法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

ありふれた形について

2006-11-30 19:16:45 | Weblog
「ひよ子」立体商標認めず 知財高裁「形ありふれたもの」 Sankei Web

 立体商標とは,商標法第2条第1項の「立体的形状」のことを指している。

 問題となったのは,商標法第3条第2項の解釈。この点,「法3条2項の趣旨と立体商標」として,知財高裁は次のように述べている。

 法3条2項は,法3条1項3号等のように本来は自他商品の識別性を有しない商標であっても,特定の商品形態が長期間継続的かつ独占的に使用され,宣伝もされてきたような場合には,結果としてその商品形態が商品の出所表示機能を有し周知性を獲得することになるので,いわゆる特別顕著性を取得したものとして,例外的にその登録を認めようとしたものと解される。
 そして,この理は,平成9年4月1日から施行された立体商標についてもそのまま当てはまると解されるが,この場合に留意すべきことは,本件事案に即していえば,法3条2項の要件の有無はあくまでも別紙「立体商標を表示した書面」による立体的形状について独立して判断すべきであって,付随して使用された文字商標・称呼等は捨象して判断すべきであること,商標法は日本全国一律に適用されるものであるから,本件立体商標が前記特別顕著性を修得したか否かは日本全体を基準として判断すべきであること等である。


 記事には,「中野裁判長は、鳥形菓子が江戸時代からあることから「名菓ひよ子は和菓子の伝統を踏まえた単純な形の菓子」と判断。さらに「現在でも全国23業者が製造販売しており,云々」とある。
判決文を覗いてみると,「被告以外の者による鳥形状の焼き菓子の製造販売状況」として,(ア)菓子「二鶴の親子」,(イ)菓子「名古屋コーチン」,(ウ)菓子「かもめの水平さん」・・・・(ネ)菓子「湖の鳥」,まで,ご丁寧に,商品名,製造販売会社等を掲げた解説(?)がある。中には,「千代田PA下り(茨城)売店における「売れ筋ランキング」として,上記菓子が6位と記載されている。」といったくだりも。
この辺り,「いい宣伝になった」といいたいところだが,残念ながら判決文。一般人の目に触れる機会はあまりない。

 しかし,勝ったのはいいが,「ありふれた形」と言われるのも,悲しいといえば,悲しい。これでは,作る方も張り合いがないのでは。いや,「ありふれた形」というくらいだから,ほとんど機械製造かな・・・。

判例検索システム 平成18年11月29日 審決取消請求事件


商標法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

(定義等)
第二条  この法律で「商標」とは,文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて,次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二  業として役務を提供し,又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2  この法律で「登録商標」とは,商標登録を受けている商標をいう。
3  この法律で標章について「使用」とは,次に掲げる行為をいう。
一  商品又は商品の包装に標章を付する行為
二  商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為
三  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五  役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六  役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七  電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八  商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
4  前項において,商品その他の物に標章を付することには,商品若しくは商品の包装,役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。
5  この法律において,商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし,役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

(商標登録の要件)
第三条  自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については,次に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる。
一  その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
二  その商品又は役務について慣用されている商標
三  その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,数量,形状(包装の形状を含む。),価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,数量,態様,価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
四  ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
五  極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標
六  前各号に掲げるもののほか,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
2  前項第三号から第五号までに該当する商標であつても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる。

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公害被害者に対する債権の免除について

2006-11-29 16:49:38 | Weblog
asahi.com カネミ油症,仮払金放棄へ特例法 与党チームが骨子

 徳政令,といったら怒られるだろうか。いずれにしても,異例。

 なお,債権管理法の免除要件は記事にあるとおりだが,債権管理の基準に係る第10条には,「債権の管理に関する事務は,法令の定めるところに従い,債権の発生原因及び内容に応じて,財政上もつとも国の利益に適合するように処理しなければならない。」とある。


