東日本大震災で被災した聴覚障害学生の授業をサポートするため、日本福祉大(愛知県美浜町)の学生たちが講義ノートづくりを手伝っている。携帯電話を使って遠隔地から支援できるシステムを活用。被災地の大学ではボランティア確保が難しく、遠く離れた全国の仲間が聴覚障害のある学生たちの「耳」となっている。
携帯電話で音声中継される講義を2、3人が連携して要約しパソコンで文字入力すると、被災地の耳の不自由な学生の携帯電話にリアルタイムで文字が表示される仕組みだ。筑波技術大(茨城県つくば市)が開発した。
震災後、筑波技術大に事務局を置く日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワークの加盟大学から「被災地の障害者を支援したい」と声が上がった。現在、日本福祉大をはじめ全国11大学の学生ボランティアが、被災地の宮城教育大、東北福祉大など4大学の学生たちの講義ノートづくりを担っている。
日本福祉大では、障害学生支援センターに所属する学生5人が交代で、月曜日午前に宮城教育大の「理科教育実践研究」を担当。子ども発達学部3年の松本舜さん(20)は「教室で聴覚障害学生の隣で手伝うのと違って黒板が見えないので、専門用語が分からないことがある」と“遠隔支援”に戸惑いながらも「困っている被災地の学生の役に立ててやりがいがある」と話す。
携帯電話で中継される講義のノートをパソコンで作る学生たち=日本福祉大にて。
毎日新聞 2011年6月5日 2時19分(最終更新 6月5日 2時26分)