経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

年金で株を買わないで欲しい

2016-07-30 13:52:33 | 経済ニュース編

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人が、平成27年度の運用実績は、5兆3098億円の赤字だったと発表した。これは私が若かりし頃の国家予算以上という恐るべき金額である。
 これこそ、たまたまアベノミクス第一弾で、円安・株高になったことで有頂天になり、株の運用割合を2倍に増やしてしまったことが大きな要因であろう。儲かったら少し休んで様子を見ることが株式投資の定石ではないのか。
 既に日本経済は飽和点を超え、もう株はバブル時代のように、一方的に上昇することはあり得ないことは、誰でも承知している。そんなことも考えずに、ただ巨額の資金力だけで株を買い続けるのなら誰にでもできるではないか。

 そもそも現代のハゲタカファンド流の株式運用手法は、良いニュースが出るとそれを煽りながら、巨額資金で関連株を買い続け利益を得、逆に悪いニュースが発表されると、それを煽りながら空売りを続けて利益を得るのである。そしていつも損をするのは、善良な投資家たちだけという悲しい現実に何度も泣かされているではないか。
 だからと言って国に準ずる機関がハゲタカファンドのようなキナ臭い手法を取り入れることはできない。またハゲタカファンドだって100発100中ではないはずだ。つまりいまどき株の売買で確実に儲けることは不可能なのである。
 そんな状況下で、国民から預かっている大切な年金資金を、いとも簡単にドブに捨てることは絶対に許されないはずだ。また国民たちも黙っていないで、とことん損失責任の追及をすべきではないだろうか。

 さてではゼロ金利時代を迎え、年金資金はどのように運用したらよいのだろうか。それを考えるのが年金積立金管理運用独立行政法人の役割ではないかと言いたいが、ここで大胆な運用手法というより運用政策を提案したい。
 つまり年金資金にだけ限定し、年利率3%程度の「年金資金特別国債」というものを日銀が発行し、それを年金資金で購入すれば良いのである。こうすればノーリスク・ハイリターンの運用が簡単に出来る。またそれをシステム化すれば、年金積立金管理運用独立行政法人の人件費も大幅に削減できるので一石二鳥ではないか。
 まあ現状の政治家や官僚・お抱え学者たちからは、「そんな絵空事は話にならない」と一蹴されるに決まっているが、たまにはこんな突飛な政策を真剣に考える実力政治家が出現しても良いのではないだろうか。

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上場会社の世襲制

2016-07-18 11:28:24 | 崩壊する上場企業の経理

  本来企業のトップを決めるのは取締役会であり、その取締役を選任するのは株主総会である。従って言い換えればその企業の議決権の過半数を所持していれば、代表取締役社長を選任できると言うことになる。これはその企業が中小企業であれ上場企業であれ同様である。
 そんなこともあってか、天下のトヨタをはじめとして、上場会社の中にも創業者一族が世襲でトップを独占している企業がかなり存在している。なにを隠そう、私が勤務していた二つの上場会社は、いまだに双方ともトップは創業者一族の長男である。

 まあそれでも経営能力や人望があれば、世襲制であろうがなかろうがどうでも良い。しかしながら現実には、学業成績は良いのだが、経営能力や人望のないトップが多いから厄介なのである。もっとも何の苦労もなくトップになれるのだし、子供の時から裕福で贅沢をしているわけだから、わがままで他人の意見を聞かず、世間知らずに成長してしまったのは当然の成り行きかもしれない。
 だが上場会社などの大企業ともなれば、経営者の判断ミスなどから、多くの従業員や株主に損害を与え、場合によっては社会全般にも迷惑をかけてしまう場合がある。だから世襲に限らず、経営能力のない者が大企業の経営者になってはならないのだ。

 そんなことは社会人なら誰でも分かっている基本常識である。それにも拘わらず相も変わらず創業者一族が会社を私物化しているのはなぜであろうか。もちろんそうすることが創業者一族にとって美味しいからに決まっている。
 でもなぜそんなことを営々と続けられるのだろうか。それは冒頭に述べたように創業者一族がその企業の株式を大量に保持しているからである。またそれは必ずしも直接に保有しているとは限らない。
 つまり、かつて国土計画株式会社が西武鉄道の株式を大量に保有し、西武鉄道の実権を握っていたのと同様に、創業者一族が実権を握っている非上場会社に大量に上場株を保有させている例がかなり多いのである。それはもちろんこの方法が、相続や税金対策に有効だからだということになる。

