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経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

低年齢化・若年化の波

2020-01-07 18:24:57 | 達人経理マンへの道

 ロシアのフィギュアスケート三人娘は、全員が16歳以下である。そしてあの2018年平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワは、まだ17歳だがなんともう引退を噂されているのだ。
 これほど女子フィギュアスケートの世界は極端に若返り、いや低年齢化してしまったのである。だがこの低年齢化現象は女子フィギュアスケートの世界だけに留まらない。卓球はもちろん、スポーツ以外の囲碁・将棋やカラオケまでが低年齢化に染まっているのである。

 これは一体どうした訳であろうか。そもそも頭脳も含めて体力的なピークは17歳頃と言われている。ただ昔は体力が落ちても経験による技術の上澄みがものを言って、何とか若者たちの台頭を凌いできたのである。
 ところが近年は指導技術の向上、インターネットや書物による技術の収集、AIや練習器具の発達などにより、従前に比べれば簡単に技術や知識の習得が可能になってしまった。そうなれば経験の差は容易に埋められ、体力知力の勝る若者に軍配があがるのは当然の理である。

 さて近年はAI関連を中心に若手経営者が続々登場し、長者番付にその名を連ねるようになってしまった。またTVを観ていると、すでにコメンテーターや評論家たちには若返りの兆しが窺われる。さらに早晩は従来権威に頼っていた日本の医者や学者の世界も、欧米並みに実力ある若手の時代に塗り替えられるに違いない。

 我ら経理マンの世界も、かなり前から若年化の波が押し寄せている。瞬く間に法律がドンドン変化し、ほとんどの仕事がコンピューター化された。そのうえさらに難しい「判断」等の部分さえも今後はAIの領域になってくる。またどんどん国際化されているため、少なくとも英語・中国語・日本語の三か国語の習得は必須だろう。

 つまり過去の経験を生かす場はほとんど存在しなくなるのだ。となると、やはり頭が柔らかく体力・知力のある若者が俄然有利、というより若者にしかこなせないことになる。
 だがその若者たちもいずれは中年になり、次の若者たちに適わなくなるのである。悲しいかな、これがこれからの経理マンいやビジネスマン全ての宿命になりそうだ。と言ってただ指をくわえてなすが儘に流されるわけにはゆかないだろう。
 ではどうすればよいのか、現役を離れた私に答えは湧かない。だがこれから世の中を背負って立つ有能な若手経理マンたちなら、必ずその答えを導き出してくれるものと確信している。

作:蔵研人

 

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経理マンと愚痴

2019-07-23 20:50:33 | 達人経理マンへの道

 サラリーマンたちが酒場で一杯やるとき、必ずと言ってよいほど上司や部下そして会社に対する不満をぶちまけるだろう。まあたまにはガス抜きも必要だが、毎度同じような愚痴ばかりこぼしているとしたら大問題である。これでは本人にも会社にも何の利益も生み出さず、それぞれが大損失を被ってしまうだけであろう。

 もちろん経理マンも人の子であり、同じサラリーマンなのだが、会社に利益を生み出さない消極的な発想だけは避けたいものである。なにか新しい発想を掲げた、何物にも束縛されない新しい考え方の出来るグループを創りたい。そこに新製品や新しい営業方法などが絡めば鬼に金棒である。

 とは言っても、そう簡単に新製品などが産み出されるわけがない。と反論されそうであるが、結果は後から付いてくるものである。とにかく愚痴を言っている暇と機会があるのなら、まずそこで進歩的で前向きな思想が持てる仲間を探してみよう。2~3人から始まって、5人、10人と増えてゆけば、必ず何かを産み出すはずである。そしてそこにトップを引きずり込むくらいのパワーが発生すれば、毎日が楽しくて堪らなくなるはずである。

 また政治の世界でも同様に、政府の政策には全て反対で、失言議員の揚げ足取りに終始している野党には全く魅力を感じない。反対するだけで政策論議にも参加しないため、結局は与党案が何の修正もなくそのまま丸呑みされてしまうのだ。こんな情けない野党には、政治的な存在価値を全く見いだせない。  少なくとも、もっと現実を見つめながら、横暴な与党の政策を少しでも民意に沿った政策に修正するための努力を払って欲しいのである。そうすれば自ずと国民の支持も得られるものである。もっと言えば、与野党の垣根を越えて、未来に希望を持てる政策を模索するグループの登場を切望したいのだ。

