経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

忙しい忙しいを連呼するおじさん達

2011-11-30 11:53:49 | サラリーマンは魔術師

 どうも日本人は、と言うより日本のサラリーマン諸氏は、忙しいという事に生きがいを感じ過ぎていないだろうか。だから「お忙しいところ申し訳ありません」とか、「お忙しいでしょうね」とかが、目上の人や得意先に対するお定まりの謙譲語になっている。
 ある人は、予定表がビッシリ埋まっている手帳を得意げにみせる。またある人は、やりたいことは沢山あるけど、忙しくてやる暇がないよ。といって嘆いてみせる。
 確かに窓際族のように、暇で暇でしょうがない人に比べれば、忙しいほうがマシかもしれない。ただそれにしたって、たかが会社の中だけで忙しいのであって、個人的或いは社会的に忙しい訳ではないだろう。もしかすると、会社以外の部分では、全く閑人なのかもしれないのだ。

 まあこんなことでムキになる必要もないのだが、ある人が「今度飲みに行かないか」と誘うから、翌朝が辛いので「出来れば金曜日にして欲しい」とお願いしたところ。金曜は1年先でも絶対ダメだという。
 もしかして、NOVAにでも通っているのかと聞くと、「万一上司に誘われた場合に断れないから」という回答だった。そもそもこのおじさんが上司に誘われるのって、年に2回位なんだぜ。
 これを聞いて驚き、失望して、もうこいつとは絶対飲みに行くものかと決意した。
 時間なんて言うものは、自分自身が創り出すものではないか。あとはプライオリティーの問題だけである。だからこんな失礼な話はないのだ。
 誠実な人ならば、特別な場合を除いて、約束は早いもの順に優先するはずだろう。一体こんな決断も出来ずに、忙しい忙しいと叫んでいるサラリーマンこそ、定年後は粗大ゴミと罵られ、女房から三下半をつき付けられるのだろうね。
 あ~ヤダヤダ、しかし日本のサラリーマンには、なんでこういうオヤジ達が多いのだろうか。

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社長を尊敬し右腕として仕事を遂行する

2011-11-29 09:38:12 | 達人経理マンへの道

  中小・零細企業の創業者社長は、ほとんどが営業畑か技術畑出身の人間である。稀に経理マンや人事屋から起業する者もいるが、余程のコネがないと起業は難しいだろう。従って中小・零細企業の社長たちは、自分の不得手な分野である事務処理能力の高い人材を求めているはずである。しかしながらお金が絡むため、現実には、赤の他人の経理マンを雇うより、多少能力は劣っても縁故で信用できる者に経理を任せがちである。そうして難しい事務処理は税理士頼みというパターンが多いようだ。

 しかし将来会社を大きく発展させようという野望をもった社長なら、間違いなく有能な経理マンを雇おうと考えるはずである。またそうしないことには、いつまでたっても個人企業から脱却出来ないのだ。 
  また税理士に出来ることは、基本的には税務と会計に関することだけであり、会社経営全般についての相談や社内の細かい事務処理などを頼むわけにはゆかない。もし頼めたとしても法外なコンサル報酬を請求されるか、的外れで無責任な回答しか得られないだろう。会社のことは会社の内部で毎日事業を運営している者が一番よく判っているものなのだ。ただトップを恐れる余り、それを誰もが納得できる理論としてまとめたり、進言したりしないだけの話である。

 トップに対して、会社の行く末について冷静に話し合うためには、一にも二にも信頼関係を築くよりないだろう。そのためには、職務能力を発揮するだけではなく、秘書的な役割も進んで行い、トップと常に行動を共にし、心底トップを尊敬していると信じさせることが肝要である。
 私の知っている中小企業の社長室長は、真夜中に社長宅から自宅に電話があっても、直ちに駆けつけ、それが社長宅のゴキブリ退治などというバカバカしい用事であっても、決して嫌な顔をせず対処したという。そして彼は20ヶ月以上の賞与を獲得していたのだ。ここまですると少し嫌味でやり過ぎの感もあり、ただのゴマスリと見られる可能性もある。ただ時としては、このような心意気が必要であることは間違いないだろう。

 少なくとも、仕事は正確にテキパキとこなし、決して不平不満は漏らさず、会社の発展のためには、プライペートな時間も献上するくらいの心構えを持たなくてはならない。また社長の趣味の中で、多少でも興味が持てるものがあれば、今日からでも研究してみよう。そして社長に教えを乞うのである。
 それから間違っても、社長より上達してはいけない。だからといって下手糞でも相手にされないだろう。囲碁でいえば、一目くらい弱いのが一番である。
 これはあくまでも信頼を勝ち取るための布石であり、決して単純なゴマすりではない。そして信頼を勝ち取ったら、いよいよ本番である。今度こそは仕事の話しや会社の将来の展望について、酒でも飲みながらじっくり話し合おう。

