法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

自主申告による刑事告発の免除について

2007-02-28 20:47:31 | Weblog
「自主申告」でハザマの告発免除…名古屋地下鉄談合 YOMIURI ONLINE

 記事は,告発免除は最初に報告した者のみといった書きぶりだが,小島審議官の発言には,「2番目,3番目の申請者については,これはケースバイケースということになります。」とある。
なお,Q&Aに,

問17  課徴金減免制度を申請したことは後で公表されるようなことはあるのですか?
答17  課徴金が減免された事業者の有無,事業者名について積極的に公表することは予定していません。


とある。事実,公取委のプレスリリースには「ハザマ」の文字は何所にもない。

公正取引委員会 名古屋市営地下鉄に係る土木工事の入札談合事件に係る告発について


「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の関連条文

第一条  この法律は,私的独占,不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し,事業支配力の過度の集中を防止して,結合,協定等の方法による生産,販売,価格,技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより,公正且つ自由な競争を促進し,事業者の創意を発揮させ,事業活動を盛んにし,雇傭及び国民実所得の水準を高め,以て,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。

第三条  事業者は,私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

第七条の二  事業者が,不当な取引制限又は不当な取引制限に該当する事項を内容とする国際的協定若しくは国際的契約で次の各号のいずれかに該当するものをしたときは,公正取引委員会は,第八章第二節に規定する手続に従い,当該事業者に対し,当該行為の実行としての事業活動を行つた日から当該行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間(当該期間が三年を超えるときは,当該行為の実行としての事業活動がなくなる日からさかのぼつて三年間とする。以下「実行期間」という。)における当該商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額(当該行為が商品又は役務の供給を受けることに係るものである場合は,当該商品又は役務の政令で定める方法により算定した購入額)に百分の十(小売業については百分の三,卸売業については百分の二とする。)を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし,その額が百万円未満であるときは,その納付を命ずることができない。
一  商品又は役務の対価に係るもの
二  商品又は役務について次のいずれかを実質的に制限することによりその対価に影響することとなるもの
イ 供給量又は購入量
ロ 市場占有率
ハ 取引の相手方
2  前項の規定は,事業者が,私的独占(他の事業者の事業活動を支配することによるものに限る。)で,当該他の事業者(以下この項において「被支配事業者」という。)が供給する商品又は役務について,次の各号のいずれかに該当するものをした場合に準用する。この場合において,前項中「当該商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額(当該行為が商品又は役務の供給を受けることに係るものである場合は,当該商品又は役務の政令で定める方法により算定した購入額)」とあるのは「当該事業者が被支配事業者に供給した当該商品又は役務(当該被支配事業者が当該行為に係る一定の取引分野において当該商品又は役務を供給するために必要な商品又は役務を含む。)及び当該一定の取引分野において当該事業者が供給した当該商品又は役務(当該被支配事業者に供給したものを除く。)の政令で定める方法により算定した売上額」と,「(小売業については百分の三,卸売業については百分の二とする。)」とあるのは「(当該事業者が小売業を営む場合は百分の三,卸売業を営む場合は百分の二とする。)」と読み替えるものとする。
一  その対価に係るもの
二  次のいずれかを実質的に制限することによりその対価に影響することとなるもの
イ 供給量
ロ 市場占有率
ハ 取引の相手方
3  前二項に規定する「市場占有率」とは,一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の数量のうち一若しくは二以上の事業者が供給し,若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の数量の占める割合又は一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の価額のうち一若しくは二以上の事業者が供給し,若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の価額の占める割合をいう。
4  第一項の場合において,当該事業者が次のいずれかに該当する者であるときは,同項中「百分の十」とあるのは「百分の四」と,「百分の三」とあるのは「百分の一・二」と,「百分の二」とあるのは「百分の一」とする。
一  資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて,製造業,建設業,運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種及び第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二  資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて,卸売業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
三  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて,サービス業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
四  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて,小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
五  資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて,その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
六  協業組合その他の特別の法律により協同して事業を行うことを主たる目的として設立された組合(組合の連合会を含む。)のうち,政令で定めるところにより,前各号に定める業種ごとに当該各号に定める規模に相当する規模のもの
5  第一項の規定により課徴金の納付を命ずる場合において,当該事業者が,当該違反行為に係る事件について第四十七条第一項第四号に掲げる処分又は第百二条第一項に規定する処分が最初に行われた日(以下この条において「調査開始日」という。)の一月前の日(当該処分が行われなかつたときは,当該事業者が当該違反行為について第五十条第六項において読み替えて準用する第四十九条第五項の規定による通知(次項及び第七項において「事前通知」という。)を受けた日の一月前の日)までに当該違反行為をやめた者(次項に該当する場合を除き,当該違反行為に係る実行期間が二年未満である場合に限る。)であるときは,第一項中「百分の十」とあるのは「百分の八」と,「百分の三」とあるのは「百分の二・四」と,「百分の二」とあるのは「百分の一・六」と,前項中「百分の四」とあるのは「百分の三・二」と,「百分の一・二」とあるのは「百分の一」と,「百分の一」とあるのは「百分の〇・八」とする。
6  第一項(第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により課徴金の納付を命ずる場合において,当該事業者が次の各号のいずれかに該当する者であるときは,第一項中「百分の十」とあるのは「百分の十五」と,「百分の三」とあるのは「百分の四・五」と,「百分の二」とあるのは「百分の三」と,第四項中「百分の四」とあるのは「百分の六」と,「百分の一・二」とあるのは「百分の一・八」と,「百分の一」とあるのは「百分の一・五」とする。
一  調査開始日からさかのぼり十年以内に,第一項の規定による命令を受けたことがある者(当該命令が確定している場合に限る。次号において同じ。)又は第十三項若しくは第十六項の規定による通知若しくは第五十一条第二項の規定による審決を受けたことがある者
二  第四十七条第一項第四号に掲げる処分又は第百二条第一項に規定する処分が行われなかつた場合において,当該事業者が当該違反行為について事前通知を受けた日からさかのぼり十年以内に,第一項の規定による命令を受けたことがある者又は第十三項若しくは第十六項の規定による通知若しくは第五十一条第二項の規定による審決を受けたことがある者
7  公正取引委員会は,第一項の規定により課徴金を納付すべき事業者が次の各号のいずれにも該当する場合には,同項の規定にかかわらず,当該事業者に対し,課徴金の納付を命じないものとする。
一  公正取引委員会規則で定めるところにより,単独で,当該違反行為をした事業者のうち最初に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者(当該報告及び資料の提出が当該違反行為に係る事件についての調査開始日(第四十七条第一項第四号に掲げる処分又は第百二条第一項に規定する処分が行われなかつたときは,当該事業者が当該違反行為について事前通知を受けた日。次号及び次項において同じ。)以後に行われた場合を除く。)であること。
二  当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後において,当該違反行為をしていた者でないこと。
8  第一項の場合において,公正取引委員会は,当該事業者が第一号及び第三号に該当するときは同項又は第四項から第六項までの規定により計算した課徴金の額に百分の五十を乗じて得た額を,第二号及び第三号に該当するときは第一項又は第四項から第六項までの規定により計算した課徴金の額に百分の三十を乗じて得た額を,それぞれ当該課徴金の額から減額するものとする。
一  公正取引委員会規則で定めるところにより,単独で,当該違反行為をした事業者のうち二番目に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者(当該報告及び資料の提出が当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後に行われた場合を除く。)であること。
二  公正取引委員会規則で定めるところにより,単独で,当該違反行為をした事業者のうち三番目に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者(当該報告及び資料の提出が当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後に行われた場合を除く。)であること。
三  当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後において,当該違反行為をしていた者でないこと。
9  第一項の場合において,公正取引委員会は,当該違反行為について第七項第一号又は前項第一号若しくは第二号の規定による報告及び資料の提出を行つた者の数が三に満たないときは,当該違反行為をした事業者のうち次の各号のいずれにも該当する者(第七項第一号又は前項第一号若しくは第二号の規定による報告及び資料の提出を行つた者の数と第一号の規定による報告及び資料の提出を行つた者の数を合計した数が三以下である場合に限る。)については,第一項又は第四項から第六項までの規定により計算した課徴金の額に百分の三十を乗じて得た額を,当該課徴金の額から減額するものとする。
一  当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後公正取引委員会規則で定める期日までに,公正取引委員会規則で定めるところにより,単独で,公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出(第四十七条第一項各号に掲げる処分又は第百二条第一項に規定する処分その他により既に公正取引委員会によつて把握されている事実に係るものを除く。)を行つた者
二  前号の報告及び資料の提出を行つた日以後において当該違反行為をしていた者以外の者
10  公正取引委員会は,第七項第一号,第八項第一号若しくは第二号又は前項第一号の規定による報告及び資料の提出を受けたときは,当該報告及び資料の提出を行つた事業者に対し,速やかに文書をもつてその旨を通知しなければならない。
11  公正取引委員会は,第七項から第九項までの規定のいずれかに該当する事業者に対し第一項の規定による命令又は第十三項の規定による通知をするまでの間,当該事業者に対し,当該違反行為に係る事実の報告又は資料の提出を追加して求めることができる。12  公正取引委員会が,第七項第一号,第八項第一号若しくは第二号又は第九項第一号の規定による報告及び資料の提出を行つた事業者に対して第一項の規定による命令又は次項の規定による通知をするまでの間に,次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは,第七項から第九項までの規定にかかわらず,これらの規定は適用しない。
一  当該事業者が行つた当該報告又は提出した当該資料に虚偽の内容が含まれていたこと。
二  前項の場合において,当該事業者が求められた報告若しくは資料の提出をせず,又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたこと。
三  当該事業者がした当該違反行為に係る事件において,当該事業者が他の事業者に対し第一項に規定する違反行為をすることを強要し,又は他の事業者が当該違反行為をやめることを妨害していたこと。
13  公正取引委員会は,第七項の規定により課徴金の納付を命じないこととしたときは,同項の規定に該当する事業者がした違反行為に係る事件について当該事業者以外の事業者に対し第一項の規定による命令をする際に(同項の規定による命令をしない場合にあつては,公正取引委員会規則で定めるときまでに。第十六項において同じ。),これと併せて当該事業者に対し,文書をもつてその旨を通知するものとする。
14  公正取引委員会は,第一項(第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下この項,第十七項及び第十八項において同じ。)の場合において,同一事件について,当該事業者に対し,罰金の刑に処する確定裁判があるときは,第一項,第四項から第六項まで,第八項又は第九項の規定により計算した額に代えて,その額から当該罰金額の二分の一に相当する金額を控除した額を課徴金の額とするものとする。ただし,第一項,第四項から第六項まで,第八項若しくは第九項の規定により計算した額が当該罰金額の二分の一に相当する金額を超えないとき,又は当該控除後の額が百万円未満であるときは,この限りでない。
15  前項ただし書の場合においては,公正取引委員会は,課徴金の納付を命ずることができない。
16  公正取引委員会は,前項の規定により課徴金の納付を命じない場合には,罰金の刑に処せられた事業者に対し,当該事業者がした第一項又は第二項に規定する違反行為に係る事件について当該事業者以外の事業者に対し第一項(第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による命令をする際に,これと併せて文書をもつてその旨を通知するものとする。
17  第一項の規定による命令を受けた者は,同項,第四項から第六項まで,第八項,第九項又は第十四項の規定により計算した課徴金を納付しなければならない。
18  第一項,第四項から第六項まで,第八項,第九項又は第十四項の規定により計算した課徴金の額に一万円未満の端数があるときは,その端数は,切り捨てる。
19  第一項又は第二項に規定する違反行為をした事業者が会社である場合において,当該会社が合併により消滅したときは,当該会社がした違反行為並びに当該会社が受けた第一項(第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による命令,第十三項及び第十六項の規定による通知並びに第五十一条第二項の規定による審決(以下この項において「命令等」という。)は,合併後存続し,又は合併により設立された会社がした違反行為及び当該合併後存続し,又は合併により設立された会社が受けた命令等とみなして,前各項の規定を適用する。
20  前項の場合において,第七項から第九項までの規定の適用に関し必要な事項は,政令で定める。
21  実行期間の終了した日から三年を経過したときは,公正取引委員会は,当該違反行為に係る課徴金の納付を命ずることができない。

