漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

わたしがその答を聞き出してみせます!

2013年04月28日 10時25分27秒 | 第21話/薬包紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 今話の冒頭にあった、ハリソンさんが
無花果と卵をどうやって宿というか、下宿に持って帰ったのかの謎
が、クレールさんに明かされる事となりますが、
それは第22話までお待ち下さい。

 そして、クレールさんが 「 先生 」 と言っているのは、
やっぱりデュポン先生の事なんでしょうか?

 確かに、デュポン先生、第9話で、
「 トリストラム・シャンディ 」 7巻の部分訳をテキストに、
英語教室の生徒への授業をしていて、
マー坊も特別聴講していましたが。

 それから、しばらくペンディング状態だった、
ハリソンさんとアラベラさんとの関係がどうなって行ったのか、
それも出て来るかもしれません。

 今まで、漫画の中では描かれて来なかった、
マー坊の特技も、22話か23話で突如として描かれる事となります。
実は、その当時、技術的にとても難しいとされていたある事が、
マー坊にはスラスラとできたんです。

 ところで、昨日、 「 むすんでひらいて 」 が 「 ルソー作曲 」 と教材関係に堂々と書いてあった、
― と、書いたのですが、作者が使用したヴァイオリン教則本の第1巻には、
作曲者の名前の記述が無い事を確認しました。

 …複雑な事情を考慮して、無記入となったんでしょうか?

 ルソーさんについては、「 トリストラム・シャンディ 」 第9巻の17章中にも一箇所、
ほんのちょびっとだけ言及があるのでした。
シャンディさん、ルソーさんを凌ぐ程の慎ましい暮らしぶりをしていると、
冗談半分で自慢しているんですが。

 作者、ルソーさんについて調べれば調べる程、
ルソーさんの気高さに尊敬の念を持つようになって来ました。

 一番凄いのは、この物語の頃には逆風が吹き荒れていて、
少なくとも欧米中には敵だらけで、
いじめやいじりを受けまくっていたというのに、
自らの思想を曲げず、
でも命を絶ったり、処刑されたりもせずに、
生き抜いたという事です。

 ルソーさんをからかった側の代表者である、
ウォルポールさんのモデルとなった人の全ての肖像画を見ましたが、
例え生まれや育ちや身なりが良くっても、
いかにもロココっちい軽やかさで、
ルソーさんが放つ普遍的な高貴さには及びません。

 絵にはどちらかと言えば、製作者の性質の方が色濃く出る物ですし、
しかも、それぞれの肖像画の作者は別々の人なのですが、
― それを差し引いてもです。

 まあ、でも少なくともこの話の中のルソーさん、
この話の中のウォルポールさんに対しては、
ハリソンさんがほとんどホラーな方法で仇を取ってくれますので。


 第22話はまた出来次第となります。


 


この格好では会えません!

2013年04月27日 17時52分19秒 | 第21話/薬包紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 この話、第1話冒頭は、マー坊がハリソンさんを訪ねて来た事を、
英国ホテルの女子スタッフが、ハリソンさんに告げに来る所なのですが、
今度はマー坊が、ハリソンさんに誰かが会いに来たと告げているのでした。

 また、ハリソンさんに付いてイタリアに行きたいなんて人でも現れるんでしょうか?

 ハリソンさん、ついに寒さに耐えられなくなって来たのか、
第13話でも出て来たニット帽ガウンを身に付けているのでした。

 マー坊のハリソンさんへの態度なんですが、
くだけ過ぎと見える方もいるかもしれません。

 でも、じゃあ、これだと似合いますかねー?