作:蔵研人

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経理マンの特殊詐欺対策

2018-02-05 18:01:33 | 達人経理マンへの道

 平成29年上半期における特殊詐欺(オレオレ、振込詐欺など)の被害件数は1513件で前年比75%増、金額では約35億円で37%増だと言う。ましてやこれ以外にも表に出ていないものもかなりあるだろう。そして被害者の大半は70~80歳代の女性、つまりおばあちゃん達である。
 また最近の犯人たちは、息子や孫を名乗る者だけではなく、警察官・公務員・銀行員などのお堅い職業を名乗る者が増えていると言う。そして現金手渡しや振込させるのではなく、キャッシュカードを騙し取る手口が増えているらしい。たぶん犯人側にしてみれば、従来の方法では警戒されるし、今のところはこれが一番リスクの少ない犯行手口なのだろう。

 いずれにせよ、犯人と被害者の接点のほとんどが電話であることは変わらない。それにしても何故見ず知らずの他人にキャッシュカードを預けてしまうのだろうか。
 「私なら絶対に電話口で逆襲してやるのだが・・・」などと短絡的かつ安易に考えてはいけない。犯人たちは詐欺の達人集団であり、事前にいやと言うほど集団で電話のやり取り訓練をしているのである。だから素人が太刀打ちできるわけがない。ましてや、社会経験が少なく心優しいおばあちゃん達に反論など出来るはずがないのだ。

 従って受話器を取ってしまったら負けなのだと理解しておこうではないか。だからと言って電話を撤去したり使わないのでは意味がない。それよりもまずは、自分の家の電話の取扱説明書をしっかり読んでみよう。少なくともここ7~8年前以降に発売されている電話器なら、「迷惑電話撃退機能」が装着されているはずである。その機能を使えば受話器を取る前に、相手に対して「名前と要件を教えてください。この電話音声は記録されます」などのメッセージが自動的に流れる仕組みになっている。

 もちろん正当な電話ならば、相手は名乗って要件を告げるが、詐欺やセールスなどの場合は、そのままガチャン!であろう。もし古い電話器で迷惑電話撃退機能が装着されていない場合でも、留守電機能くらいは付いているだろう。この留守電機能のオリジナルメッセージとして、前述したようなメッセージを録音しておけば、迷惑電話撃退機能とほぼ同様の効果を発揮するはずなのだ。
 そんなことは面倒くさいという人は、電話会社に毎月400円支払ってナンバー・ディスプレイに加入し、登録していない人からの電話は初めから受け付けないように設定してしまうと言う方法もある。

 まあ現役の経理マン自身が特殊詐欺の被害に遭うことは余りないと思うが、少なくとも両親や祖父母たちが被害に遭わないとは限らない。だから年老いた両親や祖父母たちの電話器を良く調べてあげようではないか。そして機械の苦手な両親や祖父母たちに代わって、前述した防御対策を施してあげようではないか。きっと両親や祖父母たちから「さすが経理マンだ」と感謝されるに違いないだろう。

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経理マンの相続税知識

2017-08-17 11:36:14 | 達人経理マンへの道

 相続税なんて会社の経理とは直接関係ないからどうでもいいじゃん。なんてことは決して考えてはいけない。もちろん会社の税務ではないのだが、経理のことを知らない重役たちの中には、税金のことなら経理に聞けば何でも分かると思っている人たちがかなり存在しているのだ。また少子化と平成27年からの税制改正により基礎控除額が大幅に減額され、従来なら相続税とは縁のなかった人達も、相続税の対象になる可能性が増加したのである。

 従ってそうした人たちに相続税のことを聞かれて「会社の税金ではないので知りません」とにべもなく答えるのと、相続税のポイントだけでも丁寧に説明するのでは、どちらが好印象を持たれるかは火を見るより明らかであろう。また経理部の中にも相続税のことを知らない人が大勢いるとしたら、逆に「◯◯君に聞けば何でも知っている」という噂が流れ、直接仕事と関連がなくとも、人事評価の際には必ずプラス要因になるはずである。
 と言うことで、達人経理マンとして最低限知っておきたい「相続税の知識」を以下にまとめることにした。少しでも参考になれば嬉しいかぎりである。

1.相続税の申告が必要な場合
 相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合
 ※法定相続人とは民法で定められた相続人のこと(妻・子供2人なら3人)

