法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

世界遺産の保護に係る入島税の導入について

2007-12-31 18:43:43 | Weblog
毎日jp 広島・廿日市市:宮島に「入島税」…厳島神社保護で検討

 「入島税」の読み方は「にゅうとうぜい」だろうか。「入湯税」もあり,ちょっと紛らわしい。

さて,地方税法第5条第7項には「市町村は,第四項及び第五項に規定するもの並びに前項各号に掲げるものを除くほか,別に税目を起こして,目的税を課することができる。」とある。
記事にもあるとおり,法定外目的税の導入(新設)には総務相の同意が必要だが,地方税法第733条には,「国税又は他の地方税と課税標準を同じくし,かつ,住民の負担が著しく過重となること。」,「地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること。 」及び「前二号に掲げるものを除くほか,国の経済施策に照らして適当でないこと。」のいずれにも該当しない限り,総務相はこれに同意しなければならない,とある。
なお,秋田県も法定外目的税として産業廃棄物税を導入。平成16年1月1日から施行されている。

宮島観光公式サイト


地方税法の関連条文

(地方団体の課税権)
第二条  地方団体は,この法律の定めるところによつて,地方税を賦課徴収することができる。

(地方税の賦課徴収に関する規定の形式)
第三条  地方団体は,その地方税の税目,課税客体,課税標準,税率その他賦課徴収について定をするには,当該地方団体の条例によらなければならない。
2  地方団体の長は,前項の条例の実施のための手続その他その施行について必要な事項を規則で定めることができる。

(道府県が課することができる税目)
第四条  道府県税は,普通税及び目的税とする。
2  道府県は,普通税として,次に掲げるものを課するものとする。ただし,徴収に要すべき経費が徴収すべき税額に比して多額であると認められるものその他特別の事情があるものについては,この限りでない。
一  道府県民税
二  事業税
三  地方消費税
四  不動産取得税
五  道府県たばこ税
六  ゴルフ場利用税
七  自動車税
八  鉱区税
3  道府県は,前項各号に掲げるものを除くほか,別に税目を起こして,普通税を課することができる。
4  道府県は,目的税として,次に掲げるものを課するものとする。
一  自動車取得税
二  軽油引取税
三  狩猟税
5  道府県は,前項各号に掲げるものを除くほか,目的税として,水利地益税を課することができる。
6  道府県は,第四項各号に掲げるもの及び前項に規定するものを除くほか,別に税目を起こして,目的税を課することができる。

(市町村が課することができる税目)
第五条  市町村税は,普通税及び目的税とする。
2  市町村は,普通税として,次に掲げるものを課するものとする。ただし,徴収に要すべき経費が徴収すべき税額に比して多額であると認められるものその他特別の事情があるものについては,この限りでない。
一  市町村民税
二  固定資産税
三  軽自動車税
四  市町村たばこ税
五  鉱産税
六  特別土地保有税
3  市町村は,前項に掲げるものを除く外,別に税目を起して,普通税を課することができる。
4  鉱泉浴場所在の市町村は,目的税として,入湯税を課するものとする。
5  指定都市等(第七百一条の三十一第一項第一号の指定都市等をいう。)は,目的税として,事業所税を課するものとする。
6  市町村は,前二項に規定するものを除くほか,目的税として,次に掲げるものを課することができる。
一  都市計画税
二  水利地益税
三  共同施設税
四  宅地開発税
五  国民健康保険税
7  市町村は,第四項及び第五項に規定するもの並びに前項各号に掲げるものを除くほか,別に税目を起こして,目的税を課することができる。

(法定外目的税の新設変更)
第七百三十一条  道府県又は市町村は,条例で定める特定の費用に充てるため,法定外目的税を課することができる。
2  道府県又は市町村は,法定外目的税の新設又は変更(法定外目的税の税率の引下げ,廃止その他の政令で定める変更を除く。次項及び次条第二項において同じ。)をしようとする場合においては,あらかじめ,総務大臣に協議し,その同意を得なければならない。
3  道府県又は市町村は,当該道府県又は市町村の法定外目的税の一の納税義務者(納税義務者となるべき者を含む。以下本項において同じ。)であつて当該納税義務者に対して課すべき当該法定外目的税の課税標準の合計が当該法定外目的税の課税標準の合計の十分の一を継続的に超えると見込まれる者として総務省令で定めるもの(以下本項において「特定納税義務者」という。)であるものがある場合において,当該法定外目的税の新設又は変更をする旨の条例を制定しようとするときは,当該道府県又は市町村の議会において,当該特定納税義務者の意見を聴くものとする。

第七百三十二条  総務大臣は,前条第二項の規定による協議の申出を受けた場合においては,その旨を財務大臣に通知しなければならない。
2  財務大臣は,前項の通知を受けた場合において,その協議の申出に係る法定外目的税の新設又は変更について異議があるときは,総務大臣に対してその旨を申し出ることができる。

第七百三十二条の二  総務大臣は,第七百三十一条第二項の同意については,地方財政審議会の意見を聴かなければならない。

(総務大臣の同意)
第七百三十三条  総務大臣は,第七百三十一条第二項の規定による協議の申出を受けた場合には,当該協議の申出に係る法定外目的税について次に掲げる事由のいずれかがあると認める場合を除き,これに同意しなければならない。
一  国税又は他の地方税と課税標準を同じくし,かつ,住民の負担が著しく過重となること。
二  地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること。
三  前二号に掲げるものを除くほか,国の経済施策に照らして適当でないこと。

(法定外目的税の非課税の範囲)
第七百三十三条の二  地方団体は,次に掲げるものに対しては,法定外目的税を課することができない。
一  当該地方団体の区域外に所在する土地,家屋,物件及びこれらから生ずる収入
二  当該地方団体の区域外に所在する事務所及び事業所において行われる事業並びにこれらから生ずる収入
三  公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受ける給付で政令で定めるもの

(法定外目的税の徴収の方法)
第七百三十三条の三  法定外目的税の徴収については,徴収の便宜に従い,当該地方団体の条例の定めるところによつて,普通徴収,申告納付,特別徴収又は証紙徴収の方法によらなければならない。

(法定外目的税の普通徴収の手続)
第七百三十三条の九  法定外目的税を普通徴収によつて徴収しようとする場合において納税者に交付すべき納税通知書は,遅くとも,その納期限前十日までに納税者に交付しなければならない。

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学齢簿等の飛散について

2007-12-29 18:14:34 | Weblog
大掃除で児童の個人情報が飛散・習志野市,トラックから NIKKEI NET

 先日,岡崎市でも,新庁舎への引っ越しのため台車に載せて印鑑登録原票を運搬中,台車が転倒,一部が強風で飛ばされるという事件(?)があった。あちらの記事には「散乱」とあったが,こちらは「飛散」だそうだ。

さて,学齢簿には,児童等に関する事項として氏名,現住所,生年月日及び性別等のほか,保護者に関する事項も登載されている(学校教育法施行規則第30条参照)。これらは,当然のことながら,個人情報保護法にいう「個人情報」にあたる(個人情報保護法第2条第1項)。
個人情報保護法第11条第1項には「地方公共団体は,その保有する個人情報の性質,当該個人情報を保有する目的等を勘案し,その保有する個人情報の適正な取扱いが確保されるよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。」とある。
習志野市教育委員会,不要な学齢簿等を清掃工場で廃棄処分にしようとしたところまではよかったが,蓋のない段ボール箱で運搬というのは注意が足りなかった。
いやいや,人ごとではない。古いPCの廃棄を検討している管理人としては,この種の事件,以て「他山の石」としなければ。
先日,或るパソコンショップで聞いたところ,PCのデータ消去をお願いした場合,料金は5,250円(消費税込み)とか。ただし,これは,出張ではなく,こちらがHDDをショップに持ち込んだ場合の料金。家電量販店で「HDD完全消去」といった類のソフトも見て来たのだが,値段は5千円くらいから1万数千円のものまで様々。
はてさて,どうしたものか・・・。


「個人情報の保護に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ,個人情報の適正な取扱いに関し,基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め,国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに,個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより,個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「個人情報」とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
2  この法律において「個人情報データベース等」とは,個人情報を含む情報の集合物であって,次に掲げるものをいう。
一  特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
二  前号に掲げるもののほか,特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの
3  この法律において「個人情報取扱事業者」とは,個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし,次に掲げる者を除く。
一  国の機関
二  地方公共団体
三  独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十九号)第二条第一項 に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
四  地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
五  その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者
4  この法律において「個人データ」とは,個人情報データベース等を構成する個人情報をいう。
5  この法律において「保有個人データ」とは,個人情報取扱事業者が,開示,内容の訂正,追加又は削除,利用の停止,消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって,その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。
6  この法律において個人情報について「本人」とは,個人情報によって識別される特定の個人をいう。

(基本理念)
第三条  個人情報は,個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ,その適正な取扱いが図られなければならない。