 ついでにもう一つ落書きなんですけど、
先週、ウォルポールさんがイメージする、
大自然の中で、オペラ歌っているみたいなルソーさんが出て来ましたけど、
ルソーさん、オペラも作曲しているのでした。

 「 村の占い師 」 という作品が有名で、
その中の一曲が、装飾的な音を取り払い、変形して、 「 むすんでひらいて 」 となって行ったようです。
記憶では、音楽の教科書か児童用歌集には、キッパリ 「 ルソー作曲 」 と書いてありましたっけ。

 「 村の占い師 」 は、大評判となり、
その後 「 バスティアンとバスティエンヌの恋 」 というパロデイ作品が作られました。
その台本がドイツ語化されて、それに12歳のモーツァルトさんが曲を付けて、
「 バスティアンとバスティエンヌ 」 のタイトルで今日に伝わっています。

 で、作者のルソーさんのイメージなんですが、こんなんです。



 「 一人でいる事と孤独とは違う 」 という事を表現できていたら、
絵を描く者として、うれしいものです。

 作者が反ルソー派だとお思いの方がほとんどでしようが、
ルソーさんが大自然を愛して、
植物採集を生活の一部に取り入れている事は素晴らしいと
思っているのでした。

 それから、 「 ヌーヴェル・エロイーズ 」 は、現代日本を舞台に翻案しても、
ストーリーの流れそのものは、結構ウケる系なんじゃないかと思ってるんですけど。


 今日の続きは明日。

バック・トゥ⇒ザ・ネイチャー?!

2013年04月21日 16時10分15秒 | 第21話/薬包紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ルソーさんが言った、 「 自然に帰れ 」 の場合、
英語では、

Return to nature.

と、なります。

人は、自分の欠点を引き出してしまう人を基本的にはキラいます。
そして、自分の努力を虚しいのでは?
― と思わせてしまう人も基本的にはキラいます。

 ルソーさんをキラう人がいるといたら、
それは多分、その人の、

「 大人気無い所、未熟な所を気付かせてしまうから。 」

― なのではないでしょうか?
自らのピュアさによって。

 それから、ウォルポールさんの家系についてなんですけど、
ルソーさんが 「 人間不平等起源論 」 とかで批判しているような事を、
ルソーさんが生まれてからの時代に、
ウォルポールさんのお父さんが、物の見事にやってのけてしまっているのでした。

 お父さん、元はというと、特に裕福という訳でもない、
英国の無名の田舎紳士でしたが、
自らの才で中央政界に入り、総理大臣にまで上り詰め、
財も成し、貴族にもなり、最後は歴史事典に収録されている人なのでした。

 と、いう訳で、ルソーさんが批判している事を、
現代においても、堂々とやらかしてしまっている悪例なのでした。

 ルソーさんは、別に批判相手を特定の個人としている訳では無いのでしょうが、
ウォルポールさんにしてみれば、お父さんの恩恵を受けているからこそ、
今の優雅な暮らしが成り立つ訳で、
それを揺るがすような事を、

「 いつ言うか?今でしょ?! 」

― な、ルソーさんが、それだけでも面白い訳がありません。

 その上、自分の出生の怪しさから、常に自分で自分へと、
密かに揺さぶりをかけている状態だというのに。
王様の大叔母の恋人だった男性と自分の母親との間に生まれたのでは?
― と思ってるようなのですが…。

 外から中から自分の立ち場が揺らいでいる状態じゃあ、
こりゃたまらんでしょうな。

 それから、仲良しの犬さんにも、最終的には裏切られてしまいます。
実はそれには、ハリソンさんが関わっていて…。
ハリソンさんとの関係もさらに悪化して行くのでした。

 ところで、ジェイン姫が、ステッキ持っていたんですが、
仮にウォルポールさんが怒って殴りかかって来たら、
刺すつもりで、護身用に持っていたらしいです。

 ヒュームさんが助けてくれるよぉ~…きっと。


 次回から、ハリソンさんとマー坊の 「 金髪バカ男コンビ 」 の話に戻ります。
二人の所に、ある人物が訪ねて来て―。

 次回の更新は、4 / 27 ( 土 ) の予定。 



会ってほしいと頼まれても

2013年04月20日 15時43分42秒 | 第21話/薬包紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ヒュームさんがウォルポールさんにJ.J.ルソーさんに会ってほしいと頼んだのは、
史実上でも本当にあった事だそうです。
そして史実上のウォルポールさんは拒否しています。

 心の中で悪く思っていながら、そういう人物と会って、
仲良くしたいなんてそぶりはできないという理由だったと思いますが…。

 友達が沢山欲しい人でも、仲良くしたくない人がいる事はいるんですね~。
でも、ルソーさんのどこがそんなにキライなんでしょうか?

