功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ダブルブレイド』

2008-12-27 22:06:54 | カンフー映画:珍作
「ダブルブレイド」
中文題:雙[金票]/双[金票]
英題:Twin Daggers
制作:2006年

●本作は中国とアメリカの合作という事になっているが、全編に漂うテイストはまさしく香港映画そのもの(というか、スタッフはほとんど香港系が主)。パッケージこそ『ブレイド』のパチモンみたいだが、実際の中身はストーリーが80年代前半の武侠片で、アクションが90年代前半の動作片といった趣のものとなっている(なんのこっちゃ)。
物語はレット・ガイルズら元暗殺部隊の面々が、蘇瑾(スー・ジン)の依頼で彼女の双子の姉(蘇瑾の二役)を狙い、賞金を巡って血で血を争う戦いを繰り広げる…というもの。
ガイルズは身分を偽って蘇瑾(姉)に接近するが、次第に彼女に惹かれてしまう。完璧に依頼を遂行するため、ガイルズは他の仲間たちを次々と仕留めていき、遂に残ったのは彼1人となった。蘇瑾(妹)から「今日以内に依頼を遂行しなければ賞金は無し」との最後通告を受け、蘇瑾(姉)を殺そうとするのだが…。
香港系のスタッフが手がけているだけあって、本作のアクションは(当然だが)質が高い。武術指導の呉勉勤は洪家班出身の武師。当ブログでも取り上げた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地激震』にも関わっており、彼がメガホンを取った『チャイニーズ・ファイター/天空伝説』なんて作品も存在しているが…しかし、さすがに本作で見せた早回しとワイヤーアクションはやりすぎではないだろうか。
確かに殺陣自体は迫力があったが、この過剰な早回しとワイヤーワークは荒唐無稽を通り越し、作品全体のアクションバランスを崩壊させている。90年代に最盛を極めたワイヤー古装片であればまだ視聴に耐えられただろうが、ごく最近に作られた近代を舞台にした作品では完全に水と油。せめてもう少し演出を抑え目にしてくれたら良かったのだが、そういえば『天地激震』でも似たような感じだったので、これが呉勉勤のスタイルなのだろう。
ちなみにラストではガイルズに驚愕の真相が告げられるのだが、この真相というのがとんでもないクセ物。意外な結末ではあるが、これによってガイルズにも蘇瑾(姉)にも感情移入が出来ない状況を生んでいる。オチに至っては完全にイラズラ番組の種明かしと化し、その雰囲気と蛇足っぷりは『シベリア超特急』並みと言ってしまっても差し支えないかもしれない。真相が明かされる直前までは結構楽しめていたが、これは流石になぁ…。
個人的には一回見ただけでもう十分。見栄えのする殺陣が見たいのならオススメだが、前述のいらない特殊効果や役者のスタントダブルが多いので、気になる方はご注意を。