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ぽかぽか春庭「近代の日本画 in 五島美術館」

2023-07-04 00:00:01 | エッセイ、コラム


20230704
ぽかぽか春庭アート散歩>2023アート散歩梅雨(2)近代の日本画 in 五島美術館

 6月17日土曜日、五島美術館にお出かけしました。
 6月18日で「近代の日本画」展が終わるので、駆け込み観覧です。
 館所蔵品展示なので、あまり知られていない作品が多く、とても地味な展示ですが、初めての作品を見ることができました。

五島美術館の口上
 館蔵の近代日本画コレクションから、「人物表現」を中心に、横山大観、下村観山、川合玉堂、上村松園、鏑木清方、松岡映丘、安田靫彦、前田青邨など、明治から昭和にかけての近代日本を代表する画家の作品約40点を選び展観します

 やはり目玉はポスターの図柄になっている上村松園『上臈図』でしょう。


 安田幸彦「菊慈童」1939

 近代の日本画は、洋画の技法を取り入れたり、従来の日本画とは異なる方向を目指した画家が多いように思います。新しい構図や筆遣いを求めながら自分自身の表現を目指してきた近代の日本画家の作品を眺めて歩きました。

 女性画家伊藤小坡の『虫売』が出展されていました。美人画で上村松園と並び立った伊藤小坡でしたが、松園が女性初の文化勲章受章者となり、息子や孫も日本画家として高名を得ていることもあって今も人気が高いのに比べて、小坡の名は、たとえば、松園が中学高校の美術教科書に載っているほどの知名度はありません。伊勢猿田彦神社宮司の娘であったゆえ、出身地の伊勢には伊藤小坡美術館もありますが、広く知られた画家とは思えません。

 「虫売」は、同じ画題で他の美術館にもあります。「虫売女」の着物の柄や虫を欲しがる子供のポーズの異なるものが何種類かある。人気の画題だったのでしょう。

 展示室2は、棟方志功の特集。棟方は「五島慶太の追想」という本の装丁をしています。東急創始者の伝記とゆかりのあった人々が思い出を語った本。棟方が装丁を頼まれたのも、五島と深いかかわりがあったからでしょう。

 夏日になる予想が出ていたので、暑くならないうちにと思って庭の散歩。日差しは強くても、庭内は木立に覆われているので、暑くはない。ゆったりと楽しい散歩でした。この日の歩数は9000歩。



<つづく>
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ぽかぽか春庭「美しき漆 in 日本民芸館」

2023-07-02 00:00:01 | エッセイ、コラム


20230702
ぽかぽか春庭アート散歩>2023アート散歩梅雨()美しき漆 日本と朝鮮の漆工芸 in 日本民芸館

 朝鮮や日本の民具に美を見出した柳宗悦。陶磁器や織物、漆器を収集しました。民芸館所蔵の漆器の展示を観覧。

 日本民芸館の口上
 本展は、館蔵する日本と朝鮮の漆工芸を展覧するものです。日本漆工には柳宗悦(1889―1961)が好んだ「漆絵」が描かれたものが多く見られ、朝鮮漆工では貝片で模様を象った「螺鈿」が施された箱類が一際目を引きます。両国の優品に加えて、黒田辰秋(1904―1982)や丸山太郎(1909―1985)ら工芸作家の作品も紹介し、日本民藝館の漆工芸の真髄をご覧頂きます。  

 民芸館入口


 今回の特集は日本と朝鮮の漆器ですが、25年ぶりの民芸館ですから、陶磁器も染織もじっくり眺めました。
 食器も着物も、美しい。ただ、庶民が気軽に日常生活に用いることはできなくなってしまった作品ばかりです。 

展示室


 日本民芸館所蔵陶磁器
 柳宗悦の盟友河井寛次郎や濱田庄司 の陶磁器作品も展示され、朝鮮と日本の陶磁器がさまざまな意匠で並んでいました。



 日本民芸館所蔵漆器
 
 漆器弁当箱      漆器燭台
 

 漆器箱18世紀朝鮮    漆に螺鈿の箱 朝鮮
 漆器盆相撲絵


 染織


 民間雑器とされていた陶芸品や民画に「美」を見出した柳の功績は大きいものですが、柳が民藝を芸術として評価して以来、手仕事の品物はそろって高価なものになりました。作る手間暇と作り手の苦労を思えば高価になるのもうなずけるのですが、われらの手には入らないものになってしまったのは残念。お椀も重箱も使ってこその「日用の美」と思うのですが、美術館に飾られているのを眺めるだけに。
 民藝として展示されている高価な陶器や織物を眺めながら、日常生活では100均のお皿やお椀を使う生活もそれはそれ。100均ものにも「美」を見出しましょう。

2階 大展示室の外側ロビー


<つづく>
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ぽかぽか春庭「日本民藝館西館(旧柳宗悦邸)」

2023-07-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20230701
ぽかぽか春庭アート散歩>2023建物散歩梅雨(3)日本民芸館西館(旧柳宗悦邸)

 二十年ぶりくらいに、日本民藝館を訪れました。ぐるっとパス利用で美術館をめぐることがほとんどだったので、ぐるっとパスが使えない民藝館は、よほど特別な見たい企画展示がない限りは行く気が起きなかったのです。「生誕100年柚木沙弥郎展 」は見たいと思っていたのに、退職のごたごたをやっているうちに終わってしまいました。

 昔訪れたときは西館(旧柳宗悦邸)は公開されていなかったので、西館公開日(第2水曜日第2第4土曜日)に出かけることにしました。6月14日、ときおり雨もぱらつく一日でしたが、午前中民藝館と午後旧前田邸を訪問できました。 
 どこに行くにも道に迷う私ですが、25年前にきたときをうっすら思い出して今回は迷わずに民藝館に到着。道なりに進んで一度右折するだけなので、迷うような道ではないけれど、地図を見ながら反対方向に行ってしまうのがいつもなので。

民藝館の柳邸解説
 本館道路向いに建つ西館(旧柳宗悦邸)は、栃木県から移築した石屋根の長屋門と、それに付設した母屋からなっている。日本民藝館開館1年前の1935年に完成、母屋の設計は旧館と同じく柳宗悦。72歳で没するまで、宗悦が生活の拠点とした建物である。2021年に東京都指定有形文化財(建造物)に指定された。

 西館長屋門

 西館の玄関を入ってすぐ前にあるのは、柳兼子記念室。柳宗悦の妻兼子(1892-1984)が使用したピアノなどが展示されていました。
 民藝館の解説
 兼子は日本を代表する声楽家で、大正初期の楽界創生期より盛んな演奏活動を行い、近代声楽法の確立に大きく貢献した。戦後は国立音楽大学の教授に就任、1965年には女性初の芸術院恩賜賞を受賞した。その生涯を顕彰するため2010年4月より開室している。

 1階食堂
 食堂となりの居間


 1階客間

 2階への階段


 2階は柳宗悦の書斎と柳宗悦記念室が公開されています。(民藝館解説写真)
 

 生涯をかけて民芸運動を推し進めた柳宗悦。自ら設計した家ですから居心地が良かったろうと思います。1935年に竣工したときから72歳で亡くなるまで30年ほどをこの家で過ごしました。

 自分の好きなことをひたすらに追い続ける人生をすごした人、うらやましい。民藝を追求した柳や植物学に邁進した牧野富三郎、幸福な生涯だったとうと思います。

<おわり>
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