(地方公共団体等が保有する個人情報の保護)
第十一条  地方公共団体は,その保有する個人情報の性質,当該個人情報を保有する目的等を勘案し,その保有する個人情報の適正な取扱いが確保されるよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。
2  地方公共団体は,その設立に係る地方独立行政法人について,その性格及び業務内容に応じ,その保有する個人情報の適正な取扱いが確保されるよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。

学校教育法施行令の関連条文

(学齢簿の編製)
第一条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は,当該市町村の区域内に住所を有する学齢児童(学校教育法(以下「法」という。)第二十三条に規定する「学齢児童」をいう。以下同じ。)及び学齢生徒(法第三十九条第二項に規定する「学齢生徒」をいう。以下同じ。)について,学齢簿を編製しなければならない。
2 前項の規定による学齢簿の編製は,当該市町村の住民基本台帳に基づいて行なうものとする。
3 市町村の教育委員会は,文部科学省令で定めるところにより,第一項の学齢簿を磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
4 第一項の学齢簿に記載(前項の規定により磁気ディスクをもつて調製する学齢簿にあつては,記録。以下同じ。)をすべき事項は,文部科学省令で定める。

第二条 市町村の教育委員会は,毎学年の初めから五月前までに,文部科学省令で定める日現在において,当該市町村に住所を有する者で前学年の初めから終わりまでの間に満六歳に達する者について,あらかじめ,前条第一項の学齢簿を作成しなければならない。この場合においては,同条第二項から第四項までの規定を準用する。

学校教育法施行規則の関連条文

第三十条 学校教育法施行令第一条第一項の学齢簿に記載(同条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する学齢簿にあつては,記録。以下同じ。)をすべき事項は,次の各号に掲げる区分に応じ,当該各号に掲げる事項とする。
一 学齢児童又は学齢生徒に関する事項 氏名,現住所,生年月日及び性別
二 保護者に関する事項  氏名,現住所及び保護者と学齢児童又は学齢生徒との関係
三 就学する学校に関する事項
 イ 当該市町村の設置する小学校又は中学校(併設型中学校を除く。)に就学する者について,当該学校の名称並びに当該学校に係る入学,転学及び卒業の年月日
 ロ 学校教育法施行令第九条に定める手続きにより当該市町村の設置する小学校又は中学校(併設型中学校を除く。)以外の小学校,中学校又は中等教育学校に就学する者について,当該学校及びその設置者の名称並びに当該学校に係る入学,転学,退学及び卒業の年月日
 ハ 特別支援学校の小学部又は中学部に就学する者について,当該学校及び部並びに当該学校の設置者の名称並びに当該部に係る入学,転学,退学及び卒業の年月日
四 就学の督促等に関する事項  学校教育法施行令第二十条又は第二十一条の規定に基づき就学状況が良好でない者等について,校長から通知を受けたとき,又は就学義務の履行を督促したときは,その旨及び通知を受け,又は督促した年月日
五 就学義務の猶予又は免除に関する事項  学校教育法第二十三条(同法第三十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により保護者が就学させる義務を猶予又は免除された者について,猶予の年月日,事由及び期間又は免除の年月日及び事由並びに猶予又は免除された者のうち復学した者については,その年月日
六 その他必要な事項  市町村の教育委員会が学齢児童又は学齢生徒の就学に関し必要と認める事項
2 学校教育法施行令第二条に規定する者について作成する学齢簿に記載をすべき事項については,前項第一号,第二号及び第六号の規定を準用する。

第三十一条 学校教育法施行令第二条の規定による学齢簿の作成は,十月一日現在において行うものとする。

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説明が長過ぎるという苦情について

2007-12-28 20:44:21 | Weblog
金商法,「説明長い」など金融機関に苦情・近畿財務局調査 NIKKEI NET

 証券取引法が金融商品取引法と改組されたことに伴い,金融商品販売法も前記の関係整備法で改正されている。
金融商品販売業者等の説明義務に係る改正金販法第3条第2項には「前項の説明は,顧客の知識,経験,財産の状況及び当該金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らして,当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならない。」とある。ということは,説明の長短は,顧客の知識等に依存しているということかな ^^; 。
なお,顧客に対する重要事項の説明に不備がある場合,金融商品販売業者等はこれに帰因して顧客に生じた損害を賠償しなければならない(金販法第5条)。説明が必要以上に長くなっているとすれば,この責任規定が一因であろう。


金融商品の販売等に関する法律

(目的)
第一条  この法律は,金融商品販売業者等が金融商品の販売等に際し顧客に対して説明をすべき事項等及び金融商品販売業者等が顧客に対して当該事項について説明をしなかったこと等により当該顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の損害賠償の責任並びに金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めることにより,顧客の保護を図り,もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「金融商品の販売」とは,次に掲げる行為をいう。
一  預金,貯金,定期積金又は銀行法 (昭和五十六年法律第五十九号)第二条第四項 に規定する掛金の受入れを内容とする契約の預金者,貯金者,定期積金の積金者又は同項 に規定する掛金の掛金者との締結
二  無尽業法 (昭和六年法律第四十二号)第一条 に規定する無尽に係る契約に基づく掛金(以下この号において「無尽掛金」という。)の受入れを内容とする契約の無尽掛金の掛金者との締結
三  信託財産の運用方法が特定されていないことその他の政令で定める要件に該当する金銭の信託に係る信託契約(当該信託契約に係る受益権が金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第二項第一号 又は第二号 に掲げる権利であるものに限る。)の委託者との締結
四  保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第一項 に規定する保険業を行う者が保険者となる保険契約(以下この号において「保険契約」という。)又は保険若しくは共済に係る契約で保険契約に類するものとして政令で定めるものの保険契約者又はこれに類する者との締結
五  有価証券(金融商品取引法第二条第一項 に規定する有価証券又は同条第二項 の規定により有価証券とみなされる権利をいい,同項第一号 及び第二号 に掲げる権利を除く。)を取得させる行為(代理又は媒介に該当するもの並びに第八号及び第九号に掲げるものに該当するものを除く。)
六  次に掲げるものを取得させる行為(代理又は媒介に該当するものを除く。)
イ 金融商品取引法第二条第二項第一号 又は第二号 に掲げる権利
ロ 譲渡性預金証書をもって表示される金銭債権(金融商品取引法第二条第一項 に規定する有価証券に表示される権利又は同条第二項 の規定により有価証券とみなされる権利であるものを除く。)
七  不動産特定共同事業法 (平成六年法律第七十七号)第二条第三項 に規定する不動産特定共同事業契約(金銭をもって出資の目的とし,かつ,契約の終了の場合における残余財産の分割若しくは出資の返還が金銭により行われることを内容とするもの又はこれらに類する事項として政令で定めるものを内容とするものに限る。)の締結
八  金融商品取引法第二条第二十一項 に規定する市場デリバティブ取引若しくは同条第二十三項 に規定する外国市場デリバティブ取引又はこれらの取引の取次ぎ
九  金融商品取引法第二条第二十二項 に規定する店頭デリバティブ取引又はその取次ぎ
十  金利,通貨の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引(前二号に掲げるものに該当するものを除く。)であって政令で定めるもの又は当該取引の取次ぎ
十一  前各号に掲げるものに類するものとして政令で定める行為
2  この法律において「金融商品の販売等」とは,金融商品の販売又はその代理若しくは媒介(顧客のために行われるものを含む。)をいう。
3  この法律において「金融商品販売業者等」とは,金融商品の販売等を業として行う者をいう。
4  この法律において「顧客」とは,金融商品の販売の相手方をいう。