「国の債権の管理等に関する法律」の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,国の債権の管理の適正を期するため,その管理に関する事務の処理について必要な機関及び手続を整えるとともに,国の債権の内容の変更,免除等に関する一般的基準を設け,あわせて国の債権の発生の原因となる契約に関し,その内容とすべき基本的事項を定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において「国の債権」又は「債権」とは,金銭の給付を目的とする国の権利をいう。
2  この法律において「債権の管理に関する事務」とは,国の債権について,債権者として行うべき保全,取立,内容の変更及び消滅に関する事務のうち次に掲げるもの以外のものをいう。
一  国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律 (昭和二十二年法律第百九十四号)により法務大臣の権限に属する事項に関する事務
二  法令の規定により滞納処分を執行する者が行うべき事務
三  弁済の受領に関する事務
四  金銭又は物品管理法 (昭和三十一年法律第百十三号)第三十五条 の規定により同法 の規定を準用する動産の保管に関する事務
3  この法律において「各省各庁」とは,財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)第二十一条 に規定する各省各庁をいい,「各省各庁の長」とは,同法第二十条第二項 に規定する各省各庁の長をいう。
4  この法律において「歳入徴収官等」とは,各省各庁の長,各省各庁の長以外の国の機関で他の法令の規定により債権の管理に関する事務を行なうべきこととされているもの又は第五条第一項若しくは第二項の規定により債権の管理に関する事務を行なう者をいう。

(管理の基準)
第十条  債権の管理に関する事務は,法令の定めるところに従い,債権の発生原因及び内容に応じて,財政上もつとも国の利益に適合するように処理しなければならない。

(履行延期の特約等をすることができる場合)
第二十四条  歳入徴収官等は,その所掌に属する債権(国税徴収又は国税滞納処分の例によつて徴収する債権その他政令で定める債権を除く。)について,他の法律に基く場合のほか,次の各号の一に該当する場合に限り,政令で定めるところにより,その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において,当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
一  債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
二  債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,その現に有する資産の状況により,履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
三  債務者について災害,盗難その他の事故が生じたことにより,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため,履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
四  契約に基く債権について,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,所定の履行期限によることが公益上著しい支障を及ぼすこととなるおそれがあるとき。
五  損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
六  貸付金に係る債権について,債務者が当該貸付金の使途に従つて第三者に貸付を行つた場合において,当該第三者に対する貸付金に関し,第一号から第四号までの一に該当する理由があることその他特別の事情により,当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため,当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。2  歳入徴収官等は,履行期限後においても,前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分(以下「履行延期の特約等」という。)をすることができる。この場合においては,既に発生した延滞金(履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金をいう。以下同じ。)に係る債権は,徴収すべきものとする。
3  歳入徴収官等は,その所掌に属する債権で分割して弁済させることとなつているものにつき履行延期の特約等をする場合において,特に必要があると認めるときは,政令で定めるところにより,当該履行期限後に弁済することとなつている金額に係る履行期限をもあわせて延長することとすることができる。

(履行期限を延長する期間)
第二十五条  歳入徴収官等は,履行延期の特約等をする場合には,履行期限(履行期限後に履行延期の特約等をする場合には,当該履行延期の特約等をする日)から五年(前条第一項第一号又は第六号に該当する場合には,十年)以内において,その延長に係る履行期限を定めなければならない。ただし,さらに履行延期の特約等をすることを妨げない。

(免除)
第三十二条  歳入徴収官等は,債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約等(和解,調停又は労働審判(労働審判法第二十条 の規定による労働審判をいう。第三十八条第三項において同じ。)によつてする履行期限の延長で当該履行延期の特約等に準ずるものを含む。以下この条において同じ。)をした債権について,当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約等をした場合は,最初に履行延期の特約等をした日)から十年を経過した後において,なお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,かつ,弁済することができることとなる見込みがないと認められる場合には,当該債権並びにこれに係る延滞金及び利息を免除することができる。
2  前項の規定は,第二十四条第一項第六号に掲げる理由により履行延期の特約等をした貸付金に係る債権で,同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基いて当該履行延期の特約等をしたものについて準用する。この場合における免除については,債務者が当該第三者に対する貸付金について免除をすることを条件としなければならない。
3  歳入徴収官等は,履行延期の特約等をした債権につき延納利息(第二十六条第一項本文の規定による利息をいう。以下同じ。)を附した場合において,債務者が当該債権の金額の全部に相当する金額をその延長された履行期限内に弁済したときは,当該債権及び延納利息については,債務者の資力の状況によりやむを得ない事情があると認められる場合に限り,当該延納利息の全部又は一部に相当する金額を免除することができる。

