なぜ全世界の巨大製薬会社は、エボラ出血熱の治療薬を開発出来ないのか。全世界の誰もがそんな疑問を感じるはずである。
その答えは簡単だ。儲からないからである。そもそもこの病気は、西アフリカの貧しい一部の人々だけが罹っていただけなので、利益優先の巨大製薬会社にとって、投資メリットがなかったからだと言う。
ところが1万人を超す患者が発生し、それが欧米の先進国に飛び火したため、急きょ大騒ぎとなった訳である。もしこのまま放置しておけば、人類消滅にもなりかねないからだ。
そんな中で、たまたまインフルエンザウイルス薬として開発された日本の薬「アビガン」が、エボラの治療にも効果があるらしいことが判明した。この「アビガン」は現在は未承認薬であるが、全世界が注目しているため、いずれは正式承認される日も近いだろう。
この驚異的な薬を開発したのが、米国やドイツの巨大製薬会社でもなく、ましてや日本最大の製薬会社である武田薬品でもない。全く薬とは縁のない富士フイルムの子会社のひとつである『富山化学工業株式会社』という従業員800名程度の会社だというところが驚きである。
つまり、先に述べたとおり、巨大企業は目先の利益確保に血道を上げるばかりで、製造業の本質的な企業理念である人類の役に立つ製品の開発という戦略をなおざりにしてしまっているため、画期的な新製品を開発することが出来ないのだ。そして研究開発に向けるパワーの大半は、現在の主力製品のマイナーチェンジに向けられてしまう。その結果としていつの間にか、画期的な製品は米国企業に先を越され、大量生産品は安売り大王の中国や韓国などの企業に敗退するという悪循環を繰り返している。
その具体例がSONYである。かつてはトランジスタラジオやウォークマンを送り出し、世界的なブランドを築き上げたものだが、創業者亡きあとはその企業理念を失い、目先の利益を追う余り画期的な新製品を生み出せず衰退してしまったではないか。
企業は、いくら設備や金があり、優秀な人材を揃えても、必ずしも成功するとは限らないのである。つまり設備も金も人も生かされなければ、宝の持ち腐れなのだ。そしてそれらの道具を有効に活用するためには、前向きの企業戦略とトップの確固たる信念が必須なのであろう。
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