ハンデルさんは、第4話でも書きましたが、
元はドイツのハレ出身である、
ヘンデルさんの英国での帰化名です。
「 エアと変奏 」 は、現在では 「 調子の良い鍛冶屋 」
と呼ばれています。
トーマス・オ―ガスティン・アーンさん ( 1710-78 ) の
「 ブリタニアよ統治せよ 」 は、
現代でも英国で愛唱されているらしいのですが、
歌詞がとってもとっても勇まし過ぎて、
もし、日本人が同じ趣向の曲を、
公の場でみんなで歌ったのなら、
近隣諸国からブッ飛ばされそうです。
この漫画では、譜面台で隠れていますが、
大人になったモーツァルト姉弟が、
内側の手を交差させて、
ピアノの連弾をしている絵が実在していますので、
もしよろしかったら、
そちらを参考にして下さい。
現代では、 「 ピアノソナタハ長調 K19d 」
のタイトルで呼ばれていて、
楽譜と収録CDもありました。
ハリソンさんの言っている個所は、
第3楽章ロンドーの中間部のようです。
「 さあ怒りにまかせて 」 は、
訳詞から想像するに、
娘がこれからしようとしている事を、
父親が咎める歌らしいのです。
当時のロンドンの法律学者ディンズ・バリトンさんという人は、
モーたんの感情表現が素晴らしいと言っていたそうですが
…よく現代の評価家さん達から言われる褒め言葉、
「 純化された感情表現が巧みだ。 」
― と同じ意味なんでしょうか?
当時、音楽では多感様式とか、
また、文学と両方でシュトゥルム・ウント・ドラング運動とか、
絵画では新古典主義とかいう
新しい表現方法が現れていたようですが、
まだあまり複雑な感情が、
連続表現できる段階では無かったようです。
そんな時代の中で、
「 トリストラム・シャンディ 」 の感情表現方法は、
時代の先を行き過ぎてて、
異様だったんでしょうな。
つーか、読む人の性格によっては、
21世紀現在でさえも、
時代の先を行き過ぎているって感じの異様さで、
付いて行きたくないと思うんじゃない?
〈 次回の更新は、6月19 ( 土 ) ・ 20 ( 日 ) 日の予定 〉
ハリソンさんの不幸な運命を変える、少女との再会が ――。