私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

メアリー・カサット展

2016-07-19 19:42:36 | 日記

July 19, 2016

7月18日(月)
朝日新聞読書欄で、池上冬樹さんが薦めていた本3冊を図書館に予約したら、早速、真保裕一『ストロボ』(文春文庫)が整ったという連絡があり、読みはじめた。主人公の写真家の人生を、第5章から第1章まで逆に振り返る物語、気が付いたら夕食も忘れて9時過ぎまで読み続け、読了した。いつもブログで書いていることだが、日本の現代作家の作品はあまり読んでいない。この作家も初めて読んだ。初期の隠れた名作だという。池上氏のこの言葉に値する作品だった。あと2冊は北欧ミステリーだが、まだ手元には届いていない。点訳に追われたりしていると無性に小説が読みたくなる。せっかく読んでも面白くないとがっかりする。池上氏のような達人の推薦する本を読むのもいいなと思った。 

7月19日(火)
横浜美術館で開催されているメアリー・カサット展を観てきた。この頃展覧会の入場料も高価でなかなか出かけられないが、友人が招待券を用意してくださった。メアリー・カサット(1844-1926)は、ドガに誘われて印象派に参加した画家で、ルノアールと並んで紹介されてきた。日本では35年ぶりの回顧展だそうだ。印象派の画家の展覧会でその作品がいくつか展示されていたのを目にはしていたと思うが、初期から晩年までのどの作品も、とても新鮮に思えた。しっかりしたデッサンと柔らかい色あいからなる油絵独特の筆運び、本物が与える印象は画集を見るのとは全く違う。親交のあったドがやモリゾ、ピサロの作品もいくつかあり、豪華版の覧会だった。

さらにカサットは、82歳の生涯を独身で通し、姉の死や両親の介護などの困難を乗り越えその意志を貫いた女性画家のパイオニアのひとりだと、紹介の言葉があった。現代でも女性が自立して生きることは困難を伴う。経済的に恵まれた家庭の出だとはいえ、画家として自立したいという本人の意思の力が花咲かせたものなのだろう。優しい印象のある絵ではあるが、その底にある強い筆力を感じることもできた。梅雨明けが近い蒸し暑い日々の中で、心安らぐひとときだった。

画像は、パンフから撮ったカサットの代表作、「桟敷席にて」。