第七十四条  公正取引委員会は,第十二章に規定する手続による調査により犯則の心証を得たときは,検事総長に告発しなければならない。
2  公正取引委員会は,前項に定めるもののほか,この法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは,検事総長に告発しなければならない。
3  前二項の規定による告発に係る事件について公訴を提起しない処分をしたときは,検事総長は,遅滞なく,法務大臣を経由して,その旨及びその理由を,文書をもつて内閣総理大臣に報告しなければならない。

第八十九条  次の各号のいずれかに該当するものは,三年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
一  第三条の規定に違反して私的独占又は不当な取引制限をした者
二  第八条第一項第一号の規定に違反して一定の取引分野における競争を実質的に制限したもの
2  前項の未遂罪は,罰する。

第九十五条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務又は財産に関して,次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,当該各号に定める罰金刑を科する。
一  第八十九条 五億円以下の罰金刑
二  第九十条第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合を除く。) 三億円以下の罰金刑
三  第九十条第一号,第二号若しくは第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合に限る。),第九十一条(第三号を除く。),第九十一条の二又は第九十四条 各本条の罰金刑
2  法人でない団体の代表者,管理人,代理人,使用人その他の従業者がその団体の業務又は財産に関して,次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その団体に対しても,当該各号に定める罰金刑を科する。
一  第八十九条 五億円以下の罰金刑
二  第九十条第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合を除く。) 三億円以下の罰金刑
三  第九十条第一号,第二号若しくは第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合に限る。),第九十一条第四号若しくは第五号(第四号に係る部分に限る。),第九十一条の二第一号又は第九十四条 各本条の罰金刑
3  前項の場合においては,代表者又は管理人が,その訴訟行為につきその団体を代表するほか,法人を被告人又は被疑者とする場合の訴訟行為に関する刑事訴訟法 の規定を準用する。

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都立公園の使用許可の取消について

2007-02-27 20:59:03 | Weblog
総連系集会:日比谷音楽堂の使用 都が取り消し指示 MSN毎日インタラクティブ

 集会の自由の制約については,「集会の用に供される公共施設の管理者は当該公共施設の種類に応じ,また,その規模,構造,設備等を勘案し,公共施設としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきであって,これらの点からみて利用を不相当とする事由が認められないにもかかわらずその利用を拒否し得るのは,利用の希望が競合する場合のほかは,施設をその集会のために利用させることによって,他の基本的人権が侵害され,公共の福祉が損なわれる危険がある場合に限られるものというべきであり,このような場合には,その危険を回避し,防止するために,その施設における集会の開催が必要かつ合理的な範囲で制限を受けることがあるといわなければならない。そして,右の制限が必要かつ合理的なものとして肯認されるかどうかは,基本的には,基本的人権としての集会の自由の重要性と,当該集会が開かれることによって侵害されることのある他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して決せられるべきである。」と,厳格な審査基準を立てた泉佐野市民会館使用不許可事件最判(H7.3.7)がある。この事案では,危険が具体的に明らかに予見されることを理由としていると認められるなどとして,憲法第21条,地方自治法第244条に違反しないとした。

 他方,ちょっと特殊な事案だが,合同葬の用に供するための公共施設の使用不許可を違法とした事案に上尾市福祉会館事件最判(H8.3.15)がある。こちらは次のように判示した。

 本件会館は,地方自治法二四四条にいう公の施設に当たるから,被上告人は,正当な理由がない限り,これを利用することを拒んではならず(同条二項),また,その利用について不当な差別的取扱いをしてはならない(同条三項)。本件条例は,同法二四四条の二第一項に基づき,公の施設である本件会館の設置及び管理について定めるものであり,本件条例六条一項各号は,その利用を拒否するために必要とされる右の正当な理由を具体化したものであると解される。
 そして,同法二四四条に定める普通地方公共団体の公の施設として,本件会館のような集会の用に供する施設が設けられている場合,住民等は,その施設の設置目的に反しない限りその利用を原則的に認められることになるので,管理者が正当な理由もないのにその利用を拒否するときは,憲法の保障する集会の自由の不当な制限につながるおそれがある。したがって,集会の用に供される公の施設の管理者は,当該公の施設の種類に応じ,また,その規模,構造,設備等を勘案し,公の施設としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきである。
 以上のような視点からすると,本件条例六条一項一号は,「会館の管理上支障があると認められるとき」を本件会館の使用を許可しない事由として規定しているが,右規定は,会館の管理上支障が生ずるとの事態が,許可権者の主観により予測されるだけでなく,客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に初めて,本件会館の使用を許可しないことができることを定めたものと解すべきである。
 2 以上を前提として,本件不許可処分の適否について判断する。
 (一)本件不許可処分は,本件会館を本件合同葬のために利用させた場合には,上告人に反対する者らがこれを妨害するなどして混乱が生ずると懸念されることを一つの理由としてされたものであるというのである。しかしながら,前記の事実関係によれば,b館長が前記の新聞報道によりa部長の殺害事件がいわゆる内ゲバにより引き起こされた可能性が高いと考えることにはやむを得ない面があったとしても,そのこと以上に本件合同葬の際にまで上告人に反対する者らがこれを妨害するなどして混乱が生ずるおそれがあるとは考え難い状況にあったものといわざるを得ない。また,主催者が集会を平穏に行おうとしているのに,その集会の目的や主催者の思想,信条等に反対する者らが,これを実力で阻止し,妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことができるのは,前示のような公の施設の利用関係の性質に照らせば,警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られるものというべきである。ところが,前記の事実関係によっては,右のような特別な事情があるということはできない。なお,警察の警備等によりその他の施設の利用客に多少の不安が生ずることが会館の管理上支障が生ずるとの事態に当たるものでないことはいうまでもない。