 だが図に乗ってはいけない。調子に乗りすぎると、せっかく築いた信頼関係が崩れ落ちてしまう場合があるからだ。急いては事を仕損ずるのだ。あくまでも頭は社長であり、経理マンはその右腕に過ぎないということを肝に銘じておかねばならない。
 利口な社長なら、有能で信頼できる部下は大切にするはずである。もし一生懸命、誠実に、これだけ礼を尽くして話しても、話を聞こうとしない社長であれば、そんな会社には未来がないだろう。その時は残念だが、さっさとそんな会社は見限ってしまうことである。

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役に立つ会社設立の実務手順

2011-11-28 11:19:23 | 達人経理マンへの道

 達人経理マンたるもの、会社設立の実務処理くらいは覚えておこう。通常は子会社の設立にしか役立たないが、少なくとも大まかな手続きを知る事で視野が広がり、思わぬときに役立つものなのだ。また子会社の設立には、他部署の人がたずさわるので、即座に設立に必要な資料の指示などが出来れば、「あいつはプロだという評判」が立つこと間違いなしである。その風評こそが肝心なのである。達人になるには、まず他人に「あいつは達人だ」と思わせなくてはならないのだ。

(1)株式会社設立の手順

①会社の商号(名前)、本店の所在地(住所)、会社の目的(事業内容)の決定をする 

②法務局での類似商号の調査 
本店の所在地がある市区町村内に同業・同名(または類似している)会社が登記されているかどうかを調査することである。会社法施行後は、従来の類似商号規制は廃止されたものの、同一の所在場所における同一の商号の登記は禁止されているので、既に登記している会社から損害賠償請求をされるリスクがないわけではない。従って、登記所には会社法施行後も類似商号調査簿が置かれているので、自主的に「同一の所在場所」における「同一の商号」を調査しなくてはならない。

③印鑑の作成および印鑑証明の取得
類似商号の調査が終わり、とくに問題がなければ、会社の運営上で必要になる代表印の作成をして印鑑登録する。また、以後の手続きに必要になるので、印鑑証明書も取得しておくこと。

④定款作成および定款の認証 
会社の商号、本店、目的以外で決めなくてはならない事項を定め、会社運営上での基本的ルールとなる定款を作成する。定款は公証人役場で認証を受け、はじめて法的効力を持つことになる。このとき必要な書類は次の通り。
定款 3通
発起人全員の印鑑証明書
発起人全員の実印
認証手数料50,000円と謄本の交付手数料2,000円程度
収入印紙40,000円分(電子認証の場合は不要)

⑤出資金の払込み 
出資金を払い込む方法は、「金銭による払込み」と、「現物出資による給付」の2通りがあるが、通常は前者が一般的である。
 まず設立時の発行株式について、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数、引換えに払い込む金額、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金に関する事項を決定する。そのためには、発起人全員の同意を証する「発起人同意書」を作成する必要がある。
但し前記の項目について、既に定款で定めている場合には、「発起人同意書」の作成は不要となる。従って簡単に進めるためにも、全て定款に記述しておこう。
次に発起人代表の個人口座を新設し、そこに出資金を振り込む。
 
⑥議事録などの必要書類および登記申請書の作成 
会社設立の登記の申請書及び添付書類として必要になる取締役及び監査役選任決定書、就任承諾書、取締役会議事録、調査報告書を作成する。

⑦設立の登記の申請 
申請書類一式が揃ったら、会社設立の登記を法務局(登記所)に申請することになる。そして、登記申請年月日が会社の創立日になるわけである。

⑧諸官庁への届出 
会社設立の登記が終わったら、税務署、都道府県、市町村、社会保険事務所、労働基準局などに設立届出書を提出し、法的な届出は終了することになる。

 設立登記申請書類一式については、日本法令の設立登記申請届出様式集が5000円程度で販売されている。従って、これを使えば簡単に書類の作成が出来るし、届出の手順も全て網羅されているので判り易い。
 会社設立の手順と事務手続きについては、前述した通りだが、では一体株式会社は、何人の発起人が必要でいくらあれば設立出来るのだろうか。

 旧商法時代は、7人以上の発起人と1000万円以上の資本金が必要であった。ところが会社法施行後は、これが非常に簡単になり、発起人1人、資本金1円で株式会社の設立が出来るようになってしまったのだ。
 従前は形式上の発起人を決め、それらの人全員に印鑑証明書の取得等をお願いして歩かねばならなかった。これが一番面倒であり、また個人で1000万円用意するのも大変であった。とにかく会社法施行は零細企業にとっては非常にありがたい法律改正だったのである。
いずれにせよ、機会があれば一度会社設立登記事務をしてみることだ。「この会社は私が創ったのだぞ!」と思えば、かなり自信が出てくるはずである。

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ニコチン中毒者達の遠吠え

2011-11-27 17:44:31 | サラリーマンは魔術師

 もう20年も昔の話である。転勤先の静岡工場から本社に出戻りしたとき、私が一番驚いたのは、本社中に漂う異様な雰囲気だった。工場へ転勤する前の本社は、戦前からのボロ社屋ではあったが、どこかほのぼのとした空気が漂っていた。ところが3年間工場で修行を重ねているうちに、本社のボロ社屋は取り壊されて、新しいビルに移動してしまったのだった。

