法律の周辺

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自動車運転過失致死傷容疑での書類送検について

2008-09-12 19:21:47 | Weblog
毎日jp 違法駐車:事故原因に認定,所有者を異例の立件 埼玉

 停車して携帯(電話)はいいとして,何もこんなところに停まらなくてもという御仁をたまに見かける。人の迷惑を考えないというか,想像力が欠けているというか。全く困ったものである。

 自動車運転過失致死傷罪(刑法第211条第2項)は,昨年の通常国会であらたに設けられたもの。
改正前,刑法第211条第2項には「自動車を運転して前項前段の罪を犯した者は,傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。」とあったが,自動車運転による死傷事故の実情等にかんがみ罰則を強化するため,「自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。」とあらためられた。

軽乗用車を運転して原付きバイクと出合い頭に衝突した男性が自動車運転過失致死傷容疑で現行犯逮捕されたのは当然として,記事には,ワゴン車を違法に駐車していた男性2人も同容疑で書類送検されたとある。自動車運転過失致死傷罪にいう「自動車の運転上必要な注意を怠り」は,運転行為という動態に係る不注意をいうようにも思えるのだが,どうだろう。硬きに過ぎるだろうか。確かに,駐停車禁止区域での駐車は悪質だし,死亡事故は重大。処罰感情としてはわかるのだが・・・。
因みに,道交法では,駐停車禁止区域に違法に駐車した者は,15万円以下の罰金に処せられる(道交法第44条,第45条,第119条の2第1項第1号,同第2項)。
自動車運転過失致死傷罪の法定刑は「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」だから,道交法のそれとの開きは相当に大きい。


刑法の関連条文

(業務上過失致死傷等)
第二百十一条  業務上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も,同様とする。
2  自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。

道路交通法の関連条文

(停車及び駐車を禁止する場所)
第四十四条  車両は,道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては,法令の規定若しくは警察官の命令により,又は危険を防止するため一時停止する場合のほか,停車し,又は駐車してはならない。ただし,乗合自動車又はトロリーバスが,その属する運行系統に係る停留所又は停留場において,乗客の乗降のため停車するとき,又は運行時間を調整するため駐車するときは,この限りでない。
一  交差点,横断歩道,自転車横断帯,踏切,軌道敷内,坂の頂上付近,勾配の急な坂又はトンネル
二  交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分
三  横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分
四  安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
五  乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車,トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
六  踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分

(駐車を禁止する場所)
第四十五条  車両は,道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては,駐車してはならない。ただし,公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは,この限りでない。
一  人の乗降,貨物の積卸し,駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分
二  道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
三  消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
四  消火栓,指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
五  火災報知機から一メートル以内の部分
2  車両は,第四十七条第二項又は第三項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に三・五メートル(道路標識等により距離が指定されているときは,その距離)以上の余地がないこととなる場所においては,駐車してはならない。ただし,貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき,若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき,又は傷病者の救護のためやむを得ないときは,この限りでない。
3  公安委員会が交通がひんぱんでないと認めて指定した区域においては,前項本文の規定は,適用しない。

(停車又は駐車の方法)
第四十七条  車両は,人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは,できる限り道路の左側端に沿い,かつ,他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
2  車両は,駐車するときは,道路の左側端に沿い,かつ,他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
3  車両は,車道の左側端に接して路側帯(当該路側帯における停車及び駐車を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたもの及び政令で定めるものを除く。)が設けられている場所において,停車し,又は駐車するときは,前二項の規定にかかわらず,政令で定めるところにより,当該路側帯に入り,かつ,他の交通の妨害とならないようにしなければならない。