(金融商品販売業者等の説明義務)
第三条  金融商品販売業者等は,金融商品の販売等を業として行おうとするときは,当該金融商品の販売等に係る金融商品の販売が行われるまでの間に,顧客に対し,次に掲げる事項(以下「重要事項」という。)について説明をしなければならない。
一  当該金融商品の販売について金利,通貨の価格,金融商品市場(金融商品取引法第二条第十四項 に規定する金融商品市場をいう。以下この条において同じ。)における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは,次に掲げる事項
イ 元本欠損が生ずるおそれがある旨
ロ 当該指標
ハ ロの指標に係る変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
二  当該金融商品の販売について金利,通貨の価格,金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれがあるときは,次に掲げる事項
イ 当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨
ロ 当該指標
ハ ロの指標に係る変動を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
三  当該金融商品の販売について当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは,次に掲げる事項
イ 元本欠損が生ずるおそれがある旨
ロ 当該者
ハ ロの者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
四  当該金融商品の販売について当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれがあるときは,次に掲げる事項
イ 当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨
ロ 当該者
ハ ロの者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
五  第一号及び第三号に掲げるもののほか,当該金融商品の販売について顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定める事由を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは,次に掲げる事項
イ 元本欠損が生ずるおそれがある旨
ロ 当該事由
ハ ロの事由を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
六  第二号及び第四号に掲げるもののほか,当該金融商品の販売について顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定める事由を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれがあるときは,次に掲げる事項
イ 当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨
ロ 当該事由
ハ ロの事由を直接の原因として当初元本を上回る損失が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分
七  当該金融商品の販売の対象である権利を行使することができる期間の制限又は当該金融商品の販売に係る契約の解除をすることができる期間の制限があるときは,その旨
2  前項の説明は,顧客の知識,経験,財産の状況及び当該金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らして,当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならない。
3  第一項第一号,第三号及び第五号の「元本欠損が生ずるおそれ」とは,当該金融商品の販売が行われることにより顧客の支払うこととなる金銭の合計額(当該金融商品の販売が行われることにより当該顧客の譲渡することとなる金銭以外の物又は権利であって政令で定めるもの(以下この項及び第六条第二項において「金銭相当物」という。)がある場合にあっては,当該合計額に当該金銭相当物の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)が,当該金融商品の販売により当該顧客(当該金融商品の販売により当該顧客の定めるところにより金銭又は金銭以外の物若しくは権利を取得することとなる者がある場合にあっては,当該者を含む。以下この項において「顧客等」という。)の取得することとなる金銭の合計額(当該金融商品の販売により当該顧客等の取得することとなる金銭以外の物又は権利がある場合にあっては,当該合計額に当該金銭以外の物又は権利の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)を上回ることとなるおそれをいう。
4  第一項第二号,第四号及び第六号の「当初元本を上回る損失が生ずるおそれ」とは,次に掲げるものをいう。
一  当該金融商品の販売(前条第一項第八号から第十号までに掲げる行為及び同項第十一号に掲げる行為であって政令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)について金利,通貨の価格,金融商品市場における相場その他の指標に係る変動により損失が生ずることとなるおそれがある場合における当該損失の額が当該金融商品の販売が行われることにより顧客が支払うべき委託証拠金その他の保証金の額を上回ることとなるおそれ
二  当該金融商品の販売について当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化により損失が生ずることとなるおそれがある場合における当該損失の額が当該金融商品の販売が行われることにより顧客が支払うべき委託証拠金その他の保証金の額を上回ることとなるおそれ
三  当該金融商品の販売について第一項第六号の事由により損失が生ずることとなるおそれがある場合における当該損失の額が当該金融商品の販売が行われることにより顧客が支払うべき委託証拠金その他の保証金の額を上回ることとなるおそれ
四  前三号に準ずるものとして政令で定めるもの
5  第一項第一号ハ,第二号ハ,第三号ハ,第四号ハ,第五号ハ及び第六号ハに規定する「金融商品の販売に係る取引の仕組み」とは,次に掲げるものをいう。
一  前条第一項第一号から第四号まで及び第七号に掲げる行為にあっては,これらの規定に規定する契約の内容
二  前条第一項第五号に掲げる行為にあっては,当該規定に規定する金融商品取引法第二条第一項 に規定する有価証券に表示される権利又は同条第二項 の規定により有価証券とみなされる権利(同項第一号 及び第二号 に掲げる権利を除く。)の内容及び当該行為が行われることにより顧客が負うこととなる義務の内容
三  前条第一項第六号イに掲げる行為にあっては,当該規定に規定する権利の内容及び当該行為が行われることにより顧客が負うこととなる義務の内容
四  前条第一項第六号ロに掲げる行為にあっては,当該規定に規定する債権の内容及び当該行為が行われることにより顧客が負担することとなる債務の内容
五  前条第一項第八号から第十号までに掲げる行為にあっては,これらの規定に規定する取引の仕組み
六  前条第一項第十一号の政令で定める行為にあっては,政令で定める事項
6  一の金融商品の販売について二以上の金融商品販売業者等が第一項の規定により顧客に対し重要事項について説明をしなければならない場合において,いずれか一の金融商品販売業者等が当該重要事項について説明をしたときは,他の金融商品販売業者等は,同項の規定にかかわらず,当該重要事項について説明をすることを要しない。ただし,当該他の金融商品販売業者等が政令で定める者である場合は,この限りでない。
7  第一項の規定は,次に掲げる場合には,適用しない。
一  顧客が,金融商品の販売等に関する専門的知識及び経験を有する者として政令で定める者(第九条第一項において「特定顧客」という。)である場合
二  重要事項について説明を要しない旨の顧客の意思の表明があった場合

(金融商品販売業者等の断定的判断の提供等の禁止)
第四条  金融商品販売業者等は,金融商品の販売等を業として行おうとするときは,当該金融商品の販売等に係る金融商品の販売が行われるまでの間に,顧客に対し,当該金融商品の販売に係る事項について,不確実な事項について断定的判断を提供し,又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為(以下「断定的判断の提供等」という。)を行ってはならない。

(金融商品販売業者等の損害賠償責任)
第五条  金融商品販売業者等は,顧客に対し第三条の規定により重要事項について説明をしなければならない場合において当該重要事項について説明をしなかったとき,又は前条の規定に違反して断定的判断の提供等を行ったときは,これによって生じた当該顧客の損害を賠償する責めに任ずる。

(損害の額の推定)
第六条  顧客が前条の規定により損害の賠償を請求する場合には,元本欠損額は,金融商品販売業者等が重要事項について説明をしなかったこと又は断定的判断の提供等を行ったことによって当該顧客に生じた損害の額と推定する。
2  前項の「元本欠損額」とは,当該金融商品の販売が行われたことにより顧客の支払った金銭及び支払うべき金銭の合計額(当該金融商品の販売が行われたことにより当該顧客の譲渡した金銭相当物又は譲渡すべき金銭相当物がある場合にあっては,当該合計額にこれらの金銭相当物の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)から,当該金融商品の販売により当該顧客(当該金融商品の販売により当該顧客の定めるところにより金銭又は金銭以外の物若しくは権利を取得することとなった者がある場合にあっては,当該者を含む。以下この項において「顧客等」という。)の取得した金銭及び取得すべき金銭の合計額(当該金融商品の販売により当該顧客等の取得した金銭以外の物若しくは権利又は取得すべき金銭以外の物若しくは権利がある場合にあっては,当該合計額にこれらの金銭以外の物又は権利の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)と当該金融商品の販売により当該顧客等の取得した金銭以外の物又は権利であって当該顧客等が売却その他の処分をしたものの処分価額の合計額とを合算した額を控除した金額をいう。

(民法 の適用)
第七条  重要事項について説明をしなかったこと又は断定的判断の提供等を行ったことによる金融商品販売業者等の損害賠償の責任については,この法律の規定によるほか,民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。

(勧誘の適正の確保)
第八条  金融商品販売業者等は,業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をするに際し,その適正の確保に努めなければならない。

(勧誘方針の策定等)
第九条  金融商品販売業者等は,業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をしようとするときは,あらかじめ,当該勧誘に関する方針(以下「勧誘方針」という。)を定めなければならない。ただし,当該金融商品販売業者等が,国,地方公共団体その他勧誘の適正を欠くおそれがないと認められる者として政令で定める者である場合又は特定顧客のみを顧客とする金融商品販売業者等である場合は,この限りでない。
2  勧誘方針においては,次に掲げる事項について定めるものとする。
一  勧誘の対象となる者の知識,経験,財産の状況及び当該金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らし配慮すべき事項
二  勧誘の方法及び時間帯に関し勧誘の対象となる者に対し配慮すべき事項
三  前二号に掲げるもののほか,勧誘の適正の確保に関する事項
3  金融商品販売業者等は,第一項の規定により勧誘方針を定めたときは,政令で定める方法により,速やかに,これを公表しなければならない。これを変更したときも,同様とする。

(過料)
第十条  前条第一項の規定に違反して勧誘方針を定めず,又は同条第三項の規定に違反してこれを公表しなかった金融商品販売業者等は,五十万円以下の過料に処する。

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取り調べメモ等に係る証拠開示命令について

2007-12-26 22:06:06 | Weblog
時事ドットコム 取り調べメモ開示を命令=「手持ち証拠に限らず」-整理手続きで初判断・最高裁

 犯罪捜査規範第13条には「警察官は,捜査を行うに当り,当該事件の公判の審理に証人として出頭する場合を考慮し,および将来の捜査に資するため,その経過その他参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない。」とある。
本件は,検察官が現に保管していない上記規範に基づき作成された取調べメモ等が証拠開示の対象になるか争われたもの。

 原審である東京高裁は,検察官に対し,請求に係る取調べメモ等の存否及びその開示による弊害を具体的に主張するよう求めたところ,検察官は,証拠開示の対象となる証拠は検察官が現に保管する一件捜査記録中にある証拠に限られとし,その余の事項については釈明の必要なし,と回答していた。

さて,第三小法廷,取調べメモ等の開示を認めた原決定は広島高等裁判所平成18年(く)第90号同年8月25日決定並びに名古屋高等裁判所平成19年(く)第60号同年5月25日決定に反する判断をしたとする検察側の主張につき,次のように判示。