 若者や女子社員たちは、新しいビルに移って大喜びだったが、私には何か違和感がつきまとう。まだ事務所内は禁煙ではないのに灰皿がないのである。仕方がないので自前の灰皿でタバコを吸った途端、あちこちで女性たちがわざとらしく咳をするのだ。なにか気まずい雰囲気が広がっている。そういえばヘビースモーカーだったK部長も、何故かタバコを吸っていない。

 あとで判ったことだが、去年あたりから社長が禁煙したおかげで、取り巻きの偉い人たちが、こぞって禁煙を始めたというのだ。さらに最近四大出の女子が急増して、彼女たちが会社の灰皿を隠してしまったという。そして誰かがタバコを吸うと、示し合わせたように咳込むらしい。
 また女性のお茶出しがなくなり、廊下の隅に自動給茶器が置いてあった。そして当然のように、自分の机は自分で拭くことに変革されていたのである。

 これまで女性というだけで、会社の雑用を押し付けられていた女性たちが立ち上がったのだろう。男性陣にとっては、なんだか味気ない気分であったが、それまでが間違っていたのだと考えるしかないだろう。
 それは仕方ないとしても、いつの間にかタバコが悪者に成り下がってしまったのが寂しい気分だった。ただまだその頃は、禁煙になっていたわけではないので、女性たちの『蔑視の眼差し』さえ気にしなければ事務所の中でも吸えたのである。

 しかしそれも時間の問題で、数年後には『喫煙室』以外での喫煙が全く出来なくなってしまった。ところがこの『喫煙室』はかなり好評で、現在でもあらゆる会社で設置されている。
 第一に、火災対策上最も有効だし、煙害もシャットアウト出来る。また何よりも、この喫煙室の中での会話こそ、最大の情報交換となるのである。
 ことに酒の嫌いな者にとっては、非常に貴重な場である。またどちらかというと、酒のほうは特定の人と飲む習慣があるため、得られる情報も限定的だ。
 その点喫煙室の中には、あらゆる職場の人が集まるので、ホットで多角的な情報が得られるのである。だからタバコを吸わない人だけが知らないで大恥をかくこともあった。

 さらには情報だけではなく、喫煙室の中で趣味や感性の合う友達を発見することもあるのだ。
 喫煙者にとっては有用な施設であるが、タバコを吸わない人にとっては、無駄なスペースであり、サボリの場にも映るのだろう。最近はこの唯一の『癒しスペース』を廃止する会社もあると聞く。
 それに追い討ちをかけて、病院のように敷地内全禁煙のビルも出現し始めている。駅や路上も禁煙、乗り物も禁煙、もちろん家庭内も禁煙では、「一体ニコチン中毒者はどうすればヨロシイのでしょうか。」

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中小企業こそ有能な経理マンが必要なのだ

2011-11-26 09:12:55 | 達人経理マンへの道

 大企業と中小企業の経理が、いかに異なるかは前稿で述べた通りであるが、大企業の最大の欠点は、セクショナリズ厶に偏っていることだろう。本来は大企業の人材のほうが優秀なはずであるが、そもそも仕事をしなければ話にならない。実力とは、仕事を覚えるところが始まりだからである。
 以前TVのドキュメンタリー番組で、上場会社が頭を下げて、零細企業の技術を買いにくる、という話を観たことがある。また米国のミサイルに、錆び止めメッキを施しているのも大田区の零細企業だという。世界一小さな穴を開ける職人も中小企業に勤務している。

 このように技術的な仕事は、一番能力発揮がし易いし、他人にもはっきり見えるものだ。分かり易い点では、営業活動に関しても同様であるが、信用力という面で大企業に軍配があがってしまう場合がある。
 では経理のような事務屋の場合はどうであろうか。大部分の零細企業では、社長の奥さんが経理を握っている。安全性と人件費の節約という面では、この体制で十分なのだが、将来会社を大きくしようと考えているのなら、いずれ経理も他人に委ねなくてはならない。

 このような状況だから、零細・中小企業で経理の仕事といえば、とにかくお金のやりくりと、目前の事務作業をこなすことが最優先で、成果や中味の質などはどうでもよいと思われ易い。また面倒なことは、税理士に頼めばよいと考えている社長も多く、経理マンにそれほど多くを望まない会社が多いことも否めない。
 だが良く考えてみて欲しい。会社が小さくなればなるほど、経理マンの職域も広くなるのである。単に金の出し入れと、帳簿付けだけの事務員を雇うのは、逆に無駄使いというものである。

 大企業流に言えば、経理、財務、経営企画、秘書、人事、総務、業務の全ての仕事をこなせる人材が必要なのである。また逆に言えば、こんなスーパー経理マンは、大企業ではなかなか見つからない。これらの仕事を全てこなすには、時間が不足し過ぎているからだ。
 だが絶対的な仕事量の少ない中小・零細企業であれば、1人で十分にやりこなせる可能性がある。従って中小・零細企業は、スーパー経理マンが生れるインフラが整備されていると考えられるのだ。あとは本人のやる気と、社長の理解と包容力次第であろう。

