経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

遅過ぎる日本の政策

2020-04-29 17:58:05 | ひとりごと

 もちろん以前から分かっていたことだが、今回の新型コロナウィルス騒動によってより明確にされたのが、日本政府と官僚のスピード感の欠如であろう。まず入国規制の遅さにはじまり、PCR検査体制の遅さ、陽性患者の隔離場所の確保の遅さ、マスク・除菌グッズの普及の遅さ、マスク配布の遅さ、減収世帯への支援の遅さ、アビガン承認の遅さ、緊急事態宣言発令の遅さ、などなど数え上げたらきりがない。

 これほど何事にもスピード感の伴わない国は、世界でも珍しいのではないだろうか。多分その諸悪の根源は、日本人の国民性と官僚の体質にあるのではないかと推測している。
 まず一番問題なのが、「事なかれ主義と前例踏襲」を常とする官僚の壁が、頑としてそびえ立っているからであろう。つまり責任を取りたくない官僚や閣僚たちが、責任逃れのための実験期間や調整期間をたっぷり使い、山のように書類を積み上げるからだ。従って状況に応じた柔軟な対策などは取れるはずもなく、まして画期的な政策などにチャレンジするはずがない。

 これは官僚だけではなく、銀行や大企業などにも同様の傾向がある。組織が大きくなればなるほど、そうした用心深さに染まってゆくのであろう。私自身は零細・中小・中堅・大企業と、大小さまざまな規模の企業を渡り歩いてきたが、やはり組織が大きくなるほどスピード感が薄れてしまうことは体験済みである。場合によって、その差は10倍以上になることがある。ただし品質的には、検査体制の整った大企業が勝るということも否めないだろう。

 だからこそ日本製品の品質レベルは世界一だと自負しても良いのだが、それは長年手掛けている既存製品に限定される。もはや画期的な製品(含むサービス事業)は、アメリカや中国に及ばない状況だ。品質面では難のある中国製品だが、機能が豊富なうえ価格面では日本製品の5分の1程度で販売している。まさにこの状況は、日本国内の中小・零細企業と大企業の構図そのものではないだろうか。

 だが今回中国の徹底した迅速なコロナ対策を見ていると、その手法と発想が中国企業に行き渡り、価格は日本製品の1/2程度に跳ね上がったとしても、品質面で日本と同等となるかもしれない。それが一番恐ろしい。多分その時こそ日本はコロナ対策と同様に、経済活動でも完敗することになるであろう。

 従って今回のコロナ災害は天の啓示と考え、従来の「用心深さ中心」の発想を改善して欲しいのだ。もちろんそれは品質を下げて良いということではなく、邪魔なだけで不要な偉い人の削除、無駄な根回しや従前の形式だけに囚われないという意味である。
 また企業はどんどん殻を破って新製品にチャレンジして欲しいし、官僚たちは今後想定外という言葉を消滅させ、あらゆる事態が起こってもすぐに対処できるマニアル創りを率先すべきである。また事なかれ主義に陥らないよう、それらを行った人にも適正な評価を行うことも急務であろう。

作:蔵研人

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一律現金給付がダメな理由

2020-04-07 16:30:37 | 経済ニュース編

 政府は新型コロナ対策として108兆円規模の経済対策を実施することを発表し、生活困窮世帯に対しては30万円の給付を確定した。またその給付方法については迅速運用を目指して、自主申告制を採用することに決まったようである。これは大変良い決断だと思うのだが、なんと旧民主党だけではなく、与党の中にも国民全員に一律現金支給をすべきだという、経済オンチな政治家がいるというのだ。そんなバカなと思ったのだが、多分後先を全く考えず選挙対策だけのために、国民の人気取りをしようという政治家発想なのであろうか。

 これらの情けない現象は、無知で無責任または左寄りのマスコミの一部が、『国民全員一律現金支給』が一番優れているなどと囃し立てているからに違いない。もちろん目先の小さな欲に駆られて、そんな「一律音頭」に乗せられている国民も良くないのだが、「なぜ一律現金給付がダメなのか」をきちっと分かり易く説明しない政府にも責任があるだろう。

 まず経済学者をはじめ多くの人が錯覚しているのは、コロナウィルスによる生活困窮者などの救済対策と、コロナウィルスによって冷え込んでしまった経済を活性化させる対策を、ごちゃ混ぜにして考えているということである。もちろん政府が発表した108兆円規模の経済対策には、この二つの対策の双方が盛り込まれているのだが、当然その実施時期や手法については異なるはずである。
 