 朝鮮総連の関係団体が集会を行うのは日比谷公園内の大音楽堂で,集会後にはデモ行進も予定されているという。なにがしかの小競り合いはあるかもしれないが,それで直ちに使用許可取消となるのかどうか。拉致問題は分かるが・・・。東京地裁がどのように判断するか,注目したい。


日本国憲法の関連条文

第二十一条  集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2  検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

地方自治法の関連条文

(公の施設)
第二百四十四条  普通地方公共団体は,住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2  普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は,正当な理由がない限り,住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3  普通地方公共団体は,住民が公の施設を利用することについて,不当な差別的取扱いをしてはならない。

(公の施設の設置,管理及び廃止)
第二百四十四条の二  普通地方公共団体は,法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか,公の施設の設置及びその管理に関する事項は,条例でこれを定めなければならない。
2  普通地方公共団体は,条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて,これを廃止し,又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは,議会において出席議員の三分の二以上の者の同意を得なければならない。
3  普通地方公共団体は,公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは,条例の定めるところにより,法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に,当該公の施設の管理を行わせることができる。
4  前項の条例には,指定管理者の指定の手続,指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めるものとする。
5  指定管理者の指定は,期間を定めて行うものとする。
6  普通地方公共団体は,指定管理者の指定をしようとするときは,あらかじめ,当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
7  指定管理者は,毎年度終了後,その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し,当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない。
8  普通地方公共団体は,適当と認めるときは,指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。
9  前項の場合における利用料金は,公益上必要があると認める場合を除くほか,条例の定めるところにより,指定管理者が定めるものとする。この場合において,指定管理者は,あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。
10  普通地方公共団体の長又は委員会は,指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため,指定管理者に対して,当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め,実地について調査し,又は必要な指示をすることができる。
11  普通地方公共団体は,指定管理者が前項の指示に従わないときその他当該指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときは,その指定を取り消し,又は期間を定めて管理の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

(公の施設を利用する権利に関する処分についての不服申立て)
第二百四十四条の四  普通地方公共団体の長がした公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は,都道府県知事がした処分については総務大臣,市町村長がした処分については都道府県知事に審査請求をすることができる。この場合においては,異議申立てをすることもできる。
2  第百三十八条の四第一項に規定する機関がした公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は,当該普通地方公共団体の長に審査請求をすることができる。
3  普通地方公共団体の長及び前項に規定する機関以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は,普通地方公共団体の長が処分庁の直近上級行政庁でない場合においても,当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
4  普通地方公共団体の長は,公の施設を利用する権利に関する処分についての異議申立て又は審査請求(第一項に規定する審査請求を除く。)があつたときは,議会に諮問してこれを決定しなければならない。
5  議会は,前項の規定による諮問があつた日から二十日以内に意見を述べなければならない。
6  公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求(第一項に規定する審査請求を除く。)に対する裁決に不服がある者は,都道府県知事がした裁決については総務大臣,市町村長がした裁決については都道府県知事に再審査請求をすることができる。

東京都立公園条例の関連条文

(使用)
第十八条 有料公園または有料施設を使用しようとする者は,東京都規則の定めるところにより申請し,知事の承認を受けなければならない。
2 知事は,前項の承認に有料公園または有料施設の管理のため必要な範囲内で条件を付することができる。

(監督処分)
第二十四条 知事は,次の各号のいずれかに該当する者に対して,この章の規定によつてした許可若しくは承認(第二十四条の七第二項第二号の規定による承認を含む。以下この項において同じ。)を取り消し,その効力を停止し,若しくはその条件を変更し,又は行為の中止,都市公園を原状に回復すること若しくは都市公園から退去することを命ずることができる。
一 この章の規定又はこの章の規定に基づく処分に違反している者
二 この章の規定による許可又は承認に付した条件に違反している者
三 偽りその他不正な手段によりこの章の規定による許可又は承認を受けた者
2 知事は,次の各号の一に該当する場合においては,この章の規定による許可または承認を受けた者に対し,前項に規定する処分をし,または同項に規定する必要な措置を命ずることができる。
一 都市公園に関する工事のためやむを得ない必要が生じた場合
二 都市公園の保全または都民の都市公園の使用に著しい支障が生じた場合
三 前二号に掲げる場合のほか,都市公園の管理上の理由以外の理由に基く公益上やむを得ない必要が生じた場合

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生存者の合祀について

2007-02-26 22:34:15 | Weblog
靖国合祀取り消し提訴 元日本兵の韓国人遺族ら - さきがけ on the Web

 「静謐な環境のもとで信仰生活を送る利益」が法的利益と言い得るかにつき,自衛官合祀訴訟最判(S63.6.1)は次のように判示する。

 私人相互間において憲法20条1項前段及び同条2項によって保障される信教の自由の侵害があり,その態様,程度が社会的に許容し得る限度を超えるときは,場合によっては,私的自治に対する一般的制限規定である民法1条,90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって,法的保護が図られるべきである(最大判昭48・12・12民集27巻11号1536頁参照)。しかし,人が自己の信仰生活の静謐を他者の宗教上の行為によって害されたとし,そのことに不快の感情を持ち,そのようなことがないよう望むことのあるのは,その心情として当然であるとしても,かかる宗教上の感情を被侵害利益として,直ちに損害賠償を請求し,又は差止めを請求するなどの法的救済を求めることができるとするならば,かえって相手方の信教の自由を妨げる結果となるに至ることは,見易いところである。信教の自由の保障は,何人も自己の信仰と相容れない信仰をもつ者の信仰に基づく行為に対して,それが強制や不利益の付与を伴うことにより自己の信教の自由を妨害するものでない限り寛容であることを要請しているものというべきである。このことは死去した配偶者の追慕,慰霊等に関する場合においても同様である。何人かをその信仰の対象とし,あるいは自己の信仰する宗教により何人かを追慕し,その魂の安らぎを求めるなどの宗教的行為をする自由は,誰にでも保障されているからである。原審が宗教上の人格権であるとする静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益なるものは,これを直ちに法的利益として認めることができない性質のものである。

この最判については,強者が弱者に向かい「寛容たれ」と説いているに等しい,などと批判が強い。

 記事には,原告の中には生存しているのに戦死者として合祀された元軍属本人が含まれているとある。これは,その是非はさておき,合祀が神社の自主的な判断に基づいて行われることとは別の問題。上記最判を所与のものとしても,この方の合祀は取り消されて然るべきであろう。

判例検索システム 昭和63年06月01日 自衛隊らによる合祀手続の取消等


日本国憲法の関連条文

第二十条  信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2  何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3  国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

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有料老人ホームへの立入検査について

2007-02-25 21:23:19 | Weblog
385施設は無届けのまま 21都府県の有料老人ホーム - さきがけ on the Web

 届出義務に違反した者は30万円以下の罰金に処せられる(老人福祉法第41条第2号)。高齢者の生命・健康・財産等に係わることを思うと,軽いという印象を受ける。

 ところで,千葉県と浦安市による件の介護施設への立ち入りは元職員からの通報を契機に行われたとのこと。
この立ち入りについては,毎日は老人福祉法に基づくとするが,他方,朝日は高齢者虐待防止法に基づくとしている。老人福祉法と高齢者虐待防止法とでは立入検査の実施主体が異なるのだが(老人福祉法第29条第6項,高齢者虐待防止法第11条第1項)・・・。

社団法人 全国有料老人ホーム協会


老人福祉法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに,老人に対し,その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ,もつて老人の福祉を図ることを目的とする。

(基本的理念)
第二条  老人は,多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として,かつ,豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに,生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。

第三条  老人は,老齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して,常に心身の健康を保持し,又は,その知識と経験を活用して,社会的活動に参加するように努めるものとする。
2  老人は,その希望と能力とに応じ,適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。

(老人福祉増進の責務)
第四条  国及び地方公共団体は,老人の福祉を増進する責務を有する。
2  国及び地方公共団体は,老人の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては,その施策を通じて,前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮しなければならない。3  老人の生活に直接影響を及ぼす事業を営む者は,その事業の運営に当たつては,老人の福祉が増進されるように努めなければならない。

第五条  国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに,老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促すため,老人の日及び老人週間を設ける。
2  老人の日は九月十五日とし,老人週間は同日から同月二十一日までとする。
3  国は,老人の日においてその趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとし,国及び地方公共団体は,老人週間において老人の団体その他の者によつてその趣旨にふさわしい行事が実施されるよう奨励しなければならない。