 

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出世できない事を喜べ

2011-11-25 13:44:39 | たそがれ経理マン編

 サラリーマンなら誰でも出世したがると思ったら大間違いである。私自身もそうだが、私の回わりにも、少数ではあるがそうした人が増え始めている。といっても所詮それは負け犬の遠吠えだと反論されるだろう。
 男なら誰だって負けたくない。ただ何に勝つかである。昔なら腕力でケンカに勝つのが男の勲章だった。しかし現代では頭を使って出世する事が男の勲章らしい。

 では出世って何だろう。有名人になることかな?或いは金持ちになることか?それとも名士になることかな?
 サラリーマンの場合は、人生の大半を「会社村」で過ごしているのだから、その村でのポジションが上昇することが、一番嬉しいのだろう。だから一般的には上場企業なら取締役以上、中小企業なら社長になることが出世した人といわれるらしい。 ところで過激な出世競争を制するには、努力も必要だがパワーや運も必要不可欠だ。だがある人が出世するには、周囲の人々がかなり迷惑を蒙り、本人自身が失うものも少なくはないのだ。
 得るものといえば、短ければたかだか2年、長くても約10年位の役員というポストだけである。それでも米国なら桁外れの報酬を得られるが、日本ではタカが知れている。日本人の場合はどちらかと言えば、金よりも「役職という名誉」で満足してしまう傾向がある。

 だが逆に失うものは図り知れない。公務員でも、キャリアの人達は早朝から深夜まで仕事漬けになるという。もちろん仕事とは、会社や役所でする会議やデスクワークだけではない。得意先や上司・同僚などと酒を飲み、ゴルフ等に行くことも含めて仕事なのである。
 やがては家族団欒を失い、本当に自分がやりたい事を見失い、親友さえも去ってしまうのだ。だがなんといっても一番怖いのは、健康を損ない早死することであろう。

 とは言うものの、大部分のオジさん達は、そんな事には無頓着で、会社関連の忙しさだけを心底楽しんでいるように見える。そして失ったものなどなにもない、得るものばかりの人生と思い込んでいるに違いない。
 まあ死ぬまでそう思い込んでいられる人々は、恵まれているというか、幸福な人なのだろう。殊にある程度裕福な70才前後の老人達には、その傾向が強いかもしれない。
 彼らは恐らく日本で一番恵まれている世代であろう。戦争にも行かず、バブル経済を謳歌し、年金も満額受け取り、男尊女卑の世界であぐらをかいてきた。だから何も失っていないのだと錯覚しているし、その誤った価値観すら誰にも避難されないのだ。

 このオジさん天国の構図が完全に破壊されたのが、いわゆる団塊の世代からである。バブル崩壊の洗礼を真っ先に受け、それまで上司達が謳歌してきた「美味しい人生」を目前にして、あっという間にリストラ地獄の尖兵を押し付けられてしまったのだ。
 さらに悲しいかな、団塊の世代はある部分で若者達の袋叩きに遭遇している。団塊の世代こそ、諸悪の根源だと思い込んでいる若者も多い。確かに人口の大きさが与える社会的影響力は計り知れない。しかし苦境の当事者であっても、諸悪の根源であろうはずがないではないか。そんな力はこの世代にはないのだ。

 団塊の世代が平社員のころ、課長になれば大変な出世であり、交際費も使い放題で、部下達も同価値者ばかりだった。そして上司達は、パワハラもセクハラもやりたい放題。ある上司に「女子のお尻も触れないようでは一人前にはなれない」などと大真面目に説教された事もある。今こんな馬鹿なことを言ったら、たちまち告発されて出世レースから完全に脱落するだろう。古き良き時代だったのである。

 ところが団塊の世代が課長になる頃には、役職バブルが勃発し、石を投げれば課長に当たるほど、管理職が大量生産されてしまったのである。(最近では課長どころか部長・室長などもインフレ傾向だが)だから課長の権威は失墜し、誰も課長如きには恐れなくなってしまった。
 また部下の価値観が大きく異なってきて、オジさんと酒は飲みたくないと考える若者達が激増している。しかもパワハラやセクハラを行えば、一瞬にしてクビが飛ぶ。
 さらに経費削減で「交際費」は使えなくなり、部下達より小遣いが少ないので、安い居酒屋へ連れていっても、バカにされるのがオチである。ましてや遅くまで遊んでいると、妻に文句を言われ、子供達にも疎まれる時代になってしまった。

 役職バブリーな状況であっても、いきなり役員にはなれない。従って課長や部長を経験しないわけにはゆかないのである。まあ普通の人なら誰でも課長くらいにはなれるが、そこから先は道が少しずつ狭くなる。そして心身ともにズタズタの運命が待っているのだ。
 だからと言って、何歳になっても平社員では、男のプライドが保てない。同期に抜かれるばかりか、かつて指導した後輩が上司になる事だってあるのだ。
「俺は割切って気にしない」という人もいるが、決して本意ではないだろう。心の奥底を覗けば、グチャグチャに潰れたプライドのかけらが、散乱しているに違いない。