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就学校変更制度に係る周知の不徹底について

2006-11-28 18:42:40 | Weblog
いじめ:通学先変更制度,保護者の7割超「知らない」 MSN毎日インタラクティブ

 保護者の申立による就学校の変更制度は前からあるもの。
3月の省令改正は,文科省の通知にもあるように,「この制度が保護者に対し確実に周知され,その適切な活用が一層進むよう,市町村の教育委員会が就学校の指定に係る通知において,その指定の変更についての保護者の申立ができる旨を示すものとすること。」等を主な内容とする。

 記事には,「制度の周知を求めてきた規制改革・民間開放推進会議は「文科省から現場に伝わっていない可能性がある」とみて,近く同省と公開討論を行う予定だ。」とある。
しかし,件の通知は,各都道府県・指定都市教育委員会,各都道府県知事,各指定都市市長及び附属学校を置く各国立大学法人学長宛てに発出されている。現場に伝わっていないなどということがあるだろうか。このアンケート結果は,本省というより,各教育委員会の制度周知に係る努力不足を現しているのでは。

 なお,秋田市教育委員会学事課のページには「通学区域外通学許可基準」が掲載されている。もう少し具体的であれば良いと思うのだが・・・。

文部科学省 学校教育法施行規則の一部を改正する省令等及び学校教育法施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱いについて(通知)(抄)

秋田市教育委員会 指定学校の変更手続き


学校教育法施行令の関連条文

(入学期日等の通知,学校の指定)
第五条  市町村の教育委員会は,就学予定者(法第二十二条第一項 又は第三十九条第一項 の規定により,翌学年の初めから小学校,中学校,中等教育学校,盲学校,聾学校又は養護学校に就学させるべき者をいう。以下同じ。)で次に掲げる者について,その保護者に対し,翌学年の初めから二月前までに,小学校又は中学校の入学期日を通知しなければならない。
一  就学予定者のうち,盲者(強度の弱視者を含む。),聾者(強度の難聴者を含む。),知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で,その心身の故障が,第二十二条の三の表に規定する程度のもの(以下「盲者等」という。)以外の者
二  盲者等のうち,市町村の教育委員会が,その者の心身の故障の状態に照らして,当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者(以下「認定就学者」という。)
2  市町村の教育委員会は,当該市町村の設置する小学校又は中学校(法第五十一条の十 の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。以下この項,次条第七号,第六条の三,第六条の四,第七条,第八条,第十一条の二,第十二条第三項及び第十二条の二において同じ。)が二校以上ある場合においては,前項の通知において当該就学予定者の就学すべき小学校又は中学校を指定しなければならない。
3  前二項の規定は,第九条第一項の届出のあつた就学予定者については,適用しない。

第八条  市町村の教育委員会は,第五条第二項(第六条において準用する場合を含む。)の場合において,相当と認めるときは,保護者の申立により,その指定した小学校又は中学校を変更することができる。この場合においては,すみやかに,その保護者及び前条の通知をした小学校又は中学校の校長に対し,その旨を通知するとともに,新たに指定した小学校又は中学校の校長に対し,同条の通知をしなければならない。

学校教育法施行規則の関連条文

第三十二条  市町村の教育委員会は,学校教育法施行令第五条第二項 (同令第六条 において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により就学予定者の就学すべき小学校又は中学校(次項において「就学校」という。)を指定する場合には,あらかじめ,その保護者の意見を聴取することができる。この場合においては,意見の聴取の手続に関し必要な事項を定め,これを公表するものとする。
2  市町村の教育委員会は,学校教育法施行令第五条第二項 の規定による就学校の指定に係る通知において,その指定の変更についての同令第八条 に規定する保護者の申立ができる旨を示すものとする。

第三十三条  市町村の教育委員会は,学校教育法施行令第八条 の規定により,その指定した小学校又は中学校を変更することができる場合の要件及び手続に関し必要な事項を定め,これを公表するものとする。

秋田市学校教育法施行細則の関連条文

(指定学校の変更の申立)
第10条 保護者が令第8条の規定により指定学校の変更を委員会に申し立てをしようとするときは,当該年度の2月10日までに指定学校変更申立書によって行わなければならない。