2.配偶者の税額軽減制度
 被相続人の財産形成には、配偶者の貢献が大きいと考えて、配偶者に対する相続税についてはかなり軽減措置が講じられている。もし配偶者が法定相続分以下の財産しか取得しない場合は、全額が相続税の対象から除外される。また 配偶者が全財産を取得した場合であっても、1億6千万円までの財産については課税されない。
 但しこの軽減措置を受けるには、税額軽減の明細を記載した相続税の申告書に、戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて提出する必要がある。さらに遺産分割協議書の写しには、印鑑証明書を添付しなくてはならない。

3.相続税の申告期限
 被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内

4.相続財産とその評価額
 ①現金・預貯金
  被相続人が死亡した日の価額で評価
 ②有価証券
  非上場株式の評価は難しいが、上場株式については被相続人が死亡した日の終値・死亡した月の終値平均額・死亡した前月の終値平均額・死亡した前々月の終値平均額のうちいずれか低い額で評価。利付公社債の場合は、「発行価格+既経過利息の手取額」または「上場相場または気配相場+既経過利息の手取額」のいずれか低い額で評価
 ③ゴルフ会員権
  基本的に被相続人の死亡の日の取引価格の70%に相当する金額によって評価
 ④土地建物
  土地の相続税評価額は、路線価がある場合は路線価に基づいて算出(路線価方式)し、路線価がない場合は固定資産税評価額に地域ごとに定められた倍率を乗じて算出(倍率方式)する。また建物の場合は、固定資産税評価額と同じ額が評価額となる。
 ⑤生命保険金
  被相続人が被保険者でかつ保険料を負担していた場合は相続税の対象となる。相続人がこれを取得した場合は(生命保険金-500万円 × 法定相続人の数)だけが相続税の課税対象額となる。
 ⑥死亡退職金
  生命保険金と同様で、相続人がこれを取得した場合は(死亡退職金-500万円 × 法定相続人の数)だけが相続税の課税対象額となる。

 おおむねこの程度の相続税知識を持っていればよいだろう。もしそれ以上の細かい質問をされたら、メモをとりあとで調べて連絡すれば十分である。

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経理マンと賭け事

2017-02-04 11:40:06 | 達人経理マンへの道

 金銭の横領などの経理不正が発生するのは、零細・中小企業か大企業なら少人数の営業所などで起こり易いものである。これは少人数のため内部統制を敷きにくいことや、システム的な制御が充実していないためだろう。
 誰だって初めから横領するつもりはないはず。どうしても金が必要となり、やむにやまれず会社の金に手を付けてしまうというパターンが多いのである。そしてその原因の大半は、男女関係と賭け事だと言い切ってよいだろう。

 男女関係に関しては、人間が相手なので自分の都合だけで解消できないという問題があるが、一方賭け事に関しては金額的な天井がないという恐ろしさがある。そして勝ったときに返せばよいと考えてサラ金から金を借りるのだが、負け続けると残高が増えて借りることが出来ない。それどころか取り立てが厳しくなってくる。それでついつい一時的だと心が緩み、会社の金に手を付けてしまう。そしてそれを返すために、またまた賭け事にのめり込むという悪循環に巻き込まれてしまうのである。

 こうして横領に手を染めてしまった人を何人も観ているし、そのうち二人は自殺してしまった。このような不正が永遠に見つからないなどと言うことは、絶対にありえない。発見されるのは時間の問題なのだ。
 だから金銭を扱っている経理マンは、なるべく賭け事に近付いてはいけない。とは昔からの教訓なのだが、ひと昔前は麻雀が接待技法のひとつとされていて、経理マンの多くは麻雀好きが多かったという矛盾していた過去も否めない。
 だがバブルがはじけ世代交代が行われ、現代は接待麻雀をしている経理マンや銀行マンはほとんど見かけない。逆に手打ちの時代は可愛らしかったパチンコが、全自動台に変わってからは、だんだんと使う金が大きくなってしまった。またパチンコ屋は街のどこにでも存在するので、いつでも出来るという手軽さがあるのも恐ろしいのだ。

 不思議なことに賭け事には、ビギナーズラックというものが存在し、はじめた頃は素直で堅実に勝負するためか、あるいは運の神様が呪いをかけるのか、意外とあっさり勝ってしまうことがある。もし初めから一度も勝てずに負け続けていれば、誰も賭け事なんかに染まることは無いであろう。
 また100回のうち1回でも大儲けしたとすると、その儲けた金額まではいつでも取り返せると錯覚してしまうのも、賭け事から抜け出せない人々の共通の妄想なのだ。これも不思議だが事実であり、私自身も経験済みである。

