二年前に胃がんの手術で胃の半分を切除したのだが、いまのところ転移もなくなんとか無事に生きている。ただ胃が小さくなったお陰で、少しずつゆっくりと食事を摂らねばならない。これに少しでも違反すると、直ぐに消化不良を起こしてお腹がゴロゴロと悲鳴を上げ、トイレに直行する羽目になるのである。
だからトイレのないバスでの長距離移動が難しくなってしまい、もう2年以上ツアー旅行等に参加できない状況が続いている。また電車で都心等に行っても、食後は常にトイレの心配がつきまとうため落ち着かない。
そのうえ1か月前にプールの淵に思い切り足をぶっつけて、右足の中指を骨折してしまい、「泣きっ面に蜂」状況に追い込まれている。現在ギブス代わりの添え板は外したものの、まだ完治まで2か月以上はテーピング状況を続けなくてはならない。このたかがテーピングのために、歩行時に右足にかかる力が分散されず、右足の脛と太腿に負担がかかり、そこが常に痛くなってしまったのだ。
胃の切除にしても足指のテーピングにしても、自然体のバランスを少し崩しただけで、別の場所に悪い影響が発生してしまうものである。このように、たかが個人の身体のちょっとした異変ですら馬鹿にできないのだ。
さて同様に企業経営においても、たまたま大儲けしたからと言って、調子に乗って大胆な経営ばかりに終始して、企業全体のバランスを崩してしまうと、結局どこかで破綻してしまうものである。また最近の日本会計についても、日本式に米国式が重なり、さらに欧州式の追撃を受け、訳の分からない代物に変わり果ててしまった感がある。これも無理矢理国際会計基準を取り込んで、本来日本会計の持つバランス感覚を崩してしまった落とし前であろうか。
さらには昨今の日韓関係の歪みや、米国・イランの対立等により、国家間バランスが崩れてしまうと、どんどん悪いほうへと進展するだけで、なにも良いことは起こらない。また近年における全世界でのエネルギー過剰消費により、温暖化から天変地変を巻き起こし、地球規模での悪影響が勃発していることは誰でも知っている事実である。
話がだんだん大きくなってしまったが、いずれにせよ大なり小なり全てにおいて「バランスを保つことが重要」であるという論理だけは間違いのない真実であろう。
作:蔵研人
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