 確かに,所論引用の判例は,刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象は,検察官が現に保管している一件捜査記録や証拠物に限られる旨の判断を示したものと解され,したがって,検察官が現に保管している証拠以外の証拠も上記証拠開示命令の対象となるものとし,本件開示請求に係る取調べメモ等の開示を認めた原決定は,所論引用の判例と相反する判断をしたものというべきである。
 3(1) そこで検討すると,公判前整理手続及び期日間整理手続における証拠開示制度は,争点整理と証拠調べを有効かつ効率的に行うためのものであり,このような証拠開示制度の趣旨にかんがみれば,刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となる証拠は,必ずしも検察官が現に保管している証拠に限られず,当該事件の捜査の過程で作成され,又は入手した書面等であって,公務員が職務上現に保管し,かつ,検察官において入手が容易なものを含むと解するのが相当である。
 (2) 公務員がその職務の過程で作成するメモについては,専ら自己が使用するために作成したもので,他に見せたり提出することを全く想定していないものがあることは所論のとおりであり,これを証拠開示命令の対象とするのが相当でないことも所論のとおりである。しかしながら,犯罪捜査規範13条は,「警察官は,捜査を行うに当り,当該事件の公判の審理に証人として出頭する場合を考慮し,および将来の捜査に資するため,その経過その他参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない。」と規定しており,警察官が被疑者の取調べを行った場合には,同条により備忘録を作成し,これを保管しておくべきものとしているのであるから,取調警察官が,同条に基づき作成した備忘録であって,取調べの経過その他参考となるべき事項が記録され,捜査機関において保管されている書面は,個人的メモの域を超え,捜査関係の公文書ということができる。これに該当する備忘録については,当該事件の公判審理において,当該取調べ状況に関する証拠調べが行われる場合には,証拠開示の対象となり得るものと解するのが相当である。


証拠開示制度の趣旨に鑑みれば,開示命令の対象となる証拠は「当該事件の捜査の過程で作成され,又は入手した書面等であって,公務員が職務上現に保管し,かつ,検察官において入手が容易なものを含む」 → 犯罪捜査規範に基づき作成された備忘録は個人的メモの域を超える「捜査関係の公文書」 → 証拠開示の対象になり得る,ということのようだ。
今後,この種のメモの開示を拒むには,開示による弊害等を具体的に主張しなければならない。

判例検索システム 平成19年12月25日 証拠開示命令請求棄却決定に対する即時抗告決定に対する特別抗告事件


刑事訴訟法の関連条文

第三百十六条の二十  検察官は,第三百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて,第三百十六条の十七第一項の主張に関連すると認められるものについて,被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において,その関連性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し,相当と認めるときは,速やかに,第三百十六条の十四第一号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において,検察官は,必要と認めるときは,開示の時期若しくは方法を指定し,又は条件を付することができる。
2  被告人又は弁護人は,前項の開示の請求をするときは,次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
一  開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項
二  第三百十六条の十七第一項の主張と開示の請求に係る証拠との関連性その他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由

第三百十六条の二十六  裁判所は,検察官が第三百十六条の十四若しくは第三百十六条の十五第一項(第三百十六条の二十一第四項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)若しくは第三百十六条の二十第一項(第三百十六条の二十二第五項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるとき,又は被告人若しくは弁護人が第三百十六条の十八(第三百十六条の二十二第四項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるときは,相手方の請求により,決定で,当該証拠の開示を命じなければならない。この場合において,裁判所は,開示の時期若しくは方法を指定し,又は条件を付することができる。
2  裁判所は,前項の請求について決定をするときは,相手方の意見を聴かなければならない。
3  第一項の請求についてした決定に対しては,即時抗告をすることができる。

第三百十六条の二十八  裁判所は,審理の経過にかんがみ必要と認めるときは,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いて,第一回公判期日後に,決定で,事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として,事件を期日間整理手続に付することができる。
2  期日間整理手続については,前款(第三百十六条の二第一項及び第三百十六条の九第三項を除く。)の規定を準用する。この場合において,検察官,被告人又は弁護人が前項の決定前に取調べを請求している証拠については,期日間整理手続において取調べを請求した証拠とみなし,第三百十六条の六から第三百十六条の十まで及び第三百十六条の十二中「公判前整理手続期日」とあるのは「期日間整理手続期日」と,同条第二項中「公判前整理手続調書」とあるのは「期日間整理手続調書」と読み替えるものとする。

犯罪捜査規範の関連条文

(この規則の目的)
第一条  この規則は,警察官が犯罪の捜査を行うに当つて守るべき心構え,捜査の方法,手続その他捜査に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(捜査の基本)
第二条  捜査は,事案の真相を明らかにして事件を解決するとの強固な信念をもつて迅速適確に行わなければならない。
2  捜査を行うに当つては,個人の基本的人権を尊重し,かつ,公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。

(法令等の厳守)
第三条  捜査を行うに当たつては,警察法 (昭和二十九年法律第百六十二号),刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号。以下「刑訴法」という。)その他の法令および規則を厳守し,個人の自由及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならない。

(合理捜査)
第四条  捜査を行うに当たつては,証拠によつて事案を明らかにしなければならない。
2  捜査を行うに当たつては,先入観にとらわれず,根拠に基づかない推測を排除し,被疑者その他の関係者の供述を過信することなく,基礎的捜査を徹底し,物的証拠を始めとするあらゆる証拠の発見収集に努めるとともに,鑑識施設及び資料を十分に活用して,捜査を合理的に進めるようにしなければならない。

(総合捜査)
第五条  捜査を行うに当つては,すべての情報資料を総合して判断するとともに,広く知識技能を活用し,かつ,常に組織の力により,捜査を総合的に進めるようにしなければならない。

(着実な捜査)
第六条  捜査は,安易に成果を求めることなく,犯罪の規模,方法その他諸般の状況を冷静周密に判断し,着実に行わなければならない。

(公訴,公判への配慮)
第七条  捜査は,それが刑事手続の一環であることにかんがみ,公訴の実行及び公判の審理を念頭に置いて,行わなければならない。特に,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)第二条第一項に規定する事件に該当する事件の捜査を行う場合は,国民の中から選任された裁判員に分かりやすい立証が可能となるよう,配慮しなければならない。

(規律と協力)
第八条  捜査を行うに当たつては,自己の能力を過信して独断に陥ることなく,上司から命ぜられた事項を忠実に実行し,常に警察規律を正しくし,協力一致して事案に臨まなければならない。

(秘密の保持等)
第九条  捜査を行うに当たつては,秘密を厳守し,捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに,被疑者,被害者(犯罪により害を被つた者をいう。以下同じ。)その他事件の関係者の名誉を害することのないように注意しなければならない。
2  捜査を行うに当たつては,前項の規定により秘密を厳守するほか,告訴,告発,犯罪に関する申告その他犯罪捜査の端緒又は犯罪捜査の資料を提供した者(第十一条(被害者等の保護等)第二項において「資料提供者」という。)の名誉又は信用を害することのないように注意しなければならない。

(関係者に対する配慮)
第十条  捜査を行うに当つては,常に言動を慎み,関係者の利便を考慮し,必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。

(被害者等に対する配慮)
第十条の二  捜査を行うに当たつては,被害者又はその親族(以下この節において「被害者等」という。)の心情を理解し,その人格を尊重しなければならない。
2  捜査を行うに当たつては,被害者等の取調べにふさわしい場所の利用その他の被害者等にできる限り不安又は迷惑を覚えさせないようにするための措置を講じなければならない。

(被害者等に対する通知)
第十条の三  捜査を行うに当たつては,被害者等に対し,刑事手続の概要を説明するとともに,当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない。ただし,捜査その他の警察の事務若しくは公判に支障を及ぼし,又は関係者の名誉その他の権利を不当に侵害するおそれのある場合は,この限りでない。

(被害者等の保護等)
第十一条  警察官は,犯罪の手口,動機及び組織的背景,被疑者と被害者等との関係,被疑者の言動その他の状況から被害者等に後難が及ぶおそれがあると認められるときは,被疑者その他の関係者に,当該被害者等の氏名又はこれらを推知させるような事項を告げないようにするほか,必要に応じ,当該被害者等の保護のための措置を講じなければならない。
2  前項の規定は,資料提供者に後難が及ぶおそれがあると認められる場合について準用する。

(研究と工夫)
第十二条  警察官は,捜査専従員であると否とを問わず,常に捜査関係法令の研究および捜査に関する知識技能の習得に努め,捜査方法の工夫改善に意を用いなければならない。

(備忘録)
第十三条  警察官は,捜査を行うに当り,当該事件の公判の審理に証人として出頭する場合を考慮し,および将来の捜査に資するため,その経過その他参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない。