(定義)
第五条の二  この法律において,「老人居宅生活支援事業」とは,老人居宅介護等事業,老人デイサービス事業,老人短期入所事業,小規模多機能型居宅介護事業及び認知症対応型老人共同生活援助事業をいう。
2  この法律において,「老人居宅介護等事業」とは,第十条の四第一項第一号の措置に係る者又は介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)の規定による訪問介護に係る居宅介護サービス費,夜間対応型訪問介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防訪問介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき,これらの者の居宅において入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるものを供与する事業をいう。
3  この法律において,「老人デイサービス事業」とは,第十条の四第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法 の規定による通所介護に係る居宅介護サービス費,認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護サービス費,介護予防通所介護に係る介護予防サービス費若しくは介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者(その者を現に養護する者を含む。)を特別養護老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ,これらの者につき入浴,排せつ,食事等の介護,機能訓練,介護方法の指導その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業をいう。
4  この法律において,「老人短期入所事業」とは,第十条の四第一項第三号の措置に係る者又は介護保険法 の規定による短期入所生活介護に係る居宅介護サービス費若しくは介護予防短期入所生活介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を特別養護老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設に短期間入所させ,養護する事業をいう。
5  この法律において,「小規模多機能型居宅介護事業」とは,第十条の四第一項第四号の措置に係る者又は介護保険法 の規定による小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき,これらの者の心身の状況,置かれている環境等に応じて,それらの者の選択に基づき,それらの者の居宅において,又は厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ,若しくは短期間宿泊させ,当該拠点において,入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を供与する事業をいう。
6  この法律において,「認知症対応型老人共同生活援助事業」とは,第十条の四第一項第五号の措置に係る者又は介護保険法 の規定による認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき,これらの者が共同生活を営むべき住居において入浴,排せつ,食事等の介護その他の日常生活上の援助を行う事業をいう。

第五条の三  この法律において,「老人福祉施設」とは,老人デイサービスセンター,老人短期入所施設,養護老人ホーム,特別養護老人ホーム,軽費老人ホーム,老人福祉センター及び老人介護支援センターをいう。

(届出等)
第二十九条  有料老人ホーム(老人を入居させ,入浴,排せつ若しくは食事の介護,食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設であつて,老人福祉施設,認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は,あらかじめ,その施設を設置しようとする地の都道府県知事に,次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。
一  施設の名称及び設置予定地
二  設置しようとする者の氏名及び住所又は名称及び所在地
三  条例,定款その他の基本約款
四  事業開始の予定年月日
五  施設の管理者の氏名及び住所
六  施設において供与される介護等の内容
七  その他厚生労働省令で定める事項
2  前項の規定による届出をした者は,同項各号に掲げる事項に変更を生じたときは,変更の日から一月以内に,その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を休止し,又は廃止したときも,同様とする。
3  有料老人ホームの設置者は,当該有料老人ホームの事業について,厚生労働省令で定めるところにより,帳簿を作成し,これを保存しなければならない。
4  有料老人ホームの設置者は,厚生労働省令で定めるところにより,当該有料老人ホームに入居する者又は入居しようとする者に対して,当該有料老人ホームにおいて供与する介護等の内容その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報を開示しなければならない。
5  有料老人ホームの設置者のうち,終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは,当該前払金の算定の基礎を書面で明示し,かつ,当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。
6  都道府県知事は,この法律の目的を達成するため,有料老人ホームの設置者若しくは管理者若しくは設置者から介護等の供与を委託された者(以下「介護等受託者」という。)に対して,その運営の状況に関する事項その他必要と認める事項の報告を求め,又は当該職員に,関係者に対して質問させ,若しくは当該有料老人ホーム若しくは当該介護等受託者の事務所若しくは事業所に立ち入り,設備,帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
7  第十八条第三項及び第四項の規定は,前項の規定による質問又は立入検査について準用する。
8  都道府県知事は,有料老人ホームの設置者が第三項から第五項までの規定に違反したと認めるとき,当該有料老人ホームに入居している者(以下「入居者」という。)の処遇に関し不当な行為をし,又はその運営に関し入居者の利益を害する行為をしたと認めるとき,その他入居者の保護のため必要があると認めるときは,当該設置者に対して,その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
9  都道府県知事は,前項の規定による命令をしたときは,その旨を公示しなければならない。

(有料老人ホーム協会)
第三十条  有料老人ホームの設置者は,有料老人ホームの入居者の保護を図るとともに,有料老人ホームの健全な発展に資することを目的として,有料老人ホームの設置者を会員とし,その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いる民法第三十四条 の規定による法人を設立することができる。
2  前項に規定する法人(以下この章において「協会」という。)は,会員の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(名称の使用制限)
第三十一条  協会でない者は,その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いてはならない。
2  協会に加入していない者は,その名称中に有料老人ホーム協会会員という文字を用いてはならない。

(協会の業務)
第三十一条の二  協会は,その目的を達成するため,次に掲げる業務を行う。
一  有料老人ホームを運営するに当たり,この法律その他の法令の規定を遵守させるための会員に対する指導,勧告その他の業務
二  会員の設置する有料老人ホームの運営に関し,契約内容の適正化その他入居者の保護を図り,及び入居者の立場に立つた処遇を行うため必要な指導,勧告その他の業務
三  会員の設置する有料老人ホームの設備及び運営に対する入居者等からの苦情の解決
四  有料老人ホームの職員の資質の向上のための研修
五  有料老人ホームに関する広報その他協会の目的を達成するため必要な業務
2  協会は,その会員の設置する有料老人ホームの入居者等から当該有料老人ホームの設備及び運営に関する苦情について解決の申出があつた場合において必要があると認めるときは,当該会員に対して,文書若しくは口頭による説明を求め,又は資料の提出を求めることができる。
3  会員は,協会から前項の規定による求めがあつたときは,正当な理由がない限り,これを拒んではならない。

(厚生労働大臣に対する協力)
第三十一条の三  厚生労働大臣は,この章の規定の円滑な実施を図るため,厚生労働省令の定めるところにより,当該規定に基づく届出,報告その他必要な事項について,協会に協力させることができる。

(立入検査等)
第三十一条の四  厚生労働大臣は,この章の規定の施行に必要な限度において,協会に対して,その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ,又は当該職員に,関係者に対して質問させ,若しくは協会の事務所に立ち入り,その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2  第十八条第三項及び第四項の規定は,前項の規定による質問又は立入検査について準用する。この場合において,これらの規定中「前二項」とあるのは「前項」と,「第一項及び第二項」とあるのは「第一項」と読み替えるものとする。

第四十条  次の各号のいずれかに該当する場合には,その違反行為をした者は,三十万円以下の罰金に処する。
一  第二十八条の十二第一項若しくは第二十九条第六項の規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告をし,又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をし,若しくはこれらの規定による検査を拒み,妨げ,若しくは忌避したとき。
二  第二十九条第一項又は第二項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をしたとき。
三  第三十一条第二項の規定に違反して,その名称中に有料老人ホーム協会会員という文字を用いたとき。
四  第三十一条の四第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず,若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をし,又は同項の規定による質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をし,若しくは同項の規定による検査を拒み,妨げ,若しくは忌避したとき。

老人福祉法施行規則の関連条文

(法第二十九条第一項 に規定する厚生労働省令で定める便宜)
第二十条の三  法第二十九条第一項 に規定する厚生労働省令で定める便宜は,洗濯,掃除等の家事又は健康管理とする。

(法第二十九条第一項 に規定する厚生労働省令で定める施設)
第二十条の四  法第二十九条第一項 に規定する厚生労働省令で定める施設は,高齢者の居住の安定確保に関する法律 (平成十三年法律第二十六号)第四条 の規定により,登録されている賃貸住宅のうち,厚生労働大臣が定める基準 に適合するものとする。

「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり,高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ,高齢者虐待の防止等に関する国等の責務,高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置,養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより,高齢者虐待の防止,養護者に対する支援等に関する施策を促進し,もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「高齢者」とは,六十五歳以上の者をいう。
2  この法律において「養護者」とは,高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等(第五項第一号の施設の業務に従事する者及び同項第二号の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。
3  この法律において「高齢者虐待」とは,養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。
4  この法律において「養護者による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一  養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置,養護者以外の同居人によるイ,ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
二  養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
5  この法律において「養介護施設従事者等による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一  老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三 に規定する老人福祉施設若しくは同法第二十九条第一項 に規定する有料老人ホーム又は介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第八条第二十項 に規定する地域密着型介護老人福祉施設,同条第二十四項 に規定する介護老人福祉施設,同条第二十五項 に規定する介護老人保健施設,同条第二十六項 に規定する介護療養型医療施設若しくは同法第百十五条の三十九第一項 に規定する地域包括支援センター(以下「養介護施設」という。)の業務に従事する者が,当該養介護施設に入所し,その他当該養介護施設を利用する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
二  老人福祉法第五条の二第一項 に規定する老人居宅生活支援事業又は介護保険法第八条第一項 に規定する居宅サービス事業,同条第十四項 に規定する地域密着型サービス事業,同条第二十一項 に規定する居宅介護支援事業,同法第八条の二第一項 に規定する介護予防サービス事業,同条第十四項 に規定する地域密着型介護予防サービス事業若しくは同条第十八項 に規定する介護予防支援事業(以下「養介護事業」という。)において業務に従事する者が,当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける高齢者について行う前号イからホまでに掲げる行為

