民芸の小幡欣冶作の新作は、歌舞伎の大道具長谷川勘兵衛(鈴木智)、鶴屋南北(大滝秀治)、尾上菊五郎(稲垣隆史)らが、名作『東海道四谷怪談』、特に大道具の仕掛けを作るまでの話である。
高校3年のとき、日本史の教師荒久保先生が、大の歌舞伎好きで、授業の半分は歌舞伎の話だった。
中で憶えているのは、『四谷怪談』が本来『忠臣蔵』外伝なので、当初は『忠臣蔵』とテレコで上演したこともあったこと。
先生は、有名な戸板返しの場面は、南北が「堀」という名を使いたくて設定したので、「本当は江戸時代の川筋から言ってそうは流れ着かないはず」と言っていた。
だが、ここでは大川での橋の落下事故の死体の流れ方を挙げてきちんと説明していた。
さすが大南北、すべて調査していたんですよ、荒久保先生。
序幕は、戸板に釘付けられていた男女の死体を身に来る南北の姿から始まる。
戸板返しの他、提灯抜け、仏壇返し等も、大道具方、作者、役者の様々な知恵、工夫で出来たこと、その間での意地の張り合いや衝突が描かれる。そして、最後は皆上手く解決される。
私の乏しい経験でも、劇を作るときは、必ず問題が起きる。
「今度こそは無事何事もなく出来れば」と願うが、必ず何かが起きる。
それが芝居であり、そこが面白さでもある。
そして、「もめた芝居ほど当たる」ものだそうだ。
若手俳優では、桜井明美が元気があって光っていた。
紀伊国屋サザン・シアター
高校3年のとき、日本史の教師荒久保先生が、大の歌舞伎好きで、授業の半分は歌舞伎の話だった。
中で憶えているのは、『四谷怪談』が本来『忠臣蔵』外伝なので、当初は『忠臣蔵』とテレコで上演したこともあったこと。
先生は、有名な戸板返しの場面は、南北が「堀」という名を使いたくて設定したので、「本当は江戸時代の川筋から言ってそうは流れ着かないはず」と言っていた。
だが、ここでは大川での橋の落下事故の死体の流れ方を挙げてきちんと説明していた。
さすが大南北、すべて調査していたんですよ、荒久保先生。
序幕は、戸板に釘付けられていた男女の死体を身に来る南北の姿から始まる。
戸板返しの他、提灯抜け、仏壇返し等も、大道具方、作者、役者の様々な知恵、工夫で出来たこと、その間での意地の張り合いや衝突が描かれる。そして、最後は皆上手く解決される。
私の乏しい経験でも、劇を作るときは、必ず問題が起きる。
「今度こそは無事何事もなく出来れば」と願うが、必ず何かが起きる。
それが芝居であり、そこが面白さでもある。
そして、「もめた芝居ほど当たる」ものだそうだ。
若手俳優では、桜井明美が元気があって光っていた。
紀伊国屋サザン・シアター