 さらに上場企業の場合は、必ずしも株式の過半数を保持している必要はない。つまり議決権に興味を持っていない一般株主がかなり多いからである。従って買収などの特殊な事例を除けば、通常20~30%程度の株式を直接または間接に保有していればその企業の実権を握れるはずなのだ。
 それでも取締役会が強力であれば、法に従い真の実力者が代表取締役に選ばれても良いはずではないか。と理屈をこねてみても駄目!。それこそ創業者一族が一番恐れているクーデターであり、少なくともその対策だけはしっかりと構築されているからだ。

 つまり自己保身に長けている創業者一族は、取締役たちのクーデターを防止するため、決して実力のある者を取締役には選任しないのだ。こうして常に決して裏切らない、安全牌だけに絞って役員を選んでいるのである。まあそれでも、高度成長期や社会が安定している時代には、経営者が安定しているというメリットを生かしてなんとか辻褄を合わせてきた。
 ところが低成長期を迎え世界的不況の時代に突入すると、創業者をお守りするだけの軟弱役員では難局を乗り越えられなくなってしまったのだ。それこそが、最近になって破たんを迎えてしまった大企業の成れの果てなのかもしれない。
 だからそろそろ上場会社においては、世襲制を見直す時期が訪れているのではないかと考える。それでもなんとしても創業者一族が世襲に拘るならば、かつての松下やスズキのように、社内外から優秀な人物を娘婿に迎えてトップに据えるしかないだろう。

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10年かけて禁煙に成功する

2016-07-11 13:48:32 | たそがれ経理マン編

 煙草を吸い始めたのは高校時代からなので、半世紀近くニコチン中毒者だったことになる。30代後半の頃、一度だけ本気で禁煙したことがあったが、わずか1か月間で元の木阿弥いや、リバウンドして逆に本数が増えてしまったという苦い経験がある。
 しかもその禁煙期間に口淋しくて、毎日のようにたい焼き屋通いが続いた。そのうえ、たい焼き屋の狭い駐車場で車をぶつけて大破し、20万円の修理費を支払う羽目になったのである。だからもう死ぬまで禁煙は出来ないと思い込んでいた。

 ところがなんと去年の初め頃から、奇跡的に完全禁煙を実行し約1年半経過してしまったのである。当初はなるべく煙草を吸う人には近付かないように心掛けていたのだが、最近ではヘビースモーカーと一緒に酒を飲んでも、全く煙草を吸いたいとは思わなくなってしまったのだ。それどころか、煙草の煙が臭くて堪らなくなってしまったのである。
 たぶんこれで完全に禁煙が成功したのだろう。それにしても今回は煙草を止めても、ちっとも口淋しくないし禁断症状も起きなかった。不思議なほど簡単に禁煙に成功してしまったのである。

 ただ今回の禁煙は、決して意図して行ったものではなく、半分は偶然の賜物かもしれない。振り返ってみると、実に10年間の歳月を費やして、少しずつ本数を減らしていたのが功を奏したようだ。現役時代は30本から、20本、15本、10本、8本と減らしていたが、それ以上は減らせなかった。
 やはりいきなり禁煙するとストレスが増幅するし、喫煙室での情報交換も捨てられなかったからである。そして定年後には、煙草5本と疑似煙草のネオシーダ-2本というスタンスが暫く続き、やがて煙草2本とネオシーダ-2本というスタンスに変化していった。
 そして禁煙前の1年間は煙草は止めて、ネオシーダ-2本だけという生活に落ち着いたのである。だがもうそれ以上は減らせないし、第一ネオシーダーは煙草ではないので、食後の一服という楽しみまで捨てる気もなかった。

