功夫電影専科

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坂本浩一×特撮(5)『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』

2014-06-21 23:36:34 | 日本映画とVシネマ
「仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム」
製作:2012年

▼『仮面ライダーフォーゼ』を撮り終えた坂本浩一氏は、続く平成ライダーシリーズの第14作目『仮面ライダーウィザード』…が登場するオールスター作品の監督も担当します。
人々を絶望させ、人間の精神世界=アンダーワールドで種族を増やそうとする異形の存在・ファントム。『ウィザード』は、そんな巨悪と戦う魔法使いライダーの活躍を描いた作品です。
 本作ではウィザードに変身する操真晴人(白石隼也)が、フォーゼこと如月弦太朗(福士蒼汰)とタッグを結成。今回は昭和のライダーを登場させず、仮面ライダーWからオーズまでの全ライダーがゲスト参戦します。
もちろん『MOVIE大戦MEGA MAX』と同じく、出演者自身による格闘シーンも盛りだくさんとなっていて、クライマックスには大掛かりなカーアクションも用意されていました。

■”ゲート”とは、ファントムを誕生させるアンダーワールドを持つ人間の名称である。長きにわたり封印されていたアクマイザーの3人は、ゲートとなる人間を集めて無限に怪人を生み出す装置を作り上げた。
彼らはある目的のため5年後の未来へと飛び立っていく。一方、未来の福士は母校の教師となり、須賀健太を始めとした超能力者の生徒たちに手を焼いていたが、その裏には邪悪な影がうごめいていた…。
 そのころ現代では白石たちがアクマイザーと交戦し、装置の核となっている人間のアンダーワールドに突入していた。そこは美少女仮面ポワトリン(入来茉里)が活躍する世界で、同じ光景が何度もループする異様な空間だった。
この現象は現実に嫌気がさした入来の心に付け入り、悪用したアクマイザーの仕業であった。彼らの本当の目的は、アンダーワールドにある魔界の海に未来の超パワーを叩き込み、膨張した魔力で現実世界を崩壊させることだったのだ。
マッドマックス風の装甲トラックで爆走するアクマイザーを止めるため、白石と未来から駆けつけた福士たちは決死の戦いを挑む!

▲今回も各シリーズの設定を把握し、かつ過去のライダー映画を見ていることが前提の作品ですが、ビジュアル面のアグレッシブさが大いに光っていました。
本作は歴代ライダーのみならず、石ノ森ヒーローも大挙して登場しているのが特徴。それぞれに見せ場が与えられており、特にアクマイザーは仲間意識の強さを描くことでキャラクター性を濃くし、『みんなで宇宙キターッ!』の二の舞を避けています。
ただ、ポワトリンのアレは個人的に大ウケだったのですが、キョーダイン以上の賛否を呼びそうな気がしてなりません。なるほど、マツコデラックスが何々という口上は伏線だったのか…(笑
 格闘アクションは初っ端から仮面ライダーメテオこと吉沢亮と、子供には刺激が強すぎる原幹恵が大暴れ。フォーゼ編では福士と須賀がパルクール風の追跡劇を見せ、レギュラーメンバーや超能力者の生徒たちが方々で立ち回ります。
ウィザード編も高山侑子らによる軽いファイトのほか、華麗な動きで舞う入来や白石の動作も印象に残ります。クライマックスは4人のライダーが素面で拳を振り上げ、オーズこと渡部秀も激しい肉弾戦を披露していました。

 ラストは実際に大型トラックを走らせてのカーチェイスで、クライマックスを盛り上げるのに一役買っています。しかし今回はアクション描写に関して、どうしても気になってしまう点があるのです。
まず1つは吹き替えスタントの使い方。吹き替え自体は珍しくありませんが、白石のスタントがあまりにも激しく動きすぎるため、役者本人の動作が浮いて見えるという現象が生じています。白石のアクションそのものは良いんですが…。
もうひとつは坂本監督のやりすぎ演出。今回も女闘美アクションには抜かりがないものの、こだわりが行き過ぎて逆に退いてしまうシーンがいくつか見受けられました(特にポワトリンの大股開きアクション)。
 しかし子供たちや新アイテムの伏線などはきちんと消化していますし、全体的な仕上がりはメッセージ性の強い『MOVIE大戦MEGA MAX』に譲りますが、それなりに手堅くまとまっていたと思います。
さて、本作を手掛けた坂本監督はスーパー戦隊シリーズに本格参加し、再びオールスター風味の映画に関わりますが……詳しくは次回の特集最終回にて!