男おひとりさま

昨年１０月に奥様をなくした友人が肺炎で入院した。
２，３日前電話したら熱が高くて臥せっていると言うことだったけれど、余り咳が収まらない
のでお医者様に行ったら「肺炎だ。すぐ入院」と言われたのだそうだ。
一人娘は遠くにいて、彼は「男おひとりさま」。
奥様は長患いだったので、何から何まで準備しておいてくれたと言いつつも、もののあり場所が
分からなくて困ると嘆いていた。

そうだろうなあと思う。
きっとあなただって困るだろうから。すべておき場所を決めて分かりやすいようにしているけれど
片付けのすべてはわたしがしているのだから。
あなたも世間の夫たちがよく言うように「オレより先には死なないで。」と言って
いたけれどいくらなんでもこんなに早く先に逝っちゃうことはないのに。

単身赴任もしたのだからする気になればできたのよ、あなた。

MRIを撮って

MRIを撮った。
あなたのMRIに付き添ったことはあるけれど自分では初めて。
右肩、右腕が痛くなって、夜ベッドで右を下にして本を読むせいかと思ったり
パソコンを打つせいかなどと考えたりしていたけれど、整形でレントゲンを撮ったら
頚椎の骨が一箇所突き出ているようだと言われて、今日のMRIになったと言うわけ。
いろいろ障害が出てくる。子供のときから歩くのが嫌いで、歩く遠足をサボっていた
報いなのかもしれない。何とか大目に見てくださればいいのに神様も意地悪。

そういえば、結婚する前はずいぶん痩せてたねえ。今となってはうらやましいくらい。
十二指腸潰瘍などをしたためか３９キロくらいだったから、あなたに結婚はやめたほうが
いいって忠告した人がいたって、あなたはかなり経ってから教えてくれたよね。
あんなにやせっぽちじゃ長くは持たないって。
それなのに、わたしはこんなに太って、あなたは早々と逝ってしまった。
いくらなんでも少し早すぎたんじゃない？わたしを置いてきぼりになんかして。

結果は、大してひどくはないようだけれど、痛いものは痛いのでしばらくはお薬で治療することになった。
やれやれ。

友人の退院

入院していた友人が昨日退院したそうで、昨夜からまた電話がかかるようになった。
入院中の同室の人は、「おひとりさま」が多いとか、その夫もやはり同じ病院に
入っているとかという辛くて、暗い話で、一日も早く家に帰りたかったとうれしそうだった。

彼女はまだ若かったのに、心筋梗塞と脳梗塞を患って足が少し不自由になり、あまり
本も読めなくなったし、遠出もできないので生活の幅が限られて寂しいのだ。

わたしは今日、アンコールワットを見に行こうとツーリストへ行ってきた。
そのことを彼女に告げられなかった。毎晩電話をしてくるのだから、
やはり日が近づいたら言わなければならないのだけれど。
「あなたはいいわねえ」・・・彼女も旅行好きだったのに。
この言葉を聞くのも辛い。

今は ひとりだけれど

今日は土曜日。何の変哲もない一日だった。
勤めていたころは、貴重な休日で、朝からてんてこ舞いしていたけれど。
掃除、洗濯、アイロンかけ。
あなたのカッターはすべてクリーニングにだしていたけれど、高校生の息子は
綿のカッターしか着ないし、洗濯やのアイロンはきつくていやだと言うので
一週間ぶんのアイロンかけもしたものだった。

今では一人前のような顔しているけれど、結構大変だったのだぞ、子育ても。

でもこれも順送りよね。子育ては忙しくて大変だったけれど、楽しませてもらったってところもあるからね。

夜、ラーメン作るって言うから「おかあちゃまもお願い」というと、
「よそのうちでは、親が作って部屋まで持ってきてくれるって言うよ。」と
言いながら「できたよ」って呼んでくれたりして。

受験生の息子を、夜９時のお茶の時間に遠くの喫茶店まで連れ出したりもしたっけ。
あなたとわたしと息子の３人、結構のんびり、あくせくしないで生きてきた。

今はひとり。相変わらず、のんびり生きてます。