 そして男たちは、プライドを保つために戦う。結果として会社に利用されて、大部分の人々はボロクズのように捨てられるのだ。それでも男たち、いやオジさんたちは戦いを止めない。なぜあえてオジさんかと言うと、男達の戦いが始まるのが、同期が課長になった時点だからである。
 その点、公務員はいいね。初めからキャリアとノンキャリアが決っているので、少なくともノンキャリアは戦う必然性がない。そして減点がない限り、一定の給与が保証されている。だからサラリーマンのように、ムキになって働かないし、事なかれ主義に徹するのは当然だろう。

 だが最近公務員も、このキャリア制度を見直す動きがあるようだ。とにかく世の中段々厳しくなってくるよね。だからと言って逃げることも出来ず、奴隷のようなガンジガラメの人生が、果てしなく続いてゆくのだ。
 ところで出世を望まない人は、絶対に出世出来ないということも真実である。厳しい出世競争に勝つには、「出世するぞ~!」という猛烈なパワーが必要だからであることは言うまでもない。
 だからこそ、全てを犠牲にしても突き進んで行けるエネルギーが発生するのである。妙な例えで恐縮だが、『死後の世界』があるとすれば、天国へ行くのも地獄へ行くのも、死者の魂が自分で決めるのだと言う。現世でもそれと同じではないだろうか。

 しかしながら、それは始まりの終わりに過ぎない。その先の「長い出世峠」を乗越えるためには、何よりも体力と犠牲と一途さが必要であり、運に左右されることも多い。私にはそんな体力も気力もないし、価値観を絞りきることも出来ない。つまり「出世能力」が無いのだ。だから最初からこのレースには参加しなかった。と言いつつも不参加者としての寂しさが無いといえば嘘になるだろう。
 それと定年間近になって、やっと「自分の欠点」が見えてきた。子供の時から苦労人で、社会に出てからも経理の勉強を欠かさず、仕事の処理能力を自画自賛し過ぎた自分の傲慢さと生真面目さである。そのためにどちらでも良いような小さなことにも拘り、何度も上司と言い争ったりしたのである。ゴマをするとかではなく、他人には他人の価値観がある。その価値観も一切受け入れず、些細なことでも自分を正当化したがる「わがままさ」が重大な欠陥であったのだ。

 サラリーマンの出世など、所詮は周りの人たちの評価で決まるのである。仕事が出来るとか出来ないとかというレベル以前に、人間的に魅力があるかどうかなのだ。集団で会社を動かす以上、それは重要なファクターである。そんな初歩的なことに気が付くのに約半世紀も費やした自分が恥ずかしい。
 だから今の気持ちのまま、タイムマシンに乗って40代に戻れば、もしかしたら出世していたかもしれない。といっても、決して今までの生き方を否定するものでも、後悔しているわけでもない。先に述べたように、出世した人はそれなりにその代償が大きいからである。
 まず経理的な技術の取得は余り得られず、趣味も限定的にならざるを得ないし、なんといっても平和で暖かい家族環境を維持できなかっただろう。人それぞれだから、誰にでも当てはまる論理とは言わない。だが私は負け惜しみではなく、「出世しなかった」ことを素直に喜びたい。

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税理士の有効な使い方

2011-11-24 10:39:02 | 達人経理マンへの道

 大企業の場合は、国税局あがりの税理士を顧問に抱えている例が多い。というのは経理部の中には、税理士以上の税務知識を持っている者が多いからである。だから本を読めば判るような通り一遍の知識ではなく、税務当局の本音や運用面での取扱いのほうを知りたいのだ。
 税務というものは、白黒ハッキリしない事例が多く、国税局側の調査方法や是・否認の判断基準を知っていれば、事前に対策を練り易い。敵を一番知る者、すなわち敵を仲間に引き入れることが有利となるからである。

 以前は国税局調査部の統括官が、直接担当企業を訪問して、税務職員の定年後の天下り顧問を依頼するパターンが一般的であった。現在では、担当調査部門の統括官が企業に直接出向くのは誤解の元になるという事で、国税局の総務部門が企業にお願いに来る。
 まあいずれにしても、民間サラリーマンには縁のない制度なので、一種の天下りには違いない。バブル絶頂期には、こうして天下りしてくる税務職員を、顧問税理士として7名も雇っていた超大企業もあった。

 さて大企業の場合は、前述した通り税務調査における軍師として、国税出身の税理士を使いたい。そのためにも、法人税の調査現場を経験している者を選んだほうがよいだろう。さらに海外取引の多い企業では、大手監査法人系の税理士法人と付き合っておかねばならない。その場合、かなり報酬が高額になるので、顧問契約を結ぶかスポット依頼をするかは、状況を見ながら慎重に判断すべきである。

 また中小・零細企業では、大企業のように何人も税理士を雇うわけにはゆかない。優秀な経理マンがいれば、税理士の役割は税務調査時の用心棒位である。だが、中小・零細企業は、税務調査が行われる頻度が極めて低いので、場合によっては不要ともいえる。しかしながら、全てを経理マンに任せ過ぎると不正の原因になりかねない。従って前項でも述べた通り、税理士に年二回程度「税務監査」を依頼することにより、内部統制機能を働かせるほうがよいだろう。

