私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

貴族の世から武士の世への転換期に

2014-03-09 21:17:26 | 日記
March 9, 2014

どうも花粉症にかかってしまったようだ。ここ1週間ほど目がしばついて、また風邪をひいているわけではないのに朝鼻水が出たりしている。パソコンのせいかとも思ったが、今までに相当酷使しても、パソコンで目に何か支障がおこったことはない。たまたま友人の花粉症で困っているという言葉に、これは間違いなく花粉症だと分った。薬を処方してもらったり、外出することもままならないという友人と比べればまだまだ軽いが、厄介なものを背負わされたなと、少しがっかりしている。

市販の目薬をさしながら、河合敦『後白河法皇』(幻冬舎新書)を読み終えた。電車の中で読むために買った新書本だったが、少し読み始めて面白かったので、一気に読んだ。どうも日本の歴史上の人物を扱った本は信じ難く、あまり読んだことがないままでこの歳まで来た。NHKの大河ドラマも見ない。私の食わず嫌いである。本書は、後白河法王として、長きにわたって院政をしき、古代から中世への転換期に君臨した後白河法皇をめぐるこの時代の人間模様を扱った本である。人間模様といっても、つまりは今でいう政治の世界の中のことである。要として後白河法皇は存在してはいるが、政治を動かしているのは、周りにいる人物たちだ。誰が天皇になるか、誰が実権を握るか、誰を味方にするか。貴族と武士の権謀術数が渦めく世の話である。この時代を解明する手立てとしては、『保元物語』と『平治物語』のほかに、「日記」が残されている。日記といっても、現代のようにプライベイとなものではなく、貴族の家の宝として大切に保管され、後世に伝えられてきているものだそうだ。そのほかに、『平家物語』、『愚管抄』、『梁塵秘抄』が、この時代を語る書として登場している。私の知識は高校の日本史で学んだ程度にすぎないが、歴史研究家がよりどころとするこういった書物は、実際に読んでみると面白いだろうと、今回この本を読んで思った。

本書の著者は、高校教師として教壇に立ちながら数多くの著作を刊行、と紹介されている。なるほどと思った。生徒に説く先生の優しい語り口が感じられた。人物が込み入っていてややこしい時代を、分りやすく解説している。また、史実を伝えるだけでなく、読み物としても面白かった。暗愚帝王と呼ばれながら、この時代に66歳まで生き、何度も院政を復活させた後白河法皇は、たしかに読みものの登場人物として絵になる存在だろう。次に、本書の最後で後白河法王について著者が記している個所を引用させてもらう。
 
 だが、時代は古代から中世へと移り変わる激動期に突入ししていた。保元・平治の乱をへて「武士の世」となり、平清盛、木曽義仲、源頼朝といった武士たちが次々と後白河の前に立ちはだかった。そうしたなか、何度も武士たちに幽閉され、命の危機に直面した。しかしながら、不思議にもこの人は、己の権威を保ち続けたのである。
 よく考えてみれば、貴族たちに馬鹿にされ、武士たちに愚弄され続けた後白河の院政だったが、そんな彼を最も支持していたのは、都の庶民だったのではないか。そうした支持があったればこそ、この人は不死鳥のように何度もよみがえったのであろう。(河合敦『後白河法皇』幻冬舎新書)

画像は、正倉院の文様をあしらったハンカチ。以前友人からお土産にいただいたもの。ブログの内容とは関係ないが、使わせてもらった。