(高齢者虐待の早期発見等)
第五条  養介護施設,病院,保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等,医師,保健師,弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は,高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し,高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。
2  前項に規定する者は,国及び地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止のための啓発活動及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護のための施策に協力するよう努めなければならない。

(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条  養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は,速やかに,これを市町村に通報しなければならない。
2  前項に定める場合のほか,養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,速やかに,これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3  刑法 (明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は,前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

第八条  市町村が前条第一項若しくは第二項の規定による通報又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては,当該通報又は届出を受けた市町村の職員は,その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

(通報等を受けた場合の措置)
第九条  市町村は,第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは,速やかに,当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに,第十六条の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「高齢者虐待対応協力者」という。)とその対応について協議を行うものとする。
2  市町村又は市町村長は,第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は前項に規定する届出があった場合には,当該通報又は届出に係る高齢者に対する養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護が図られるよう,養護者による高齢者虐待により生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一時的に保護するため迅速に老人福祉法第二十条の三 に規定する老人短期入所施設等に入所させる等,適切に,同法第十条の四第一項 若しくは第十一条第一項 の規定による措置を講じ,又は,適切に,同法第三十二条 の規定により審判の請求をするものとする。

(立入調査)
第十一条  市町村長は,養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは,介護保険法第百十五条の三十九第二項 の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして,当該高齢者の住所又は居所に立ち入り,必要な調査又は質問をさせることができる。
2  前項の規定による立入り及び調査又は質問を行う場合においては,当該職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない。
3  第一項の規定による立入り及び調査又は質問を行う権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(警察署長に対する援助要請等)
第十二条  市町村長は,前条第一項の規定による立入り及び調査又は質問をさせようとする場合において,これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは,当該高齢者の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。
2  市町村長は,高齢者の生命又は身体の安全の確保に万全を期する観点から,必要に応じ適切に,前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。
3  警察署長は,第一項の規定による援助の求めを受けた場合において,高齢者の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは,速やかに,所属の警察官に,同項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法 (昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。

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買収防衛策導入企業の拡大について

2007-02-24 17:16:02 | Weblog
買収防衛策導入企業,200社に迫る NIKKEI NET

 昨年2月に取締役会の決議で買収防衛策を導入したサッポロは,来月開催の株主総会で件の防衛策を廃止し,株主総会の承認を条件とした新たな防衛策を導入する方針と報じられている

 経済産業省の「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための 買収防衛策に関する指針」では,買収防衛策につき,

1 企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則
2 事前開示・株主意思の原則
3 必要性・相当性の確保の原則

といった規範が示されている。
この指針,取締役会の決議で買収防衛策を導入することにつき,次のように評している。

 株主総会で選任された取締役が,選任者である株主の構成を変動させるために買収防衛策を探ることは,法律が予定している権限分配と整合的ではないものの,意思決定機関としての株主総会は機動的な機関とは言い難いから,取締役会が株主共同の利益に資する買収防衛策を導入することを一律に否定することは妥当ではない。
 取締役会の決議により買収防衛策が導入された場合であっても,株主の総体的意思によってこれを廃止できる手段(消極的な承認を得る手段)を設けている場合には,株主意思の原則に反するものではない。


 サッポロは防衛策見直しの理由として社会的潮流をあげる。因みに,上記指針の公表は,サッポロが防衛策を導入する半年以上前の05年5月27日。

経済産業省 企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための 買収防衛策に関する指針


会社法 制定附則

(合併等に際して株主等に対して交付する金銭等に関する経過措置)
4 この法律の施行の日から一年を経過する日までの間において合併契約が締結される合併,吸収分割契約が締結される吸収分割若しくは新設分割計画が作成される新設分割,株式交換契約が締結される株式交換又は株式移転計画が作成される株式移転の手続に関する第七百四十九条第一項第二号,第七百五十一条第一項,第七百五十三条第一項,第七百五十五条第一項,第七百五十八条第四号,第七百六十条,第七百六十三条,第七百六十五条第一項,第七百六十八条第一項第二号,第七百七十条第一項及び第七百七十三条第一項の規定の適用については,第七百四十九条第一項第二号中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(ロからホまでに掲げる事項を除く。)」と,第七百五十一条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第三号及び第四号に掲げる事項を除く。)」と,第七百五十三条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第八号及び第九号に掲げる事項を除く。)」と,第七百五十五条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第六号及び第七号に掲げる事項を除く。)」と,第七百五十八条第四号中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(ロからホまでに掲げる事項を除く。)」と,第七百六十条各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第五号に掲げる事項を除く。)」と,第七百六十三条各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第八号及び第九号に掲げる事項を除く。)」と,第七百六十五条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第六号及び第七号に掲げる事項を除く。)」と,第七百六十八条第一項第二号中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(ロからホまでに掲げる事項を除く。)」と,第七百七十条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第三号及び第四号に掲げる事項を除く。)」と,第七百七十三条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第七号及び第八号に掲げる事項を除く。)」とする。

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裁判員制度に係るメルマガについて

2007-02-23 21:00:43 | Weblog
メルマガ:最高裁が裁判員制度で発行 MSN毎日インタラクティブ

 裁判員法の附則第2条第1項に,「政府及び最高裁判所は,裁判員の参加する刑事裁判の制度が司法への参加についての国民の自覚とこれに基づく協力の下で初めて我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるものであることにかんがみ,この法律の施行までの期間において,国民が裁判員として裁判に参加することの意義,裁判員の選任の手続,事件の審理及び評議における裁判員の職務等を具体的に分かりやすく説明するなど,裁判員の参加する刑事裁判の制度についての国民の理解と関心を深めるとともに,国民の自覚に基づく主体的な刑事裁判への参加が行われるようにするための措置を講じなければならない。」とある。

 臨時配信もあるが,定期配信は2カ月に1回とか。国民の理解と関心,深まるかな・・・。
創刊号は26日配信。既に登録が始まっている。

最高裁判所 裁判員制度


「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ,裁判員の参加する刑事裁判に関し,裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

(対象事件及び合議体の構成)
第二条  地方裁判所は,次に掲げる事件については,次条の決定があった場合を除き,この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は,裁判所法第二十六条の規定にかかわらず,裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一  死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二  裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
2  前項の合議体の裁判官の員数は三人,裁判員の員数は六人とし,裁判官のうち一人を裁判長とする。ただし,次項の決定があったときは,裁判官の員数は一人,裁判員の員数は四人とし,裁判官を裁判長とする。
3  第一項の規定により同項の合議体で取り扱うべき事件(以下「対象事件」という。)のうち,公判前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ,事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては,裁判所は,裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。
4  裁判所は,前項の決定をするには,公判前整理手続において,検察官,被告人及び弁護人に異議のないことを確認しなければならない。
5  第三項の決定は,第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日までにしなければならない。
6  地方裁判所は,第三項の決定があったときは,裁判所法第二十六条第二項の規定にかかわらず,当該決定の時から第三項に規定する合議体が構成されるまでの間,一人の裁判官で事件を取り扱う。
7  裁判所は,被告人の主張,審理の状況その他の事情を考慮して,事件を第三項に規定する合議体で取り扱うことが適当でないと認めたときは,決定で,同項の決定を取り消すことができる。

(対象事件からの除外)
第三条  地方裁判所は,前条第一項各号に掲げる事件について,被告人の言動,被告人がその構成員である団体の主張若しくは当該団体の他の構成員の言動又は現に裁判員候補者若しくは裁判員に対する加害若しくはその告知が行われたことその他の事情により,裁判員候補者,裁判員若しくは裁判員であった者若しくはその親族若しくはこれに準ずる者の生命,身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり,そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し,裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずこれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるときは,検察官,被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で,これを裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならない。
2  前項の決定又は同項の請求を却下する決定は,合議体でしなければならない。ただし,当該前条第一項各号に掲げる事件の審判に関与している裁判官は,その決定に関与することはできない。
3  第一項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには,最高裁判所規則で定めるところにより,あらかじめ,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
4  前条第一項の合議体が構成された後は,職権で第一項の決定をするには,あらかじめ,当該合議体の裁判長の意見を聴かなければならない。
5  刑事訴訟法第四十三条第三項及び第四項並びに第四十四条第一項の規定は,第一項の決定及び同項の請求を却下する決定について準用する。
6  第一項の決定又は同項の請求を却下する決定に対しては,即時抗告をすることができる。この場合においては,即時抗告に関する刑事訴訟法の規定を準用する。

