功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

特集・50Movies(03)『リトル・ドラゴン』

2008-12-07 22:54:13 | マーシャルアーツ映画:下
「リトル・ドラゴン」
「カラテキッド・ドラゴン」
原題:KARATE KIDS USA/THE LITTLE DRAGONS
製作:1980年

●クリス・ピーターセンとパット・ピーターセンは、共に道場で空手を学んでいる兄弟だ。2人は祖父のチャールズ・レインとサマーキャンプに来て、ひょんなことからお嬢様のサリー・バイデンと知り合った。出会ってすぐに仲良くなった3人だったが、身代金目的の誘拐犯(ちょっと『ホームアローン』風)によってサリーが捕まってしまう。
誘拐犯を追いかけたクリスは、サリーが炭鉱跡に幽閉されるところを目撃。朝になってパットとサリーの救出へと向かうものの、大穴に阻まれて救出ができない。警察を呼んで炭鉱跡に戻ったクリスだが、見張りに残してきたパット共々サリーは姿を消してしまっていた。実は炭鉱の中には秘密の抜け道があり、誘拐犯たちはそれを利用したのだ。抜け道の存在に気付いたクリスとチャールズは、遂に誘拐犯のアジトを発見。身代金受け渡しの時刻が迫る中、クリスはある賭けに打って出る!
『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫セール第3弾は、このいかにも『ベスト・キッド』をパクっていそうなタイトルの作品の紹介だ。とはいえ、作品の制作年代を見ると『ベスト・キッド』どころではない古い作品であることが一目瞭然。なのでこちらも『ヘッドハンター』『四大天王』同様に全く期待しないで見ていましたが…案の定、その予想は的中してしまいました(涙
本作も『サイボーグ・ウェポン』のように「看板に偽りあり」な作品である。カラテとかドラゴンとかタイトルに付いてるが、ラスト以外はこれといった格闘シーンは無し。主役の兄弟が空手を習っている設定こそあれど、いつも空手の胴着を着ているだけでアクションそのものは存在していない(キッズ向け作品なので仕方が無い向きもあるかもしれないが…)。
ま、本作は古いマーシャルアーツ映画の部類に入る作品なので無理は言えないところなのだが、それ以前に気になる部分も多々あった。まず本作には、『ホームアローン』のようにビジュアルで見せるようなギャグも無ければ、前述したように格闘描写も少ない。ただ単に筋書き通りに物語が進行していくだけで、一切の味付けが無いという、非常に簡素な作品なのだ。洗練されていない古い作品とはいえど、この物語の薄さはどうにかならなかったのだろうか?
空手の師範役で本家『ベスト・キッド』にも参加したパット・ジョンソンが出演していたり(彼は本作の空手指導も担当)、クリスの男気を見込んで協力してくれる暴走族の一団など、見どころが無いわけでもない。しかし要約すると典型的な"ひと夏の冒険"的な物語であり、格闘アクションを期待しているとエラい目にあうのでご注意の程を。

特集・50Movies(02)『真夜中のヘッドハンター・殺人の報酬』

2008-12-05 20:36:49 | カンフー映画:駄作
「真夜中のヘッドハンター・殺人の報酬」
原題:獵頭/再見江湖
英題:Head Hunter/The Killer in Love
製作:1982年

●さて、今回の『Martial Arts 50 Movie Pack』在庫一掃セール(笑)は、周潤發(チョウ・ユンファ)の主演作からだ。前回の『四大天王』と同様に日本でもリリースされているようだが、本作の話題はあまり聞いたことがない。製作年代を見ても『上海灘』や『男たちの挽歌』でブレイクする前の作品のようだし、私としても本作にはそんなに期待していなかったのだが…。
ストーリーははっきり言ってよくわからない。ベトナム帰還兵で今はヒットマンとして暗躍する周潤發が、TVリポーターの關之琳(ロザムンド・クァン)といい仲になっていくものの、そうは問屋が許さない…といった感じの話のようだが、いかんせん英語吹替え字幕無しのダブルパンチでは細部が解りかねる。国内版はビデオとDVDが発売されているので、その気になればちゃんと日本語字幕で内容を知る事が出来るかもしれないが、そこまでして確認したいような代物ではなかった。
本作で注目すべきは、やはりデビューしたての關之琳だろう。本作の關之琳はやり手のTVリポーターで、気丈だが可愛らしいキャラをはつらつと演じている。日本初お目見えとなる『七福星』に出演するのがこの3年後となるのだが、その後の『ワンチャイ』系列でも見られる可憐さが、既にこの頃から発揮されているのは興味深い。
この他に、いつもの如く刑事を演じる黄錦[火火火]木(メルビン・ウォン)や、逆に悪役として立ちはだかる陳欣健(フィリップ・チェン)など、キャスト面でもそこそこ見られる作品だが、先述の通りストーリーが解り辛いのと全体的に暗いせいで、かなり窮屈な印象を感じてしまった。特に気になったのがラストのオチで、周潤發は贖罪のつもりでああやったのかもしれないが、これじゃあ關之琳は前科者だ(悲恋にするにしても、死に際の陳欣健の不意打ちを食らった周潤發が…みたいな展開にすれば、關之琳の手を汚さずに済んだはず)。
ちなみに本作は動作片ということになっているので、個々のアクションは警匪片だった『四大天王』よりかはマシになっている。とはいえ、功夫のできる人間が誰一人いない作品なので、アクションスケールは(しょぼいけど)銃撃戦が散りばめられていた『四大天王』とどっこいどっこい。作り手はラブストーリーとクライムアクションを一緒に描きたかったのだろうが、結局は關之琳の初々しさ"だけ"が印象に残る事となった。
ところで本作、HKMDBによると製作が思遠影業となっているが、私が見た『Martial Arts 50 Movie Pack』版ではチャンピオン・インターナショナル・フィルムという会社の名義になっている。確かに思遠影業にしてみたら随分とショボい作品であるが、武術指導が王将(『酔拳』『蛇拳』などの思遠影業作品に多数参加している功夫スター)というところが思遠影業っぽい。一体どちらが本当なのだろうか?

