近年シニア層や中高年を中心に健康麻雀が流行しているという。なぜ健康麻雀という名前が付けられたのかというと、賭け金無し・煙草無し・飲酒無しと三拍子揃った健全な麻雀だからである。従来麻雀と言えば、「酒と煙草に塗れながら深夜あるいは夜を徹してまで続ける博打」というイメージが纏わりついていたものだ。それらの悪毒を全て排除するのだから、これはもう囲碁将棋と同様、プライドだけをかけた頭脳ゲームということになる。
もちろん基本的なルールは全く変わらないのだが、博打要素を排除したため「特殊役」や「ご祝儀」などは一切つけない。だから公民館などの公共施設でも健康麻雀であれば、サークルとして認めているようである。但しその場合は、雀卓や麻雀牌などはセルフで準備しなくてはならない。いずれにせよ、公民館を利用できれば雀荘のような高額の場所代を支払わなくて済むし、利用時間に制約があるため、きちっと時間通りに終了することができるのが嬉しいのである。
考えてみると、賭け事は基本的に勝者は存在しないものである。つまり胴元が損をする訳にはゆかないので、胴元の最低取り分(テラ銭)だけは担保されているということである。従って平均的に考えれば、テラ銭部分は損をする仕組みになっているものなのだ。もちろん一時的に大勝する者もいるかもしれないが、あくまでも永遠に続けた場合は、統計的に誰も勝てない理屈なのだ。
では胴元のいない麻雀の場合は、強いやつが儲かるはずだろうという者がいるかもしれない。ただいつも負けてばかりいれば誰もやらなくなってしまうので、そこそこ同じようなレベル同士で卓を囲むため、あとは運次第ということになる。また長い目で見れば、やはり運も同じように巡ってくるものである。
結局のところ、長期的には殆ど差がなくなるのだがそれだけでは済まない。つまり胴元と呼ぶものは存在しないものの、雀荘の場所代・飲食代それに加えて、帰りのタクシー代などがかさみ、全員が負け犬という結果になるのだ。さらに前述した「特殊役」や「ご祝儀」などには、麻雀自体の通常点数より何倍もインフレ水増しした金額などを設定している場合もあり、通常ルールだけなら5000円程度の負けでも、それが10倍以上に膨れ上がることがある。
そんなことが続いたこともあり、公認会計士や銀行員との接待麻雀も廃れ始め、40代後半ころを機に「不健康な麻雀」はずっと封印していた。それから30年の時が流れ、年金生活者を続けているとき、囲碁将棋の仲間から健康麻雀の誘いを受けたのである。もう点数計算も忘れたのでと辞退したのだが、何度も誘われいつの間にかメンバーに引きずり込まれてしまった。
だがやり始めてみるとなかなか面白い。と言うよりは博打要素が全くないので、負けても勝ってもあっさりしていて、ストレスゼロなのが非常に嬉しいのである。そして囲碁将棋のように必死に考えることもなく、軽口をたたきながら遊べるし、負けても勝っても運のせいにできるので気が楽なのだ。そのせいか不思議なことに、かなり勝率が良く楽しさも倍増している。こんな年齢になって、趣味がまたひとつ増えたのがありがたい。
作:蔵研人
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