 ルソーさんに対して、 「 完全に論理的ならば良かったのに、そうでは無い、
それでは収まり切らない人物だから、モヤモヤして苛立つ。 」
と、いう意見があるようです。

 そのモヤモヤが、何だか分からない、
せいぜい 「 直感 」 とか 「 肉体的な分かり方をする所がある。 」
としか言い表せない ― そして、 「 だからその正体を確かめたい。 」
と、のめり込む人もいるようです。

 作者がこういう感じの人と会って話をした場合、
「 何か言ってる事自体は正しそうなんだけど、何か違和感アリなんだよなー。
でも、反論できないし ― そういう自分ってバカなだけ?
そもそも論理的に考えるのも話すのも実は苦手なんだよー。 」
と、なります。

 そうなんです、ルソーさんみたいに、次から次から例を上げて、
これでもかこれでもかと畳み込むような話し方をする人が苦手なんです。

 そして多分、自分が必要以上にバカで無様に見えてしまう事に対してムカつくのに、
大人だからそんな事思っちゃいけないんだ~とか、
自分の努力が足りないからいけないんだ~とかと…心が複雑化して、
内向きにとぐろを巻いて行くのが苦痛なのかと。

 これを見て下さっている方、ルソーさんとヒュームさんとウォルポールさんの3人の中で、
誰と話すのが一番楽かと思いますか?

 作者は…ヒュームさんを選ぶのが一番無難だと思います。
そして、その点については、ジェイン姫も実によく分かってらっしゃるようです。


でも、ルソーさんみたいな人からは、作者は 「 話しやすい人 」 と思われているようなのです。何故?! 

今日の続きは明日。
   



魔女と悪魔とお人よし

2013年04月14日 13時20分18秒 | 第21話/薬包紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ヒュームさん、パリ滞在中は、フランス貴族の奥方に熱を上げていました。
かの貴婦人、夫君がいましたが、何しろ18世紀のフランスなので、
別に咎められるような事ではありませんでした。

 ある時、貴婦人の夫君が亡くなりました。
するとその貴婦人ときたら、あろう事かヒュームさんの心を知っていながら、
元彼だったフランス貴族との結婚の仲立ちをヒュームさんに頼んだのでした。
ヒュームさんの彼女への熱い思いは冷めてしまいましたが、
文通相手としての交際はその後も10年続いて行ったのでした。

 そんな感じで、ヒュームさん、自分のお母さんからも 「 お人よし 」
― とあきれられるくらいで、、
たいがいの女性達にもそういう印象を与えていたようです。

 パリでは、その性質がいい方に転んだ時には、大人気のモテ期到来。
宮中の女性からも丁重な扱いを受けたのだそうです。

 …まあ、でも結果としては、生涯独身率100%だったんですけどね。
上記の貴婦人、ブフレル伯爵夫人という方だったそうですけれども、
…当たって砕けちゃったんだし。

 そんで、ウォルポールさんとは、 「 独友 」 で仲良ししてんのかなー?

 ジェイン姫、どういう男性は、どこまで and どういう扱いまでならOKなのか、
長けているようで、その能力はどこで身に付いたのか、
どういうきっかけで身に付けようとしたのかが謎なのですが。
― 遅くとも第3部には明らかになるでしょう。

 そして、ハリソンさんを苛めようとしていると、冗談を装ってヒュームさんにチクり、
ウォルポールさんの行動を無効化しようとしているくせして、
ウォルポールさんの事はしっかり苛めているジェイン姫なのでした。

 それにしても、ウォルポールさんなのですが、
高い身分+教養がある女性には下手に出て下さるお方のようです。
ジェイン姫、あの有名な、 「 ロバの耳の王様 」 の子孫なんですよ。
and 女社長で、文筆の才もあるようなので。

 それからウォルポールさん、多分、かけ離れて下過ぎる御身分の方々にも同情的で親切です。
リンカーン大統領やスト―夫人よりも前に、奴隷制度に反対していた方も、ちゃんと存在していたのでした。
そして、働いても働いても貧しくて、もしくは働きたくても働けなくて、
それでも、行政からの保護さえも受けられない方々にも、救済の手を差し伸べていたのでした。