特集・50Movies(01)『実録・香港マフィア戦争/四大天王』

2008-12-03 21:57:34 | カンフー映画:駄作
「実録・香港マフィア戦争/四大天王」
「四大天王~実録・香港マフィア戦争~」
原題:四大天王
英題:Four Robbers
製作:1987年

●(※…画像は本作を収録したDVDパックのものです)
本作は『Martial Arts 50 Movie Pack』(久々!)に収録されている作品の中では比較的新しいものだが、本来ならここで紹介するはずの無い作品であった。
功夫片じゃなくて警匪片であるという点、出演者にあまり馴染みの顔がいない点などがスルーをした理由であり、レビューを書く予定すら無い作品だったのだ。そんな作品をどうしてわざわざ紹介するのかというと、実はこのたび『Martial Arts 50 Movie Pack』の完全制覇に向け、こういった作品も紹介していこうと思い立ったからなのである。とはいえ、流石に『ブラック・コブラ』のような完全に当ブログとは関係の無い作品はスルーしていくつもりなので、予めご了承をば…。
李榮山・劉俊輝・呉杭生・石漢の4人は強盗グループ。宝石店を襲撃したり悪党にケンカを売ったりと暴れまわるが、方野(ちょっと太り気味)や曹査理の組織と対立する事になる。そこに華倫と大細眼(本作では武術指導も担当)ら警察も絡み、裏の世界を突き進む4人だが…という、ありきたりな黒社会抗争モノの1本である。
本作で凄いのは主役の4人を筆頭に、誰一人として華のある役者がいないという点だ(事実上の主役となる李榮山でさえ、お世辞にも魅力的とは言えない)。
呉杭生や江島、谷峰(クー・フェン)などの知っている顔こそいるが、作品の照明となるべきスターの存在が欠落しており、とてもじゃないがこれは見ていてかなりキツいものがある。特にショックだったのが華倫で、千葉真一の『ゴルゴ13』で見せたニヒルさは何処へやら…なんと本作では完全に中年太りのオヤジと化しているのだ。彼の映画出演は本作が最後だったようだが、いくら末期だったとしてもコレはなぁ…。
物語は後半から舞台がタイへと移るが、その後も観光や裏切りなどのヒネリの無い物語が淡々と続いていく。その潤いと新鮮味のない描写は90年代のVシネマを思わせるが、正直言ってつまらないの一言に尽きる。ラストでは死闘の果てに救い様のない破滅エンドが待ち構えているが、悲壮感やカタルシスは皆無。ついでに後味の悪ささえも感じられなかった。
破滅への物語といえば張徹作品でも取り上げられているテーマだが、本作の場合はキャラクターの描写が曖昧だったりとスカスカで、アクションシーンも数が少ないうえに迫力の無い銃撃戦がメイン。功夫アクションを期待していると思いっきり肩透かしを食らう結果となるので、『Martial Arts 50 Movie Pack』を購入しようと思っている人は本作をスルーしても何ら心配はないかと思われます。
目くじらを立てるほど酷くはないが、別段良くもない並の作品。こんな地味な映画がどうして日本で発売されたのかが気になるところである(業者が騙されて二束三文で掴まされたのか?)。

更新履歴(2008/11月)

2008-12-01 23:54:46 | Weblog
11月の更新履歴です。この月は変化に富んだラインナップでやって行けて面白かったのですが、今年も残すところあと一ヶ月。というわけで今月は遂に前々から温存していた(というか好きで温存していた訳ではないのですが・笑)特集、"50"を始動していきたいと思います。
飛ぶ鳥後を濁さずということで、今年中ずっとズルズル引きずっていたものをここいらで昇華してしまうのがこの特集の目論見なのですが、果たしてこれが特集といえるものになるかどうか…(苦笑
とりあえず、これらに関しては明日以降にて。


11/01 更新履歴(2008/10月)
11/02 『サンダーホーク/死霊伝説の謎』
11/04 『ネイビー・ストーム』
11/06 『ゴーストパワーを持つ少女』
11/09 『12 TWELVE』
11/11 『ダブルドラゴン』
11/14 『疾風!!少林寺十三拳士』
11/16 『バトル・ヒーロー/秘宝強奪作戦』
11/19 『地獄の捜査線』
11/21 『龍形摩橋』
11/23 『BACK FIRE/強制奪還』
11/25 『小飛侠』
11/27 『バレット・フィスト』