経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

M&Aについての知識 概論

2012-08-07 11:13:41 | 達人経理マンへの道

(長いので3回に分けて掲載します)

 ITバブルの時代は、ヘラクレスやマザーズ等に新規上場して余剰資金をたっぷり得た新興企業等が、我も我もとM&Aを仕掛けることが多かった。だがリーマン・ショック以降は、世界的にM&Aの案件規模も数も大幅に減少したようだ。
 とはいっても、資金力に大幅な余力があれば、小さな会社でもM&Aを仕掛けておいたほうが良い場合がある。また逆に後継者がいない小さな会社の創業者が、自分の創った会社を泣く泣く売りに出す場合もある。というより日本のM&Aの約70%が、事業承継問題の解決策として発生しているのだ。
 従って小さな会社だからといって、M&Aを無視する理由はない。大小関係なく企業のトップと経理マンくらいは、M&Aの知識を持っていても損はないのである。
M&Aとは
 M&AとはMergers and Acquisitionsの略で、企業の合併と買収のことをいう。M&Aは新規事業展開のほか、業務提携や経営不振企業を救済する目的で行なわれる。また日本ではライブドアやブルドックソースの例でも分かるように、敵対的M&Aはほとんど成功しない。従ってその99%友好的M&Aであるといえる。
買手側のメリット
①売手側の経営資源を活用し、簡単に規模の拡大を図ることが出来る。
②買手側の既存事業とのシナジー効果が生まれ収益拡大に繋がる可能性がある。
③自社で新規事業を一から立ち上げて軌道に乗せるより、大幅な時間とコストの削減となる。
④売手側の持つ技術力や営業力を取り込むことが出来る。
売手側のメリット
①売手側は不採算事業を売却し、コア事業に経営資源を集中することが出来るうえ、資金効率も高まることになる。
②後継者がいない中小企業の場合は、廃業することなく会社の存続をさせ、取引先や従業員に迷惑をかけずに済む。
③大株主である創業者は、株式を売却することで、かなりのプレミアを受けることがある。
買手側のデメリット
①売手側の従業員を引き継いだ場合、企業風土や給与体系が異なるため、ぎくしゃくする場合がある。
②契約締結前に十分なデューデリジェンス(不動産・金融商品等の主要資産の実態調査)を行わないと、不良資産や簿外債務等を引き継ぐ可能性がある。
売手側のデメリット
①労働条件の異なる部分は、買手側の労働条件にあわせて変更されることが多い。
②売手側に対して大幅なリストラを要求してくる場合がある。
③売手側が創業者利潤だけを追求し、従業員への配慮を怠ると、従業員が離反し反感を買う可能性がある。

つづく
(次回はM&Aの手順を図表を使って説明します)

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