猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

2050年度温暖化ガス ゼロは菅新総理の所信表明の華か?メディア批判

2020-10-27 23:01:03 | 叩き上げの菅義偉

東京新聞が、菅義偉の所信表明が終わる数分前に、スピーチの全文をネットに掲載したという。別に東京新聞に限らず、事前に、全社に全文を配信したのだろう。ということは、いままでとおり、総理つきのスピーチライターが原稿を書き、菅が大声でそれを読み上げたということだ。

メディアは、所信表明の「2050年度までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ばかりを報道していたが、本当の問題は、安倍晋三がごまかしてきた日本経済の停滞と地域社会の崩壊だろう。

菅の所信表明は、成長戦略会議や各省庁の政策提案を自分の好みで網羅的にまとめたものと思われる。そのため、文として段落として、その論理性や整合性を欠いたものが出来上がった。

「各省庁や自治体の縦割りを打破」というが、「縦割り」は「使命(mission)」にもとづいてできたものだから、単純に縦割りを打破すれば、行政に矛盾や無秩序が吹き出るだけである。「縦割り打破」でなく、必要なのは、全体をコーディネートする整合性と鳥の目とのある調整役である。菅のために誰がその役をこなしてくれるのだろうか。そのためには、恫喝して人を支配するのではなく、意気に感ずる質の良い側近をもつことである。

その点で、菅は企業の経営者なら失敗するタイプである。人を恫喝したり、ミクロ管理したりしてはいけない。「叩き上げ」なんて自分のことを言ってはいけない。「叩き上げ」は、2,3人の弟子をもつ親方まで である。私の子ども時代は、親方と家族は、弟子と同じものを毎日喰って、一緒に慰安旅行に出かけたものだ。「叩き上げ」は家族型経営のときに言う言葉である。

一国の経済とは、先端では華々しい活躍しているように見えても、本体は地味な日々の努力である。みんなが必要としているのは、日常生活を支える物で、昔ながらの物で、そんなに儲かるモノでもない。地味な経済活動こそ、国の基本体力である。どこでも買える物こそが、みんなが必要としているモノである。

菅は所信表明でいう。

「オンライン教育を拡大」「デジタル化やロボット技術による自動化、無人化」「環境関連分野のデジタル化」「海外の金融人材を受け入れ、アジア、さらには世界の国際金融センター」「オンライン診療の恒久化」

これって、本当に地域に活性化を導くのだろうか。

地方にシャッター街が広がっている。横浜市の大型商業施設でも、パネルに囲まれた空き領域が増えている。新型コロナのせいではなく。それ以前から閉鎖店舗が増えている。

私は、商店街の出だから、それは生きる自由が奪われていくことを意味する。商人は自由人だといっても、基幹の産業(農業やものつくり)が細ればやっていけない。地域の再生は「ふるさと納税」や「インバウンド(観光客)」だけでは、できない。

輸出先を政府が開発すれば、農業が再生するわけではない。大量に技能実習生を入国させても、農業が再生するわけではない。

菅は「四月に農林水産省に発足した輸出本部の下で、関係省庁が一体となって相手国との交渉を行い、輸出用の加工施設の認定も急速に進みました」というが、これはイスラム国やイスラエル用に宗教的規制(ハラル制度など)を満たす食品の輸出をいうのだと思うが、そんなものは規模が小さく、農業再生の基幹となりえない。

それに、日本の農業を再生できるほどの規模で輸出拡大が進むなら、これは、米国やオーストラリアや中国と新たな摩擦を起こす。

結局、農産物の価格を上げ、それでも、非農業の国民が生きていけるようにすること、また、農業は植え付けや収穫時に一時的に労働力需要が増大するので、兼業農家や一時的労働力を増やすべく、農家の近くに環境に優しい産業の働き場を増やすことである。これは、宮澤賢治の童話の世界、すなわち、戦前の農本主義と結び付く考えだが。

菅は地域の産業を活性化するために、

大企業で経験を積んだ方々を、政府のファンドを通じて、地域の中堅・中小企業の経営人材として紹介する取組を、まずは銀行を対象に年内にスタートします」

というが、そんなものは役立つと思えない。私の友人、三井住友銀行で出世した京大卒の男だが、定年退職後、千葉の銚子市の産業活性化に従事していたが、大企業の経験など、中小企業や商店の活性化に役立たない。

それより、現場で農業やものつくりをしていた人たちを、小中高の非常勤の先生として、子どもたちの教育に当たられるようにした方がよい。先生になるのに、教職課程修了が必要とか教育実習の経験が必要とかいう、現在の規制をぶっ壊す方がよい。自分で農業、製造業を始める喜びを子どもたちに伝えることこそ、地域再生につながる。収入より生きがいを求める人間が増えることの方が、地域再生に大事だ。

国民も、「携帯電話料金の引下げ」だけで騙されるのではなく、日本に「自由」と「平等」とが失われため、現在の経済の停滞を招いているのだ、ということに気づくべきである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