秋田市指定学校変更審査会規程の関連条文

(設置)
第1条 学校教育法施行令第8条(昭和28年政令第340号)に基づく指定学校変更申立て(以下「申立て」という。)について審査し,その結果を教育長に具申するため,秋田市教育委員会に,指定学校変更審査会(以下「審査会」という。)を置く。

(審査範囲)
第2条 審査会は,前条の申立てのうち次の各号に掲げるものを除く申立てについて審査するものとする。
(1) 秋田市内の他の学校の通学区域への転居等に伴うもののうち,次に掲げるもの
ア 小学校4年生以上の児童生徒が,従前の学校への在籍を希望するもの
イ アに掲げる児童の弟妹が,兄姉と同じ小学校への在籍を希望するもの
ウ 転居した学期の間,従前の学校への在籍を希望するもの
(2) 指定学校変更許可地域に係るもの
(3) 家屋の新築又は借家のため近い将来他の学校の通学区域に転居する予定で,それを証する書面があるもの
(4) 保護者の勤務等のため児童を保護する者がいない間,親戚等に児童を預けるもの
(5) 知的障害学級を除く特殊学級への入級に伴うもの
(6) 病気のため遠距離通学が不適当と認められるもので,それを証する医師の診断書があるもの
(7) 通学区域の再編成又は指定学校変更許可地域の設定を要するとみられる地域で,著しく通学上支障があると認められるもの
(8) 在籍する小学校の通学区域を含む通学区域を有する中学校への入学を希望するもの
(9) 家庭内暴力又は債権取立て等の特別な事情により,一時的に居所に住民登録をしていないもの
(10) 指定中学校に希望するクラブ等がないため,当該クラブ等を有し隣接する通学区域の中学校への入学を希望するもの

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学生納付金の不返還特約に係る最判について

2006-11-27 21:46:36 | Weblog
asahi.com 大学に授業料返還義務 最高裁が初の統一見解

 下級審判例の大勢は,入学金は入学資格を得た対価であるから大学に返還義務はないが,授業料は4月1日より前に入学辞退した者については全額返還すべし,というものだった。
この点,昨年4月,横浜地裁は,倫理的な観点から,入学金も返還を求めることができると判断していたが,最高裁では一顧だにされなかったようだ。

 最高裁は,不返還特約のうち授業料等に関する部分については,在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定めの性質を有する違約金条項とした後,当該解除は大学が合格者を決定するに当たって織り込み済みか,織り込み済みでない場合,返還しないとする授業料等は平均的な損害を超えるものか,という順に論を進めている。

 なお,以下は,入学金に関する部分の抜粋。

 「入学金は,その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り,学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものであり,当該大学が合格した者を学生として受け入れるための事務手続等に要する費用にも充てられることが予定されているものというべきである。」「学生が大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有する入学金については,その納付をもって学生は上記地位を取得するものであるから,その後に在学契約等が解除され,あるいは失効しても,大学はその返還義務を負う理由はないというべきである。」「上記のとおり,入学金については,その納付後に在学契約等が解除され,あるいは失効しても,その性質上大学はその返還義務を負うものではないから,不返還特約のうち入学金に関する部分は注意的な定めにすぎない。」

判例検索システム 平成18年11月27日 不当利得返還請求事件


消費者契約法の関連条文

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条  次の各号に掲げる消費者契約の条項は,当該各号に定める部分について,無効とする。
一  当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二  当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には,それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について,その日数に応じ,当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

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いじめた児童に対する出席停止処分について

2006-11-26 15:58:50 | Weblog
いじめをしたら出席停止 教育再生会議,緊急提言へ - さきがけ on the Web

 現行法では,児童の出席停止に係る規定として学校教育法第26条がある。
この規定,性行不良で他の児童の教育に妨げがあると認める児童については,教育委員会は,保護者に対し,児童の出席停止を命ずることができる,としている。この性行不良の具体的内容のひとつに,「他の児童に傷害,心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為」がある。いじめが陰湿・激烈な場合は,これに該当することもあろう。

 学校への出席停止は,児童の教育を受ける権利(日本国憲法第26条)との間で軋轢を生ずる。しかし,相手が死をも考えるようないじめをしておきながら,ひとり,「教育を通じて学習し,人格的に成長していく権利」,でもない。現行の出席停止制度も単なるサンクションではなく,出席停止を受けた生徒には相応のケアを講ずることとされている(学校教育法第26条第4項)。

