経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

人工知能の時代

2016-03-22 11:57:31 | 経済ニュース編

 知的ゲームの最高峰である囲碁のプロ棋士が、コンピューターに1勝4敗で完敗し、世界中があっと驚いたばかりである。既にチェスや将棋での対戦では、もう人間は勝てないレベルに達していた。だが盤面の広い囲碁の場合は、まだまだコンピューターは、アマ七段程度の実力だったはずである。
 それがいきなり、世界トップクラスの韓国プロ棋士を簡単に打ち破ってしまったのだから、なんとも恐ろしいほどの進化と言えよう。それで朝刊の一面トップで報道されるほどの大ニュースになったばかりである。

 ところが今度は、コンピューターが創作した小説が、星新一賞の予選を通過したと言うのだ。なんともはや驚きの連続である。こうしたコンピューターの急速な進化は、いよいよ本格的なIT時代の幕開けを予感させられるからだ。
 いままでSFの世界や理想ばかりが先行するばかりで、なかなか本格的に実用化されなかったITロボットの世界であるが、やっと先が見えてきたような気がする。

 これまでロボットと言えば、産業用ロボットか、せいぜいアシモフ君のような見世物的なものだけであったが、今後は考えて判断するITロボットが、続々と誕生するに違いない。きっとそのうち、少なくとも二世ボンボン医者よりも、遥かに優秀な医療ロボットが必ず開発されるはずである。もちろん経理の世界でも、決算処理の全てがこなせるロボットが誕生するかもしれない。

 電卓に始まり、計算だけのホストコンピューター、パソコンのエクセル、そして各種会計ソフトへと進化したものの、常に人間が面倒な操作を行い、かつ微妙な調整等を行わなければならなかった。だが今後は最低限のデーター入力だけが人間の仕事となり、あとはすべてITロボットが考えて処理する時代がきっと来るだろう。
 さらにもっと言えば、的確な判断を必要とする経営方針や会社運営こそ、ITロボットが得意とするところであり、人間の役員は不要になるはずである。とすると人間がやるべき仕事とは、人間を相手にした営業の仕事だけに限定されてしまうのかもしれない。

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人生最高の上司に出会う 後編

2016-03-14 17:38:44 | たそがれ経理マン編

(前編より)

 さっそくS上場会社の人事部に連絡し、第一次面接を受けることにした。そしてS社の本社前まで来てまず驚いたのが、その社屋のド古さである。だから会社概要に、本社屋の写真が一切掲載されていなかったのか・・・。あとで聞いた話だが、この戦前に建てられたというモルタル三階建ての本社を見た途端、嫌気がさして面接もせずに帰ってしまった学生が多かったのだという。
 私は逆に、これだけボロい建物なら賃貸ではなく自己所有のはずだから、かなりの含み資産を所有している優良企業だと判断した。のちに私の思惑通り、バブルが崩壊してもこの本社の土地のお蔭で、含み益を実現利益として計上することが出来たし、赤字に転落した時も銀行から見放されることがなかったのである。

 さて余計な話をしてしまったが、控室でそんなことを考えているうちに、約束した面接の時間がやってきた。面接したのは経理課長と係長の二人。同席した係長は税務の大ベテランだった。だが米国子会社から本社に舞い戻ってきた課長が、外部から実務のできる新人を取り入れて、新体制を築こうと考えていたらしい。その課長は高卒でS社に入社したのだが、その後働きながら大学の二部にも通ったという負けず嫌いな努力家であった。
 どうも私はこの課長に気に入られたようである。まだ部長との二次面接、役員面接と残っていたのだが、すでに最初の面接で課長の気持ちは決まっていて、残りの面接は形式だけであった。

 このY課長こそ、私の新しい人生を切り開いてくれた大恩人その人なのである。彼は照れることもなく下手な英語で電話をすることも厭わず、外国人たちとも会話がをしていた。また非常に面倒見が良く、若い部下たちを引き連れて飲みに行くことも多かった。それも社費は一切使わずに全てが自腹である。
 ただ偉い人に対しても正論をひっこめないため、同年輩の者より役員に昇格するのがやや遅れたようだ。だが役員になれない者もいるのだから、実力は認められていたのだろう。そしてとうとう役付役員になれないまま、宣言通り63歳の若さで、あっさりと自主的に役員を退任してしまったのである。

 私のほうは51歳の時にS社の経営方針に限界を感じ、希望退職に応じてしまったのだが、その数年後にY氏も退任したことになる。そしてY氏は隠居したのち、あれほど好きだったゴルフを封印してしまった。その代りほとんどルールくらいしか知らなかった囲碁に夢中になり、数年間日本棋院に通って三段の腕前にまで習熟したのだった。同様に私も引退後に囲碁をはじめ、今ではなんとY氏の囲碁の好敵手になってしまったのである。半年に一度Y氏と囲碁を打ち、そのあと一献傾けるのが楽しくてたまらない。

(完)

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人生最高の上司に出会う 前編

2016-03-07 18:16:04 | たそがれ経理マン編

 今から30年以上前の話で恐縮だが、当時私は職業会計人への道を捨てきれず、33歳で中小企業数社を渡り歩いていた。だが子供たちもそろそろ小学生校に行く年齢となり、浮草のような不安定な生活にけじめをつけたいとも考えはじめていた。
 仕事が楽しくてたまらなかった勤務先の出版社にはまだ未練は残っていたのだが、思い切って転職を決意し、赤坂にあったリクルート人材開発センターに求職登録を行った。そこで求人情報に目を通していたのだが、その中で気に入った会社は、製造業を営むS上場会社だけしかなかった。

 ただ条件として、大卒で30歳未満までと記載されている。リクルートの担当者にも、「この会社はかなりハードルが高いし、あなたの学歴と年齢では、全く条件を満たしていないので99%無理だからおやめなさい」と諭されてしまった。
 だがほかに望む会社がないのだから仕様がないではないか。私は「駄目もとで良いので、一応履歴書と職務経歴書を提出しておいてください」と無理矢理リクルートの担当者にお願いすることにしたのである。

 その後の2か月間に、数社の面接を受けていたのだが、どこも帯に短し襷に長しと言った感があり、タカをくくって早く出版社を辞めてしまったことを悔やみ始めていた。
 そんな時ある会社の面談では、かなり感触が良かった。ただ経理だけではなく半分営業のような仕事も含むと言われ、がっかりしたのだが、なかなか就職活動が思うように進まないため、思い切ってその会社でやり直してみようかとも考えてみた。それで家に電話すると、なんともうすっかり忘れていたのだが、以前リクルート経由で履歴書等を送付していたS上場会社の人事部から電話があったと言うのだ。

(次回に続く)

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