私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

読書会(『漱石の思い出』)

2017-07-05 11:05:33 | 日記

July 4, 2017

7月4日(火)
八王子に住むメンバーの方のお宅での読書会、本は、夏目鏡子・述、松岡譲・筆録『漱石の思い出』(文春文庫)だ。本書を原案にしたテレビ番組「夏目漱石の妻」も観ていたが、それとは関係なく、なかなか読みでのある本だった。さすがに文豪と言われるひとの身辺描写は、どこにでもあるような話のようにみえて、引き込まれていく要素を備えている。漱石の妻・夏目鏡子は、悪妻との評判が高かったソクラテスの妻になぞらえたりして語られることもあるが、漱石の妻として過ごした日々を述べたものを筆録した本書は、この妻にして文豪ありと思わせられる面が随所に垣間見られると同時に、人間・夏目漱石のたぶん最も本当の姿に近い像が読みとれるのではないかと思う。おいしいご馳走をたくさんいただき、忌憚のないおしゃべりをし、楽しい1日だった。私が読書会でレポートを担当した『行人』を執筆していた頃の漱石についての記述が面白かったので、次に引用させてもらう。強度の神経衰弱症状を再発したころだ。

 それから自分でもそうなってくるとしきりに難題を吹っかけるのですが、言いながら自分でも難題と知りつつ、これでもかこれでもかと先へ先へと裏へまわってあられもない、人を苦しめるようなことを考え進めるのです。どうしたって気に入るはずはないのですから、その手には乗りませんよと、それを見て見ぬふりをしてすましていますと、亭主が悪いことをし、無理なことをしていると知りながら黙っているのは何事だ。忠言をして人格をなおさせるのがおまえの本分じゃないかと、自分が百も承知でいじめておきながら、いうことがなくなるとこんな難癖をつけるのです。
 それでもちゃんちゃんと小説は書いておりましたが、しまいには胃と両方を悪くしたので、一時執筆を中止いたしました。それは「行人」でしたが、こんな頭で書いたものか、この小説はずいぶん疑り深い変な目で人を見てるところが書いてあるかと思われます。・・・ (『漱石の思い出』文春文庫)

7月5日(水)
近くの知り合いから、トマトをはじめ、沢山夏野菜をいただいた。うれしい。どれもそのままで食べられるものばかりだが、せっかくなので、夏の料理本を見ながら、いろいろと頭を巡らせ楽しんでいる。図書館から本が整っているというメールが届いていたので、レシピで足りない食材を買いがてら、暑いさなかに出かけた。本は、湊かなえ『ユートピア』(集英社)と森まゆみ『子規の音』(新潮社)。2冊ともハードカバーで、リュックに背負ったものの、かなり重かった。帰宅して10分ほど昼寝をした。点訳の校正などとてもやる気がしない。冷たい水をどんどん出して野菜を洗い、オリーブオイルを使った冷たいラタトゥイユを作った。

               ラタトゥイユ

材料: 玉ねぎ、なす、ズッキーニ、セロリ、トマト、赤・黄のピーマン、ニンニク、生シイタケなど。
作り方: オリーブ油ににんにくのみじん切りを入れていため、ナスが十分いたまったら取り出し、オリーブ油を足してトマト以外の野菜を入れ、油が回ったらトマト、塩、こしょう、ローリエを入れてふたをし、弱火で10分ほど煮込み、ナスを加えて味を調える。最近は塩を極力控えている。夏は冷やして食べる。

画像は、友人のメールから、小石川後楽園の池の「白いすいれん」。