 最後に,戸波先生の『憲法』を開いてみよう。「教育を受ける権利」の最後に「学校における生徒の人権」という項目が置かれている。その最後の2行には次のようにある。

 また,生徒の校内暴力・いじめについても学校は対処しなければならず,ここでも国は学校内の秩序や教育環境の適正化に努めるべきことになる。これらの問題の解決のためには,国と学校は協力しなければならない。

文部科学省 出席停止制度の適切な運用について


日本国憲法の関連条文

第十一条  国民は,すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は,侵すことのできない永久の権利として,現在及び将来の国民に与へられる。

第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は,国民の不断の努力によつて,これを保持しなければならない。又,国民は,これを濫用してはならないのであつて,常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

第二十六条  すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。
2  すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は,これを無償とする。

学校教育法の関連条文

第十一条  校長及び教員は,教育上必要があると認めるときは,文部科学大臣の定めるところにより,学生,生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし,体罰を加えることはできない。

第二十六条  市町村の教育委員会は,次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは,その保護者に対して,児童の出席停止を命ずることができる。
一  他の児童に傷害,心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
二  職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
三  施設又は設備を損壊する行為
四  授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
2  市町村の教育委員会は,前項の規定により出席停止を命ずる場合には,あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに,理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。
3  前項に規定するもののほか,出席停止の命令の手続に関し必要な事項は,教育委員会規則で定めるものとする。
4  市町村の教育委員会は,出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。

第四十条  第十八条の二,第二十一条,第二十五条,第二十六条,第二十八条から第三十二条まで及び第三十四条の規定は,中学校に,これを準用する。この場合において,第十八条の二中「前条各号」とあるのは,「第三十六条各号」と読み替えるものとする。

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アルコール濃度測定の記録紙を食べた男について

2006-11-25 20:27:20 | Weblog
asahi.com 飲酒測定記録紙を食べた男逮捕 公文書毀棄容疑

 測定器から打ち出されたばかりの記録紙も刑法第258条の「公務所の用に供する文書」に該当するということなのだろう。

 いや,大したことではないが,刑法第258条の「公務所の用に供する文書」が,通常,「公務所において現に使用し又は使用に供する目的で保管している文書」をいうとされていることとの関係で少しひっかかりを感じたのだ(最判S38.12.24同S52.7.14)。
公用文書等毀棄罪の意義は,文書に表現されている意味・内容の保護を通じて公務を保護することにある。この意義から考えれば,「公務所において」を,文書等の使用・保管主体ではなく,言葉どおり,場所的概念とするのは硬すぎるかもしれない。

 いずれにしても,規定にあるのは,「公務所の用に供する文書」。規定の文言を素直に読めば,冒頭の該当性の判断,無理があるわけではない。


刑法の関連条文

(公用文書等毀棄)
第二百五十八条  公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は,三月以上七年以下の懲役に処する。

(私用文書等毀棄)
第二百五十九条  権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は,五年以下の懲役に処する。

(建造物等損壊及び同致死傷)
第二百六十条  他人の建造物又は艦船を損壊した者は,五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する。

(器物損壊等)
第二百六十一条  前三条に規定するもののほか,他人の物を損壊し,又は傷害した者は,三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(親告罪)
第二百六十四条  第二百五十九条,第二百六十一条及び前条の罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。

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初めての犯罪被害者週間について

2006-11-24 21:10:50 | Weblog
25日から初の犯罪被害者週間,各地で集会予定 YOMIURI ONLINE

 犯罪被害者等基本法第20条は,「国及び地方公共団体は,教育活動,広報活動等を通じて,犯罪被害者等が置かれている状況,犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。」と規定する。この規定の下,各機関が単独で,あるいは,連携して,様々な施策を講ずることになる。
「犯罪被害者週間」は,内閣府が,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省及び国土交通省の協力を得て設定,この間,犯罪被害者等が置かれている状況等につき,国民の理解を深めるため,啓発事業を行うものである。
「犯罪被害者週間」国民のつどいの地方大会は,神奈川,大阪のほか,秋田でも開催される