(捜査の回避)
第十四条  警察官は,被疑者,被害者その他事件の関係者と親族その他特別の関係にあるため,その捜査について疑念をいだかれるおそれのあるときは,上司の許可を得て,その捜査を回避しなければならない。

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黒塗りの中づり広告について

2007-12-22 22:36:01 | Weblog
asahi.com マック「×××はいけない」 週刊誌中づり広告を黒塗り

 賞味期限の偽装という事実はあったにせよ,食品に対して「食べてはいけない」は穏やかではない。この種の,諭すというか,命令調のタイトルの書籍や記事,多くなった。契機になったのは,『買ってはいけない』かな・・・。

さて,関東交通広告協議会の広告掲出審査判断基準において問題となりそうなのは,「1. 広告掲出審査判断基準の基本」の「[1]基本事項」の中の「この情報は,適切かつ節度を持って提供しなければならない。」と「 公共の交通機関に掲出する広告として,それにふさわしい品位をもったものでなければならない。」,同「[2]消費者保護の点で適切な内容か」の中の「広告を見て行動する消費者に対して適切な表現といえるか。」と「誇大な表現,故意に誤認をさせる表示はないか。」,同「[7]その他社会的に適切か」の中の「不安や不快な念をもたらさないか。」,「3. 業種・商品ごとの表示規制等」の「[14]意見広告」の「原則として意見発表の場としない。」,同「[16] 出版広告」の中の「(1)虚偽もしくは不正確な表現で,事実と誤認される恐れのある表現がないかどうか。」の辺りか。

記事には,概略,朝日は雑誌広告等が紙面の品位を汚すと判断した場合は,協議の上,一部を削って掲載することがあるが,今回の件の広告はそのまま掲載した,とある。

講談社,鉄道各社の対応に反発しているようだが,「×××はいけない」,却って宣伝効果があったりして。 

駅貼りポスターや中吊りなどのJR広告料金がわかります 広告掲出ガイドライン

関東交通広告協議会 広告掲出審査判断基準


日本国憲法の関連条文

第二十一条  集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2  検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

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放送番組の内容に対する期待権の保護の如何について

2007-12-20 21:09:42 | Weblog
MSN産経ニュース 「期待権」初の最高裁判断も NHK損賠訴訟

 東京高判H19.1.29は,番組内容に変更があった場合の放送事業者等による取材対象者への説明義務の如何に関し,次のとおり判示。

 ところで,制作中の番組について,どの程度のねらいの変更が生じた場合に説明を要するかは必ずしも判然としないことも多く,また,放送番組の編集作業は,放送直前まで行われることもあり,事前の説明を行う時間的余裕がない場合がある。そこで,これらの点を考慮すると,放送事業者に対し,方針の変更があった場合につき取材対象者に対する法的な説明義務をすべての場合に課すことは,放送事業者の番組の編集に過度の制約を課すことにつながるおそれがある。この意味で,本件ガイドライン(管理人註:「NHK放送ガイドライン」のこと)は,取材・制作現場で直面する問題に対処する上でのよりどころとなる考え方や注意点を示したものであって,ジャーナリストとしての倫理向上を目指すものであり,これに定める説明の必要性は,取材の際の倫理的な義務をいうものであると解すべきである。他方,上記説示のとおり,取材対象者の自己決定権も保護すべきであることから,放送番組の制作者や取材者は,番組の内容やその変更等について,これを説明する旨の約束がある等,特段の事情があるときに限り,これを説明する法的な義務を負うと解するのが相当である。

東京高裁,本件では,取材経過等に照らし,一審原告には番組内容について法的保護に値する期待と信頼が生じ,一審被告らはそのことを認識していたとし,NHKらには法的説明義務を負担すべき特段の事情があるとした。
この点のNHKの主張は以下のとおり。番組内容に対する期待権を一切否定しているというわけではないようだ。

 取材対象者の信頼が法的保護に値するためには,取材対象者が当該取材過程で取材結果の編集やこれを使用して制作される番組の内容について何らかの期待を抱いた場合,その期待が相当程度具体的なものであり,かつ取材者が取材対象者に対し,取材結果をどのように編集するか,あるいは取材結果をどのような趣旨の番組に使用するかなどについて約束するなど,取材者の言動によりそのような期待を抱くのもやむを得ない特段の事情がある場合に限定されるべきである。本件においては,次のとおりの事情から,いずれの要件も満たさず法的な保護に値しない。(以下,省略)

判例検索システム 平成19年01月29日 損害賠償請求控訴事件


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

第二十一条  集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2  検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

放送法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,左に掲げる原則に従つて,放送を公共の福祉に適合するように規律し,その健全な発達を図ることを目的とする。
一  放送が国民に最大限に普及されて,その効用をもたらすことを保障すること。
二  放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによつて,放送による表現の自由を確保すること。
三  放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて,放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

(定義)
第二条  この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては,次の定義に従うものとする。
一  「放送」とは,公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。
一の二  「国内放送」とは,国内において受信されることを目的とする放送であつて,受託国内放送以外のものをいう。
一の三  「受託国内放送」とは,他人の委託により,その放送番組を国内において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であつて,人工衛星の無線局により行われるものをいう。
二  「国際放送」とは,外国において受信されることを目的とする放送であつて,中継国際放送及び受託協会国際放送以外のものをいう。
二の二  「中継国際放送」とは,外国放送事業者(外国において放送事業を行う者をいう。以下同じ。)の委託により,その放送番組を外国において受信されることを目的としてそのまま送信する放送をいう。
二の二の二  「受託協会国際放送」とは,日本放送協会(以下「協会」という。)の委託により,その放送番組を外国において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であつて,人工衛星の無線局により行われるものをいう。
二の二の三  「受託内外放送」とは,他人の委託により,その放送番組を国内及び外国において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であつて,人工衛星の無線局により行われるものをいう。
二の三  「中波放送」とは,五百二十六・五キロヘルツから千六百六・五キロヘルツまでの周波数を使用して音声その他の音響を送る放送をいう。
二の四  「超短波放送」とは,三十メガヘルツを超える周波数を使用して音声その他の音響を送る放送(文字,図形その他の影像又は信号を併せ送るものを含む。)であつて,テレビジョン放送に該当せず,かつ,他の放送の電波に重畳して行う放送でないものをいう。
二の五  「テレビジョン放送」とは,静止し,又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響を送る放送(文字,図形その他の影像又は信号を併せ送るものを含む。)をいう。
二の六  「多重放送」とは,超短波放送又はテレビジョン放送の電波に重畳して,音声その他の音響,文字,図形その他の影像又は信号を送る放送であつて,超短波放送又はテレビジョン放送に該当しないものをいう。
三  「放送局」とは,放送をする無線局をいう。
三の二  「放送事業者」とは,電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により放送局(受信障害対策中継放送(同法第五条第五項 に規定する受信障害対策中継放送をいう。以下同じ。)を行うものを除く。)の免許を受けた者,委託放送事業者及び第九条第一項第二号に規定する委託国内放送業務又は委託協会国際放送業務を行う場合における協会をいう。
三の三  「一般放送事業者」とは,協会及び放送大学学園法 (平成十四年法律第百五十六号)第三条 に規定する放送大学学園(以下「学園」という。)以外の放送事業者をいう。
三の四  「受託放送事業者」とは,電波法 の規定により受託国内放送,受託協会国際放送又は受託内外放送(以下「受託放送」と総称する。)をする無線局の免許を受けた者をいう。
三の五  「委託放送事業者」とは,委託放送業務(電波法 の規定により受託国内放送又は受託内外放送をする無線局の免許を受けた者に委託して放送番組を放送させる業務をいう。以下同じ。)に関し,第五十二条の十三第一項の認定を受けた者をいう。
三の六  「委託協会国際放送業務」とは,協会が電波法 の規定により受託協会国際放送をする無線局の免許を受けた者又は受託協会国際放送をする外国の無線局を運用する者に委託してその放送番組を放送させる業務をいう。
四  「放送番組」とは,放送をする事項(その放送が受託放送であるときは,委託して放送をさせる事項)の種類,内容,分量及び配列をいう。
五  「教育番組」とは,学校教育又は社会教育のための放送の放送番組をいう。
六  「教養番組」とは,教育番組以外の放送番組であつて,国民の一般的教養の向上を直接の目的とするものをいう。

