指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『死角関係』

2015年04月05日 | 映画

シネマ・ヴェーラ渋谷の「神代辰巳没後20年特集」、ほとんど見ているので、見ていないテレビの「火曜サスペンス劇場」、火サスの1本。

                                     

 

主人公の酒井和歌子は、青少年指導員(保護司のことだろう)で、造園業の夫石橋蓮司と幸福な日常をおくっていた。

だが、石橋が、ある日元女優で富豪の妻殺しの容疑で逮捕される。刑事は草野大吾で、少年課の担当は穂積隆信、二人とももう亡くなられている。

石橋は、会社の上司で社長の森本レオ、戸川純夫妻と仲が非常に良く、森本の豪邸の庭でバーベキュー・パーティなどをしている。

石橋の殺人犯の前歴が暴露され、彼の衣服から証拠が発見されるなど、次第に状況は不利になり、酒井と石橋は追い込まれていく。

そして、酒井が石橋に離婚届けを出すと、彼は殺人を自白してしまう。

もちろん、犯人は彼ではなく、無罪放免となるが、彼も、酒井が離婚後に精神錯乱で入院した精神病院に入ってしまう。

ここの美人看護婦に、高林由紀子がキャスティングされているので、なぜかと思うと、最後に大逆転がある。

神代辰巳としては、意外なメロドラマ的作品だが、考えてみれば神代は、メロドラマの本拠の松竹出身なのである。

併映の『開けチューリップ』は、神代のテクニッツクが華麗に示されるが、あまり面白くなく、眠ってしまった。

シネマ・ヴェーラ渋谷