(裁判官及び裁判員の権限)
第六条  第二条第一項の合議体で事件を取り扱う場合において,刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決,同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決若しくは同法第三百三十六条の規定による無罪の判決又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定に係る裁判所の判断(次項第一号及び第二号に掲げるものを除く。)のうち次に掲げるもの(以下「裁判員の関与する判断」という。)は,第二条第一項の合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議による。
一  事実の認定
二  法令の適用
三  刑の量定
2  前項に規定する場合において,次に掲げる裁判所の判断は,構成裁判官の合議による。
一  法令の解釈に係る判断
二  訴訟手続に関する判断(少年法第五十五条の決定を除く。)
三  その他裁判員の関与する判断以外の判断
3  裁判員の関与する判断をするための審理は構成裁判官及び裁判員で行い,それ以外の審理は構成裁判官のみで行う。

(評議)
第六十六条  第二条第一項の合議体における裁判員の関与する判断のための評議は,構成裁判官及び裁判員が行う。
2  裁判員は,前項の評議に出席し,意見を述べなければならない。
3  裁判長は,必要と認めるときは,第一項の評議において,裁判員に対し,構成裁判官の合議による法令の解釈に係る判断及び訴訟手続に関する判断を示さなければならない。
4  裁判員は,前項の判断が示された場合には,これに従ってその職務を行わなければならない。
5  裁判長は,第一項の評議において,裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行うとともに,評議を裁判員に分かりやすいものとなるように整理し,裁判員が発言する機会を十分に設けるなど,裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならない。

(評決)
第六十七条  前条第一項の評議における裁判員の関与する判断は,裁判所法第七十七条の規定にかかわらず,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による。
2  刑の量定について意見が分かれ,その説が各々,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見にならないときは,その合議体の判断は,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見になるまで,被告人に最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え,その中で最も利益な意見による。

附則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は,公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし,次の各号に掲げる規定は,当該各号に定める日から施行する。一  次条及び附則第三条の規定 公布の日
二  第二十条から第二十三条まで,第二十五条,第七十一条,第七十二条,第七十五条,第七十六条及び附則第五条の規定 公布の日から起算して四年六月を超えない範囲内において政令で定める日
三  第十七条第九号の規定(審査補助員に係る部分に限る。) 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第六十二号)附則第一条第二号に定める日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日

(施行前の措置等)
第二条  政府及び最高裁判所は,裁判員の参加する刑事裁判の制度が司法への参加についての国民の自覚とこれに基づく協力の下で初めて我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるものであることにかんがみ,この法律の施行までの期間において,国民が裁判員として裁判に参加することの意義,裁判員の選任の手続,事件の審理及び評議における裁判員の職務等を具体的に分かりやすく説明するなど,裁判員の参加する刑事裁判の制度についての国民の理解と関心を深めるとともに,国民の自覚に基づく主体的な刑事裁判への参加が行われるようにするための措置を講じなければならない。
2  前条の政令を定めるに当たっては,前項の規定による措置の成果を踏まえ,裁判員の参加する刑事裁判が円滑かつ適正に実施できるかどうかについての状況に配慮しなければならない。

(環境整備)
第三条  国は,裁判員の参加する刑事裁判の制度を円滑に運用するためには,国民がより容易に裁判員として裁判に参加することができるようにすることが不可欠であることにかんがみ,そのために必要な環境の整備に努めなければならない。

(検討)
第八条  政府は,この法律の施行後三年を経過した場合において,この法律の施行の状況について検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて,裁判員の参加する刑事裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるよう,所要の措置を講ずるものとする。

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「アディクション」という状態について

2007-02-22 20:01:09 | Weblog
ギャンブル依存症,若者に拡大 「病気として理解を」 - さきがけ on the Web

 平成11年12月改正前の民法第11条には,「心神耗弱者及ヒ浪費者ハ準禁治産者トシテ之ニ保佐人を附スルコトヲ得」とあった。
現在の民法は,私的自治の原則への過度の規制となることなどを理由に,「浪費者」であることを保佐開始等の審判の要件から外している。ただ,これは,十分な判断能力を有する浪費者は保佐制度等の対象とはならないということ。浪費者の中で判断能力の不十分な者は,当然のことながら,該制度の対象となる。

 記事にある「アディクション(嗜癖)」は,判断能力(弁識能力)というより,制御能力に問題がある状態。本人や親族には深刻な問題だが,現行民法の制限能力者制度の中ではどうも収まりが悪いようだ。ギャンブル依存症,多重債務者対策等の施策の中で解決していくほかない問題なのか・・・。

最高裁判所 成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引


民法の関連条文

(保佐開始の審判)
第十一条  精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については,家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族,後見人,後見監督人,補助人,補助監督人又は検察官の請求により,保佐開始の審判をすることができる。ただし,第七条に規定する原因がある者については,この限りでない。

(被保佐人及び保佐人)
第十二条  保佐開始の審判を受けた者は,被保佐人とし,これに保佐人を付する。

(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条  被保佐人が次に掲げる行為をするには,その保佐人の同意を得なければならない。ただし,第九条ただし書に規定する行為については,この限りでない。
一  元本を領収し,又は利用すること。
二  借財又は保証をすること。
三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四  訴訟行為をすること。
五  贈与,和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七  贈与の申込みを拒絶し,遺贈を放棄し,負担付贈与の申込みを承諾し,又は負担付遺贈を承認すること。
八  新築,改築,増築又は大修繕をすること。
九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2  家庭裁判所は,第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により,被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし,第九条ただし書に規定する行為については,この限りでない。
3  保佐人の同意を得なければならない行為について,保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは,家庭裁判所は,被保佐人の請求により,保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4  保佐人の同意を得なければならない行為であって,その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは,取り消すことができる。

(保佐開始の審判等の取消し)
第十四条  第十一条本文に規定する原因が消滅したときは,家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,保佐人,保佐監督人又は検察官の請求により,保佐開始の審判を取り消さなければならない。
2  家庭裁判所は,前項に規定する者の請求により,前条第二項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

(補助開始の審判)
第十五条  精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については,家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族,後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人又は検察官の請求により,補助開始の審判をすることができる。ただし,第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については,この限りでない。
2  本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには,本人の同意がなければならない。
3  補助開始の審判は,第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項 の審判とともにしなければならない。

(被補助人及び補助人)
第十六条  補助開始の審判を受けた者は,被補助人とし,これに補助人を付する。

(補助人の同意を要する旨の審判等)
第十七条  家庭裁判所は,第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により,被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし,その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は,第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2  本人以外の者の請求により前項の審判をするには,本人の同意がなければならない。3  補助人の同意を得なければならない行為について,補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは,家庭裁判所は,被補助人の請求により,補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4  補助人の同意を得なければならない行為であって,その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは,取り消すことができる。

(補助開始の審判等の取消し)
第十八条  第十五条第一項本文に規定する原因が消滅したときは,家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,補助人,補助監督人又は検察官の請求により,補助開始の審判を取り消さなければならない。
2  家庭裁判所は,前項に規定する者の請求により,前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
3  前条第一項の審判及び第八百七十六条の九第一項 の審判をすべて取り消す場合には,家庭裁判所は,補助開始の審判を取り消さなければならない。

(審判相互の関係)
第十九条  後見開始の審判をする場合において,本人が被保佐人又は被補助人であるときは,家庭裁判所は,その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
2  前項の規定は,保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき,又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。

(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条  制限行為能力者(未成年者,成年被後見人,被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は,その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後,その者に対し,一箇月以上の期間を定めて,その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において,その者がその期間内に確答を発しないときは,その行為を追認したものとみなす。
2  制限行為能力者の相手方が,制限行為能力者が行為能力者とならない間に,その法定代理人,保佐人又は補助人に対し,その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において,これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも,同項後段と同様とする。
3  特別の方式を要する行為については,前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは,その行為を取り消したものとみなす。
4  制限行為能力者の相手方は,被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては,第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において,その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは,その行為を取り消したものとみなす。

(制限行為能力者の詐術)
第二十一条  制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは,その行為を取り消すことができない。

家事審判規則の関連条文

第二十四条 家庭裁判所は,後見開始の審判をするには,本人の精神の状況について医師その他適当な者に鑑定をさせなければならない。ただし,明らかにその必要がないと認めるときは,この限りでない。

第三十条の二 第二十四条及び第二十五条の規定は,保佐開始の審判をする場合について準用する。

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パチンコ攻略法を頭から信じた人について

2007-02-21 23:37:29 | Weblog
パチンコ攻略法:「効果なし」販売会社に代金返還命令 MSN毎日インタラクティブ

 消費者契約法の取消権の発生要件として「消費者の誤認」がある。
消費者契約法第4条第1項第1号・第2号の誤認に関連し,落合誠一『消費者契約法』(有斐閣)のP76(P80)には以下の解説がある。

 事実であると誤認するにつき消費者に軽過失がある場合,さらには重過失がある場合は,どう理解すべきか。本号の取消しは,事業者の悪質な行為に着目して消費者を有利に扱うのが目的であるから,少なくとも軽過失がある場合は,本要件に該当する誤認と解釈すべきである。