(放送普及基本計画)
第二条の二  総務大臣は,放送(委託して放送をさせることを含む。次項第一号,第七条,第九条第一項第三号,第二項第五号及び第六号並びに第六項,第三十四条第一項,第五十二条の十三第一項第四号,第五十三条第一項並びに第五十三条の十二第一項において同じ。)の計画的な普及及び健全な発達を図るため,放送普及基本計画を定め,これに基づき必要な措置を講ずるものとする。
2  放送普及基本計画には,放送局の置局(受託国内放送及び受託内外放送にあつてはこれらの放送を行う放送局の置局及び委託放送業務とし,受託協会国際放送(電波法 の規定による免許を受ける無線局により行われるものに限る。以下この項において同じ。)にあつては受託協会国際放送を行う放送局の置局及び委託協会国際放送業務とする。)に関し,次の事項を定めるものとする。
一  放送を国民に最大限に普及させるための指針,放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより,放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されるようにするための指針その他放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事項
二  協会の放送(協会の委託により行われる受託国内放送を含む。第三十二条第一項本文において同じ。),学園の放送又は一般放送事業者の放送(協会の委託により行う受託国内放送を除く。)の区分,国内放送,受託国内放送,国際放送,中継国際放送,受託協会国際放送又は受託内外放送の区分,中波放送,超短波放送,テレビジョン放送その他の放送の種類による区分その他の総務省令で定める放送の区分ごとの同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域(以下「放送対象地域」という。)
三  放送対象地域ごとの放送系(同一の放送番組の放送を同時に行うことのできる放送局の総体をいう。以下この号において同じ。)の数(受託放送に係る放送対象地域にあつては,放送系により放送することのできる放送番組の数)の目標
3  放送普及基本計画は,第九条第一項,第二項第一号及び第五項に規定する事項,電波法第七条第三項 の放送用割当可能周波数,放送に関する技術の発達及び需要の動向,地域の自然的経済的社会的文化的諸事情その他の事情を勘案して定める。
4  総務大臣は,前項の事情の変動により必要があると認めるときは,放送普及基本計画を変更することができる。
5  総務大臣は,放送普及基本計画を定め,又は変更したときは,遅滞なく,これを公示しなければならない。
6  放送事業者(受託放送事業者,委託放送事業者及び第九条第一項第二号に規定する委託国内放送業務又は委託協会国際放送業務を行う場合における協会を除く。)は,その行う放送に係る放送対象地域において,当該放送があまねく受信できるように努めるものとする。

(放送番組編集の自由)
第三条  放送番組は,法律に定める権限に基く場合でなければ,何人からも干渉され,又は規律されることがない。

(国内放送の放送番組の編集等)
第三条の二  放送事業者は,国内放送の放送番組の編集に当たつては,次の各号の定めるところによらなければならない。
一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
二  政治的に公平であること。
三  報道は事実をまげないですること。
四  意見が対立している問題については,できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
2  放送事業者は,テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては,特別な事業計画によるものを除くほか,教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け,放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。
3  放送事業者は,国内放送の教育番組の編集及び放送に当たつては,その放送の対象とする者が明確で,内容がその者に有益適切であり,組織的かつ継続的であるようにするとともに,その放送の計画及び内容をあらかじめ公衆が知ることができるようにしなければならない。この場合において,当該番組が学校向けのものであるときは,その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。
4  放送事業者は,テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては,静止し,又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。

(番組基準)
第三条の三  放送事業者は,放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組基準」という。)を定め,これに従つて放送番組の編集をしなければならない。
2  放送事業者は,国内放送について前項の規定により番組基準を定めた場合には,総務省令で定めるところにより,これを公表しなければならない。これを変更した場合も,同様とする。

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郷土料理百選及び御当地人気料理特選の選定について

2007-12-19 22:17:31 | Weblog
MSN産経ニュース記 いも煮,馬刺し…「郷土料理百選」 ウニ・イクラ丼は選外

 農水省の所掌事務に係る農林水産省設置法第4条には,第38号として「農山漁村及び中山間地域等(食料・農業・農村基本法 (平成十一年法律第百六号)第三十五条第一項 に規定する中山間地域等をいう。以下同じ。)の振興に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。」とある。郷土料理百選の選定は,この事務の一貫のよう。
秋田県関係では,「農山漁村の郷土料理百選」として「きりたんぽ鍋」と「稲庭うどん」が選定された。これは順当なところ。
同じく,「御当地人気料理特選」としては「横手やきそば」が選定された。こちらは未だご存じない方もいるかもしれないが,時々,地方のB級グルメなどとして取り上げられている。
因みに,「御当地人気料理特選」の定義は「農山漁村との関係が薄いものの,地域住民に御当地自慢の料理として絶大な人気があり,現在及び未来に向かって広く国民に愛され支持されうる料理」。「絶大な人気」とあるが,管理人は食べたことがない。
県北には「きりたんぽ鍋」,県南には「稲庭うどん」と「横手やきそば」があるところ,県央には何もない。何だか,悲しい。あっ,男鹿に「石焼き」があるか。男鹿,県央だよね ^^; 。

農水省 「農山漁村の郷土料理百選」等の選定について

横手やきそばホームページ


農林水産省設置法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,農林水産省の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに,その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。

(設置)
第二条  国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 の規定に基づいて,農林水産省を設置する。
2  農林水産省の長は,農林水産大臣とする。

(任務)
第三条  農林水産省は,食料の安定供給の確保,農林水産業の発展,農林漁業者の福祉の増進,農山漁村及び中山間地域等の振興,農業の多面にわたる機能の発揮,森林の保続培養及び森林生産力の増進並びに水産資源の適切な保存及び管理を図ることを任務とする。