内閣府 広報・啓発 犯罪被害者週間

内閣府 犯罪被害者等基本計画

追記 秋田で地方大会が開催された背景には,秋田県が犯罪被害者等支援基本計画を策定している唯一の県という事情があったようだ。

犯罪被害者等基本法の関連条文

前文

  安全で安心して暮らせる社会を実現することは,国民すべての願いであるとともに,国の重要な責務であり,我が国においては,犯罪等を抑止するためのたゆみない努力が重ねられてきた。
 しかしながら,近年,様々な犯罪等が跡を絶たず,それらに巻き込まれた犯罪被害者等の多くは,これまでその権利が尊重されてきたとは言い難いばかりか,十分な支援を受けられず,社会において孤立することを余儀なくされてきた。さらに,犯罪等による直接的な被害にとどまらず,その後も副次的な被害に苦しめられることも少なくなかった。
 もとより,犯罪等による被害について第一義的責任を負うのは,加害者である。しかしながら,犯罪等を抑止し,安全で安心して暮らせる社会の実現を図る責務を有する我々もまた,犯罪被害者等の声に耳を傾けなければならない。国民の誰もが犯罪被害者等となる可能性が高まっている今こそ,犯罪被害者等の視点に立った施策を講じ,その権利利益の保護が図られる社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。
 ここに,犯罪被害者等のための施策の基本理念を明らかにしてその方向を示し,国,地方公共団体及びその他の関係機関並びに民間の団体等の連携の下,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため,この法律を制定する。

(目的)
第一条  この法律は,犯罪被害者等のための施策に関し,基本理念を定め,並びに国,地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに,犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し,もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「犯罪等」とは,犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
2  この法律において「犯罪被害者等」とは,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。
3  この法律において「犯罪被害者等のための施策」とは,犯罪被害者等が,その受けた被害を回復し,又は軽減し,再び平穏な生活を営むことができるよう支援し,及び犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするための施策をいう。

(基本理念)
第三条  すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。
2  犯罪被害者等のための施策は,被害の状況及び原因,犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。
3  犯罪被害者等のための施策は,犯罪被害者等が,被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間,必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう,講ぜられるものとする。

(国の責務)
第四条  国は,前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり,犯罪被害者等のための施策を総合的に策定し,及び実施する責務を有する。

(犯罪被害者等基本計画)
第八条  政府は,犯罪被害者等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,犯罪被害者等のための施策に関する基本的な計画(以下「犯罪被害者等基本計画」という。)を定めなければならない。
2  犯罪被害者等基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。
一  総合的かつ長期的に講ずべき犯罪被害者等のための施策の大綱
二  前号に掲げるもののほか,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3  内閣総理大臣は,犯罪被害者等基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
4  内閣総理大臣は,前項の規定による閣議の決定があったときは,遅滞なく,犯罪被害者等基本計画を公表しなければならない。
5  前二項の規定は,犯罪被害者等基本計画の変更について準用する。

(相談及び情報の提供等)
第十一条  国及び地方公共団体は,犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため,犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ,必要な情報の提供及び助言を行い,犯罪被害者等の援助に精通している者を紹介する等必要な施策を講ずるものとする。

(刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等)
第十八条  国及び地方公共団体は,犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするため,刑事に関する手続の進捗状況等に関する情報の提供,刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等必要な施策を講ずるものとする。

(保護,捜査,公判等の過程における配慮等)
第十九条  国及び地方公共団体は,犯罪被害者等の保護,その被害に係る刑事事件の捜査又は公判等の過程において,名誉又は生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ,犯罪被害者等の負担が軽減されるよう,犯罪被害者等の心身の状況,その置かれている環境等に関する理解を深めるための訓練及び啓発,専門的知識又は技能を有する職員の配置,必要な施設の整備等必要な施策を講ずるものとする。

(国民の理解の増進)
第二十条  国及び地方公共団体は,教育活動,広報活動等を通じて,犯罪被害者等が置かれている状況,犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。

