功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『必殺4 恨みはらします』

2007-09-16 22:53:15 | 千葉真一とJAC
「必殺4 恨みはらします」
英題:Sure Death Revenge 4
製作:1987年

●藤田まこと主演の人気時代劇、『必殺仕事人』の劇場版第4作である。とは言っても、私自身はあまり『必殺』シリーズは見た事がありませんが、千葉真一や真田広之らJAC勢が参戦しているとあらば見逃せない!…という事で視聴に至った訳です。
 前評判は賛否両論でどんな作品かよく解らなかったが、藤田の組する番所に新たな奉行、真田広之が就任するところから物語は幕を開ける。時を同じくして、旗本愚連隊というラリった連中のバカ騒ぎに巻き込まれ、傘作りの老人が暴れ馬から子供をかばって死亡するという不幸な事件が発生した。
ちょうど倍賞美津子に会っていた(密会していた)藤田は事の騒動を目撃するが、そこには奇妙な手裏剣が…?その後、仕事人に長屋の者から当然の如く「旗本愚連隊を始末して欲しい」と依頼が来るも、そこに現れたのは流浪の仕事人・千葉真一だった。ターゲットを巡って小競り合いを続ける藤田と千葉ちゃん。だが、この事件の裏には真田広之の黒い陰謀が渦巻いていた…。
 『必殺』シリーズには馴染みのない自分ですが、本作において藤田以外の仕事人がほとんど見せ場がない事が気になりました(多彩なキャラクターが特徴の仕事人シリーズでこれはどうなのだろうか?)。そして倍賞美津子が藤田に復讐心を煽る為だけのキャラクターにしか見えなかったが、まぁこれは復讐の物語である『必殺』シリーズとしては当然のことかと思われます。
そしてアクションだが、JACの派手な殺陣が祟ったのか作中では吹き替えスタントが多用されていた。しかもかなり解りやすいスタンドインで、特にクライマックスでは藤田まことのアクションのほぼ8割が吹き替えによるものとなっている。スタント多用についてあれこれ言う事はないのだが、問題はその隠し方だ。
例えば、『酔拳』で袁小田(ユアン・シャオティエン)もスタントを使用している。こちらも高い割合で吹き替えがされているが、武術指導を担当した袁和平の隠し方は上手く、初見時はまるで袁小田が全部やっているような錯覚を受けた。しかしJACの隠し方は暗い場所で殺陣を展開したりするかなり苦しい隠し方だ。やはり、ここは経験の差が出てしまったというべきなのだろう。
 本作は吹き替えのごまかし方は微妙だったが、そのアクションについては(スタント込みで)かなり迫力がある。ラスト手前での千葉真一VS蟹江敬三は無人となった長屋をブチ壊しながら縦横無尽に駆け巡る激しいバトルを披露。これは間違いなく『将軍家光の乱心 激突』の緒方拳VS千葉真一のプロトタイプだ。よくよく考えると『激突』では緒方拳らスタントの隠し方にも進歩が見える。あの大作は本作の経験が生かされた末のものだったのだ。
続く藤田まことVS真田広之という異色の対決は結末が残念だが、これは『リーサル・ウェポン4』のメル・ギブソンVS李連杰と同じく、「どう考えても勝てないからこの方法しかなかった」という制作側の声が聞こえてきそうな気がする(実際は役者のスケジュールが合わなかったための苦肉の策らしい)。
 しかし演技面では、千葉ちゃんは外道な暗殺者と思わせておいて深みのある仕事人を演じ、真田は最後に強烈な正体を明かす事でインパクトを残している。全体の感想としては、個人的にはそれほど悪くなかったといった感じか。ここから更に体当たりアクションへと向かい『リメインズ』に繋がる事を考えると感慨深いです。
それにしても『魔界転生』といい『吼えろ鉄拳』といい…成田三樹夫はよく真田さんに殺されますねぇ(笑