 まずいの一番に緊急対処しなければならないのが、生活困窮者などの救済対策であることは誰もが承知しているだろう。もしあなたがコロナの影響で仕事がなくなり、家賃も払えず明日の飯も食えない状況になったら、2万円や3万円を一律支給してもらっても糞の足しにもならないはず。最低でも一人当たり月15万円位は必要ではないだろうか。日本の人口を約1億2千万人として、もし全員に月15万円を給付したとすれば、全額で18兆円の資金が必要となる。

 また終わりの見えないコロナウィルス不況では、1か月分だけの給付で足りる訳もなく、最低でも1年分の給付支援が必要となろう。となると1年間で必要となる資金は216兆円という途轍もない金額に跳ね上がってしまう。現在日本の国家予算は一般会計と特別会計を合わせて約300兆円であるから、生活困窮者救済のために、国民全員に一律現金給付をしたとすると、まるで国家予算並みの支出となってしまうのである。

 経理マンの皆さんなら、もうここまで話せば、なぜ一律現金支給がダメなのかはお判りいただけただろう。そういくら政府でもこんな大金は簡単に動かせるはずがないのだ。もし日銀が無理矢理紙幣を印刷してばら撒けば、一瞬で大インフレとなり物価が急騰し貯金の価値は目減りしてしまうだろう。だからいっとき15万円もらっても、多くの人にとっては全く間尺に合わない計算になるのである。

 従ってとりあえず第一弾の『生活困窮者などの救済対策』については、一律現金給付方式ではなく、一定の条件を加味した自主申告方式ということで進めてもらうしかないのだ。
 そして第二弾目の『経済の活性化対策』では、まず被害の大きかった観光業界や飲食店などを支援するために旅行券や飲食券などの支給、また高速道路を一定期間無料化するなどの現物支給を行うべきであろう。そしてその次に全般的な経済活性化政策として、1万円程度の現金一律支給または、キャシュレスポイント還元の期間延長などを併せて行えばよいのである。さらにワクチンや治療薬、酸素吸入器、病床の確保などの医療にかかわる支援を随時行うことも必須であろう。

 まず政府は、上述したように国民が納得できるよう『一律現金給付のダメな理由』をしっかり分かり易く説明し、経済対策の分類やその中味の具体策、並びにそれらの実施時期などについても速やかに公表すべきであろう。

作:蔵研人

 

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続々・コロナ不況対策

2020-04-04 17:19:03 | 経済ニュース編

 やっと政府は一世帯当たり30万円の現金を給付する方針を固めたようである。そしてこれは一律支給方式ではなく、本ブログで提案していた『自主申告方式』であることが非常に評価できるではないか。
 ただ今のところ具体的な支給基準や支給手続きについて発表されていないため、一定収入があるのに「私はもらえるの?」というような図々しい疑問や、給付詐欺などに対する不安を隠せない人々も多いようだ。

 それらについては、前回の本ブログでも提案済であるが、とりあえずはコロナ不況の影響により、明日の飯も食えなくなりそうな人々が支給対象なのだと理解して欲しい。またそれ以外の経済対策については、いろいろなやり方があり、引き続き検討するものの、実施時期はコロナ終息の見込みが立つ頃がよいだろう。つまり今現在は不要不急の行動を慎まねばならないときなのだから、経済対策のために商品券などをバラまいても、生活必需品の購入にしか当てられず、コロナ不況で困っている観光・レジャー・外食産業などには使用されないからである。

 さて政府は自主申告制は、性善説に基づくなどとお人好しな発言をしているが、それだけは間違いであろう。マスク買占めの件を考えても分かるが、この制度を悪用する者は必ず現れるはずである。
 もちろん一律現金給付しか思い付かない無責任な旧民主党議員たちの提案は話にならない。そして『自主申告と簡単なチェックで現金支給』というオペレーションは大正解である。ただこの制度を悪用する『コロナ給付詐欺』に対する防止策として、次の3つの作戦だけは忘れないで欲しい。

1.現金の給付先の銀行口座は、少なくとも2019年以前に創られたもので、日常的な入出金が行われている口座であること。これにより架空口座への給付を防止できる。また銀行側でも、この条件に当てはまらない場合は入金拒否処理を行うこと。

2.悪用した者に対する罰則として、例えば3倍返しや懲役などの厳しい罰則を決め、事前にその旨をアナウンスし周知させることが肝要だ。

3.政府や役所では、給付処理後に再チェックを行い、怪しい申告者については追跡調査により悪用者の逮捕につなげること。

まあ今回はこんなところで・・・。

作:蔵研人

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