July 12, 2016
読書会、本は講談社文庫の伊坂幸太郎『魔王』と『チルドレン』。初めて読む作家の本だ。『魔王』が単行本で出版されたときは、いわゆる郵政選挙で小泉自民党が大勝利をした2005年9月の数ヵ月前である。くしくも11年後の今週の日曜日は、参議院選挙の投票日だった。憲法改正に必要な3分の2の議席を与党が獲得して大勝利に終わり、メディアが騒ぎたてている。本書の著者は東北大学法学部の出身だそうだ。政治的な問題についてある見識を持っている人物のように見える。たまたま状況が一致したということかもしれないが、2005年の時点で今日の政治状況を見通したような話の運びは、興味深かった。『チルドレン』は、少年法や裁判制度など、この小説の土台にはやはり法に支配されている優等生の著者の姿が見え隠れする。とはいえ、満員電車にゆられ疲れた体に鞭打って働く中年男性にとって、伊坂幸太郎の作品は気が休まる内容の小説かもしれない。
履歴を見ると、大学卒業後あまり年を経ずに様々な文学関連の賞を受賞し、人間を深く観察する間がないままに小説家になったようだ。読書会でも話題になったことだが、売れ筋の作家として編集者に書かされた感もある。 40代でまだ若く、才能がある作家なので、人間の心と深くかかわれるような専門職を持ち、小説を副業としてみるなんていうのもどうだろうか。気ままなブログの失礼な言葉をお許し願いたい。
画像は、今年も住まいのある団地の玄関先にいつの間にか満開となった「ブッドレア」。少し離れたところから仰ぎ見ると美しい。