中古車販売大手のビッグモーターによる保険金水増し請求が発覚し、毎日何回もテレビで取り上げられ収拾がつかなくなっている。また単なる書類上の水増しだけならともかく、保険査定には写真添付が必要なため、わざと車に傷をつけていたというまるでギャング映画のような手口には驚愕した人々が多いことだろう。
なにせビッグモーターの急激な店舗増設や超高額給与などを考えると、まっとうなやり方で営業していては当然追いつかないはずである。それにしてもなぜ最近まで問題が発覚しなかったのだろうか。
ビッグモーターは全国約300の店舗、従業員6000人、年商7,000億円の大企業でありながら、非上場であることが問題発覚を遅らせたのかもしれない。つまり社員の内部告発以外に悪事を暴くことができなかったのであろう。しかしながら損保会社が出向者を大量に派遣しておきながら、今回の不正を全く感知していなかったというのも不思議ではないか。
万一損保会社もつるんでいたとしたら、さらに大変な事件に発展してしまうだろう。それとこのような不正が、ビッグモーターだけではなく、この業界の裏常識だとしたら、舐められ続けていた陸運局の体質も含めて、国民は一体何を信じてよいのか分からなくなってしまうだろう。
また今回の不正が業界の裏常識だとすると、単に保険会社の損失とか、事故車の保有者の損失程度では済まない。つまりこうした不正が前提のうえで保険料の設定がなされていることになり、車を保有する全国民と全法人が損害を受け続けていたということになるのだ。それにしても怖い怖い怖い、とてつもなく恐ろしい大事件なのであろうか……。
さてビッグモーターは非上場会社と前述したのだが、TV報道で公開会社と表現していたのが気になってしまった。それにしてもネットでは、ビックモーターを迷わず「上場会社と思い込んでいる」人たちの書き込みの多いこと。
ではTV報道での公開会社という表現は間違いだったのであろうか。いや会社法で定めている公開会社とは、発行株式のどれか一部についてでも譲渡制限を定めていない会社をいい、「非公開会社」とは、発行株式全部について譲渡制限を定めている会社をいうのだ。従って、公開会社=上場会社、非公開会社=非上場会社ではないことになる。
また多くの非上場会社では株式の譲渡制限を設けているのだが、ビックモーターが本当に譲渡制限を定めていないか否かは不明である。ただどちらにせよ、前社長一族が実質100%保有しているのだから、譲渡制限の有無など余り意味がないとも言えるだろう。
作:蔵研人
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