 そんな折に、そろそろがん保険に加入しようと思ったのだが、加入条件に1年以上煙草を吸っていないこと、という条項が含まれていた。もちろんネオシーダーは煙草の葉ではなく、紫陽花の葉を使った疑似煙草なので、この条件はクリアするはずだと考えた。
 しかしながら極微量であるが、ネオシーダーにもニコチンが含まれているし、火をつけて吸うのでタールは煙草並みに発生する。もしかすると、後で保険会社からいちゃもんを付けられるかもしれない。それならこの際、一日2本のネオシーダーも止めてしまえということになったのだ。

 そして1年半が経過したという訳である。ひょんなことから、何の苦もなく禁煙できたことになる。お蔭さまで朝起きたときに、ひどい痰が出ることもなく、咳や胸の痛みに悩まされることもなくなり、悪玉コレステロール値も減少した。そのうえ煙草代もかからない。実にありがたいことずくめではないか。
 まあそれにしても、10年間に亘って徐々に本数を減らしていたからこそ、今回は禁断症状も起きずに禁煙に成功したのであろう。何事も忍耐強く、例え少しずつでも実行していれば、必ず報われるという教訓の証なのかもしれない。ご苦労様でした。

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一番おいしい役職

2016-07-06 10:42:06 | サラリーマンは魔術師

 一番辛い役職はおそらく課長であろう。部下は独身者や女性が多く神経を使わなければならないし、上司に部長が控えているため、決済権限も薄いし交際費もほとんど使えない。そのうえ休日出勤しようが深夜まで働こうが、残業代は一切もらえないのだ。

 私の課長時代も悲惨なものだった。仕事の遅い部下の尻拭いや後始末などで、毎晩12時過ぎまで働いても何も補償されなかった。それどころか、部下の結婚式やら飲食代やらで、年間50万円以上の出費を余儀なくされたものである。
 そのうえ賞与が少ないとか、同僚の態度が気に入らないとか、仕事がキツイと文句を言ったり、大泣きする部下などもいて、こちらの神経もズタズタになってしまったこともある。そしてそんなことを部長と飲んだ時に愚痴ったりすると、慰められる訳でもなく「そんなことは、誰だって経験しているんだ。君は役職者に向いていないようだね。平に降格してあげようか」などとイヤミを言われるのが関の山だった。

 もちろん課長という役職が、将来の役員に繋がるための単なる通過点ある出世組は、課長の時代も短くてすぐに次長・部長へと駆け上るのだから文句はないだろう。だが万年課長として長期的に実務を担っている者にとっては、ある意味で課長職はまさに地獄ではないだろうか。
 従ってそうしたことを百も承知の賢い者は、課長になる資格試験を放棄したり、わざと落ちるような答案を提出するのだ。そうして永遠の課長補佐をめざし、残業代を貰いながらお気楽な職場生活を続けている。逆に課長を3年以上経験しないで偉くなった者は、他人の気持ちが理解出来ないから、思いやりに欠ける自己中な者が多いのではないだろうか。

 いずれにせよ課長職が一番不味い役職であることは疑いのない事実だが、逆に精神的・肉体的に余裕を持て、さらに金銭的にもおいしい役職は、役職の前に「副」の付く役職である。つまり先に述べた課長補佐を含めた副支店長・副部長・次長などであり、労働組合なら副委員長、病院なら副院長、政治家なら副大臣などであろうか。
 彼等は課長・部長・支店長などが負う責任もなく、直属の部下もいないので気が楽だし、専門職的な仕事をこなしている場合も多く、上司の課長・部長なども直接指示することが少ないため、神経を尖らせることもほとんどない。そのうえ対外的には、役職者としての名刺を配れるので面子は保持されることになる。さらには給与もそこそこ貰えるし、部下などに対する出費が少なく済むため、実質は上司より実入りが良いかもしれないのだ。

 ただし同じ副がつく役職でも、副社長や副総理などになると、社長や総理に何かあった場合の代行責任がかなり重いので、決してのほほんとしてはいられないだろう。・・・さてかく言う私は、課長時代は苦労の連続だったが、転職して経理部次長という役職をいただき税務に特化し、定年までの美味しい数年間を過させていただいたものである。運に恵まれ有り難い晩年だったと、感謝・感謝の二文字にてそうろう。

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