「ひよ子」立体商標認めず 知財高裁「形ありふれたもの」 Sankei Web
立体商標とは,商標法第2条第1項の「立体的形状」のことを指している。
問題となったのは,商標法第3条第2項の解釈。この点,「法3条2項の趣旨と立体商標」として,知財高裁は次のように述べている。
法3条2項は,法3条1項3号等のように本来は自他商品の識別性を有しない商標であっても,特定の商品形態が長期間継続的かつ独占的に使用され,宣伝もされてきたような場合には,結果としてその商品形態が商品の出所表示機能を有し周知性を獲得することになるので,いわゆる特別顕著性を取得したものとして,例外的にその登録を認めようとしたものと解される。
そして,この理は,平成9年4月1日から施行された立体商標についてもそのまま当てはまると解されるが,この場合に留意すべきことは,本件事案に即していえば,法3条2項の要件の有無はあくまでも別紙「立体商標を表示した書面」による立体的形状について独立して判断すべきであって,付随して使用された文字商標・称呼等は捨象して判断すべきであること,商標法は日本全国一律に適用されるものであるから,本件立体商標が前記特別顕著性を修得したか否かは日本全体を基準として判断すべきであること等である。
記事には,「中野裁判長は、鳥形菓子が江戸時代からあることから「名菓ひよ子は和菓子の伝統を踏まえた単純な形の菓子」と判断。さらに「現在でも全国23業者が製造販売しており,云々」とある。
判決文を覗いてみると,「被告以外の者による鳥形状の焼き菓子の製造販売状況」として,(ア)菓子「二鶴の親子」,(イ)菓子「名古屋コーチン」,(ウ)菓子「かもめの水平さん」・・・・(ネ)菓子「湖の鳥」,まで,ご丁寧に,商品名,製造販売会社等を掲げた解説(?)がある。中には,「千代田PA下り(茨城)売店における「売れ筋ランキング」として,上記菓子が6位と記載されている。」といったくだりも。
この辺り,「いい宣伝になった」といいたいところだが,残念ながら判決文。一般人の目に触れる機会はあまりない。
しかし,勝ったのはいいが,「ありふれた形」と言われるのも,悲しいといえば,悲しい。これでは,作る方も張り合いがないのでは。いや,「ありふれた形」というくらいだから,ほとんど機械製造かな・・・。
判例検索システム 平成18年11月29日 審決取消請求事件
商標法の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律で「商標」とは,文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて,次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し,又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2 この法律で「登録商標」とは,商標登録を受けている商標をいう。
3 この法律で標章について「使用」とは,次に掲げる行為をいう。
一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七 電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八 商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
4 前項において,商品その他の物に標章を付することには,商品若しくは商品の包装,役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。
5 この法律において,商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし,役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。
(商標登録の要件)
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については,次に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる。
一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
二 その商品又は役務について慣用されている商標
三 その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,数量,形状(包装の形状を含む。),価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,数量,態様,価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
五 極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標
六 前各号に掲げるもののほか,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる。
立体商標とは,商標法第2条第1項の「立体的形状」のことを指している。
問題となったのは,商標法第3条第2項の解釈。この点,「法3条2項の趣旨と立体商標」として,知財高裁は次のように述べている。
法3条2項は,法3条1項3号等のように本来は自他商品の識別性を有しない商標であっても,特定の商品形態が長期間継続的かつ独占的に使用され,宣伝もされてきたような場合には,結果としてその商品形態が商品の出所表示機能を有し周知性を獲得することになるので,いわゆる特別顕著性を取得したものとして,例外的にその登録を認めようとしたものと解される。
そして,この理は,平成9年4月1日から施行された立体商標についてもそのまま当てはまると解されるが,この場合に留意すべきことは,本件事案に即していえば,法3条2項の要件の有無はあくまでも別紙「立体商標を表示した書面」による立体的形状について独立して判断すべきであって,付随して使用された文字商標・称呼等は捨象して判断すべきであること,商標法は日本全国一律に適用されるものであるから,本件立体商標が前記特別顕著性を修得したか否かは日本全体を基準として判断すべきであること等である。
記事には,「中野裁判長は、鳥形菓子が江戸時代からあることから「名菓ひよ子は和菓子の伝統を踏まえた単純な形の菓子」と判断。さらに「現在でも全国23業者が製造販売しており,云々」とある。
判決文を覗いてみると,「被告以外の者による鳥形状の焼き菓子の製造販売状況」として,(ア)菓子「二鶴の親子」,(イ)菓子「名古屋コーチン」,(ウ)菓子「かもめの水平さん」・・・・(ネ)菓子「湖の鳥」,まで,ご丁寧に,商品名,製造販売会社等を掲げた解説(?)がある。中には,「千代田PA下り(茨城)売店における「売れ筋ランキング」として,上記菓子が6位と記載されている。」といったくだりも。
この辺り,「いい宣伝になった」といいたいところだが,残念ながら判決文。一般人の目に触れる機会はあまりない。
しかし,勝ったのはいいが,「ありふれた形」と言われるのも,悲しいといえば,悲しい。これでは,作る方も張り合いがないのでは。いや,「ありふれた形」というくらいだから,ほとんど機械製造かな・・・。
判例検索システム 平成18年11月29日 審決取消請求事件
商標法の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律で「商標」とは,文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて,次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し,又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2 この法律で「登録商標」とは,商標登録を受けている商標をいう。
3 この法律で標章について「使用」とは,次に掲げる行為をいう。
一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七 電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八 商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
4 前項において,商品その他の物に標章を付することには,商品若しくは商品の包装,役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。
5 この法律において,商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし,役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。
(商標登録の要件)
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については,次に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる。
一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
二 その商品又は役務について慣用されている商標
三 その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,数量,形状(包装の形状を含む。),価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,数量,態様,価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
五 極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標
六 前各号に掲げるもののほか,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる。