経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

定年後の忙しさとは

2016-09-26 18:50:26 | たそがれ経理マン編

 中小企業時代は残業をしたことがなかった。だが上場企業に転職すると、決算作業が始まると毎日が深夜残業の連続となる。さらに地方の事業所に本社経理が移転すると、優秀だった女子社員が転勤を拒否。準総合職なのでそれを咎めることも出来なかった。
 代わりに雇った女性は、いずれも彼女の1/3の戦闘能力しか持っていない。それどころか、地方なので人材そのものが集まらないし、すぐに辞めてしまう。そうした状況にも拘らず、上司は一人抜けたら一人の補充しか認めてくれなかった。

 結局課長だった私がかなりの実務を負うことになったのだが、それでも他の部下たちの仕事が超遅過ぎてどうにもならない。上司はお前が残っているから部下が帰れないのだと、私に責任を転嫁するだけだった。だが私の性格としては、四苦八苦している部下たちを尻目に、自分だけサッサと帰ることは出来ない。結局部下たちの仕事の目鼻がつくまで、毎日無償の深夜残業を続ける羽目になり、一年の半分は会社に泊まり込むことになってしまった。

 また岩手工場に転勤になった時も、決算時にも拘わらず、無理矢理『製造現場応援』を押し付けてくる独裁工場長に反発し、部下たちに割り振られた現場作業を全て私が引き受けたこともある。そのために50歳の老体は、ガタガタに崩れてしまい、ついには転職を決意することになったのだ。
 課長時代はこうしたバカげた忙しさに追い掛け回され、会社で一番時給の安い人間に成り下がっていたようだ。しかしながらこれらの忙しさは、私自身が好き好んで選択した忙しさではない。忙しい程度の生易しさではなく、奴隷のような地獄の日々だっただけである。

 ところが定年後は、全く質の異なる忙しさに遭遇している。そして毎日が飛ぶように過ぎ去ってゆくのだ。もちろんもうサラリーマンでもなければ、自営業に忙殺されている訳でもない。
 ただ自分の趣味やボランティアなどに明け暮れているだけなのである。つまりやってもやらなくても良いことをしているだけなのだ。言葉を替えれば、自分の都合で調整できる忙しさなのである。つまりこうした嬉しい忙しさこそ、私が長年目指していたものに違いない。
 また今のところ、自分や家族が重病を患うような慌ただしさにも遭遇していない。実にありがたい忙しさと言えよう。感謝感謝。

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ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か

2016-09-19 10:44:30 | 一口メモ

 著者のエリヤフ・ゴールドラットは、カリスマ的な経営コンサルタントだが、なんともともとはイスラエルの物理学者だったと言うのだ。もちろんこの本の内容は物理学とは全く縁がないのでご安心を。この本のジャンルをひとことで言えば、「生産管理と管理会計の新手法を模索しながら、夫婦間の離婚危機を絡めながら描いたビジネス・ファミリー小説」と言うことになるだろう。

 この本を出版する前、著者は生産スケジューリングソフトを開発し、それを販売する会社の経営を行っていた。そしてそのクライアントには、RCA、ゼネラル・エレクトリック、GM、コダック、フィリップス、ルーカスなどの錚々たる企業が名を連ねていたのである。
 ただソフトの導入費用が高価だったこともあり、期待していたような発展を望めなかったようだ。そこで失望感から立ち上がりながら、何か別のアプローチは出来ないものかと試行錯誤した結果、この本を書くことを決心したようである。

 当初超多忙だった著者に対して、周囲の者たちはこの本の出版には反対していたらしい。そして出版してくれる出版社もなかなか見つからなかったという。
 ところがいざ出版してみると、なんと全米だけで250万部という爆発的な超ベストセラーにのし上がってしまったのである。通常はこれだけの大ベストセラーなら、日本でもすぐに出版されてもおかしくないのだが、なんと日本では15年以上も翻訳されない幻のビジネス書と囁かれていた。
 それは製造業にかけては世界でも超一流の日本が、この本に書いてある生産管理手法を知ってしまったら、全世界が貿易摩擦によって大混乱に陥ってしまう、と言う著者の意向があり、日本での出版が許可されなかったからだ。またその後やっと日本で出版されたのが2001年だから、この本が書かれてから概ね30年もの時が流れてしまったのである。

 だがこの本に書かれている生産管理手法はいまだ陳腐化していないし、また同時に描かれている主人公の夫婦関係も古くて新しい永遠のテーマであろう。そして何と言っても物語全体の構成力が優れているので、読んでいても全く飽きることがない。従って、読書ペースが超ノロの私でさえ、なんと約550ページもあるこの分厚い本をたった5日で読破してしまったのである。
 またこの本には全編に亘って、「スループットの増加」という言葉が繰り返し登場する。スループットとは、コンピュータ用語として、単位時間内に処理できる計算量として定義されている。だがこの本の中で叫ばれ続けているスループットとは、売上高から真の変動費を差し引いた直接利益のことを指すので念のため・・・。
 
