Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

あなたのよろしいように

2007-10-26 | 医療・病気・いのち

高齢の女性
胃の入り口辺りに早期癌が見つかった
早期癌と思われるが範囲が広く
リンパ節転移を起こしている可能性は1割から2割
手術方法の選択肢は三つ

通常なら胃全摘が標準治療である

噴門側胃切除は長期的には良いかもしれないが
術後の食事摂取量の回復に時間がかかることが多く
のこされた時間がそれほど長くない高齢の方には勧めにくい

あとは局所切除といって
癌を中心として胃壁を局所的に切除する方法だ
ただし私は局所切除の場合も必ず
最もリンパ節転移を起こしやすい領域のリンパ節隔清は行う

ご本人が選んだのは3番目の局所切除
腹腔鏡下に手術を行い
出血量も微量
体への侵襲とすればかなり軽微なはずだが
ご本人にとったらやはりきつかったようで
「胃を全部とってたら、私は死んでたと思う。」といわれる
実際術後の炎症反応は低侵襲の割には強かった
ご本人の選択が正しかったのかもしれない

長年手術を行ってきて思うのだが
患者さんを一生懸命説得して
ご本人が最初選ばなかった選択肢を選ばせてしまうと
術後すっかり元気がなくなったり
食欲がいつまでも出なかったり
うつ状態になったりということが多いようだ

こちらがよく説明した上での
本人の決定 決心 というのは尊重したほうがよい
最後は as you like である