(違法駐車に対する措置)
第五十一条  車両が第四十四条,第四十五条第一項若しくは第二項,第四十七条第二項若しくは第三項,第四十八条若しくは第四十九条の二第二項,第三項若しくは第五項後段の規定に違反して駐車していると認められるとき,又は第四十九条第一項のパーキング・チケット発給設備を設置する時間制限駐車区間において駐車している場合において当該車両に当該パーキング・チケット発給設備により発給を受けたパーキング・チケットが掲示されておらず,かつ,第四十九条の二第四項の規定に違反していると認められるとき(次条第一項及び第五十一条の四第一項において「違法駐車と認められる場合」と総称する。)は,警察官等は,当該車両の運転者その他当該車両の管理について責任がある者(以下この条において「運転者等」という。)に対し,当該車両の駐車の方法を変更し,若しくは当該車両を当該駐車が禁止されている場所から移動すべきこと又は当該車両を当該時間制限駐車区間の当該車両が駐車している場所から移動すべきことを命ずることができる。
2  車両の故障その他の理由により当該車両の運転者等が直ちに前項の規定による命令に従うことが困難であると認められるときは,警察官等は,道路における危険を防止し,その他交通の安全と円滑を図るため必要な限度において,当該車両の駐車の方法を変更し,又は当該車両を移動することができる。
3  第一項の場合において,現場に当該車両の運転者等がいないために,当該運転者等に対して同項の規定による命令をすることができないときは,警察官等は,道路における交通の危険を防止し,又は交通の円滑を図るため必要な限度において,当該車両の駐車の方法の変更その他必要な措置をとり,又は当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルを超えない道路上の場所に当該車両を移動することができる。
4  前項の規定により車両の移動をしようとする場合において,当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルを超えない範囲の地域内の道路上に当該車両を移動する場所がないときは,警察官等は,当該車両が駐車している場所を管轄する警察署長にその旨を報告しなければならない。
5  前項の報告を受けた警察署長は,駐車場,空地,第三項に規定する場所以外の道路上の場所その他の場所に当該車両を移動することができる。
6  警察署長は,前項の規定により車両を移動したときは,当該車両を保管しなければならない。この場合において,警察署長は,車両の保管の場所の形状,管理の態様等に応じ,当該車両に係る盗難等の事故の発生を防止するため,警察署長が当該車両を保管している旨の表示,車輪止め装置の取付けその他の必要な措置を講じなければならない。
7  警察署長は,前項の規定により車両を保管したときは,当該車両の使用者に対し,保管を始めた日時及び保管の場所並びに当該車両を速やかに引き取るべき旨を告知しなければならない。
8  警察署長は,前項の場合において,当該車両の使用者の氏名及び住所を知ることができないとき,その他当該使用者に当該車両を返還することが困難であると認められるときは,当該車両の所有者に対し,同項に規定する旨を告知しなければならない。
9  警察署長は,前項の場合において,当該車両の所有者の氏名及び住所を知ることができないときは,政令で定めるところにより,当該車両の保管の場所その他の政令で定める事項を公示しなければならない。
10  警察署長は,前項の規定による公示をしたときは,内閣府令で定めるところにより,当該公示の日付及び内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
11  第七項から前項までに定めるもののほか,第六項の規定により保管した車両の返還に関し必要な事項は,政令で定める。
12  警察署長は,第六項の規定により保管した車両につき,第八項の規定による告知の日又は第九項の規定による公示の日から起算して一月を経過してもなお当該車両を返還することができない場合において,政令で定めるところにより評価した当該車両の価額に比し,その保管に不相当な費用を要するときは,政令で定めるところにより,当該車両を売却し,その売却した代金を保管することができる。
13  警察署長は,前項の規定による車両の売却につき買受人がない場合において,同項に規定する価額が著しく低いときは,当該車両を廃棄することができる。
14  第十二項の規定により売却した代金は,売却に要した費用に充てることができる。
15  第二項,第三項又は第五項から第十一項までの規定による車両の移動,車両の保管,公示その他の措置に要した費用は,当該車両の運転者等又は使用者若しくは所有者(以下第五十一条の二の二までにおいて「使用者等」という。)の負担とする。
