可能な容器包装の使用,容器包装の過剰な使用の抑制等の容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出を抑制するよう努めるとともに,分別基準適合物の再商品化をして得られた物又はこれを使用した物の使用等により容器包装廃棄物の分別収集,分別基準適合物の再商品化等を促進するよう努めなければならない。

(国の責務)
第五条  国は,容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化等を促進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2  国は,物品の調達に当たっては,容器包装廃棄物の排出の抑制に資する物又は分別基準適合物の再商品化をして得られた物若しくはこれを使用した物の利用を促進するよう必要な考慮を払うものとする。
3  国は,容器包装に関する情報の収集,整理及び活用,容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化等の促進に資する科学技術の振興を図るための研究開発の推進及びその成果の普及等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
4  国は,教育活動,広報活動等を通じて,容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する国民の理解を深めるとともに,その実施に関する国民の協力を求めるよう努めなければならない。

(地方公共団体の責務)
第六条  市町村は,その区域内における容器包装廃棄物の分別収集に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2  都道府県は,市町村に対し,前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。
3  都道府県及び市町村は,国の施策に準じて,容器包装廃棄物の排出の抑制及び分別基準適合物の再商品化等を促進するよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。

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事実上1個の連続した貸付取引であると評価できるか否かに係る考慮事情について

2008-01-18 19:45:20 | Weblog
 昨年,判例タイムズNo1250に名古屋地裁の近藤昌昭判事と影山智彦判事補による論稿「過払金返還請求訴訟における一連計算の可否をめぐる問題点」が掲載された。
この論稿には,概略,(過払金計算にあたって問題となる)取引契約の個数は,当事者間で引き続き貸し借りが予定されていたかどうかに係るが,それは,取引空白期間,契約書返還の有無,取引再開の際の与信審査の状況等といった客観的事実関係に基づく総合的判断による,とあった。

 さて,本日,この問題と関係する最判が出された。
事案は,基本契約1が平成7年7月19日に完済(過払金が発生している),その後,平成10年6月8日に基本契約2が締結されたというもの。その間,約3年。
原審である名古屋高裁は,次のように述べ,基本契約1の過払金は基本契約2に係る債務に当然に充当されるとした。

(1) 同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返される金銭消費貸借契約においては,借主は,借入総額の減少を望み,複数の権利関係が発生するような事態が生じることは望まないのが通常であると考えられるから,仮にいったん約定利息に基づく元利金が完済され,その後新たな借入れがされた場合でも,少なくともそれらの取引が一連のものであり,実質上一個のものとして観念されるときは,利息制限法違反により生じた過払金は新たな借入金元本の弁済に当然に充当されるものと解するのが相当である。
(2) 本件においては,基本契約1の完済時から基本契約2の締結時まで取引中断期間が約3年間と長期間に渡ったものの,この間に基本契約1を終了させる手続が執られた事実はないこと,基本契約2締結の際の審査手続も基本契約1が従前どおり継続されることの確認手続にすぎなかったとみることができることを考慮すると,基本契約1と基本契約2とで利率と遅延損害金の率が若干異なっており,毎月の弁済期日が異なっているとしても,基本契約1及び基本契約2は,借増しと弁済が繰り返される一連の貸借取引を定めたものであり,実質上一体として1個のリボルビング方式の金銭消費貸借契約を成すと解するのが相当である(後略)


しかし,第二小法廷は原審の主文中一部を破棄。審理を尽くさせるためとしてこれを原審に差し戻している。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,過払金が発生することとなった弁済がされた時点においては両者の間に他の債務が存在せず,その後に,両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である(最高裁平成18年(受)第1187号同19年2月13日第三小法廷判決・民集61巻1号182頁,最高裁平成18年(受)第1887号同19年6月7日第一小法廷判決・民集61巻4号1537頁参照)。そして,第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間,第1の基本契約についての契約書の返還の有無,借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無,第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況,第2の基本契約が締結されるに至る経緯,第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して,第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には,上記合意が存在するものと解するのが相当である。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,基本契約1に基づく取引について,約定利率に基づく計算上は元利金が完済される結果となった平成7年7月19日の時点において,各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金42万9657円が発生したが,その当時上告人と被上告人との間には他の借入金債務は存在せず,その後約3年を経過した平成10年6月8日になって改めて基本契約2が締結され,それ以降は基本契約2に基づく取引が行われたというのであるから,基本契約1に基づく取引と基本契約2に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合に当たるなど特段の事情のない限り,基本契約1に基づく取引により生じた過払金は,基本契約2に基づく取引に係る債務には充当されないというべきである。
原審は,基本契約1と基本契約2は,単に借増しと弁済が繰り返される一連の貸借取引を定めたものであり,実質上一体として1個のリボルビング方式の金銭消費貸借契約を成すと解するのが相当であることを根拠として,基本契約1に基づく取引により生じた過払金が基本契約2に基づく取引に係る債務に当然に充当されるとする。しかし,本件においては,基本契約1に基づく最終の弁済から約3年間が経過した後に改めて基本契約2が締結されたこと,基本契約1と基本契約2は利息,遅延損害金の利率を異にすることなど前記の事実関係を前提とすれば,原審の認定した事情のみからは,上記特段の事情が存在すると解することはできない。


充当計算ができるかは消滅時効とも関係し,悩ましい問題。この判決で,充当計算が可能か否かの射程,少し見えてきたかな。

判例検索システム 平成20年01月18日 不当利得返還等請求事件


民法の関連条文

(弁済の充当の指定)
第四百八十八条  債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において,弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは,弁済をする者は,給付の時に,その弁済を充当すべき債務を指定することができる。
2  弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは,弁済を受領する者は,その受領の時に,その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし,弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは,この限りでない。
3  前二項の場合における弁済の充当の指定は,相手方に対する意思表示によってする。

(法定充当)
第四百八十九条  弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも前条の規定による弁済の充当の指定をしないときは,次の各号の定めるところに従い,その弁済を充当する。
一  債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは,弁済期にあるものに先に充当する。
二  すべての債務が弁済期にあるとき,又は弁済期にないときは,債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。
三  債務者のために弁済の利益が相等しいときは,弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。
四  前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は,各債務の額に応じて充当する。

(数個の給付をすべき場合の充当)
第四百九十条  一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,前二条の規定を準用する。

(元本,利息及び費用を支払うべき場合の充当)
第四百九十一条  債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,これを順次に費用,利息及び元本に充当しなければならない。
2  第四百八十九条の規定は,前項の場合について準用する。

(相殺の要件等)
第五百五条  二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において,双方の債務が弁済期にあるときは,各債務者は,その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし,債務の性質がこれを許さないときは,この限りでない。
2  前項の規定は,当事者が反対の意思を表示した場合には,適用しない。ただし,その意思表示は,善意の第三者に対抗することができない。

(相殺の方法及び効力)
第五百六条  相殺は,当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において,その意思表示には,条件又は期限を付することができない。
2  前項の意思表示は,双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。

(相殺の充当)
第五百十二条  第四百八十八条から第四百九十一条までの規定は,相殺について準用する。

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