 いずれにしても理論的には、胴元の取り分がある限り、賭け事は絶対に儲からないはずである。胴元とは競馬会・パチンコ屋・雀荘などなどのことをいう。
 だが「いや私はいつも儲かっている」と反論する玄人はだしの人もいるだろう。ところがそうした特殊な人が存在するとしたら、その他一般の人は胴元に取られている分以上にもっと負けているという理屈になるのだ。
 まあここで賭け事論を展開するつもりはない。少なくとも経理マンたるもの、賭け事には近付かないほうが無難であることだけは間違いないだろう。

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A4一枚にまとめよう

2016-01-07 10:25:24 | 達人経理マンへの道

 最近のマンガを見ると、ぎっしりと精密に描き込まれているのだが、誰の絵も同じようで特徴がなく読む気がしなくなる。またハードの高性能化からか、TVゲームの世界も同様に実写のような映像ばかりで眼精疲労になりそうだ。さらにSF小説も昔のような大らかさがなく、ガチンコに脇を固めたハード仕様で科学的なものが支持されているようだが、難解で読み辛いので途中で投げてしまいたくなる。
 これら異常なほどの几帳面さは、仕事のやり方にも反映していて、詳細にわたり小難しいデーターを大量に羅列しないと気が済まないといった傾向に走っているようだ。ある意味でマニュアル社会化しているアメリカン流に染まっているのかもしれない。
 そしてその最たるものが、最近の企業会計である。平成18年にそれまで見易かった『利益処分案』が廃止され、会計の素人には何だか良く判らない『株主資本等変動計算書』が導入されたのもその一例であろう。
 
 まあ企業会計の国際化については、別途何回もイヤミを書き綴っているので、ここではこれ以上論述することを避けるが、少なくとも上司に報告するレポートについては、重要なポイントだけを分かり易くまとめるべきである。とかくごちゃごちゃと書き連ねた文章は、一見丁寧で親切のようだが、実は読み辛いどころか読む気がしなくなるのだ。そんな訳だからレポートだけではなく、映画ブログなど趣味のブログでさえも、必要以上に長い記事に出くわすとパスしてしまう。
 
 レポートは、何と言ってもまず読んでもらわないことには話にならない。また読む人は自分ではないので、自分流で自己満足の塊のような精密なレポートは不要である。まず誰が読む人なのかを考えて、読む人の立場に沿って文章を構成すべきであろう。
 以前勤務していた某会社では、社長に報告書を提出する場合は、必ずA4一枚にまとめなくてはならないという掟があった。はじめは少し抵抗感があったが、A4にまとめているうちに、いかに無駄な文章が多いかに気付いたものだ。いずれにせよ忙しい人ほど、シンプルで読み易く、結論の良く見えるレポートを望んでいるものである。

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会計帳簿類の法的保存期間を知っているかい

2013-02-08 11:29:17 | 達人経理マンへの道

 いまさらではあるが、初心に戻って『会計帳簿類の法的保存期間』について簡単にまとめておこう。
1.会社法 
 株式会社は、会計帳簿の閉鎖時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要資料を保存しなくてはならない(第432条2)
 株式会社は、計算書類を作成した時から10年間、当該計算書類及び付属明細書を保存しなければならない(第435条4)
 会計帳簿と事業に関する重要資料の具体的明示はないのだが、一般的には次のものと解釈される。
 1)会計帳簿とは
 総勘定元帳、仕訳帳(会計伝票)、現金出納帳、預金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上明細帳、仕入明細帳
 2)事業に関する重要資料とは 
 企業により異なるが、稟議書・取締役会議事録・重要な契約書などを指すものと思われる
 3)計算書類とは
 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表
       
