法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

LLP設立の広がりについて

2006-07-08 10:35:36 | Weblog
四国でもLLP設立広がる,企業間の連携など用途様々 NIKKEI NET

 経産省の提示するLLPの活用分野にあてはめれば,本記事の「あわアグリ」は「起業家が集まり共同して行う創業」,「トライアウトえひめ」は「中小企業同士の連携(共同研究開発,共同生産,共同販売)」ということになろうか。

このLLP,自由度が高い分,濫用のおそれもあり,これを封ずるような一定の手当てもされている(LLP法第3条第3項等々)。

なお,『判例タイムズ』No.1206に松嶋隆弘著「新しい企業形態における法人格の意義と会社債権者保護」という特集が掲載されており,実務家,企業家には有益な資料といえそう。適宜参照したい。

経産省HP 有限責任事業組合(LLP)制度の創設について


有限責任事業組合契約に関する法律

(有限責任事業組合契約)
第三条  有限責任事業組合契約(以下「組合契約」という。)は,個人又は法人が出資して,それぞれの出資の価額を責任の限度として共同で営利を目的とする事業を営むことを約し,各当事者がそれぞれの出資に係る払込み又は給付の全部を履行することによって,その効力を生ずる。
2  組合契約の当事者のうち一人以上は,国内に住所を有し,若しくは現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人(第三十七条において「居住者」という。)又は国内に本店若しくは主たる事務所を有する法人(同条において「内国法人」という。)でなければならない。
3  組合契約は,不当に債務を免れる目的でこれを濫用してはならない。

(組合契約書の作成)
第四条  組合契約を締結しようとする者は,組合契約の契約書(以下「組合契約書」という。)を作成し,その全員がこれに署名し,又は記名押印しなければならない。
2  組合契約書は,電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるもので経済産業省令で定めるものをいう。以下この項及び第三十一条において同じ。)をもって作成することができる。この場合において,当該電磁的記録に記録された情報については,経済産業省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
3  組合契約書には,次に掲げる事項を記載し,又は記録しなければならない。
一  有限責任事業組合(以下「組合」という。)の事業
二  組合の名称
三  組合の事務所の所在地
四  組合員の氏名又は名称及び住所
五  組合契約の効力が発生する年月日
六  組合の存続期間
七  組合員の出資の目的及びその価額
八  組合の事業年度
4  前項第八号の組合の事業年度の期間は,一年を超えることができない。
5  第三項各号に掲げる事項のほか,組合契約書には,この法律の規定に違反しない事項を記載し,又は記録することができる。

(組合契約の変更)
第五条  組合契約書に記載し,又は記録すべき事項(前条第三項第五号に掲げる事項を除く。)についての組合契約の変更(第二十五条又は第二十六条の規定による脱退によって同項第四号に掲げる事項を変更する場合を除く。)は,総組合員の同意によらなければならない。
2  前項の規定にかかわらず,前条第三項第三号若しくは第八号に掲げる事項又は同条第五項の規定により組合契約書に記載し,若しくは記録する事項(組合契約書において第三十三条に規定する組合員の損益分配の割合について定めをする場合にあっては,当該割合に関する事項を除く。)に係る組合契約の変更については,組合契約書において総組合員の同意を要しない旨の定めをすることを妨げない。
3  組合契約書に記載し,又は記録した事項に変更を生じたときは,遅滞なく,当該組合契約書の記載又は記録を変更しなければならない。

(組合の業務の制限)
第七条  組合員は,次に掲げる業務を組合の業務として行うことができない。
一  その性質上組合員の責任の限度を出資の価額とすることが適当でない業務として政令で定めるもの
二  組合の債権者に不当な損害を与えるおそれがある業務として政令で定めるもの
2  組合員は,前項の規定に違反して行われた業務を追認することができない。

(登記)
第八条  この法律の規定により登記すべき事項は,登記の後でなければ,これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても,第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは,同様とする。
2  故意又は過失によって不実の事項を登記した者は,その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

(名称)
第九条  組合には,その名称中に有限責任事業組合という文字を用いなければならない。
2  何人も,組合でないものについて,その名称中に有限責任事業組合という文字を用いてはならない。
3  組合の名称については,会社法 (平成十七年法律第八十六号)第八条 の規定を準用する。

(業務執行の決定)
第十二条  組合の業務執行を決定するには,総組合員の同意によらなければならない。ただし,次に掲げる事項以外の事項の決定については,組合契約書において総組合員の同意を要しない旨の定めをすることを妨げない。
一  重要な財産の処分及び譲受け
二  多額の借財
2  前項の規定にかかわらず,同項各号に掲げる事項のうち経済産業省令で定めるものについては,組合契約書において総組合員の同意を要しない旨の定めをすることを妨げない。ただし,その決定に要する組合員の同意を総組合員の三分の二未満とすることはできない。

