ここのところツアー旅行を直前にキャンセルし、キャンセル料を支払う羽目になったことが数回続いている。その理由は私か妻の体調不良や、大地震・台風・火山の爆発などの転変地変が勃発したためである。
どうも年を取ると体調の維持が難しくなるし、近年の日本は災害列島と化して、いつ何時何が起こるか判らない状況に陥っている。こうなるともう長期的なスパンで計画しなくてはならないツアー旅行への参加はなかなか難しくなってきた。
従って最近は、前日にでも気楽に予約の出来る近場の温泉旅行を選択することが多くなった。これならば体調と天候の良い日に旅行出来るし、朝も10時頃にゆっくりと自家用車で出発できるのも嬉しい。それに何と言っても、ツアー旅行では絶対に味わえない美味しい夕食が味わえるのが最大の魅力である。
また事前に宿のホームページやじゃらんのクチコミなどで、立地条件、部屋の広さ、宿全体の設備、サービス状況、食事の概要などを調べておけば、まず大きなハズレを引くこともない。ただ実際に行ってみないと分からない部分も多く、その部分が意外とさらに快適な気分に浸れるかどうかの分かれ目になるから恐ろしいのである。
まず部屋の鍵が二つあること。鍵が二つあれば同伴者に気兼ねせず、大浴場などに自由に出入り出来るからである。また食後にロビーや売店に行ったり、廊下のトイレに入ったりするときも、部屋の鍵さえあれば一人で気軽に用が足せるではないか。さらに部屋の鍵だけではなく、貴重品金庫も複数用のものが完備されていれば、団体客には非常にありがたい。
また鍵で思い出したのだが、風呂場にも貴重品ロッカーを用意してもらいたい、それがないと部屋の鍵を持って風呂に入らなければならないため、非常に煩わしいのだ。
次に湯河原の高級旅館のように、部屋食オンリーというのは勘弁してもらいたい。いかにも部屋食を贅沢のようにアピールしている宿があるが、もう部屋食をありがたがる時代ではない。まず調理場から部屋に運ぶまでに料理が冷めてしまうし、部屋中に食べ物の臭いが残ってしまうのも興ざめなのだ。
もちろん部屋食のほうが良いという人のために部屋食制度は残しても良いのだが、高級旅館を謳うのなら、せめて個室食事処との選択を出来るようにして欲しいものである。
さてかなりの名旅館でも、大浴場にタオルの準備がなく、わざわざ部屋付のタオルやバスタオルを運ばせているところがあるのが気に入らない。濡れたタオルを持って、部屋と大浴場の間を何度も行ったり来たりしたくないのだ。細かいところにケチケチしないで、大浴場にはタオルとバスタオルくらいは常備してもらいたい。実はこうした細かい心遣いが、その旅館の評価に多大な影響を及ぼすものなのである。
それから大浴場の脱衣所や部屋の洗面所には、少なくともドライヤー、カミソリ、くし、歯ブラシ、綿棒、ティシュ、石けん、整髪料、ヘアトニック、ローションなどのアメニティーグッズをもれなく配備して欲しい。ところが脱衣所には石けんが、風呂場にはシェービングクリームが設置されていない旅館が以外に多いのが不思議で堪らない。
さらに体重計測器は精度の高いものを置いて欲しい。ある旅館で通常より5キロも体重増となるものを設置していて、腹が立ったものである。また風呂場の中にも時計を設置してもらえると便利なのだが・・・。
少なくとも、一泊2万円以上とる旅館では、これらをきっちりと漏れなく配備して欲しいのだ。そしてガツンと高級感を醸し出したほうが、より良い結果を生むはずである。
また現代では大浴場のほかにも、大露天風呂を併設している旅館が殆どだが、絶対に外部から見えないようにすること。最近は精度の高い望遠レンズが廉価で調達できるため、かなり遠くにある建物からでも露天風呂が盗撮されることもある。また今後はドローンを使ったと盗撮があるかもしれない。
いずれにせよ、多少眺望が制限されても絶対に外から見られないような囲いを備えるほうがよい。グーグルマップではないが、もしかすると人工衛星からも盗撮されているかもしれないのである。