 もちろん社長や奥さんが経理をやっているような超零細企業では、税理士は「帳簿屋」と割り切るしかない。たぶん税理士のほうも、報酬に見合った働きしかしないだろう。
それが不満なら税理士などあてにせず、優秀な経理マンを雇い自前でなんでもやることである。但しそのほうが事務コストは高くなるので、会社を今後どのようにしたいのか、また税理士に何を求めるのかを明確にしてから再判断すべきだろう。

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いじめられた中高年転職

2011-11-23 10:10:02 | たそがれ経理マン編

 50過ぎてからの中途入社は、気をつけなくてはいけない。神経が細かいくせに気の強い人は特に要注意である。必ずといってよいほど3O~40前後の脂の乗りきった、職人タイプのプロパーにいじめられると覚悟しておこう。それでも職種が全く違えば救われるが、似たような職種の人には気を付ける事。

 

 そもそも50過ぎてから入社する場合は、トップとのコネとか、ハイレベルの技術を持っている人が多い。それでいきなり役職に付く場合も少なくない。

 ところで前述のプロパーさん達は、かなり自信過剰だし、自分が思う程社内で評価されていないことに不満を感じている。そんなところに何処の馬の骨とも知れない奴が入ってきて、自分より上の役職に付く事自体が不愉快なのである。

 

 それでも腰が低く、上手におだててくれるような明るい侵入者なら許してくれるかもしれない。というより乗せられてしまうのであるが、侵入者にその手の能力がない場合は、絶対に上手く行かない。

 そもそもが、サラリーマン上手でないから、中途退社して再就職するのであり、だから当然いじめられる傾向にある、と考えたほうが間違いないだろう。

 

 私が50歳を過ぎて、とある中小不動産会社に転職した時、四十前後の部下が二人ついた。一人は銀行との交渉に長けた、信用金庫出身の古株男性。今一人は私より半年先に転職してきて、経理全般を担当しているハイミスだった。

 社長に期待されてはりきって入社したものの、私がやるべき仕事は殆んどない。この二人でも残業ゼロ状況であった。

 こんな小さな会社で「経理部長でござい」と、ただ座っているだけでいいはずがない。一体何のために雇われたのか疑問だったが、暫くして社内事情が掴めてくると、だんだんその理由が判ってきた。

 

 どうも私の部下二人は、社内では鼻つまみ者で、社長もそんな彼らを辞めさせたいらしい。だが法に触れる悪事をするわけでなし、かつ中核的な仕事を握っているため、あとでしっぺ返しが怖いので余り粗雑に扱えない。

 そんなジレンマを打破するため、私を助っ人として雇ったようである。そして将来タイミングを見計らって、彼らをクビにしても困らないための押さえでもあった。

 そんな社長の思惑を薄々感じたのか、彼等のガードも固い。男のほうは、何を話しかけても、一言二言返すだけで話が続かない。また女のほうは、自分の仕事を絶対離さない。

 そして二人とも、何処に何があるのかさえ、教えてくれないのだ。そのうえ朝くるのが遅いので、事務所内の掃除はいつも始業30分前に来ている私の役割になってしまった。

 

 まあそんなことはどうでも良かったが、ほかに仕事がないのが辛い。彼等に仕事を分担しようと提案しても、全く無視された。挙句の果てに、男からは「倉庫の中が目茶目茶なので、書類の整理をしてくれ」と言われる。 

また女からは「郵便物の集配をしてくれ」と言われたのである。

 一体お前達は何様だと思っているのだと怒鳴りつけたいのをじっと辛抱し、とりあえず倉庫の整理だけはやることにした。何処になにがあるのかを教えてくれない以上、倉庫整理をしながら書類の在り処を調べることが先

決と考えたからである。

 

 毎日作業着に着替えて、書類の山との孤独な戦いが続いた。しかしそのお陰で、どうやらこの会社の書類などの所在を確認することが出来たのは嬉しかった。そしてその中で、何とかこの会社の過去を知り、自分のやるべき仕事を探すことも出来た。

 といっても倉庫整理と過去帳調べが終わると、また毎日退屈な日々が続く。普通中小企業の経理部長なら、決算を行ったり資金繰りをしたりするものだが、その全てを部下の二人が握っていて死んでも離さない。

 また資金繰りといっても、お金がなくなると、支払いをジャンプするとか、いかがわしい不動産ファンドをユーザーに売りつけたりするのだ。そしてそれらのクレーム対応だけが私の仕事だという。会社のこともよく判っていない私は、ただただ「すみません」と頭を下げるばかりだった。

 

