今大会が持つ2つの意義
日本パラリンピック委員会は23日、東京都内のホテルで、8月29日から9月9日まで行われるロンドン2012パラリンピック競技大会の記者会見、結団式、壮行会を行った。
今回、日本選手団は選手135人、役員121人の合計256人で、全20競技中17競技に出場する予定。前回の北京大会の162人から選手数は若干減ったものの、記者会見で中森邦男団長は「前回の金メダル5個、全部で27個のメダルを上回ること」と目標を明言した。さらに知的障害のクラスが3大会ぶりに復活したことを受け、「シドニー大会以来、12年ぶりとなる知的障害者の出場にも期待したい」と新たな選手の活躍も楽しみにしている様子だった。
会見に続いて行われた結団式には、一部を除く選手、役員が出席。厳かな雰囲気の中で国歌斉唱が行われ、競技ごとの紹介では選手たちが本番への気合いを感じさせる元気のよい返事。さらに、主将の土田和歌子(陸上/サノフィ・アベンティス)介添えのもと、西村智奈美厚生労働副大臣から旗手の木村敬一(水泳/日大)に日本国旗が渡されると、会場は大きな拍手に包まれた。
主催者である日本パラリンピック委員会の鳥原光憲委員長からは「ロンドンパラリンピックには2つの意義があります。一つはパラリンピック発祥の地であるロンドン開催であること、もう一つは2020年東京パラリンピックの招致成功につなげる大会であることです」と力強く選手を鼓舞した。
■土田主将が決意表明「全身全霊で」
結団式の最後には土田主将が「私たち日本選手団は選手一人一人が自覚を持ち、克己復礼の精神のもと、誇るべき日本の強さを世界に証明するため、全身全霊で個々の可能性への挑戦を行います。また支えてくださる方々の思いを胸に、最高峰の舞台で最高のパフォーマンスを目指し、被災地のみなさまにも勇気と元気を、そして日本に笑顔を届けたいと思います」と決意表明を行い、本番に向けて、気を引き締めた。
その後の壮行会では野田佳彦内閣総理大臣から、「みなさんの負けない、くじけない、折れない心と技と力、その雄姿を見ることで夢と勇気と感動をもらうことができると思います。メダルを取って、取って、取りまくってほしい」と熱い言葉が選手たちに送られた。さらに、選手たちの席を回って、直接エールを送る場面も。選手とともに笑顔で写真に収まっていた。
途中、寄付などで障害者スポーツへの関心が深いフリーアナウンサーのみのもんたさんが壇上に上がり、選手たちを激励。「記録も大事だけど、ロンドンでみなさんが流すさわやかな汗を伝えます」と自身の番組で多く報道することを約束した。
選手たちは、普段なかなか接することのない他競技の選手と交流を深めるなど、会場は終始和やかな雰囲気。約1カ月後のパラリンピック開幕に向けて、これから最後の調整に入る。
■土田和歌子(陸上/サノフィ・アベンティス)
(結団式は)身が引き締まる式典でした。選手団の主将として、チームを一つにまとめたいという気持ちがあります。開幕まで限られた時間ではありますが、今できる自分の精いっぱいをやっていけたらいいなと思います。(初出場の選手たちには)みんな緊張すると思うので、いい緊張感に変えられるような言葉をかけたいですね。
(決意表明で「克己復礼」という言葉を使ったが)私に限らず、ほかの選手にも伝えたいメッセージでした。緊張感から自分自身のコントロールができない場面があります。そういうときにふさわしい言葉だと思いますし、自分に喝を入れる意味でこの言葉を使いました。
(冬季と夏季を含めて)6度目のパラリンピックになりますが、まだマラソン種目で金メダルを取っていません。目指すはマラソンでの金メダルです。世界のレベルが高いので、あと1カ月、しっかりと調整をしたいと思います。また、ひとつの集大成として、この大会に向けて取り組んでいきたいと思います。心技体すべてのバランスを整えて大会に臨みたいですね。
■木村敬一(水泳/日大)
「ひとつでも多くのメダルを」
旗手という大役をいただき、パラリンピックで勝ちたいという気持ちになりました。(結団式で旗を受け取った際は)日の丸の重みを強く感じましたし、これを背負って戦わないといけないという責任感と重みを感じました。(野田首相からは)あいさつ程度でしたが、「ひとつでも多くのメダルを取れるように頑張って」と言われました。
前回大会は高校生で初出場という何もわからない状態で飛び込んで、あっという間に過ぎ去った大会でした。今回はメダルを取るという結果を求めて頑張ってきたので、何としてもメダルを取るという気持ちで頑張ってきたいと思います。
5種目エントリーしていますが、どれも4、5位というぎりぎりのラインです。ひとつでも多く決勝に残って、ひとつでも多くのメダルを取って、全部の種目で自己ベストを更新できたらと思います。
■小宮正江(ゴールボール/アソウヒューマニーセンター)
「結果で恩返しをしたい」
