指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『ヤシ酒飲み』から15年

2023年08月10日 | 演劇

来年、また横浜で「アフリカ開発会議」が行われるようだが、2008年の時は、金沢区と中区で高校生ミュージカル『ヤシ酒飲み』を企画・実行した。

これは、当時の担当課長から

「中田市長から、アフリカと言えば、野口英世で、野口と言えば金沢なのに金沢区はなにかしないのか」と言われたので、「指田さん、なにか考えてください」と電話があった。

そこで、長浜ホールの庭にヤシの木があったのを思い出した。

                

アフリカ、ナイジェリアのエイモス・ツツオーラの幻想小説『ヤシ酒飲み』を基に、大学時代の劇団の友人下川博に原案を、脚本と演出を同じく仲間の田村光男にやってもらった。

この時の、音楽、演技指導等は、田村が「愛地球博」で地球市民村をやったとき、手伝ってくれた人たちで、こちらでも、みなほとんど手弁当で、喜んで参加してくれた。

このように、作る側が喜んでいるとき、そのイベントは必ずうまく行く。

黒澤明も言っているではないか、

「やってる者が楽しくなくて、見る者が楽しくなるわけがない」と。

もっとも、彼の遺作『まあだだよ』では、黒澤以下が無意味にはしゃいでいたが、こちらは少しも面白くなかったが。

あれからもう15年で、出てくれた横浜の高校生たちも、30代になり、就職し、あるいは家庭をもっていることだと思う。

田村光男は、2014年に、下川博も去年亡くなってしまった。

『七人の侍』の志村喬の台詞ではないが、「また生き残ってしまったな」

これを誰に向かって言えばよいのだろうか、と思うのだ。


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