 また3万円以上の経費は全て稟議書を提出させ社長決済となっていた。この稟議書をチェックして、なるべく営業経費を使わせないよう営業部に勧告するのも私の仕事だという。

だが会社の事業も良く知らない新人が、もっともらしく稟議書に書かれた経費を、「こんなものは不要だ」と撥ねつけることが出来るはずがない。

 私の主だった仕事といえば、電話番と事務所内の清掃や倉庫整理、そして社外のクレーム処理と社内経費の締め付けだけなのだった。結局皆自分達がやりたくない仕事を、私に押し付けただけじゃないか。それでも大きな会社ならともかく、こんな仕事だけでは、11時間もあれば終わってしまう。

 

 そこで仕事を離さない女に、仕事を分担するよう再び交渉した。ところが女は開き直って絶対に、誰にもこの仕事は渡さないと、厳しい口調と眼差しを私に向けるばかりだった。

 とうとう堪忍袋の尾が切れて、私は大声で彼女を叱りつけ、職権で言うことを聞かせようとした。ところが女は、全く動じないばかりか「あんたのような役に立たない大企業出身者ばかりくるので、こちらのほうが迷惑しているのだ!」と叫びだす始末。

 だめだこりゃあ。その日は険悪なムードが充満した。翌日社長に呼ばれて、「よくやった、あれでいいのだ」と言われたが、どうもすっきりしない。

 

 昼休みに営業部の古参社員と一緒に食事をしたら、「以前問題ある女性社員を解雇したら、机全面に『殺してやる!』と彫刻刀で何文字も切り刻んであった。あんたも注意したほうがいいぞ」と驚かされた。

 嘘か真か分からないが、なにか身の毛のよだつようなおぞましい話だ。なんだか、だんだん嫌気がさしてきた頃、この会社の社員の平均勤続年数が、約半年だということが判明した。だから3年もいれば大威張り出来るのだという。

 もともと強気で、中小企業を渡り歩いてきた私だが、20年間上場会社勤務を続けているうちに牙を失くしてしまったのだろうか。それとも年を取り過ぎたのだろうか。いろいろな会社があるものの、この時ばかりは、やはり中高年からの転職は辛く厳しいのだ、ということを実感せざるを得なかった。

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外資系税理士法人には要注意

2011-11-21 14:01:11 | 崩壊する上場企業の経理

 日本の大手監査法人は、個人会計事務所の集合体から合併を重ねて巨大化してきた。そして2002年度施行の税理士法大改正を機に、税務部門を切り放して別途税理士法人を設立した。併せて海外の超巨大会計事務所と提携をしている。
 これらの税理士法人の主な仕事は、組織再編成・事業継承税務コンサルティング、M&Aトランザクション、海外税務コンサルティングなど、その組織力と海外ネットワークを利用したサービスとなっている。
 確かにこうして並べてみると、零細会計事務所には手がけ難い業務がほとんどである。またそのサービス内容から、クライアント側も大企業が中心となる。そのせいか、法外な報酬を恥ずかしげもなく請求してくるのだ。

 数年前にトップシークレットで、ある企業を買収するプランが論議された。私は特命事項としてそのメンバーに加わり、その買収プランの収支計算を行った。
 シミュレーションの結果、20億円以下の投資で納まれば採算がとれるという報告を行い、トップもそれに異論がなかった。ところが某大手銀行から天下ってきた役員の1人から文句が出たのである。
 素人の小僧っ子が創ったシミュレーションなど信用出来ないと言うのだ。それに専門家が創ったものであれば、取締役会で賛成しても責任をとらなくとも済むとも言う。
 そんなバカなと、思ったが、大先輩のご意見なので無視するわけにはいかない。だがこれから専門家に依頼している時間はないし、莫大な費用がかかるのも見えている。

 そこで私の上司が機転を計り、大手監査法人のコンサル部門に私の創った資料を全て渡して、シミュレーション部分だけ創ってもらうことにした。データが同一なので結果は変わるはずがない。結局は検算して清書してもらったに過ぎないのだった。
 約2~3時間、ペラ4~5枚の報告書で、手数料は百万円である。だが驚いてはいけない。こんなのはまだバーゲンセールである。
 もしこちらのデータを提供せず、始めから頼んでいたら数千万円はふんだくられていたであろう。私自身が作成したデータ部分は、資料代と社内人件費を加算しても、せいぜい20万円程度だと思う。こうしたコンサル会社が、いかに暴利をむさぼっているか判るだろう。

 またあるとき、欧州の子会社統合のために、大手税理士法人に欧州の税制について調べてもらったことがある。これも私の持っている参考書のレベルを超えていなかった。
 それで5百万円。しかも何か質問するたびに別料金をとると恫喝するのだ。これ以上予算をとれないので、結局は自分で調べるはめになってしまった。

 またあるとき、移転価格税制の事前申請手続きをするのに、約1億円とられてしまった。税理士法人の行った仕事は、移転価格税制の説明とか、当初の導入手続きくらいで、その後の膨大な資料づくりは、全て社内で行っているにもかかわらずだ。
 もちろん事前にある程度の幅を持った見積もりは受けるが、いつもレンジのMAXばかり請求してくる。あるときは、メンバーの偉い人の工数が思ったより増加したという理由で、見積りレンジを超える金額を請求してきた。
 このときは私もブチ切れて、大声をあげて文句を言ってしまったものである。そもそも税理士法人の偉い人といっても、ほとんど何もしないで会議に参加しているだけであった。そんなの関係ねえ、オタクらの勝手だろ!