全額の支払いを命じたということだから,重過失はないという判断か。何を信じるかは人それぞれ。それにしても,214万円って・・・。世の中,いろんな人がいる。


消費者契約法

(目的) 
第一条  この法律は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,事業者の一定の行為により消費者が誤認し,又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに,事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義) 
第二条  この法律において「消費者」とは,個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2  この法律において「事業者」とは,法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3  この法律において「消費者契約」とは,消費者と事業者との間で締結される契約をいう。

(事業者及び消費者の努力)
第三条  事業者は,消費者契約の条項を定めるに当たっては,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに,消費者契約の締結について勧誘をするに際しては,消費者の理解を深めるために,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。
2  消費者は,消費者契約を締結するに際しては,事業者から提供された情報を活用し,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条  消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。
一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二  物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し,将来におけるその価額,将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2  消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ,かつ,当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより,当該事実が存在しないとの誤認をし,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。ただし,当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず,当該消費者がこれを拒んだときは,この限りでない。
3  消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。
一  当該事業者に対し,当該消費者が,その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず,それらの場所から退去しないこと。
二  当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず,その場所から当該消費者を退去させないこと。4  第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは,消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。
一  物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質,用途その他の内容
二  物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件
5  第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは,これをもって善意の第三者に対抗することができない。

(媒介の委託を受けた第三者及び代理人)
第五条  前条の規定は,事業者が第三者に対し,当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし,当該委託を受けた第三者(その第三者から委託を受けた者(二以上の段階にわたる委託を受けた者を含む。)を含む。次項において「受託者等」という。)が消費者に対して同条第一項から第三項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において,同条第二項ただし書中「当該事業者」とあるのは,「当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。
2  消費者契約の締結に係る消費者の代理人,事業者の代理人及び受託者等の代理人は,前条第一項から第三項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第七条において同じ。)の規定の適用については,それぞれ消費者,事業者及び受託者等とみなす。

(解釈規定)
第六条  第四条第一項から第三項までの規定は,これらの項に規定する消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九十六条 の規定の適用を妨げるものと解してはならない。

(取消権の行使期間等)
第七条  第四条第一項から第三項までの規定による取消権は,追認をすることができる時から六箇月間行わないときは,時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から五年を経過したときも,同様とする。
2  会社法 (平成十七年法律第八十六号)第五十一条第二項 ,第百二条第四項及び第二百十一条第二項の規定(これらの規定を他の法律において準用する場合を含む。)は,第四条第一項から第三項まで(第五条第一項において準用する場合を含む。)の規定による消費者契約としての株式の引受けの取消しについて準用する。この場合において,同法第五十一条第二項 及び第百二条第四項 中「錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し,又は詐欺若しくは強迫を理由として」とあり,並びに同法第二百十一条第二項 中「錯誤を理由として募集株式の引受けの無効を主張し,又は詐欺若しくは強迫を理由として」とあるのは,「消費者契約法第四条第一項から第三項まで(同法第五条第一項において準用する場合を含む。)の規定により」と読み替えるものとする。

(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
第八条  次に掲げる消費者契約の条項は,無効とする。
一  事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
二  事業者の債務不履行(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
三  消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法 の規定による責任の全部を免除する条項
四  消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法 の規定による責任の一部を免除する条項
五  消費者契約が有償契約である場合において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には,当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に,当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項
2  前項第五号に掲げる条項については,次に掲げる場合に該当するときは,同項の規定は,適用しない。
一  当該消費者契約において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合
二  当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で,当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該他の事業者が,当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い,瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い,又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条  次の各号に掲げる消費者契約の条項は,当該各号に定める部分について,無効とする。
一  当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二  当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には,それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について,その日数に応じ,当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条  民法 ,商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。

(他の法律の適用)
第十一条  消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力については,この法律の規定によるほか,民法 及び商法 の規定による。
2  消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法 及び商法 以外の他の法律に別段の定めがあるときは,その定めるところによる。

(適用除外)
第十二条  この法律の規定は,労働契約については,適用しない。

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災害時の命綱について

2007-02-20 23:46:41 | Weblog
消える公衆電話 防災関係者 懸念の声「災害時の命綱」 Sankei Web

 大袈裟かもしれないが,公衆電話も基礎的インフラのひとつ。NTTには公衆電話の設置マップの作成を希望したい。
なお,災害時の連絡手段として「災害用伝言ダイアル171」がある。

NTT東日本 災害への取組み


電気通信事業法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,電気通信事業の公共性にかんがみ,その運営を適正かつ合理的なものとするとともに,その公正な競争を促進することにより,電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し,もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り,公共の福祉を増進することを目的とする。

(基礎的電気通信役務の提供)
第七条  基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきものとして総務省令で定める電気通信役務をいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は,その適切,公平かつ安定的な提供に努めなければならない。

(重要通信の確保)
第八条  電気通信事業者は,天災,事変その他の非常事態が発生し,又は発生するおそれがあるときは,災害の予防若しくは救援,交通,通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信を優先的に取り扱わなければならない。公共の利益のため緊急に行うことを要するその他の通信であつて総務省令で定めるものについても,同様とする。
2  前項の場合において,電気通信事業者は,必要があるときは,総務省令で定める基準に従い,電気通信業務の一部を停止することができる。
3  電気通信事業者は,第一項に規定する通信(以下「重要通信」という。)の円滑な実施を他の電気通信事業者と相互に連携を図りつつ確保するため,他の電気通信事業者と電気通信設備を相互に接続する場合には,総務省令で定めるところにより,重要通信の優先的な取扱いについて取り決めることその他の必要な措置を講じなければならない。

電気通信事業法施行規則の関連条文

(緊急に行うことを要する通信)
第五十五条  法第八条第一項 の総務省令で定める通信は,次の表の上欄に掲げる事項を内容とする通信であつて,同表の下欄に掲げる機関等において行われるものとする。
(表は省略)

(業務の停止)
第五十六条  法第八条第二項 の総務省令で定める基準は,次のとおりとする。
一  次に掲げる機関であつて総務大臣が別に告示により指定するものが重要通信を行うため他の通信の接続を制限又は停止すること。
イ 気象機関
ロ 水防機関
ハ 消防機関
ニ 災害救助機関
ホ 秩序の維持に直接関係がある機関
ヘ 防衛に直接関係がある機関
ト 海上の保安に直接関係がある機関
チ 輸送の確保に直接関係がある機関
リ 通信役務の提供に直接関係がある機関
ヌ 電力の供給に直接関係がある機関
ル 水道の供給に直接関係がある機関
ヲ ガスの供給に直接関係がある機関
ワ 選挙管理機関
カ 新聞社等の機関
ヨ 金融機関
タ その他重要通信を取り扱う国又は地方公共団体の機関
二  前号の場合において,停止又は制限される通信は,重要通信を確保するため必要最小限のものでなければならない。

(重要通信の優先的取扱いについての取り決めるべき事項)
第五十六条の二  電気通信事業者は,他の電気通信事業者と電気通信設備を相互に接続する場合には,当該他の電気通信事業者との間で,次の各号に掲げる事項を取り決めなければならない。
一  重要通信を確保するために必要があるときは,他の通信を制限し,又は停止すること。
二  電気通信設備の工事又は保守等により相互に接続する電気通信設備の接続点における重要通信の取扱いを一時的に中断する場合は,あらかじめその旨を通知すること。
三  重要通信を識別することができるよう重要通信に付される信号を識別した場合は,当該重要通信を優先的に取り扱うこと。

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契約書を作成しない映画製作について

2007-02-19 16:01:00 | Weblog
最高裁,契約書なしで映画制作・裁判員制PRの第2作 NIKKEI NET

 相手方も言い出せなかったのかな?
契約相手としてこれほど安心できる相手はいないが,考えようによってはこれほど怖い相手も・・・ ^^; 。

 「契約自由の原則」の内容のひとつとして「契約方式の自由」があるが,会計法第29条の8第1項には,「契約担当官等は,競争により落札者を決定したとき,又は随意契約の相手方を決定したときは,政令の定めるところにより,契約の目的,契約金額,履行期限,契約保証金に関する事項その他必要な事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし,政令で定める場合においては,これを省略することができる。」とある。
契約書の作成省略は例外的であり,財務大臣との協議,会計検査院への通知等の手続きを要する場合がある(「予算決算及び会計令」第102条参照)。

