功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『戦神 ムーン・ウォリアーズ』

2007-09-18 22:16:06 | カンフー映画:珍作
「戦神 ムーン・ウォリアーズ」
原題:戰神傳説
英題:The Moon Warriors
製作:1992年

●監督はサモハン!武術指導は元奎と程小東!主演は劉徳華(アンディ・ラウ)!…と、申し分のないスタッフ揃いだったのに、まずまずの結果に終わってしまった作品である。特別悪い出来というわけではないが、この陣容ならば、もう少し面白そうなものが出来たのではと思われる。
 国を追われた皇子・鍾鎮濤(ケニー・ビー)は臣下の張曼玉(マギー・チャン)らと共に逃避行を続けていた。彼らを亡き者にしようと企む鍾鎮濤の弟・王宵(ケビン・ウォン)は刺客を放つが、偶然通りかかった漁村の青年、劉徳華に阻止される。負傷した鍾鎮濤を介抱した劉徳華はしばらく一行を自分の村に迎え入れるが、王宵の追求が迫った。
そこで劉徳華だけが知っている洞窟へ隠れたが、そこは鍾鎮濤も知らなかった王の墓だった。このまま留まる訳にもいかないので、一行は村から出立し、隣国の張翼(チャン・イー!)に救援を求む事にした。だがその道中に王宵と交戦となり、なんとか劉徳華と張曼玉が脱出。鍾鎮濤は王の墓へと逃げ延びた。
 張翼の元には鍾鎮濤の許婚である梅艷芳(アニタ・ムイ)がいたが、間髪入れずに襲い来る王宵の軍団に一行は散り散りとなり、2人になってしまった劉徳華と梅艷芳は、黒服の刺客に襲われながらも仲間達と合流すべく進んでいく。
黒服の刺客の正体は張曼玉だった。彼女は鍾鎮濤の命を狙うために王宵から遣わされたスパイだったのだが、いつしか鍾鎮濤に情が移り…。一方、ようやく合流できた一行だったが、旅の道中で梅艷芳は劉徳華に心を寄せつつあった。揺れる二人の女は張曼玉が張翼らを殺害したことで対立に発展する。不穏な空気の中、遂に迫った王宵の軍が現れるのだが…。
 一見すると一貫した物語のように見えるが、実際はちぐはぐなストーリーだ。序盤の流れで追跡劇かと思いきや、後半から話は王の墓と漁村で戦闘を展開し、梅艷芳たちの恋愛模様も中盤から唐突に挟み込まれる。ご都合的な展開も目立ち、終盤で漁村の人々が皆殺しにされる展開も頂けない。しかもラストはかなり救えないものになっており(悲恋の恋としたかったのだろうが、敵味方共にほぼ全滅という陰惨な結果であるため、成功していない)、サモハン作品としてはイマイチな出来だ。
 アクションも元奎お得意のワイワーワークと程小東の重力無視アクションが絡むかと思いきや、蓋を開ければ古装片にありがちな「クルクル舞ってキンキン斬りあう」無個性なチャンバラと化していた。本作独特の要素といえばシャチが出てくることぐらいで、それ以外は当時流行した古装片モノの定番パターンばかり。新鮮味が1つも感じられなかったのは残念でした。
ところで錢嘉樂(チン・ガーロッ)…どこにいたっけ?(爆