(所掌事務)
第四条  農林水産省は,前条の任務を達成するため,次に掲げる事務をつかさどる。
一  食料の安定供給の確保に関する政策(食品衛生に係るものを除く。)に関すること。
二  農林水産業に係る国土の総合開発及び国土調査に関すること。
三  農業協同組合,森林組合,漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織の発達に関すること。
四  所掌事務に係る一般消費者の利益の保護に関すること。
五  日本農林規格及び農林物資の品質に関する表示の基準に関すること。
六  飲食料品(酒類を除く。)及び油脂の生産,流通及び消費の増進,改善及び調整に関すること。
七  卸売市場の整備及び中央卸売市場の監督に関すること。
八  商品市場における取引及び商品投資の監督に関する事務のうち所掌に係るものに関すること。
九  食品産業その他の所掌に係る事業の発達,改善及び調整に関すること。
十  食品産業その他の所掌に係る事業における資源の有効な利用の確保に関すること。
十一  所掌事務に係る物資についての輸出入並びに関税及び国際協定に関する事務のうち所掌に係るものに関すること。
十二  所掌事務に係る国際協力に関すること。
十三  農畜産物(蚕糸を含む。)の生産,流通及び消費の増進,改善及び調整に関すること。
十四  農林水産物の食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るものに関すること(食品衛生に関すること及び環境省の所掌に係る農薬の安全性の確保に関することを除く。)。
十五  農作物の作付体系の合理化に関すること。
十六  農林水産植物の品種登録に関すること。
十七  家畜(家きん及びみつばちを含む。以下同じ。)の改良及び増殖並びに取引に関すること。
十八  農地の土壌の改良並びに汚染の防止及び除去に関すること。
十九  草地の整備に関すること。
二十  病虫害の防除,家畜の衛生並びに輸出入に係る動植物及び畜産物の検疫に関すること。
二十一  獣医師及び獣医療に関すること。
二十二  肥料,農機具,農薬,飼料その他の農畜産業専用物品(蚕糸業専用物品及び林業専用物品を含む。以下この号において同じ。)の生産,流通及び消費の増進,改善及び調整に関すること(経済産業省がその生産を所掌する農畜産業専用物品の生産に関することを除く。)。
二十三  農業機械化の促進に関すること。
二十四  中央競馬及び地方競馬の監督及び助成に関すること。
二十五  農業経営の改善及び安定に関すること。
二十六  農業を担うべき者の確保に関すること。
二十七  農業労働に関すること。
二十八  農業技術の改良及び発達並びに農業及び農林漁業従事者の生活に関する知識の普及交換に関すること並びに農業改良資金の貸付けについての助成に関すること。
二十九  農地制度に関すること。
三十  農地の権利移動その他農地関係の調整に関すること。
三十一  農業構造の改善に関すること。
三十二  農業者年金に関すること。
三十三  農業災害補償,森林保険並びに漁船損害等補償,漁船乗組員給与保険及び漁業災害補償に関すること。
三十四  農林水産業及び食品産業その他の所掌に係る事業の振興のための金融上の措置に関する企画及び立案並びに助成に関すること。
三十五  農林漁業金融公庫,農林中央金庫,農業信用基金協会,漁業信用基金協会及び農水産業協同組合貯金保険機構の業務の監督に関すること。
三十六  削除
三十七  農住組合の設立及び業務に関すること。
三十八  農山漁村及び中山間地域等(食料・農業・農村基本法 (平成十一年法律第百六号)第三十五条第一項 に規定する中山間地域等をいう。以下同じ。)の振興に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
三十九  豪雪地帯(豪雪地帯対策特別措置法 (昭和三十七年法律第七十三号)第二条第一項 の豪雪地帯をいう。)の雪害防除及び振興に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
四十  農業振興地域整備計画その他農山漁村の総合的な振興計画の作成及び実施についての指導及び助成に関すること。
四十一  中山間地域等における農業の生産条件に関する不利を補正するための支援に関すること。
四十二  土地,水その他の資源の農業上の利用の確保に関すること。
四十三  農地の転用に関すること。
四十四  農業水利に関すること。
四十五  交換分合の指導及び助成に関すること。
四十六  土地改良事業(かんがい排水,区画整理,干拓,農地又はその保全若しくは利用上必要な施設若しくは農業用施設の災害復旧その他土地の農業上の利用を維持及び増進するのに必要な事業をいう。)に関すること。
四十七  農地の保全に係る海岸の整備,利用,保全その他の管理に関すること。
四十八  農地の保全に係る地すべり防止に関する事業に関すること並びに農地の保全に係るぼた山の崩壊の防止に関する事業の助成及び監督に関すること。
四十九  農山漁村に滞在しつつ行う農林漁業の体験その他の農山漁村と都市との地域間交流に関すること。
五十  市民農園の整備の促進に関すること。
五十一  主要食糧の生産,集荷,消費その他需給の調整に関すること。
五十二  主要食糧の輸入に係る納付金の徴収その他輸入の調整に関すること。
五十三  主要食糧の買入れ及び売渡しの価格の決定並びに主要食糧の価格の安定に関すること。
五十四  輸入飼料の買入れ,保管及び売渡しの実施に関すること。
五十五  農産物検査法 (昭和二十六年法律第百四十四号)の規定による農産物の検査に関すること。
五十六  森林資源の確保及び総合的な利用に関すること。
五十七  林野の造林及び治水,林道の開設及び改良その他の森林の整備に関すること。
五十八  森林の経営の監督及び助成に関すること。
五十九  保安林に関すること。
六十  森林病害虫の駆除及び予防その他の森林の保護に関すること。
六十一  林野の保全に係る地すべり防止に関する事業に関すること並びに林野の保全に係るぼた山の崩壊の防止に関する事業の助成及び監督に関すること。
六十二  国土緑化の推進に関すること。
六十三  木材その他の林産物及び加工炭の生産,流通及び消費の増進,改善及び調整に関すること。
六十四  林業経営の改善及び安定に関すること。
六十五  林業技術の改良及び発達並びに普及交換に関すること並びに林業・木材産業改善資金の貸付けについての助成に関すること。
六十六  林業構造の改善に関すること。
六十七  国有林野の管理経営に関すること。
六十八  水産資源の保存及び管理に関すること。
六十九  漁業の指導及び監督に関すること。
七十  外国人が行う漁業及び水産動植物の採捕の規制に関すること。
七十一  遠洋漁業及び沖合漁業に係る漁場の維持及び開発に関すること。
七十二  沿岸漁業に係る漁場の保全及び持続的な養殖生産の確保に関すること。
七十三  栽培漁業の促進その他海洋水産資源の開発の促進に関すること。
七十四  遊漁船業の発達,改善及び調整に関すること。
七十五  水産物の生産,流通及び消費の増進,改善及び調整に関すること。
七十六  水産業専用物品及び氷の生産,流通及び消費の増進,改善及び調整並びに水産用石油類その他水産業専用物品以外の水産用資材並びに冷凍及び冷蔵に関すること(水産用資材にあっては,経済産業省の所掌に属するものを除く。)。
七十七  水産業経営の改善及び安定に関すること。
七十八  水産に関する技術の改良及び発達並びに普及交換に関すること並びに沿岸漁業改善資金の貸付けについての助成に関すること。
七十九  独立行政法人北方領土問題対策協会の行う資金の貸付けに関すること。
八十  沿岸漁業の構造改善に関すること。
八十一  漁船の建造の調整,登録及び検査に関すること。
八十二  漁港の修築,維持管理及び災害復旧その他漁港に関すること。
八十三  漁港の区域に係る海岸の整備,利用,保全その他の管理に関すること。
八十四  農林水産業に係る保護増殖事業(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 (平成四年法律第七十五号)第六条第二項第五号 に規定する保護増殖事業をいう。)に関すること。
八十五  政令で定める文教研修施設において,所掌事務に関する研修を行うこと。
八十六  農林水産技術についての試験及び研究に関すること。
八十七  前各号に掲げるもののほか,法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき農林水産省に属させられた事務

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結審後の訴因変更命令について

2007-12-18 20:27:29 | Weblog
asahi.com 3児死亡で危険運転罪見送り 福岡地裁,業過致死適用か

 日経産経及び読売は,検察は命令に応ずるとみられるとしているが,毎日には,検察は命令を拒む方針,とある。朝日はと言えば,検察は,応ずるか,危険運転致死傷罪で補充立証できるか検討する,として慎重な書き方。

ご存じのとおり,元の訴因のままでは無罪となる事案につき,証拠の明白性,事件の重大性という要件で裁判所の訴因変更の命令ないし勧告の義務を認めた著名な判例として,最判S43.11.26がある。この最判,次のとおり判示。

 なお,裁判所は,原則として,自らすすんで検察官に対し,訴因変更手続を促しまたはこれを命ずべき義務はないのである(昭和三〇年(あ)第三三七六号,同三三年五月二〇日第三小法廷判決,刑集一二巻七号一四一六頁参照)が,本件のように,起訴状に記載された殺人の訴因についてはその犯意に関する証明が充分でないため無罪とするほかなくても,審理の経過にかんがみ,これを重過失致死の訴因に変更すれば有罪であることが証拠上明らかであり,しかも,その罪が重過失によつて人命を奪うという相当重大なものであるような場合には,例外的に,検察官に対し,訴因変更手続を促しまたはこれを命ずべき義務があるものと解するのが相当である。したがつて原判決が,本件のような事案のもとで,裁判所が検察官の意向を単に打診したにとどまり,積極的に訴因変更手続を促しまたはこれを命ずることなく,殺人の訴因のみについて審理し,ただちに被告人を無罪とした第一審判決には審理不尽の違法があるとしてこれを破棄し,あらためて,原審で予備的に追加された重過失致死の訴因について自判し,被告人を有罪としたことは,違法とはいえない。

福岡の事故も,証拠の明白性,事件の重大性に照らし,現訴因のまま判断というわけにはいかないということだろう。

なお,上記最判の後,審理経過によっては裁判所の訴因変更の命令義務ないし勧告義務も否定されるとしたものに最判S58.9.6があった。これは,事前共謀の訴因に変更すれば共謀共同正犯の罪責に問い得るところ,検察官が8年半にも及ぶ審理の全過程を通し一貫して現場共謀である旨を主張し,裁判所による訴因を変更する意思がないかとの釈明にも,その意思がない旨,明確かつ断定的に回答していたというもの。この判例を,訴因変更の時的限界を肯定したものと評する向きもある。


刑法の関連条文

(危険運転致死傷)
第二百八条の二  アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ,よって,人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し,人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で,又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ,よって人を死傷させた者も,同様とする。
2  人又は車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し,よって人を死傷させた者も,前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し,よって人を死傷させた者も,同様とする。

(業務上過失致死傷等)
第二百十一条  業務上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も,同様とする。
2  自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。

刑事訴訟法の関連条文

第二百四十七条  公訴は,検察官がこれを行う。

第二百五十六条  公訴の提起は,起訴状を提出してこれをしなければならない。
2  起訴状には,左の事項を記載しなければならない。
一  被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
二  公訴事実
三  罪名
3  公訴事実は,訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには,できる限り日時,場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。
4  罪名は,適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し,罰条の記載の誤は,被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り,公訴提起の効力に影響を及ぼさない。
5  数個の訴因及び罰条は,予備的に又は択一的にこれを記載することができる。
6  起訴状には,裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し,又はその内容を引用してはならない。

第二百九十四条  公判期日における訴訟の指揮は,裁判長がこれを行う。

第三百十二条  裁判所は,検察官の請求があるときは,公訴事実の同一性を害しない限度において,起訴状に記載された訴因又は罰条の追加,撤回又は変更を許さなければならない。
2  裁判所は,審理の経過に鑑み適当と認めるときは,訴因又は罰条を追加又は変更すべきことを命ずることができる。
3  裁判所は,訴因又は罰条の追加,撤回又は変更があつたときは,速やかに追加,撤回又は変更された部分を被告人に通知しなければならない。
4  裁判所は,訴因又は罰条の追加又は変更により被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞があると認めるときは,被告人又は弁護人の請求により,決定で,被告人に充分な防禦の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。

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「大事なのは病院から出ること」について

2007-12-17 21:03:21 | Weblog
MSN産経ニュース オシム氏 食欲旺盛,一般病棟へ

 ICUから一般病棟に移るとのこと。
オシムさん,「病院内の移動は大したことではない。大事なのは病院から出ることだ」と語ったようだ。新オシム語録の冒頭を飾るのはこの言葉かな。いや,アイスを食べた時,冷たくないかと聞かれ,「冷たくなければアイスではない」と答えたというからこちらか。何にしても,一安心。

