「パラアスリートたちが、社会を進化させる」をテーマにしたシンポジウム(川崎市主催)が一日、市産業振興会館=幸区堀川町=で開かれ、リオデジャネイロパラリンピックで活躍した競泳の成田真由美(46)=多摩区、ウィルチェア(車いす)ラグビーの山口貴久(34)=中原区=の両選手らが登壇。パラスポーツをめぐる現状や課題、可能性などを語った。
パネル討論で山口選手は、選手村に設置されたトレーニングルームの写真を見せながら「仮設でもこんなに運動器具がそろえられる。区のスポーツセンターでもやってくれないかな」と期待。昨年、七年ぶりに競技復帰し、リオでは日本新やアジア新を連発した成田選手は「年齢は関係なく、自分の可能性をあきらめなければ一つひとつ進んでいける」と話した。
日本パラリンピック委員会の中森邦男事務局長は「一般校に通う障害児は、パラスポーツの体験ができない」とし、競技用車いすのレンタルや、パラスポーツの用具を備えた推進校の取り組みを提言した。
市では二〇二〇年東京五輪・パラリンピックを機に、障害者や高齢者、だれもが暮らしやすい社会を目指す「かわさきパラムーブメント」を推進している。福田紀彦市長は「二〇年には市内で六十五歳以上の高齢者が21%を占めると予想される。この機を逃さず、市民挙げてのムーブメントにしなければ」と呼び掛けた。
シンポでは成田選手に市民特別賞、山口選手にスポーツ特別賞が贈られた。
2016年12月2日 東京新聞