2.法人税法  
 青色申告の承認を受けている会社等は、、下記の帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録して、当該帳簿書類を事業年度終了日の翌日から2ヵ月後(注1)から7年間、納税地において保存しなければならない (法人税法第126条第1項)。
 上記の具体的な解釈については、法人税施行規則第54・59条第1~4項、別表22に記載されているがこれを簡単にまとめると、次の通りとなる。
 1) 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、預金出納帳、受取・支払手形記入帳、売掛金元帳、買掛金元帳、貸付金元帳、借入金元帳、有価証券台帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳、経費帳等
 2)棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類 
 3)注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
 注1) 確定申告書の提出期限の延長の特例を受けている場合は延長期間を加算する(原則3ヶ月後)
 注2) 上記3)の書類のうち、帳簿代用書類、契約書、契約の申込書、預貯金の入出金・口座開設又は解約に際して作成された書類、為替取引に際して作成された書類、現金の入出金・支払手段の授受に際して作成された書類、請求書、支払のために提示された手形又は小切手、棚卸資産の引渡しに際して作成された書類等以外の書類(法人税法施行規則第59条第3項の表の第1号の上欄に揚げる書類を定める件)。
 注3) 一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダ又はマイクロフィルムリーダプリンタを設置し、当該書類を撮影し一定の要件を満たすマイクロフィルムを、当該マイクロフィルムに撮影された当該書類を検索することができる措置を講じて保存する方法による。(法人税法施行規則第59条第5項に規定する保存の方法と定める件)。

3.永久保存したい書類       
 法的には保存期間が定められているものの、事業継続のため永久保存したい重要な書類がある。
 例としては、営業報告書、有価証券報告書、税務申告書、定款、登記関連書類、免許関連書類、不動産関連書類、その他重要な契約書・申請願・届出書などが挙げられる。

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永年勤続者に支給する旅行費用

2013-02-04 16:55:03 | 達人経理マンへの道

  従業員の個人的な旅行費用を会社が負担すれば、通常は現物給与とされて個人に対して給与課税が行われるのだが、永年にわたって勤務している従業員に対しては、下記の条件を満たしていれば課税しなくても良いことになっている。

(1) その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。
(2) 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
(3) 同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。

 以上のようなことは、大企業の人事担当者や経理マンなら、だいたい承知していることであろう。ところが以上の条件を満たしていても、時々突発的に例外的な事情が発生することがあるからやっかいである。例えば次のような事例である。

20年表彰を頂き、同時に会社の規程に従って20万円以内の旅行計画を立て、旅行会社に代金の20万円を支払いったのですが、出発前日に父親が急逝した為、急遽旅行を中止し、旅行会社にキャンセル費として10万円支払いました。
 さてこれから、再度旅行を計画するつもりなのですが、今回の旅行は予算を10万円以内として、前回のキャンセル料と合算して、20万円を会社に請求することは出来るでしょうか。

 と言ったような事例である。もちろん支給するかしないかの判断は会社側で行うのだが、ここでは税務上の取扱いについてだけを述べておきたい。
 さてこのような事例についての基本通達などは見当たらないので、某税務署の源泉税担当部署の責任者に問い合わせたところ、下記のような回答をもらったので参考にされたい。

当初から旅行に行く予定であり、永年勤続表彰が終わっていること、旅行券の手配をしていたことと、父親の急逝というやむを得ない事情があったことの事由により旅行に行けなかったということなので、キャンセル料10万円については、源泉税課税はしないこととします。
 また、規定内で改めて旅行を実施した場合も非課税となります。但し今回旅行をせずに、キャンセル料以外の10万円を現金で支給する場合は、給与課税されるので注意してください。

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リースバック取引の取扱いについて(2/2)

2013-01-04 11:44:20 | 達人経理マンへの道

前回からの続きである。

4.消費税法上の取扱い
 リース資産の所在地が国内にある場合には課税、海外の場合は不課税取引となる。但し資産の所在場所を変更した場合には、変更した契約書の中で所在場所を特定しない限り、当初の所在場所にて課税判定をすることになる。
 リース取引全般の実質的判定
(1)賃貸借取引に該当する場合(オペレーションリース等、総額300万円以下の少額リース含む)
 毎月の支払リース料を課税仕入とする
(2)売買取引に該当する場合 (総額300万円超の所有権移転外ファイナンス取引など)
 リース資産の引渡し時に課税仕入を行ったものとして取り扱う
 契約書で支払利子や保険料の額が明示してある場合を除き、利息相当額を支払利息と処理しても消費税上は課税仕入となる
(3)金融取引に該当する場合
 リース料相当額を借入元本返済と金利とに分類するため、元本相当は不課税・金利部分は非課税となる

