きのうテレビで、「新しい資本主義」の1つとして、半導体工場の国内立地を支援すると言っていて、ウソでしょうと思ったが、けさの新聞をみて本当だった。
岸田政権は来月に臨時国会で大型の補正予算を成立させるという。日本は会計年度が4月からなので、この予算は今年の12月から来年の3月までに使う臨時の出費をいう。
経済対策費が55.7兆円、軍事費が7000億超と記事である。過去最高の補正予算である。昨年度のコロナ禍の大型補正予算でも40兆円であった。
財政収入の裏付けがないから、岸田文雄は、バラマキして、国の借金を増やしているだけである。日本の経済界に媚びを売っているのだろうか。こんなことで、「成長と分配」が起きるのだろうか。
ライターの和田静香は「分配」でなく、格差解消のための「再分配」でないとオカシイと言っている。「再分配」とは金持ちから税をとって社会保障や福祉にお金を回すことである。
私も福祉関係の端くれにいて思うのは、一時的な給付金より、恒常的な福祉充実の仕組みを作ってほしいということである。福祉関係はどこもここも人手がたりない。一時的給付金では、人手を増やせない。せっかく、人手を多くしても、お金がつづかなければ、誰かにやめてもらうしかない。一人当たりの仕事量が減れば、スタッフ間のコミュニケーションや集団研修に時間を使うことができる。一時的に給与が増えても、仕事量が多いままでは、士気を高められない。
経済対策と記事に出ているように、経営者を助ける色彩が強い。しかし、企業が自分で解決すべきことに お金をばらまいても仕方がない。
東芝を3分割したのは、東芝が自分を切り売りして、消滅するための準備である。じつは、東芝は非常に優れた半導体技術者たちがいたところである。テレビの解説者が、日本はメモリーだけでプロセッサーの技術がないと言っていた。そんなのはウソである。東芝の技術陣には、顧客のニーズ(need)にもとづいてプロセッサーを設計する技術があった。私のいたIBM研究所にも、東芝の営業陣が売り込みにきていた。
東芝の経営陣は、半導体技術陣を見捨てて、国と結託して、原子力発電関係のビジネスに走ったのである。東芝の中で技術的にもっとも優秀な半導体部門を売り払ったのである。
政府は、各社の半導体部門を寄せ集めて1つの会社を作ったり、各社の液晶部門を寄せ集めて1つの会社を作ったりしてきたが、こんなことが成功するはずはない。各社は本体が儲かるように、本質的に大事な特許などを新しい会社に出すはずがない。切り捨てられた部門の寄せ集めは、もとの本社の都合に合わせて動くことなる。
こんどの半導体工場の誘致も、半導体を使う企業、例えば、自動車メーカなどのためにであって、日本の半導体技術者たちは経営陣に見捨てられたままである。
岸田文雄は、安倍晋三と同じく、「国家資本主義」をめざしているにすぎない。経営者を甘やかしても、腐敗が拡大するだけである。岸田は聞く力を吹聴したが、彼のノートの中には、「へのへのもへじ」などが書きこまれているだけであろう。叩き上げの菅義偉よりも聞く力が劣る。日本国民は、最低の総理を選んだ。