(結団式を終えて)早くロンドンの舞台に立ちたいという気持ちになりました。(04年の)アテネから金メダルを目指してやってきましたが、今回3度目の夢を目指すチャンスをいただきました。その夢に向かって、今は私一人ではなくいろんな人に支えられてやっているので、結果を恩返しとして残してきたいなと思います。
ゴールボールという競技自体が知られていないと思います。私たちがテレビに出れるような結果を残して、いろんな方々にゴールボールの魅力を伝えたいと思います。
選手一人一人が自分たちの役割を果たし、一丸となって、選手・スタッフみんなで元気に笑顔で、きらきらと輝いてメダルを取りにいきます。
■三阪洋行(ウィルチェアラグビー/バークレイズ証券)
「メダルはミッション」
チーム日本が日本中から注目されて戦いにいく、ということで身の引き締まる思いです。(過去2大会出て)パラリンピックには魔物が棲んでいるのでは、という苦い思いをしました。しかし、つらい思いを力に変えて、2010年の世界選手権で銅メダルに輝き、世界ランク3位にまで駆け上がりました。世界に通用する選手が出てきたことや、質の高いサポートがあることで、アスリートとしての自覚が生まれて、競技に打ちこむ時間を与えてもらえたからだと思います。
(海外でプレーして)パワーやがたいの違いを感じましたが、逆に日本の方がうまいと確信できることもありました。また、気持ちの面が大きいと感じました。
ロンドンでは夢とか目標ではなくて、確実にメダルを取るというミッションを達成しにいこうと思います。
■秋山里奈(水泳/明大院)
「世界新で金メダルを」
(結団式、壮行会に出て)ロンドンで戦うんだな、という強い気持ちが生まれました。高校2年生で出場したアテネ大会では、得意の100メートル背泳ぎで銀メダルを取りましたが、北京大会では金メダルと思っていたんですが、(競技自体が)なくなってしまいました。2010年の世界選手権で銀メダルに終わった時、引退しようか迷っていたんですが、ロンドンで競技が復活すると聞いて、初めはどうしたらいいか分かりませんでしたが、出場を決めました。
アテネ大会から8年間、ずっと世界チャンピオンになりたいと思って臨む大会なので、目標は世界新記録で金メダルをと思っています。今までの3大会で一番強い気持ちです。
私の武器はスタートの反応や前半の入りがライバルより速いことです。なので、前半から全力で入って、(ほかの選手に)抜かれないようにするのが自分のレースだと思います。100パーセントの力でスタートから突っ込んでいきます」
スポーツナビ - 2012年7月23日(月)
日本パラリンピック委員会は23日、東京都内のホテルで、8月29日から9月9日まで行われるロンドン2012パラリンピック競技大会の記者会見、結団式、壮行会を行った。
今回、日本選手団は選手135人、役員121人の合計256人で、全20競技中17競技に出場する予定。前回の北京大会の162人から選手数は若干減ったものの、記者会見で中森邦男団長は「前回の金メダル5個、全部で27個のメダルを上回ること」と目標を明言した。さらに知的障害のクラスが3大会ぶりに復活したことを受け、「シドニー大会以来、12年ぶりとなる知的障害者の出場にも期待したい」と新たな選手の活躍も楽しみにしている様子だった。
会見に続いて行われた結団式には、一部を除く選手、役員が出席。厳かな雰囲気の中で国歌斉唱が行われ、競技ごとの紹介では選手たちが本番への気合いを感じさせる元気のよい返事。さらに、主将の土田和歌子(陸上/サノフィ・アベンティス)介添えのもと、西村智奈美厚生労働副大臣から旗手の木村敬一(水泳/日大)に日本国旗が渡されると、会場は大きな拍手に包まれた。
主催者である日本パラリンピック委員会の鳥原光憲委員長からは「ロンドンパラリンピックには2つの意義があります。一つはパラリンピック発祥の地であるロンドン開催であること、もう一つは2020年東京パラリンピックの招致成功につなげる大会であることです」と力強く選手を鼓舞した。
■土田主将が決意表明「全身全霊で」
結団式の最後には土田主将が「私たち日本選手団は選手一人一人が自覚を持ち、克己復礼の精神のもと、誇るべき日本の強さを世界に証明するため、全身全霊で個々の可能性への挑戦を行います。また支えてくださる方々の思いを胸に、最高峰の舞台で最高のパフォーマンスを目指し、被災地のみなさまにも勇気と元気を、そして日本に笑顔を届けたいと思います」と決意表明を行い、本番に向けて、気を引き締めた。
その後の壮行会では野田佳彦内閣総理大臣から、「みなさんの負けない、くじけない、折れない心と技と力、その雄姿を見ることで夢と勇気と感動をもらうことができると思います。メダルを取って、取って、取りまくってほしい」と熱い言葉が選手たちに送られた。さらに、選手たちの席を回って、直接エールを送る場面も。選手とともに笑顔で写真に収まっていた。
途中、寄付などで障害者スポーツへの関心が深いフリーアナウンサーのみのもんたさんが壇上に上がり、選手たちを激励。「記録も大事だけど、ロンドンでみなさんが流すさわやかな汗を伝えます」と自身の番組で多く報道することを約束した。