 さてそろそろこの本で、著者が力説する生産管理方法とは何かについて、下記に簡単にまとめてみたいと思う。
いつも生産が遅れがちで在庫が溜まっている場合は、何がスムーズな生産活動を妨げているのか、工場内のボトルネックを探す
その工程がなぜボトルネックになったのか原因を調べ、直ちに改善策と活用方法を講じる
ボトルネックが完全に改善できれば、生産の流れも良くなり在庫量も激減する
工場の生産能力と現状の生産余力を把握する
現在工場の売上利益が一定水準に達していれば、あとは生産余力の範囲内でかつ変動費以上の販売単価さえ確保すれば、かなり値下げして受注してもスループットは増加し、結果として売上利益、営業利益、経常利益も増加することになる

 と言うことなのだが、この中で現実問題として一番難しいのが『生産能力の測定と生産余力の把握』ではないだろうか。事実この本の中でも、その具体的な測定方法は記されてはいない。また生産能力は各社まちまちで年々変化しているため、画一的な手法を見つけることは不可能ではないだろうか。
 そしてその会社の真のボトルネックを一番よく理解しているのは、経営コンサルタントや監査法人ではなく、現場で働いている人達なのではないだろうか。ただ彼等には発言する機会もなく、上手にプレゼンする能力もない。またそもそも、下手な発言をして上司に睨まれてもつまらないので、正面切って発言せず酒場の陰口として発散され、陽の目をみないのだろうか。

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マンガを読まない子供たち

2016-09-11 21:19:04 | 通勤地獄編

 最近通勤電車の中では、雑誌・書籍・新聞などを読んでいる人を、余り見かけなくなってしまった。ことにマンガ雑誌を読んでいる人がほとんどいないのだ。私たちが若かりし頃の通勤電車は、どこを見渡しても『少年マガジン』などのマンガ雑誌を読み耽っている人で溢れていた。だから始発駅や終点駅では、網棚に読み終わったマンガが山のように投げ捨てられていたものである。
 
 また日本雑誌協会などの統計でも、2000年頃から急激にマンガ雑誌の販売額が減少しているのだ。これは一体どうしたわけであろうか。考えられるのは、マンガバブルを支えていた団塊の世代が高齢化し、マンガ離れしてしまったこと。また携帯電話や超小型パソコン(含むスマホ)などの出現により、車内での時間の使い方が変化してしまったこと、などが大きな原因と考えられる。さらに最近ではスマホアプリで、無料マンガと言う摩訶不思議なコンテンツさえ登場している始末、ますますマンガ雑誌を買わなくなっている。

 それでも大手出版社は、マンガ雑誌の収入減をコミックス(単行本化されたマンガ)の売り上げでなんとか凌いでいた。だが近年はその稼ぎ頭のコミックさえも、少しずつ落ち込み始めていると言う。
 その最大原因としては、マンガ家を志す新人は少なくないのだが、時代を代表するような大作が出現していないこと、マンガを読まない若者たちが増加していることではないだろうか。活字離れというのなら判るのだが、マンガ離れまで起きているとは俄かには信じられない。

 ところでこの現象をよく調べてみると、彼らは子供の時からマンガを見ていないと言うのだ。確かに最近のマンガは一つの文化になり、団塊の世代たちが夢中になった『鉄腕アトム』や『鉄人28号』のような子供を対象とした純然たる少年マンガが影を潜めている。
 マンガは子供の頃に読んでこそ、大人になっても継続して読むようになるのであり、この傾向に歯止めがかからなければ、いずれマンガは戦前のように衰退する運命なのだろうか。もしそうなると、カルチャーの変貌だけに留まらず、経済構造も大変動するかもしれない。

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人工知能の活用

2016-09-06 13:58:51 | ひとりごと

 チェスや将棋の世界では、既にプロでもコンピューターに勝つことは難しくなっている。また最近になって本ブログで取り上げたとおり、知的ゲームの最高峰である囲碁のプロ棋士さえもコンピューターに完敗してしまった。さらに小説の世界でも、人間とコンピュータが共同で創作した作品が注目を浴びたことも既報の通りだ。

 コンピューターとそのソフトの進化は、時代の流れでありいずれはSFの世界のように、あらゆる分野でコンピューターが人間を凌駕することは間違いないだろう。ただそもそも将棋や囲碁のソフトは人工知能の研究のためにはじまったと聞いている。
 従ってもうこの分野のソフト開発に血道をあげても意味がなくなってしまった。それどころか、ある意味でプロ棋士たちの生活を脅かしたり、将棋や囲碁というゲーム自体の衰退にも繋がりかねない。

 だからこうした実のない開発はそろそろお終いにして、実生活やビジネスなどにもっと貢献できる人工知能開発にシフトしてはどうだろうか。ことに今後一番望まれる人工知能の応用分野は、正確な翻訳機能を持つ翻訳器ではないだろうか。
 いま世界中でテロや戦争が勃発している。その大きな原因が宗教と言葉の壁であることは間違いない。世界平和のためにも是非完璧な翻訳器を完成させてもらいたいものである。

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