何と言っても、大勢の人が大空の下で全裸で入浴する風習は、日本くらいにしかないので、外人達に注目されてもおかしくないのだ。また男性の風呂だから丸見えでも良いという発想も辞めてもらいたい。なんとなく落ち着かないし、だいいち風情がないではないか。
それから、大浴場の男女入れ替え制というのも辞めてもらいたい。いろいろな風呂が楽しめるのは良いとしても、たいして変わり映えもしないのに、他所もやっているからうちもやろう方式で、入れ替え制にしている旅館が実に多いのだ。たぶん何種類もの風呂に入れると、宣伝したいのだろうか。
数年前に、昨夜入浴した場所が男湯だと錯覚し、うっかり朝に入れ替わった女風呂に飛び込んで、大騒ぎされた真面目なご老人がいたが、痴漢扱いされて実にお気の毒であった。
さらに近年は外人宿泊客が激増している。日本人でも間違えるのに、日本の習慣や日本語を知らない外人が間違えたって文句も言えないだろう。従って上品さを売り物にする名旅館なら、もう男女入れ替え制などはやる必要がないのである。
どうしても温泉旅館というと、風呂場にまつわる要望が多くなってしまうのだが、ついでにもうひとつだけ。
最近では、風呂場で脳梗塞などで倒れないため、入浴前に水分補給をすることが常識となっている。従って脱衣所周辺には必ず水を飲める場所を創らねばならない。さらに、牛乳やアイスの無料サービスなどがあれば、なお喜ばれるはずである。
一般的に良い旅館のチェックポイントは、部屋、風呂、食事、サービスとなっている。ところで最近は仲居さんの過剰サービスは、逆に煩わしいと感じる時代かもしれない。だから現代流に、設備やアメニティーなどの充実度をサービスポイントと考えたいのである。
さて宿泊部屋であるが、最低10畳以上でなくては話にならないし、次の間はともかくとして、踏込と縁側がついていないと寛げない。もっと言えば和洋室でベットがあればさらに魅力的である。トイレはウォッシュレットであることが必須だが、点検が悪いのか古い製品なのか、悲しいかな使い心地の良くない旅館が多いのが現実だ。だが何と言っても、トイレは清潔で絶対に臭いが漏れてはならない。
さらに流し台はクリーンで二人分の広さがないと使い辛い。それからTVは当然40インチ以上ないと、しみったれていて恥ずかし過ぎる。つまり部屋の造りや備品は、家庭レベルより上でないと、癒しを求めて泊まりに来た意味がないのだ。
最近流行の部屋付露天風呂は、一回程度しか入らない割には、コスパが良くないので不要と考える。全く入らないユニットバスはもっと不要なので、そのスペースで、トイレや流し台を広くしたりシャワールームなどを創ったほうが良いだろう。また当たり前のことだが、畳や壁は新しいものほど嬉しいので、掃除だけでなく頻繁にリフォームしてもらいたい。
最後にチェックアウトについてひとこと。チェックインについては、ほとんどの旅館が15時となっているので問題はないのだが、チェックアウト時間については、古い旅館ほど10時までというのが多い。名所旧跡をあちこち見物したい人には、どうでも良いことかもしれないが、旅館でゆったりと過ごすのが目的で来た人にとっては少し慌ただしいのだ。だからせめてチェックアウトは、11時にして欲しいではないか。
ある程度高級な温泉旅館とは、日常から解放された人々が、非日常を味わうために高い料金を支払って、はるばるやってくる場所なのである。だからこそどんな細かいことでも、客が求めることを全て承知しておき、文句のつけようのない万全の配慮を敷き詰めなくてはならないのだ。逆にそれを怠っている宿は、薄利多売を目指すか、いずれ消滅してゆくに違いない。
つまり結論は簡単である。温泉旅館に限らず、消費者のニーズを把握し、費用との折り合いを計りながら、常に改善を計っていくのが健全な企業の在り方なのである。
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