Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

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ダンジーブログ

試験開腹

2009-02-26 | 医療・病気・いのち
医療における画像診断技術の進歩は著しく
昔に比べて試験開腹というのは随分少なくなった

試験開腹というのは
試験的にお腹を開けて
手術の可否を最終決定するもので
手術不能となれば
外科的処置は行わずに
そのままお腹を閉じることをさします

現在では胃癌にしろ大腸癌にしろ
お腹を開けなくても癌の広がりを画像で知ることができるので
多くの場合は前もって手術をしたほうが良いかどうか判断できる

しかし腹膜播種というのは
なかなか画像でわからない
種を播くと表現されているように
数mmのしこりがばら撒かれるように転移を起こしているので
画像で捉えられないのである
お腹中に広がっているようなものでも
お腹の中を見るまでわからないことがある

腹膜播種があれば無理に癌の本拠地だけを取っても
寿命が延びるわけでないことがわかっているので
播種があれば基本的には手術を行わず
抗がん剤による治療が第一選択として行う



まれには癌の原発巣が小さく当然手術できると考えて手術を開始すると
お腹を開けた途端腹膜中に粟粒の結節が確認できることがある
そこを触れるとざらざらとしている
腹膜播種があり 根治術不能である

待機している家族を手術室にお呼びして
状況を説明する
場合によると実際にお腹の中を見ていただくこともある
そしてお腹を閉じる

致し方ないことと言いながら
また無理をしてからだの抵抗力を削がないほうが良いとは言いながら
何もせずに撤退というのは
外科医として虚脱感あるいは敗北感のようなものを感じる

しかし翌日からは気持ちを切り替え
抗がん剤治療その他の可能性を
希望を持って患者さんに語る

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