選手たちは、普段なかなか接することのない他競技の選手と交流を深めるなど、会場は終始和やかな雰囲気。約1カ月後のパラリンピック開幕に向けて、これから最後の調整に入る。
■土田和歌子(陸上/サノフィ・アベンティス)
(結団式は)身が引き締まる式典でした。選手団の主将として、チームを一つにまとめたいという気持ちがあります。開幕まで限られた時間ではありますが、今できる自分の精いっぱいをやっていけたらいいなと思います。(初出場の選手たちには)みんな緊張すると思うので、いい緊張感に変えられるような言葉をかけたいですね。
(決意表明で「克己復礼」という言葉を使ったが)私に限らず、ほかの選手にも伝えたいメッセージでした。緊張感から自分自身のコントロールができない場面があります。そういうときにふさわしい言葉だと思いますし、自分に喝を入れる意味でこの言葉を使いました。
(冬季と夏季を含めて)6度目のパラリンピックになりますが、まだマラソン種目で金メダルを取っていません。目指すはマラソンでの金メダルです。世界のレベルが高いので、あと1カ月、しっかりと調整をしたいと思います。また、ひとつの集大成として、この大会に向けて取り組んでいきたいと思います。心技体すべてのバランスを整えて大会に臨みたいですね。
■木村敬一(水泳/日大)
「ひとつでも多くのメダルを」
旗手という大役をいただき、パラリンピックで勝ちたいという気持ちになりました。(結団式で旗を受け取った際は)日の丸の重みを強く感じましたし、これを背負って戦わないといけないという責任感と重みを感じました。(野田首相からは)あいさつ程度でしたが、「ひとつでも多くのメダルを取れるように頑張って」と言われました。
前回大会は高校生で初出場という何もわからない状態で飛び込んで、あっという間に過ぎ去った大会でした。今回はメダルを取るという結果を求めて頑張ってきたので、何としてもメダルを取るという気持ちで頑張ってきたいと思います。
5種目エントリーしていますが、どれも4、5位というぎりぎりのラインです。ひとつでも多く決勝に残って、ひとつでも多くのメダルを取って、全部の種目で自己ベストを更新できたらと思います。
■小宮正江(ゴールボール/アソウヒューマニーセンター)
「結果で恩返しをしたい」
(結団式を終えて)早くロンドンの舞台に立ちたいという気持ちになりました。(04年の)アテネから金メダルを目指してやってきましたが、今回3度目の夢を目指すチャンスをいただきました。その夢に向かって、今は私一人ではなくいろんな人に支えられてやっているので、結果を恩返しとして残してきたいなと思います。
ゴールボールという競技自体が知られていないと思います。私たちがテレビに出れるような結果を残して、いろんな方々にゴールボールの魅力を伝えたいと思います。
選手一人一人が自分たちの役割を果たし、一丸となって、選手・スタッフみんなで元気に笑顔で、きらきらと輝いてメダルを取りにいきます。
■三阪洋行(ウィルチェアラグビー/バークレイズ証券)
「メダルはミッション」
チーム日本が日本中から注目されて戦いにいく、ということで身の引き締まる思いです。(過去2大会出て)パラリンピックには魔物が棲んでいるのでは、という苦い思いをしました。しかし、つらい思いを力に変えて、2010年の世界選手権で銅メダルに輝き、世界ランク3位にまで駆け上がりました。世界に通用する選手が出てきたことや、質の高いサポートがあることで、アスリートとしての自覚が生まれて、競技に打ちこむ時間を与えてもらえたからだと思います。
(海外でプレーして)パワーやがたいの違いを感じましたが、逆に日本の方がうまいと確信できることもありました。また、気持ちの面が大きいと感じました。
ロンドンでは夢とか目標ではなくて、確実にメダルを取るというミッションを達成しにいこうと思います。
■秋山里奈(水泳/明大院)
「世界新で金メダルを」
(結団式、壮行会に出て)ロンドンで戦うんだな、という強い気持ちが生まれました。高校2年生で出場したアテネ大会では、得意の100メートル背泳ぎで銀メダルを取りましたが、北京大会では金メダルと思っていたんですが、(競技自体が)なくなってしまいました。2010年の世界選手権で銀メダルに終わった時、引退しようか迷っていたんですが、ロンドンで競技が復活すると聞いて、初めはどうしたらいいか分かりませんでしたが、出場を決めました。
アテネ大会から8年間、ずっと世界チャンピオンになりたいと思って臨む大会なので、目標は世界新記録で金メダルをと思っています。今までの3大会で一番強い気持ちです。
私の武器はスタートの反応や前半の入りがライバルより速いことです。なので、前半から全力で入って、(ほかの選手に)抜かれないようにするのが自分のレースだと思います。100パーセントの力でスタートから突っ込んでいきます」
スポーツナビ - 2012年7月23日(月)