裁判員制度 映画「裁判員~選ばれ,そして見えてきたもの~」予告編


会計法の関連条文

第二十九条  各省各庁の長は,第十条の規定によるほか,その所掌に係る売買,貸借,請負その他の契約に関する事務を管理する。

第二十九条の三  契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は,売買,貸借,請負その他の契約を締結する場合においては,第三項及び第四項に規定する場合を除き,公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。
2  前項の競争に加わろうとする者に必要な資格及び同項の公告の方法その他同項の競争について必要な事項は,政令でこれを定める。
3  契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で第一項の競争に付する必要がない場合及び同項の競争に付することが不利と認められる場合においては,政令の定めるところにより,指名競争に付するものとする。
4  契約の性質又は目的が競争を許さない場合,緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては,政令の定めるところにより,随意契約によるものとする。
5  契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては,第一項及び第三項の規定にかかわらず,政令の定めるところにより,指名競争に付し又は随意契約によることができる。

第二十九条の五  第二十九条の三第一項,第三項又は第五項の規定による競争(以下「競争」という。)は,特に必要がある場合においてせり売りに付するときを除き,入札の方法をもつてこれを行なわなければならない。
2  前項の規定により入札を行なう場合においては,入札者は,その提出した入札書の引換え,変更又は取消しをすることができない。

第二十九条の六  契約担当官等は,競争に付する場合においては,政令の定めるところにより,契約の目的に応じ,予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし,国の支払の原因となる契約のうち政令で定めるものについて,相手方となるべき者の申込みに係る価格によつては,その者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められるとき,又はその者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあつて著しく不適当であると認められるときは,政令の定めるところにより,予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした他の者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を当該契約の相手方とすることができる。
2  国の所有に属する財産と国以外の者の所有する財産との交換に関する契約その他その性質又は目的から前項の規定により難い契約については,同項の規定にかかわらず,政令の定めるところにより,価格及びその他の条件が国にとつて最も有利なもの(同項ただし書の場合にあつては,次に有利なもの)をもつて申込みをした者を契約の相手方とすることができる。

第二十九条の八  契約担当官等は,競争により落札者を決定したとき,又は随意契約の相手方を決定したときは,政令の定めるところにより,契約の目的,契約金額,履行期限,契約保証金に関する事項その他必要な事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし,政令で定める場合においては,これを省略することができる。
2  前項の規定により契約書を作成する場合においては,契約担当官等が契約の相手方とともに契約書に記名押印しなければ,当該契約は,確定しないものとする。

第二十九条の十一  契約担当官等は,工事又は製造その他についての請負契約を締結した場合においては,政令の定めるところにより,自ら又は補助者に命じて,契約の適正な履行を確保するため必要な監督をしなければならない。
2  契約担当官等は,前項に規定する請負契約又は物件の買入れその他の契約については,政令の定めるところにより,自ら又は補助者に命じて,その受ける給付の完了の確認(給付の完了前に代価の一部を支払う必要がある場合において行なう工事若しくは製造の既済部分又は物件の既納部分の確認を含む。)をするため必要な検査をしなければならない。
3  前二項の場合において,契約の目的たる物件の給付の完了後相当の期間内に当該物件につき破損,変質,性能の低下その他の事故が生じたときは取替え,補修その他必要な措置を講ずる旨の特約があり,当該給付の内容が担保されると認められる契約については,政令の定めるところにより,第一項の監督又は前項の検査の一部を省略することができる。4  各省各庁の長は,特に必要があるときは,政令の定めるところにより,第一項の監督及び第二項の検査を,当該契約に係る契約担当官等及びその補助者以外の当該各省各庁所属の職員又は他の各省各庁所属の職員に行なわせることができる。
5  契約担当官等は,特に必要があるときは,政令の定めるところにより,国の職員以外の者に第一項の監督及び第二項の検査を委託して行なわせることができる。

「予算決算及び会計令」の関連条文

(随意契約によることができる場合)
第九十九条  会計法第二十九条の三第五項 の規定により随意契約によることができる場合は,次に掲げる場合とする。
一  国の行為を秘密にする必要があるとき。
二  予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。
三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。
四  予定賃借料の年額又は総額が八十万円を超えない物件を借り入れるとき。
五  予定価格が五十万円を超えない財産を売り払うとき。
六  予定賃貸料の年額又は総額が三十万円を超えない物件を貸し付けるとき。
七  工事又は製造の請負,財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。
八  運送又は保管をさせるとき。
九  国際協力銀行,日本政策投資銀行,公庫の予算及び決算に関する法律 (昭和二十六年法律第九十九号)第一条 に規定する公庫その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人のうち財務大臣の指定するものとの間で契約をするとき。
十  農場,工場,学校,試験所,刑務所その他これらに準ずるものの生産に係る物品を売り払うとき。
十一  国の需要する物品の製造,修理,加工又は納入に使用させるため必要な物品を売り払うとき。
十二  法律の規定により財産の譲与又は無償貸付けをすることができる者にその財産を売り払い又は有償で貸し付けるとき。
十三  非常災害による罹災者に国の生産に係る建築材料を売り払うとき。
十四  罹災者又はその救護を行なう者に災害の救助に必要な物件を売り払い又は貸し付けるとき。
十五  外国で契約をするとき。
十六  都道府県及び市町村その他の公法人,公益法人,農業協同組合,農業協同組合連合会又は慈善のため設立した救済施設から直接に物件を買い入れ又は借り入れるとき。
十七  開拓地域内における土木工事をその入植者の共同請負に付するとき。
十八  事業協同組合,事業協同小組合若しくは協同組合連合会又は商工組合若しくは商工組合連合会の保護育成のためこれらの者から直接に物件を買い入れるとき。
十九  学術又は技芸の保護奨励のため必要な物件を売り払い又は貸し付けるとき。
二十  産業又は開拓事業の保護奨励のため,必要な物件を売り払い若しくは貸し付け,又は生産者から直接にその生産に係る物品を買い入れるとき。
二十一  公共用,公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は事業者に売り払い,貸し付け又は信託するとき。
二十二  土地,建物又は林野若しくはその産物を特別の縁故がある者に売り払い又は貸し付けるとき。
二十三  事業経営上の特別の必要に基づき,物品を買い入れ若しくは製造させ,造林をさせ又は土地若しくは建物を借り入れるとき。
二十四  法律又は政令の規定により問屋業者に販売を委託し又は販売させるとき。
二十五  国が国以外の者に委託した試験研究の成果に係る特許権及び実用新案権の一部を当該試験研究を受託した者に売り払うとき。

第九十九条の二  契約担当官等は,競争に付しても入札者がないとき,又は再度の入札をしても落札者がないときは,随意契約によることができる。この場合においては,契約保証金及び履行期限を除くほか,最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。

第九十九条の三  契約担当官等は,落札者が契約を結ばないときは,その落札金額の制限内で随意契約によることができる。この場合においては,履行期限を除くほか,最初競争に付するときに定めた条件を変更することができない。

(予定価格の決定)
第九十九条の五  契約担当官等は,随意契約によろうとするときは,あらかじめ第八十条の規定に準じて予定価格を定めなければならない。

(見積書の徴取)
第九十九条の六  契約担当官等は,随意契約によろうとするときは,なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。

(契約書の記載事項)
第百条  会計法第二十九条の八第一項 本文の規定により契約担当官等が作成すべき契約書には,契約の目的,契約金額,履行期限及び契約保証金に関する事項のほか,次に掲げる事項を記載しなければならない。ただし,契約の性質又は目的により該当のない事項については,この限りでない。
一  契約履行の場所
二  契約代金の支払又は受領の時期及び方法
三  監督及び検査
四  履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息,違約金その他の損害金
五  危険負担
六  かし担保責任
七  契約に関する紛争の解決方法
八  その他必要な事項
2  前項に定めるもののほか,契約書の記載その他その作成に関する細目は,財務大臣の定めるところによる。

(契約書の作成を省略することができる場合)
第百条の二  会計法第二十九条の八第一項 ただし書の規定により契約書の作成を省略することができる場合は,次に掲げる場合とする。
一  第七十二条第一項の資格を有する者による一般競争契約又は指名競争契約若しくは随意契約で,契約金額が百五十万円(外国で契約するときは,二百万円)を超えないものをするとき。
二  せり売りに付するとき。
三  物品を売り払う場合において,買受人が代金を即納してその物品を引き取るとき。
四  第一号に規定するもの以外の随意契約について各省各庁の長が契約書を作成する必要がないと認めるとき。
2  各省各庁の長は,前項第四号の規定による認定をしようとするときは,財務大臣に協議しなければならない。
3  財務大臣は,前項の協議が整つたときは,会計検査院に通知しなければならない。

(契約保証金の納付の免除)
第百条の三  契約担当官等は,会計法第二十九条の九第一項 ただし書の規定により,次に掲げる場合においては,契約保証金の全部又は一部を納めさせないことができる。
一  契約の相手方が保険会社との間に国を被保険者とする履行保証保険契約を結んだとき。
二  契約の相手方から委託を受けた保険会社,銀行,農林中央金庫その他財務大臣の指定する金融機関と工事履行保証契約を結んだとき。
三  第七十二条第一項の資格を有する者による一般競争に付し,若しくは指名競争若しくはせり売りに付し,又は随意契約による場合において,その必要がないと認められるとき。

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