(組合員の責任)
第十五条  組合員は,その出資の価額を限度として,組合の債務を弁済する責任を負う。

(財務諸表の備置き及び閲覧等)
第三十一条  組合員は,経済産業省令で定めるところにより,組合の成立後速やかに,組合の成立の日における組合の貸借対照表を作成しなければならない。
2  組合員は,毎事業年度経過後二月以内に,経済産業省令で定めるところにより,その事業年度の組合の貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
3  前二項の規定により作成すべき貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)は,電磁的記録をもって作成することができる。
4  組合員は,財務諸表を,その作成の時から十年間,主たる事務所に備え置かなければならない。
5  前項の場合においては,組合員は,組合契約書を併せて備え置かなければならない。
6  組合の債権者は,当該組合の営業時間内は,いつでも,財務諸表(作成した日から五年以内のものに限る。)及び組合契約書について,次に掲げる請求をすることができる。
一  財務諸表及び組合契約書が書面をもって作成されているときは,当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  財務諸表及び組合契約書が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を経済産業省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死後認知請求を認めた高裁判決の見直しについて

2006-07-08 09:17:15 | Weblog
凍結精子弁論:上告審判決9月4日,2審判決見直しの公算 MSN毎日インタラクティブ

 生まれた子が被上告人。死後の認知請求権は幸福追求権(憲法第13条)に基づくと主張している。

記事にある高松高裁は,「人工受精の方法による懐胎の場合において,認知請求が認められるためには,認知を認めることを不相当とする特段の事情が存しない限り,子と事実上の父との間に自然血縁的な親子関係が存在することに加えて,事実上の父の当該懐胎についての同意が存することという要件を充足することが必要であり,かつ,それで十分であると解するのが相当である。」とし,事実認定をおこなったうえで,請求を認容していた。

なお,この男性が精子を冷凍保存したのは,生前,骨髄移植を受けることによる無精子症に備えるためだった。

4,5歳というと幼稚園。年少さん,年長さん? おそらく,幼稚園を休んだのであろう。
最高裁の法廷と幼稚園の砂場では勝手が違う。おとなしくしていられたかな。
幼稚園児の出廷をお涙頂戴と言うのは容易いが(民訴法第31条参照),母子にとって裁判の結果は切実だ。9月4日,いい結果が出ればよいが,雲行きはあやしい。

判例検索システムHP 高松高判平成16年7月16日認知請求事件


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

民法の関連条文

(認知の訴え)
第七百八十七条  子,その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は,認知の訴えを提起することができる。ただし,父又は母の死亡の日から三年を経過したときは,この限りでない。

人事訴訟法の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,人事訴訟に関する手続について,民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の特例等を定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において「人事訴訟」とは,次に掲げる訴えその他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え(以下「人事に関する訴え」という。)に係る訴訟をいう。
一  婚姻の無効及び取消しの訴え,離婚の訴え,協議上の離婚の無効及び取消しの訴え並びに婚姻関係の存否の確認の訴え
二  嫡出否認の訴え,認知の訴え,認知の無効及び取消しの訴え,民法 (明治二十九年法律第八十九号)第七百七十三条 の規定により父を定めることを目的とする訴え並びに実親子関係の存否の確認の訴え
三  養子縁組の無効及び取消しの訴え,離縁の訴え,協議上の離縁の無効及び取消しの訴え並びに養親子関係の存否の確認の訴え

(最高裁判所規則)
第三条  この法律に定めるもののほか,人事訴訟に関する手続に関し必要な事項は,最高裁判所規則で定める。

(被告適格)
第十二条  人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者の一方が提起するものにおいては,特別の定めがある場合を除き,他の一方を被告とする。
2  人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者以外の者が提起するものにおいては,特別の定めがある場合を除き,当該身分関係の当事者の双方を被告とし,その一方が死亡した後は,他の一方を被告とする。
3  前二項の規定により当該訴えの被告とすべき者が死亡し,被告とすべき者がないときは,検察官を被告とする。

(利害関係人に対する訴訟係属の通知)
第二十八条  裁判所は,人事に関する訴えが提起された場合における利害関係人であって,父が死亡した後に認知の訴えが提起された場合におけるその子その他の相当と認められるものとして最高裁判所規則で定めるものに対し,訴訟が係属したことを通知するものとする。ただし,訴訟記録上その利害関係人の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする