大惡客/上海灘
The Big Rascal/Dragon Force/Death For Death
1979
●さて、いきなりですが問題です。ジャッキー・サモハン・ユンピョウの3人は勿論のこと、李小龍や李連杰や楊斯や王龍威や黄正利、果ては大細眼や劉忠良や石天さんまでもが経験している役職とは何でしょう?
答えはズバリ、"監督業"です。
香港映画では意外な人の主演作があると『借刀殺人』のレビューで触れましたが、それ以上に監督業に乗り出している人の数が多いのもまた香港映画の妙味とも言えるでしょう。
今回取り上げる作品は戚冠軍(チー・クワンチュン)の監督・主演作です。もともとショウブラのスターにも監督経験のある人は多く(姜大衛、狄龍、陳觀泰、傅聲、五毒メンバーに至るまで監督経験はあります)、この戚冠軍がそういった作品を制作するのもまた必然でありました。本作の制作は冠軍影業という会社ですが、名前からして戚冠軍が設立した会社である可能性が高いです(冠軍影業は日本でテレビ放映もされた、同じく戚冠軍主演作の『秘竜カンフー』も製作している)。
さて、監督・戚冠軍の仕事っぷりなんですが、序盤は戚冠軍とその弟分・張泰倫が横暴を働く雇い主・盧迪の会社と対立していく様を描き、前半は「戚冠軍と張泰倫との修行風景→戚冠軍が何やら頭の中で呟く→町に繰り出す→物議を醸す雇い主の告知」の繰り返しで話が進むのですが、ハッキリ言ってかったるいです。
中盤からは戚冠軍たちは生活が苦しくなり(?)雇い主に新たな仕事を頼みに行き、戚冠軍は賭場の用心棒、張泰倫は小間使いとなる。戚冠軍は雇い主とは浅からぬ因縁のある金剛(カム・カン)一味の六戈を撃退したおかげで出世して部下を従える身分となり、張泰倫は亡き母の墓前で演舞をする雇い主の娘・李登財と出会ったりと、またしばらくダラッとした話が続きます。
後半からは金剛一味との全面対決となり、彭剛や六戈や馬金谷らと闘うことになる。こちらもまたダラダラと続くだけで見せ場も無く、金剛の手下を撃破してきた功績か、いつの間にやら戚冠軍がかなりの身分になっていたりします。なにやら盧迪が悪巧みをしている様子が出てきたりと一行に話は動きません。そのうち張泰倫と李登財の結婚式になる(ここまで2人は何度か会っているが、恋愛関係に発展するまでの描写は無いぞ…??)のですが、突如金剛の一団が襲撃に現れ、戚冠軍と李登財を残してメインキャラが全員ブチ殺されてしまいます(!)。
完全にストーリーがメチャクチャになっていますが物語はクライマックスを向かえ、最後は李登財が金剛を倒すものの死んでしまい、戚冠軍が最後の一人と共倒れして劇終なんですが…ごらんの通りこの映画、支離滅裂もいいところで、作品の色もまとまっておらず、見せ場といえるような場面は1つも無く、キャラクター描写も曖昧だったりと、かなりヒドいものになっています。
まぁストーリーがグダグダというのは功夫映画で珍しいことではないんですが、さすがにこれはちょっと雑過ぎました(苦笑)。功夫アクションは戚冠軍を始めとして李登財なども頑張ってはいるものの、最後の対決以外に面白いところは無く、全体的に地味な仕上がりとなっていました。
香港映画では監督主演を兼ねる事が良くあるとは先述の通りでして、その場合は監督主演した人による"オレ様映画"になる危険性がかなり高いです。しかし本作の戚冠軍はかなり控え目で、彼の人柄が偲ばれて非常に興味深い…ワケないよ!(爆
ちなみにこの作品について、某サイトで「傅聲主演作『洪拳小子』のリメイクである」と解説がありましたが、ご覧の通り似ても似つかぬ別物でありますので、ご注意をば。
The Big Rascal/Dragon Force/Death For Death
1979
●さて、いきなりですが問題です。ジャッキー・サモハン・ユンピョウの3人は勿論のこと、李小龍や李連杰や楊斯や王龍威や黄正利、果ては大細眼や劉忠良や石天さんまでもが経験している役職とは何でしょう?
答えはズバリ、"監督業"です。
香港映画では意外な人の主演作があると『借刀殺人』のレビューで触れましたが、それ以上に監督業に乗り出している人の数が多いのもまた香港映画の妙味とも言えるでしょう。
今回取り上げる作品は戚冠軍(チー・クワンチュン)の監督・主演作です。もともとショウブラのスターにも監督経験のある人は多く(姜大衛、狄龍、陳觀泰、傅聲、五毒メンバーに至るまで監督経験はあります)、この戚冠軍がそういった作品を制作するのもまた必然でありました。本作の制作は冠軍影業という会社ですが、名前からして戚冠軍が設立した会社である可能性が高いです(冠軍影業は日本でテレビ放映もされた、同じく戚冠軍主演作の『秘竜カンフー』も製作している)。
さて、監督・戚冠軍の仕事っぷりなんですが、序盤は戚冠軍とその弟分・張泰倫が横暴を働く雇い主・盧迪の会社と対立していく様を描き、前半は「戚冠軍と張泰倫との修行風景→戚冠軍が何やら頭の中で呟く→町に繰り出す→物議を醸す雇い主の告知」の繰り返しで話が進むのですが、ハッキリ言ってかったるいです。
中盤からは戚冠軍たちは生活が苦しくなり(?)雇い主に新たな仕事を頼みに行き、戚冠軍は賭場の用心棒、張泰倫は小間使いとなる。戚冠軍は雇い主とは浅からぬ因縁のある金剛(カム・カン)一味の六戈を撃退したおかげで出世して部下を従える身分となり、張泰倫は亡き母の墓前で演舞をする雇い主の娘・李登財と出会ったりと、またしばらくダラッとした話が続きます。
後半からは金剛一味との全面対決となり、彭剛や六戈や馬金谷らと闘うことになる。こちらもまたダラダラと続くだけで見せ場も無く、金剛の手下を撃破してきた功績か、いつの間にやら戚冠軍がかなりの身分になっていたりします。なにやら盧迪が悪巧みをしている様子が出てきたりと一行に話は動きません。そのうち張泰倫と李登財の結婚式になる(ここまで2人は何度か会っているが、恋愛関係に発展するまでの描写は無いぞ…??)のですが、突如金剛の一団が襲撃に現れ、戚冠軍と李登財を残してメインキャラが全員ブチ殺されてしまいます(!)。
完全にストーリーがメチャクチャになっていますが物語はクライマックスを向かえ、最後は李登財が金剛を倒すものの死んでしまい、戚冠軍が最後の一人と共倒れして劇終なんですが…ごらんの通りこの映画、支離滅裂もいいところで、作品の色もまとまっておらず、見せ場といえるような場面は1つも無く、キャラクター描写も曖昧だったりと、かなりヒドいものになっています。
まぁストーリーがグダグダというのは功夫映画で珍しいことではないんですが、さすがにこれはちょっと雑過ぎました(苦笑)。功夫アクションは戚冠軍を始めとして李登財なども頑張ってはいるものの、最後の対決以外に面白いところは無く、全体的に地味な仕上がりとなっていました。
香港映画では監督主演を兼ねる事が良くあるとは先述の通りでして、その場合は監督主演した人による"オレ様映画"になる危険性がかなり高いです。しかし本作の戚冠軍はかなり控え目で、彼の人柄が偲ばれて非常に興味深い…ワケないよ!(爆
ちなみにこの作品について、某サイトで「傅聲主演作『洪拳小子』のリメイクである」と解説がありましたが、ご覧の通り似ても似つかぬ別物でありますので、ご注意をば。