ところで,ご存じのとおり,先日,岡田武史氏のサッカー日本代表チームの監督就任が正式に発表された。前提として,オシム監督の更迭があったと思うのだが,JFAのHPでもこの辺りの手続き,はっきりしない。確かに,病で倒れた人対し「更迭」は容赦ない仕打ちだが,やはり,きちんと発表するべきではなかろうか。うやむやにする辺り,いかにも日本的だ。いやいや,もしかしたら,監督が二人とか・・・。

これから後は余計なことかもしれないが,オシムさんが倒れた時の田嶋専務理事の記者会見での話しには,正直なところ,驚いた。田嶋理事,海外遠征時のリスク管理は万全であったことを強調していた。しかし,日本で倒れたのに,病院搬送まで約1時間かかったのではリスク管理もなにもあったものではない。これなら,海外で倒れた方が未だ良かったくらい。ひとり協会だけが悪いなどと言うつもりはないが,お粗末というほかない。

スポーツ報知 オシム前監督,自身の退任認識か


民法の関連条文

(委任)
第六百四十三条  委任は,当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し,相手方がこれを承諾することによって,その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第六百四十四条  受任者は,委任の本旨に従い,善良な管理者の注意をもって,委任事務を処理する義務を負う。

(受任者による報告)
第六百四十五条  受任者は,委任者の請求があるときは,いつでも委任事務の処理の状況を報告し,委任が終了した後は,遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

(委任の解除)
第六百五十一条  委任は,各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは,その当事者の一方は,相手方の損害を賠償しなければならない。ただし,やむを得ない事由があったときは,この限りでない。

(委任の解除の効力)
第六百五十二条  第六百二十条の規定は,委任について準用する。

(委任の終了事由)
第六百五十三条  委任は,次に掲げる事由によって終了する。
一  委任者又は受任者の死亡
二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。

(委任の終了後の処分)
第六百五十四条  委任が終了した場合において,急迫の事情があるときは,受任者又はその相続人若しくは法定代理人は,委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで,必要な処分をしなければならない。

(委任の終了の対抗要件)
第六百五十五条  委任の終了事由は,これを相手方に通知したとき,又は相手方がこれを知っていたときでなければ,これをもってその相手方に対抗することができない。

(準委任)
第六百五十六条  この節の規定は,法律行為でない事務の委託について準用する。

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公務の執行から排除する必要性について

2007-12-16 20:24:57 | Weblog
asahi.com 元郵便職員,失職「妥当」 学生時代に反戦デモ 最高裁

 社会のマス目におさまり,平穏無事に暮らしていた男性が,ある日,27年前の犯罪歴を通報されてしまった。結果,昭和48年12月22日付けで失職。この日は有罪判決が確定した日であった。なるほど,国家公務員法第76条には「職員が第三十八条各号の一に該当するに至つたときは,人事院規則に定める場合を除いては,当然失職する。」とある。本件は,雇用契約上の地位確認等を求める訴訟である。

さて,27年の長きにわたって勤務してきた男性を失職させることは信義則に反し権利の濫用に当たるとの主張に関し,第一小法廷は次のように判示。

 しかしながら,前記事実関係等によれば,上告人が失職事由の発生後も長年にわたりA郵便局において郵便集配業務に従事してきたのは,上告人が禁錮以上の刑に処せられたという失職事由の発生を明らかにせず,そのためA郵便局長においてその事実を知ることがなかったからである。上告人は,失職事由発生の事実を隠し通して事実上勤務を継続し,給与の支給を受け続けていたものにすぎず,仮に,上告人において定年まで勤務することができるとの期待を抱いたとしても,そのような期待が法的保護に値するものとはいえない。このことに加え,上告人が該当した国家公務員法38条2号の欠格事由を定める規定が,この事由を看過してされた任用を法律上当然に無効とするような公益的な要請に基づく強行規定であることなどにかんがみると,被上告人郵便事業株式会社において上告人の失職を主張することが信義則に反し権利の濫用に当たるものということはできない。また,上告人が失職事由の発生後に競争試験又は選考を経たとの主張立証もなく,上告人が上記のとおり事実上勤務を続けてきたことをもって新たな任用関係ないし雇用関係が形成されたものとみることもできない。以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨はいずれも採用することができない。

この点,泉裁判官は反対意見の中で「無効の要件を具備した瑕疵ある行政行為であっても,長年にわたり維持・継続されることによって,それを無効とすることが相手方の信頼を裏切り,法律生活の安定を害するとか,社会公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある場合があるところ,それを無効とすることの公益上の必要性が低下し,一方で,相手方の信頼を保護し,法律生活の安定を図る必要性が著しく増大している場合にあっては,信義則,権利濫用禁止の法理に照らし,行政庁において当該行政行為の無効を主張することが許されないと解する余地がある」とし,次のように述べる。

 国家公務員法76条及び38条2号は,禁錮以上の刑に処せられた者が国家公務員として公務に従事する場合には,その者の公務に対する国民の信頼が損なわれるのみならず,国の公務一般に対する国民の信頼も損なわれるおそれがあるため,このような者を公務の執行から排除することにより公務に対する信頼を確保することを目的としている(最高裁昭和62年(行ツ)第119号平成元年1月17日第三小法廷判決・裁判集民事156号1頁参照)。しかし,上告人が欠格条項に該当しなくなってから約25年も郵政事務官として勤務を継続したという事実は,上告人の公務に対する国民の信頼を回復するに十分なものであり,上告人を公務の執行から排除すべき必要性は消失している。一方,上告人は,本件有罪判決を当局に申告しなかったことで責められる点があったとしても,刑の言渡しの失効後も四半世紀にわたり郵政事務官として無事勤務を続けたことにより,60歳の定年まで勤務することができるものと期待したとしても,無理からぬものがあるというべく,一般に転職の困難な50歳に達した段階で,退職手当の支給もなく,上告人から郵政事務官の身分を奪うことは,上告人の上記期待を裏切り,職業の保持,生計の維持,法律生活の安定の面で過大な不利益を課するものである。以上に加え,上告人の公務執行妨害罪の行為が郵政事務官に任用される前のものであることや,上告人の業務が現業の郵便集配業務であることを考慮すると,信義則,権利濫用禁止の法理に照らし,A郵便局長は,失職の人事異動通知書を交付した平成12年11月13日の時点においては,上告人の任用を継続した行為が無効であって,上告人が郵政事務官の地位を失っているものと取り扱うことは,もはや許されないものと解するのが相当である。

泉裁判官は,国家公務員法76条及び38条2号の趣旨から,更に,公務の執行から排除する必要性にまで踏み込んで検討している。
裁判所HPの泉裁判官の「裁判官としての心構え」には,「「事件を法で裁かず,事件を事件で裁け」という先輩の教訓に従い,法律を形式的に適用しただけの判断ではなく,その事件に最もふさわしい解決策を見つけるように心がけたいと思います。」とある。

判例検索システム 平成19年12月13日 地位確認等請求事件


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

第十四条  すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。
2  華族その他の貴族の制度は,これを認めない。
3  栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。

国家公務員法の関連条文

(この法律の目的及び効力)
第一条  この法律は,国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し,職員がその職務の遂行に当り,最大の能率を発揮し得るように,民主的な方法で,選択され,且つ,指導さるべきことを定め,以て国民に対し,公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。
2  この法律は,もつぱら日本国憲法第七十三条 にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。
3  何人も,故意に,この法律又はこの法律に基づく命令に違反し,又は違反を企て若しくは共謀してはならない。又,何人も,故意に,この法律又はこの法律に基づく命令の施行に関し,虚偽行為をなし,若しくはなそうと企て,又はその施行を妨げてはならない。
4  この法律のある規定が,効力を失い,又はその適用が無効とされても,この法律の他の規定又は他の関係における適用は,その影響を受けることがない。
5  この法律の規定が,従前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には,この法律の規定が,優先する。

(欠格条項)
第三十八条  次の各号のいずれかに該当する者は,人事院規則の定める場合を除くほか,官職に就く能力を有しない。
一  成年被後見人又は被保佐人
二  禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
三  懲戒免職の処分を受け,当該処分の日から二年を経過しない者
四  人事院の人事官又は事務総長の職にあつて,第百九条から第百十一条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
五  日本国憲法 施行の日以後において,日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し,又はこれに加入した者

(欠格による失職)
第七十六条  職員が第三十八条各号の一に該当するに至つたときは,人事院規則に定める場合を除いては,当然失職する。

(服務の根本基準)
第九十六条  すべて職員は,国民全体の奉仕者として,公共の利益のために勤務し,且つ,職務の遂行に当つては,全力を挙げてこれに専念しなければならない。
2  前項に規定する根本基準の実施に関し必要な事項は,この法律又は国家公務員倫理法 に定めるものを除いては,人事院規則でこれを定める。

(信用失墜行為の禁止)
第九十九条  職員は,その官職の信用を傷つけ,又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

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