16  警察署長は,前項の規定により運転者等又は使用者等の負担とされる負担金につき納付すべき金額,納付の期限及び場所を定め,これらの者に対し,文書でその納付を命じなければならない。この場合において,納付すべき金額は,同項に規定する費用につき実費を勘案して都道府県規則でその額を定めたときは,その定めた額とする。
17  警察署長は,前項の規定により納付を命ぜられた者が納付の期限を経過しても負担金を納付しないときは,督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。この場合において,警察署長は,負担金につき年十四・五パーセントの割合により計算した額の範囲内の延滞金及び督促に要した手数料を徴収することができる。
18  前項の規定による督促を受けた者がその指定期限までに負担金並びに同項後段の延滞金及び手数料(以下この条において「負担金等」という。)を納付しないときは,警察署長は,地方税の滞納処分の例により,負担金等を徴収することができる。この場合における負担金等の先取特権の順位は,国税及び地方税に次ぐものとする。
19  納付され,又は徴収された負担金等は,当該警察署の属する都道府県の収入とする。
20  第八項の規定による告知の日又は第九項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお第六項の規定により保管した車両(第十二項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは,当該車両の所有権は,当該警察署の属する都道府県に帰属する。
21  警察署長は,第十二項の規定による車両(道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)による登録を受けた自動車に限る。以下この項において同じ。)の売却,第十三項の規定による車両の廃棄又は前項の規定による車両の所有権の都道府県への帰属があつたときは,政令で定めるところにより,当該車両について,これらの処分等に係る同法 による登録を国土交通大臣又は同法第百五条第一項 若しくは第二項 の規定により委任を受けた者に嘱託しなければならない。
22  第六項,第七項及び第九項から第二十項までの規定は,第六項の規定により保管した車両に積載物があつた場合における当該積載物について準用する。この場合において,第七項中「使用者」とあるのは「所有者,占有者その他当該積載物について権原を有する者(以下この条において「所有者等」という。)」と,第九項中「前項」とあるのは「第二十二項において読み替えて準用する第七項」と,「知ることができない」とあるのは「知ることができず,かつ,当該積載物の所有者以外の者に当該積載物を返還することが困難であると認められる」と,第十一項中「第七項から前項まで」とあるのは「第二十二項において読み替えて準用する第七項及び前二項」と,第十二項中「第八項の規定による告知の日又は」とあるのは「腐敗し,若しくは変質するおそれがあるとき,又は第二十二項において読み替えて準用する第七項の規定による当該積載物の所有者に対する告知の日若しくは」と,「費用」とあるのは「費用若しくは手数」と,第十五項中「第二項,第三項又は第五項から第十一項までの規定による車両の移動,」とあるのは「第二十二項において準用する第六項,第七項又は第九項から第十一項までの規定による」と,「運転者等又は使用者若しくは所有者(以下第五十一条の二の二までにおいて「使用者等」という。)」とあるのは「所有者等」と,第十六項中「運転者等又は使用者等」とあるのは「所有者等」と,第二十項中「第八項の規定による」とあるのは「第二十二項において読み替えて準用する第七項の規定による当該積載物の所有者に対する」と読み替えるものとする。

第百十九条の二  次の各号のいずれかに該当する行為(第一号及び第二号に掲げる行為にあつては,その行為が車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為に該当するとき又はその行為をした場合において車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為をしたときに限る。)をした者は,十五万円以下の罰金に処する。
一  第四十四条(停車及び駐車を禁止する場所),第四十五条(駐車を禁止する場所)第一項若しくは第二項,第四十八条(停車又は駐車の方法の特例)又は第四十九条の二(時間制限駐車区間における駐車の方法等)第三項の規定の違反となるような行為
二  第四十七条(停車又は駐車の方法)第二項若しくは第三項又は第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第一項の規定の違反となるような行為
三  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第七号の規定に違反する行為
2  過失により前項第一号の罪を犯した者は,十五万円以下の罰金に処する。

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