5.外形標準課税上の取扱い
1)賃貸借取引に該当する場合(オペレーションリース等、総額300万円以下の少額リース含む)
 毎月の支払リース料が付加価値割の「賃借料」に該当する
(2)売買取引に該当する場合 (総額300万円超の所有権移転外ファイナンス取引など)
 利息相当額を支払利息と区分処理している場合には、その部分については付加価値割の「支払利息」となる
(3)金融取引に該当する場合
 リース料相当額中、金利相当部分は付加価値割の「支払利息」となる
※ 契約書に利息相当額の区分がない場合でも、会計処理において、合理的な見積もり金額により、リース資産の取得価額と利息相当額を区分し、会計処理に沿った法人税の取扱いにより利息相当額が区分され、損金の額又は益金の額に算入される場合には、支払利子又は受取利子に含める
※ リースバックの場合は、税務上金融取引に該当するか否かがポイントであり、判定後は上記(1)~(3)に従って判定する。

6.償却資産税上の取扱い
  原則として、申告義務は資産の所有者であるリース会社にある。ただし、それが実質的に割賦販売であると認められる場合(リース期間終了後に譲渡されることになっている場合など)は、実質的に「所有権留保付割賦販売」となり、(所有権移転リース契約等)は、ユーザー(買主)が申告を行う必要がある。

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リースバック取引の取扱いについて(1/2)

2013-01-02 09:51:58 | 達人経理マンへの道

 明けましておめでとうございます。今年も『経理・経理・経理マンの巣窟』をご愛顧のほど、隅から隅までよろしくお願い致します。さて新年早々ですから、お気楽な記事にしようと思ったのですが、なぜかなんと真逆の難解なリースバック取引を選んでしまいました。正月気分の抜けない方は仕事始めになってから読んでくださいね。(^^♪

 年々複雑な仕組みになっているリース取引。ことにリースバック取引については、会計上だけではなく法人税法・消費税法のほか、事業税や固定資産税などの地方税での取扱いについても十分利理解しておく必要がある。そこで今回はそれらを二回に分けて簡単にまとめてみることにした。現役経理マンの方々に少しでもお役に立てば幸いである。

1.セール・アンド・リースバック取引とは
 もともと自己が所有する物件を貸手に売却し、貸手から当該物件のリースを受ける取引を「セール・アンド・リースバック取引」という(以下リースバックという)。
 簡単な取引の流れ
機械装置製造業者 →(購入) 自社 (売却)→ 複数のリース会社(リース)→ 自社 (リース料支払い)

2.会計上の取扱い
 リースバックにおけるリース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判定は、通常の「ファイナンス・リース取引の判定基準」に従う。ただしこの判定において、経済的耐用年数については、リースバック時におけるリース物件の性能、規格、陳腐化の状況等を考慮して見積った経済的使用可能予測期間を用いるとともに、当該リース物件の見積現金購入価額については、実際売却価額を用いる(適用指針48、69) 

(1) リースバック取引におけるリース取引がファイナンス・リース取引に該当する場合、借手は、リースの対象となる物件の売却に伴う損益を長期前払費用又は長期前受収益等として繰延処理し、リース資産の減価償却費の割合に応じ減価償却費に加減して損益に計上する。ただし、当該物件の売却損失が、当該物件の合理的な見積市場価額が帳簿価額を下回ることにより生じたものであることが明らかな場合は、売却損を繰延処理せずに売却時の損失として計上する。
(2) リースの対象となる物件の売却損益に係る処理を除き、「所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手の会計処理」、「所有権移転ファイナンス・リース取引に係る借手の会計処理」と同様とする。なお、リースバックによるリース物件を、さらに概ね同一の条件で第三者にリースした場合で、当該転リース取引の貸手としてのリース取引がファイナンス・リース取引に該当し、かつ、その取引の実態から判断して当該物件の売買損益が実現していると判断されるときは、その売買損益は繰延処理せずに損益に計上することができる。(適用指針49、50)

3.法人税法上の取扱い
 リースバックは基本的に金融取引とされているが、リースバックの場合でも、以下のような理由があるものは、金融取引として取り扱われない
 対象リース資産が新品の場合
(1)多くの品目に渡る資産を購入する必要があり、ユーザが一括購入した方が事務の効率化が図れる場合(流通業の店舗設備など)
(2)輸入機器のように、通関事務などに専門知識が必要なもの
(3)ユーザが購入した方が安くなる場合
● 中古品の場合
 管理事務の省力化等が可能な場合(自動車のリースバックなど)
※ ちなみに金融取引とされた場合は、リース会社からの借入金があったものと看做されて、リース料相当額を借入元本返済と金利とに分類(契約書に記載のない場合には、合理的に区分する必要がある)しなくてはならず、申告調整が必要となる。

次回は、消費税、外形標準課税、償却資産税上の取扱いについて言及する予定。

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