 けれども、高からず低からずの身分で、
しかも生意気でチャレンジャーなヤツらには、
冷酷無比でナサケヨウシャナシなのでした。

 だから、ウルストンクラフト女史の事は、完全にケダモノ扱いですし、
天才チャタトン少年を、服毒自殺の悲劇から救おうともしなかった訳です。

 …そして、ひょっとしたら、ルソーさんも、
そっちの 〈 生意気系カテゴリー 〉 に入っているのかもしれません。


 次回の更新は、4 / 20 ( 土 ) の予定。
J.J.ルソーさんもちょっとだけ登場します。

大騒動へ…準備が進む舞台裏

2013年04月13日 10時41分38秒 | 第21話/薬包紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 ここから、ウォルポールさんの少し前の記憶に入って行くのですが、
パリの町で、ウォルポールさんはヒュームさんと同じオテルに滞在していました。

 ヒュームさんは、ウォルポールさんの親戚である、元パリ駐在の英国大使、
ハートフォード卿の秘書官・大使代理として働いていました。

 けれども、ハートフォード卿がアイルランド総督となってパリを去り、
新大使も着任したため、代理役からも解かれて、
この記憶の中の時点では、ただのヒュームさんとなっていました。

 で、J.J.ルソー氏を英国に連れ帰るための、パリでの活動の最終段階に入っていました。

 ルソー氏は、 「 ヌーヴェル・エロイーズ 」 を発表した頃と、
フランス革命の足音が大きくなって来た頃には絶大な人気を博していました。
けれどもその間に挟まれているこの物語の頃の期間は、世の中から危険人物として白眼視されていました。

 その一方で、根強い支持者も少なからず存在したのでした。
それが状況を複雑にし、英国でも大騒動を引き起こしてしまいます。
そしてウォルポールさんが、その大花火大会の火付け役をしてしまうのでした。

 ウォルポールさんとヒュームさんの宿泊所に、ジェイン姫がやって来ました。
多分、ウォルポールさんが落葉の御方様と会った後なんでしょうけど。

 ジェイン姫、開き直った上に、ウォルポールさんを挑発すらしているようなのですが、
第10・11話ではお淑やかな感じですらあったのに、実は二面性 ( もしくはそれ以上 ) のものがありそうです。


 今日の続きは明日。


 

何であいつらに味方するヤツらがいるんだ?

2013年04月07日 15時38分07秒 | 第21話/薬包紙

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *


 まだまだ完全復活とは行けませんが、
とりあえず、第21話の最後までは毎週続けてアップできそうです。
あと7ページあります。

 その内5ページは、ウォルポールさんが、
なぜハリソンさんやルソー氏の味方しようとする人が、
思ったよりも多く自分の身近な所にいるのか?
― という事実に対しての苛立ちが描かれる事となります。

 次のページからは、ヒュームさんとランズバーグ夫人が出て来て、
ウォルポールさんに、そんな不快な事実を見せ付ける場面が展開するのでした。

 ランズバーグ夫人、そういえば、登場人物の所に入っていなかった。
追加ページに急遽登場となってしまったんで…。

 By the way , これ完全なコメディ路線なら、
矢印して書き文字で、

「 あくまでウォルポールさんのイメージです。 」

と、2コマ目の道化帽被ったハリソンさんの絵の所に書けるんですけど…。

 トリストラム・シャンディ氏の文章から想像したコスプレなんでしょうけど。
( ウォルポールさんは、コスプレマニアらしい。
 実際のハリソンさんはこんな恰好で執筆はしていないと思いますけどね。
かなりズボラもんだし。
多分これから描かれるどこかには出て来るんでしょうけど。


 追加ページを描いている間に、
J.J.ルソーさんの物語への実際の登場の必要を感じたので、
「 エミール 」 と 「 ヌーヴェル・エロイーズ 」 だけでは足りんと思い、
現在、 「 人間不平等起源論 」 を読んでいます。
読了後は、 「 社会契約論 」 も読むつもりです。


 次回の更新は、4月13日 ( 土 ) の予定。