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市長公舎の家賃免除について

2006-11-23 15:31:30 | Weblog
市長公舎の家賃タダ,秋田市 「昭和34年の規定踏襲」 - さきがけ on the Web

 記事には,「市管財課は「昭和34年に定めた市公舎使用規程を踏襲してきた」としている。」とある。
秋田市公舎使用規程(昭和34年8月10日訓令第9号)を覗くと,第4条第1項に,「市長が公舎を使用する場合は,前条および第7条(同条第3号を除く。)の規定を適用しない。」とある。市長公舎の家賃免除はこの規定が根拠か。
しかし,もともと,訓令とは,地方自治法第154条に基づき,首長が,補助機関である職員に対して発する命令をいうのではなかったか。市長公舎の家賃免除の根拠が市長自身の発した訓令,というのはおかしな話し。これでは,お手盛りと言われても仕方がない。
因みに,前・浜松市議会議員大岡敏孝氏のブログによれば,全国で家賃を支払わずに市長公舎に住んでいるのは,秋田市長を含め4市長だけとのこと。

なお,市財産の無償貸付に関しては,「秋田市財産の交換,譲与,無償貸付等に関する条例」がある。


秋田市公舎使用規程

第1条 この規程は,市の公舎(以下「公舎」という。)の使用について定めることを目的とする。

第2条 公舎は,職務の性質又はその他の事情により市長が指定する職員に使用させる。

第3条 市長は,毎会計年度の始めに公舎の使用料を定める。
2 次の各号に掲げる者が公舎を使用する場合の使用料は,応接室および当該各号に掲げる坪数を控除した坪数について算定するものとする。
(1) 助役,収入役 15坪
(2) 部長,次長又はこれに準ずる職員その他市長が定める職員 10坪
3 公舎の使用料は,月額とする。ただし,新たに公舎を使用し又は公舎の使用を廃止した場合におけるその月に係る公舎の使用料は,日割により計算した額とする。
4 公舎の使用料は,その月分をその月の末日までに納入しなければならない。

第4条 市長が公舎を使用する場合は,前条および第7条(同条第3号を除く。)の規定を適用しない。
2 前項の場合,第7条第3号に規定する費用の負担額については,別に定める。

第5条 消防職員等で職務の性質上公舎に常住しなければならない者は,使用料を徴収しない。

第6条 使用者が故意又は重大な過失により公舎又は備付物品を損傷した場合は,その修理に要する費用の全部又は一部を負担しなければならない。

第7条 使用者は,次に掲げる費用を負担しなければならない。
(1) ふすまおよび障子の張り替えに要する費用
(2) 電気,ガスおよび水道用器具の破損修理に要する費用
(3) 電気,ガス,水道および下水道の使用料ならびに暖房用燃料に要する費用
(4) 公舎内外の清掃,汚物処理,除雪又は除草等に要する費用

第8条 使用者が公舎又は備付物品を改造しようとするときは,あらかじめ市長の承認を受けなければならない。

第9条 使用者は,その使用を廃止しようとするときは,収入役室長に引き継がなければならない。ただし,医師公舎については,病院長に引き継ぐものとする。

第10条 市の所有に属しない建物を公舎として借り上げる場合,市は所有者に公舎借上料を支払うものとする。
2 前項に規定する公舎について公用に必要な備品は,市が備付けするものとする。

第11条 この規程に定めるもののほか,必要な事項は別に市長が定める。

「秋田市財産の交換,譲与,無償貸付等に関する条例」

(趣旨)
第1条 財産の交換,譲与,無償貸付等に関しては,この条例の定めるところによる。

(普通財産の無償貸付又は減額貸付)
第4条 普通財産は,次の各号の一に該当するときは,これを無償又は時価よりも低い価額で貸し付けることができる。
(1) 他の地方公共団体その他公共団体又は公共的団体において公用もしくは公共用又は公益事業の用に供するとき。
(2) 普通財産の貸付けを受けた者が地震,火災,水害等の災害により当該財産を使用の目的に供しがたいと認めるとき。

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不払残業の解消について

2006-11-22 20:49:51 | Weblog
サービス残業で無料電話相談 23日に厚労省 Sankei Web

 11月は,賃金不払残業解消キャンペーン月間。
相談電話の(0120)793283は,「なくそう不払残業」の語呂合わせ。

 厚労省は,サービス残業解消のため,平成15年5月,「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を策定している。
この指針では,労使が取り組むべき事項として,以下の4つの項目が掲げられている。