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飲めない男の悲劇

2011-11-20 08:53:56 | たそがれ経理マン編

 男なら酒ぐらい飲めなくてどうする。そんなことを若い頃から言われ続けたが、20才になるまでは、意地でも酒は飲まなかった。だからと言って、律儀に「未成年だから」と、法律に従った訳ではない。
 実は父が大の酒好きであり、胃がんを患って42才の若さで他界したからなのである。下戸だった母は、父の生前から酒には理解がなく、酒を眼の敵にさえしていた。

 体を悪くしてからも、父は母に隠れて酒を飲み続け、とうとう命と引換えてしまったのだ。それで母は、私が子供の頃から「お前だけは酒を飲むなよ」と、念仏のように繰り返してきた。
 そのうえ私は、母の遺伝子を多く受け継いだのか、体質的にも酒が余り飲めない。神社で出された七五三の白酒も飲めなくて、当時三才だった妹が、私の分まで飲んでしまったくらいなのだ。

 そんな訳で、長い間酒と縁のない生活を送っていたのだが、あるパーティーの席上で、酒が飲めない事を散々罵倒され、完全にキレてしまった。料理の置いてあるテーブルに駆けあがり、ジョニクロを一気飲みしてしまったのである。
 そして「酒なんかなあ、その気になりゃ誰だって飲めるんだぜ。酒、酒って偉そうに言うなあ!」と大声を張り上げた。
 この怪挙?に急に座は白け、気分が悪くなった私は、トイレに駆け込む始末。そしてトイレの鏡を見て驚愕してしまった。
 鏡の中から青紫色の顔をした『死神』が私を見つめていたのである。心臓がドックン、ドックンと脈打ち、天井がグルグルと回わり始めた。
 もう立つことも叶わず、ヨロヨロと廊下に出て、そのまま寝こんでしまったのだ。このときばかりは、もう死ぬのだと観念したが、気がついたら病院のベッドの中であった。
 これが私の惨めな「酒初体験談」である。

 社会人になれば、嫌でも酒を飲む機会が増える。この騒動に懲りたこともあって、それからは少しずつ酒に馴染むように心掛けたね~。
 また時としては、性懲りもなくまずい酒を飲んでは、大騒ぎしたり喧嘩をしたりの繰り返しでもあった。
 しかし何年経っても、酒が旨くならない。どう考えてもビールよりも、コーラやソーダ水のほうが美味しいのだ。
 いつまで経っても、ビール一杯で真っ赤になり、飲んだ後には疲れがドッと出て、夜が眠れないので、翌日死ぬほど辛い・・・。

 あるTV番組で、酒に強い人はアセトアルデヒドを、酢酸に変化させる酵素の量が多いのだと話していた。
 そしてその酵素を一時的に減少させる薬を、大酒呑みに飲ませると、あら不思議「一合の酒」さえ飲めなくなるのだ。
 結局、酒に強いか弱いかは、体質に過ぎないということであった。また欧米人は、この酵素を数多く持っているのだが、日本人は少ないという。だから世界では、かなり酒に弱い人種なのだそうだ。
 またこの酵素の量によって、訓練しても全く飲めない人、訓練によってある程度までは飲めるようになる人、何もしなくても飲める人に分類される。

 私の場合は、訓練しても全く飲めない人と、訓練によってある程度までは飲めるようになる人の中間位かな。いずれにしても、酒に弱いことが恥ではない事が判ってホットした。
 と理屈をこねたところで、酒呑み連中に言わせれば、「そんな退屈なことを言っているから飲めないのだ。まあいいから飲めよ!」でチョンである。
 こういう奴らに、あの酵素をなくす薬を飲ませてやりたいと、何度思ったことか。さてさていくら愚痴ったところで、やはり酒を飲めない事が辛いことに変わりはない。

 いっそのこと、奈良漬けさえ食べられない位に弱いほうが良かったな。ちょっぴり飲めるからいけない。
 このことは中国に行くとハッキリする。中国では、一度でも「カンペイ」をしてしまうと、全員と「カンペイ」をしなくてはならない。人を選んでは失礼ということだろう。
 飲まないなら、始めから一杯も飲まないほうが良いらしい。しかし私にはそれが出来ない。人が楽しく飲んでいるのに、シラフでいるのが耐えられないのである。
 それでいつも失敗する。ことに大勢で飲むと、フラストレーションが溜まって悪酔いする。気の合う友人と2~3人で飲むのが一番楽しいし、酒も旨くなるから不思議だ。

 50を過ぎてやっと自分の力量が判ってきた。だからなるべくセレモニー的な酒は飲まないようにしている。どうしても宴席に出るときは、積極的に話題を提供して、なるべく早く引き上げることにしている。
 だから付き合いの悪い男と悪評が立ち、出世の道も見えなくなるが仕方がない。悲しいがこれが私なりの処世術なのだから。

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