(1) 労働時間適正把握基準の遵守
(2) 職場風土の改革
(3) 適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備
(4) 労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化とチェック体制の整備

厚労省 「賃金不払残業解消キャンペーン月間」の実施について


労働基準法の関連条文

(時間外及び休日の労働)
第三十六条  使用者は,当該事業場に,労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合,労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし,これを行政官庁に届け出た場合においては,第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず,その協定で定めるところによつて労働時間を延長し,又は休日に労働させることができる。ただし,坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は,一日について二時間を超えてはならない。
2  厚生労働大臣は,労働時間の延長を適正なものとするため,前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について,労働者の福祉,時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
3  第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は,当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり,当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
4  行政官庁は,第二項の基準に関し,第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し,必要な助言及び指導を行うことができる。

(時間外,休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条  使用者が,第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し,又は休日に労働させた場合においては,その時間又はその日の労働については,通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2  前項の政令は,労働者の福祉,時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3  使用者が,午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては,その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては,その時間の労働については,通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
4  第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には,家族手当,通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

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期日前投票の組織的な利用について

2006-11-21 20:38:33 | Weblog
有権者の1割が期日前投票,大半が仲井真票との見方も YOMIURI ONLINE

 記事には,「仲井真陣営は「堅い支持者にあらかじめ投票を済ませてもらい,その後は支持拡大に余力を振り向ける」とし,期日前投票の少ない市町村のテコ入れなどを進めたという。」とある。
これを読むと,誰でも,しようと思えば期日前投票ができそうだが,そうではない。これは法文を読めば明らかである(公職選挙法第48条の2第1項)。沖縄県のHPにも,期日前投票を行うことができる者は,「選挙期日に仕事や用務があるなど,一定の事由(現行の不在者投票事由)に該当すると見込まれる者です。」とある。

 もちろん,期日前投票が,必ずしも,法律どおりに行われていないことは知っている。投票の際,いかなる理由で当日投票できないか,その事由を書くが,立会人からあれこれ詮索されることはない。この辺りは,選挙人の自己規律に委ねられている。選挙戦の行方を見ずとも,投票する政党や候補者は既に決まっているというのであれば,口うるさくいうようなことではないのかもしれない。
しかし,これが,選挙戦術のひとつとして組織的に利用されているとなれば,やはり,問題があろう。投票率が上がればそれでよいというものでもない。法の制定・改正に関与しながら,その要件を無視するようなやり方を組織的に煽っているとすれば,政党として,見識が問われる。

 なお,公職選挙法は,先に通常国会で,議員立法により改正されている。主な改正点は,「国外における不在者投票制度の創設」と「南極地域観測隊の隊員等のファクシミリ装置による投票制度の創設」である。

沖縄県 企画部市町村課 期日前投票制度について


公職選挙法の関連条文

(期日前投票)
第四十八条の二  選挙の当日に次の各号に掲げる事由のいずれかに該当すると見込まれる選挙人の投票については,第四十四条第一項の規定にかかわらず,当該選挙の期日の公示又は告示があつた日の翌日から選挙の期日の前日までの間,期日前投票所において,行わせることができる。
一  職務若しくは業務又は総務省令で定める用務に従事すること。
二  用務(前号の総務省令で定めるものを除く。)又は事故のためその属する投票区の区域外に旅行又は滞在をすること。
三  疾病,負傷,妊娠,老衰若しくは身体の障害のため若しくは産褥にあるため歩行が困難であること又は刑事施設,労役場,監置場,少年院若しくは婦人補導院に収容されていること。
四  交通至難の島その他の地で総務省令で定める地域に居住していること又は当該地域に滞在をすること。
五  その属する投票区のある市町村の区域外の住所に居住していること。
2 (省略)
3 (省略)
4  第一項の場合において,投票録の作成の方法その他必要な事項は,政令で定める。

公職選挙法施行令の関連条文

(期日前投票の事由に該当する旨の宣誓書)
第四十九条の八  選挙人は,法第四十八条の二第一項 の規定による投票をしようとする場合においては,同項 各号に掲げる事由のうち選挙の当日自らが該当すると見込まれる事由を申し立て,かつ,当該申立てが真正であることを誓う旨の宣誓書を提出しなければならない。

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